気仙沼市の大島で進められていた亀山モノレール工事は令和8年3月末までに完成し、7月に供用開始を予定しています。年間6万2000人の乗車を目標に、黒字運営を想定しています。気仙沼市議会12月定例会の議論などをもとに、最新の情報をお届けします。
【2両編成で定員は最大40人。往復20分】
亀山(標高235m)の山頂と中腹駐車場を結ぶモノレールは、2両編成で運行します。レールの長さは409m。単線のため、往復20分で1回あたり最大40人を運びます。
駐車場と山頂に駅舎を整備します。駐車場は普通車92台、バス3台、バイク18台が利用できます。料金は無料。駐車場付近にはトイレ(男性用小2・大1、女性用2、多目的1)、事務室を兼ねた待合休憩棟(53.82㎡)も整備します。
なお、モノレールを利用しないで徒歩で山頂に向かう場合でも駐車場は無料にします。拡張した駐車場は環境省の補助事業を活用したため、営利目的で使用できないためです。
※亀山通信第6号から
【山頂にカフェとソファ。眺望を楽しむ空間に】
山頂に木造平屋建て(20.97㎡)のカフェスタンドとトイレ(小1・大1)を新設します。また、既設の亀山ほしのテラスに加え、景色を楽しめる3つのテラスを整備します。テラスには屋外用のソファ34席分とテーブルを設置し、ゆっくり滞在できる空間にします。
既存の亀山第1レストハウス(昭和39年建築のSRC造平屋建て・155.37㎡)、亀山第2レストハウス(昭和49年建築の鉄骨造平屋建て・108㎡)は外側は改修ましたが、休憩・イベントスペースとして開放します。
今後、遊歩道やフォトスポットの整備、案内看板の設置などの行い、試運転を行った後、夏休みに合わせた開業に向けて準備を進めます。フォトスポットは、NHKの朝の連続ドラマ小説「おかえりモネ」もイメージします。2025年に発表した産業政策パッケージ(ふるさと納税寄附金を10年間で60億円規模投入)には、インバウンドも強化する「きらぼしデスティネーション」として亀山山頂のTopスポット化にも取り組むことにしています。
【リフトの「代替」から旅の「目的地」へ転換】
津波と火災で全壊した亀山リフトの復旧が叶わず、「リフトの代替手段」としてモノレール整備が計画されましたが、「山頂の魅力化とアクセス手段の整備けに方針を転換しました。山梨の清里テラスや長野の白馬岩岳の視察などにより、「モノレールは移動手段に過ぎず、旅の目的は山頂における景観と心地よい滞在空間である」と確認したためです。
このため、モノレールや山頂施設を含めた一体を「大島亀山園地」と位置付け、園地全体の通称を「亀山テラス360° Kesennuma Oshima」としました。
なお、構想段階では、山頂にブランクを設置したり、周辺に山遊びやアスレチックのゾーンを民間の力で整備してもらうことも考えており、今後の展開も期待されます。麓からのモノレール運行についても、経営が順調にいけば将来的な可能性が残されています。
亀山モノレールの経過については、2021年11月のブログ「モノレールでの復活検討」、2023年7月の「計画変更」、令和7年1月のブ「新イメージ図を公表」をご確認ください。
【計画事業費は9.9億円から22.8億円に倍増】
モノレールの整備事業は、上限10億円のデジタル田園都市国家構想交付金を活用したため、当初の計画事業費は9.9億円でスタートしました。その後、物価高騰や工法変更によって増額し、さらに山頂の魅力化向上に力を入れたことで、現時点で22.8億円となりました。
財源は国県の交付金をはじめ、過疎対策事業債(交付金で返済額の7割補助)を活用することで、市の実質的な負担は7.4億円に抑えました、そのうち2.2億円はふるさと納税寄附金(クラウドファンデング分)を充てさせてもらいました。これで毎年の償還額(借入金を22年で返済する場合)は2000万円程度と想定しています。
なお、亀山リフト時代は年間3200万円ほどの赤字で、緊急の代替手段として運行したシャトルバスにも2000万~3000万円ほどかかっていました。
【収支見通しを公表。支出は想定の2倍に】
構想段階では先行類似事例(長野市、浜松市、湯沢市、大分市、長崎市)と大島の観光客数、亀山リフトの利用率をもとに、年間支出を2611万円、売上高を2800万円(料金を往復500円、乗車人数を5万6000人)と想定し、民間の運営候補者を探しました。
2025年12月の市議会定例会に、亀山園地条例の参考資料として最新の収支見通しが示されました。
支出は5247万円(初年度)~5921万円(15年後)に見直されました。主な理由として、①2人だった正社員を6人に増加に施設の清掃や園地の草刈りなどの委託費の追加③チケットシステム経費やモノレール点検の費用追加などです。
【モノレール料金は往復1200円。15年間で1億円超の黒字】
車両とレールの耐用年数である15年間の修繕費も加味して、想定支出をもとにモノレールの往復料金を1200円(小学生以下600円)に設定しました。
そして妥当な目標として、年間乗車人数を6万2000人に設定。年末年始や荒天を除いて年間338日営業し、1日あたり183人、1往復あたり8人でクリアできる目標だからです。
目標達成によって想定される収入は15年間で9億5790万円。15年間の想定支出は8億4158万円(年平均6386万円)なので、1億1638万円の経常利益が残ることになります。なお、車両やレールの更新費用は3億円と想定すると、年間7万5000人の利用で自立更新が可能になります。
【運営候補者は気仙沼産業センター】
指定管理の候補者は第3セクターとして「海の市」を運営する(株)気仙沼産業センターです。市外を含めて声をかけても反応が鈍い中、市の観光振興のために名乗り出てくれました。2022年10月に運営検討に関する覚書を市と締結しています。
今後は2026年2月の市議会に指定管理者を指定する議案が上程される予定です。その際、指定管理料などの考え方も示されますが、料金を指定管理者の収入にする「成果主義」(利用料金制)か、料金は市の収入にして決まった指定管理料を払う「安定主義」(使用料金制)かが注目されます。
また、人気観光施設である「海の市」(魚市場前にある海鮮やお土産の施設)との連携も期待されます。震災後に整備した大島ウエルカム・ターミナルは販売コーナーを休止して、新たな委託先を探しており、モノレール稼働までの重要課題に位置付けられています。







