復興後はどうなるの?【気仙沼市の財政見通し】

気仙沼市の中期財政見通しがまとまりましたので報告します。

中期財政見通しは持続可能な財政運営のため、5年間の普通会計の収支シミュレーションをまとめたものです。平成26年度から、予算編成が始まる毎年この時期に公表しています。

結果からいうと、復興予算のおかげで今のところ大きな心配はありませんが、将来に負担を残さないための議論が必要な状況になっています。

【赤字体質のまま貯金が減少】

今回まとめたのは平成29年度から33年度分です。復興期間が終了した後の平成33年度の収支見込みも示されました。

市の見込み通りだと、支出が収入を上回る状態が続くことで、市の貯金である財政調整基金が目減りしていきます。市町合併の特例が段階的に終了していくこともあり、このペースだと平成34年度以降の予算組みが難しくなります。

今後の対策として、人口対策や産業振興によって市税等の自主財源確保に努める一方で、公共施設の在り方を見直すなどの行政改革によって支出の削減を図ります。

【4年後の市営住宅基金71億円に】

市の借金408億円(29年度現在)の多くは合併特例債や過疎債など国からの補填があるものばかりですが、借金(市債)を返しながら、新たに借金をする体質に変わりはありません。しかし、復興事業で整備した災害公営住宅の黒字分を貯めていく市営住宅基金は平成33年度までに71億円になるなど、復興の恩恵もあります。この基金は市営住宅の将来の大規模改修や解体費とするものですが、今後も積み増しが続くため、借金返済などに充当することも検討していかなければなれません。

【震災前と比較⇒地方交付税減少目立つ】

この5年間の比較だと復興予算が入っているため分かりにくいので、震災前の平成22年度と復興後の平成32年度を比べてみました。復興後は地方交付税が減るものの、人件費や建設事業費などを減らして収支のバランスを保っています。

気になるのは市税です。震災前に比べて平成33年度の人口は1万2千人ほど減る見込みですが、市税収入は震災前を上回っています。住宅の事業所の再建によって固定資産税の評価額が高まることが主な要因と考えられますが、市民の負担増が市経済にどのように影響するかが心配です。

また、老朽化している公共施設の更新も大きな課題です。ようやく復興期間終了後が視野に入ったことで、普通建設事業費を新規事業に充てる余裕があるかどうか、人件費を含めた歳出削減が必要なのか、これから議論が本格化していきます。基本的には、収入に見合った市政運営が求められます。

 

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