大学連携と子どもの居場所づくり【気仙沼市議会一般質問報告】

気仙沼市議会9月定例会の報告です。

第1弾は一般質問です。今回は「隣接自治体や大学との連携」と「子どもの居場所づくり」をテーマにしました。

【大学や企業など100団体以上と連携協定】

「隣接自治体との連携」は、人口減少が深刻化する中で、いつか取り上げなければならない思っていた課題です。気仙沼・本吉地域広域行政事務組合のリアス・アーク美術館を気仙沼市に移管する協議が始まったことで、南三陸町との今後の連携について考えるタイミングだと感じて、議論をスタートさせることにしました。

隣接市町に対する考え方から確認して、今後は分野ごとに議論を深めていきたいです。

「大学との協定」は、早稲田大学との包括的な連携協定締結を契機に取り上げました。気仙沼市は大学や企業など100団体以上と連携協定を締結しているのに、うまく活用できていないのではという問題意識からの質問です。

協定を締結している主な大学等と企業等
 

大学等

宮城教育大学 平成18年3月
宮城大学 平成19年5月
東京海洋大学 平成24年3月
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 平成25年6月
災害科学国際研究所 平成25年7月
エコチル 平成28年5月
青山学院大学 平成27年7月
立命館アジア太平洋大学 平成28年4月
晃陽学園 平成30年2月
明治大学 令和元年7月
安城学園 令和4年12月
中部大学ボランティア・NPOセンター 令和6年2月
早稲田大学 令和6年8月
 

企業等

市内郵便局 平成29年3月
七十七銀行 令和2年1月
モンベル 令和2年10月
アイベックスエアラインズ 令和3年5月
イオン東北 令和3年8月
明治安田生命保険 令和5年2月
佐川急便 令和5年4月
ヤマト運輸 令和5年6月
アイリスオーヤマ 令和6年4月

【児童館、放課後教室の整備と学童無償化を総合的に】

「子どもの居場所づくり」は、気仙沼市が本腰を入れ始めたことから、バラバラの施策にならないように注意してほしくて取り上げました。

建て替えや移転を検討している児童館、民間団体が開設する子どもの居場所、子育て支援策として打ち出した学童保育の無償化、大型公園の創出について、「子どもの居場所」という視点で総合的に考えていこうという問題提起です。

市の答弁を聞くと、大学との連携も子どもの居場所づくりも、やはり縦割りの状態を感じましたが、菅原市長が問題意識を持っていることを確認できました。いずれもタイミングを見ながら継続的に議論していきます。

 

■一般質問の詳細(今川作成の簡易議事録)は下記の通りです。PDFデータはこちら→一般質問の議事録(独自)2024.9


今川悟の一般質問 令和6年9月24日

隣接自治体や大学との連携について                       

人口減少や情報化社会に伴う諸課題を解決するため、自治体の広域連携、関係機関との協力体制構築が求められていますので、次の3点について質問します。

 

質問1 本市に隣接する南三陸町、登米市、岩手県一関市、陸前高田市は生活圏や経済圏をともにしていますが、行政の連携は不足していると感じます。特に関りが深い南三陸町については、気仙沼・本吉地域広域行政事務組合で共同処理する事務内容の見直しに伴い、今後の市町連携の強化について検討するタイミングだと思います。また、三陸道開通でより身近になった陸前高田市とは、新たな連携が期待されています。友好都市を締結している一関市、NHKの連続ドラマ小説「おかえりモネ」を通して交流機会が増えた登米市も、沿岸部と内陸部の自治体として交流人口の拡大が期待されます。隣接市町との連携について、現状の取組と課題、今後の展望を伺います。

 

菅原市長 隣接市町との連携については、広域行政事務組合、友好都市、三陸沿岸都市会議などの枠組みを主としながら、様々な課題・目的に沿う形で取組が進められているところであります。観光分野においては、既にオルレやトレッキング、みちのくGOLD浪漫、ジオパークなど個別の分野で連携が図られており、さらに深化させてまいります。

なお、本市はじめ周辺自治体の人口が減少する中、行政改革の観点から、既にごみの焼却や水道事業の一部で行われているとおり、広域で行うべき取組は継続的に模索してまいります。先ほどの答弁にもありましたが、介護人材は南三陸、これは実は医師会には南三陸町まで入っており、各対象によって様々な組み合わせをしています。

 

今川 今回の質問は、広域連携について議論を深めていくためのスタートに位置付けていますので、具体的な提案は今後にして、議論のための材料を集めたいです。広域行政組合でリアス・アーク美術館を令和8年度から市に移管する協議が始まり、組合から美術館をとると消防だけ残るので、南三陸町との連携を新たに考えなくてはならないと思ったことをきっかけに質問しています。それで最初に、南三陸町との関係についてあらためて検討する時期に来ているという認識は市としてもありますか。

 

菅野企画課長 おっしゃる通り、今年度からリアス・アーク美術館移管に向けた動きが本格的に動いています。移管が終わった後に残る主な業務は消防ということになります。南三陸町との関係については、この広域が主に中心となるわけですが、そのときの在り方というのは考えていかなければなりません。相手方のある話ですので、広域組合がありますのでそこを中心に継続的に検討していくという形になるかと思います。

 

菅原市長 南三陸町は我々にとって大変大事な自治体だと思います。本吉郡というものは大変大きな役割をこれまでも果たしてきましたし、今後もそういう状況にあると思います。一方で枠組みのサイズはいろいろあると思います。

例えば、今回の広域消防の119番の受け入れについても石巻と登米と南三陸も含んだうちと、それで実はデジタル化ができてしまうということがありますので、どういう枠組みになっていくかというのは日本全体の動きも含めて考えていく必要があると思っています。事象によって組み合わせの適切さがあり、旧本吉郡の組み合わせが全てに効果を発揮するかというと必ずしもそうでなかったり、津山町もすでに登米市に行っていたりするということで、少し今のことだけ考えないで、考える必要があることだろうなと思っています。

 

今川 これから本当に人口が減っていくと、広域連携は隣接市町に関わらず重要になってきますので、具体的な議論を今後していきたいと思います。今回はお尋ねしたいのは、労働者の就業地で隣接4市町から流入がベスト4にある一方で、気仙沼市からの流出も同じようにあります。令和2年度の国勢調査だと4市町から1、824人が働きに来て、気仙沼市から働きに出ているのは1、272人でした。こうしたデータはどの部署が政策的にどのように分析していますか。

 

菅野企画課長 総合計画や国勢調査の度に分析しています。それを政策につなげるかどうかは個別の判断にはなってくるところですが、今後もそういった数字については意識しながら政策展開をしていきたいと考えています。

 

菅原市長 政策ということではありませんが、企業誘致の際はものすごく使っています。本市の人口構成を見ると、「ここに企業を持ってきて大丈夫ですか」と最初に聞かれます。最大のウイークポイントです。例えばヤヨイサンフーズの場合でも、そのことは大きな問題になりました。ライバルが2カ所ありまして、そういう時に私たちがとりあえず出せる話としては三陸道があるので、隣接だけではなく北は大船渡、南は登米までが通勤圏内になりますということで、そこから期待できるという話をしながら企業誘致しているところです。場合によってはもう少し広めの話をする必要があります。それはお互いの話であり、お互いがそのことを利用していかないと三陸道の活用というか、メリットも出てこないとことだと思っています。

 

今川 いまは流入が流出を上回っていますが、(国勢調査があった令和2年度は)震災特需の影響が残っており、今後は少し心配です。最初に議論の材料を集めたいと言ったのは、広域連携について政策評価の記録があまり見つからなかったからです。総合計画では基本施策の一つに「広域連携の推進」が盛り込まれているのに、毎年の進行管理シートには大学連携も含めて記載がありませんでした。これは目標値がないから毎年の評価もしていないということなのでしょうか。

 

小野寺企画部長 連携が目標ではないということです。その先に目標があるということで、総合計画ではそれぞれのところで評価されているということであります。

 

今川 今の話ですと、今後も進行管理シートの中で、広域連携と大学連携の部分は別の分野に入ってくるという考えなのですね。広域連携という一つの視点から今後はいろいろ議論していきたいと思っていますので、私としては進行管理シートの中でも広域連携の視点でしっかり評価して頂きたいです。

 

 

質問2 東日本大震災以降、本市は企業や大学などと100件を超える連携協定を締結してきました。そのほとんどが災害時の連携に関する協定ですが、地域活性化を盛り込んだ協定もあります。特に若者流出による人口減少が大きな課題である本市にとっては、大学連携への期待が高まります。大学との協定は相互の取り組みが前提になっており、本市にも関係を持続発展させていくための努力が求められます。大学との連携について、課題と展望を伺います。また、民間企業を含めた連携協定を今後の地域活性化に生かしていくためには、取りまとめ役となる官民連携室のような担当部署が必要と思いますので、その組織体制についても市の考えを伺います。

 

菅原市長 本市はこれまで、震災前には3つの教育機関と、震災後には8つの教育機関と協定を締結し、人材育成など多岐にわたる分野で相互協力を展開しております。復旧・復興期においては、特に復興まちづくりに関する取組が中心でありましたが、今後は、各種検討組織に対する有識者の派遣や学生のサークル活動のフィールドなど、人口減少社会における地方創生に向け、各大学の知見に加えて、それぞれの特色や学生の活力を生かしながら、良好な関係性の下、双方有益となるような取組を進めてまいります。なお、包括連携協定など担当課がまたがる場合においては、その中でも連携の中心的事業を担う部署が取りまとめ役となり事業調整を行っており、不都合は感じていないことから、当面、組織体制の改編は考えておりません。

1つの部署をつくってもそこは専門ではないので、必ずまた専門のところとの調整が必要になって、そこだけでは済まないため、どんどん仕事が増える形になって、なかなかうまくワークするとは考えづらいと思います。もうひとつ、私たちが実感しているのはメールです。メールのCCの使い方によって、全部ではありませんが、相当程度は情報共有できるようになっているということもご理解願いたいと思っています。それは同時に市長、副市長にもコピーが入っていれば、我々も全体が把握できるという状況です。

 

今川 質問のきっかけは、総務教育常任委員長として出席した早稲田大学との包括連携協定締結式典です。大学側の熱量を感じて、ほかの大学とも協定を結んでいる中で、どれだけ活用できているかチェックしていなかったと感じた部分があったからです。取りまとめは企画課だと思いますが、現状や成果について毎年どのようにまとめているのですか。

 

菅野企画課長 大学等との連携の各年度の実績は行政改革アクションプランの進捗管理の中で報告していますので、そちらの方を参考にいただければと思います。

 

今川 後でゆっくり見たいと思います。心配なのはサテライト機能です。宮城教育大学が教育委員会の1階にあり、東京海洋大学と東北大学災害国際研究所もサテライトを持ってくれていますけど、今後も継続していくことに心配があります。市が関与して集約して支援するとか、震災後にできた大学ネットワークのような支援機能を気仙沼側で作れないかと思いましたが、そういうことは検討しましたか。

 

菅野企画課長 海洋大学、東北大学、宮城教育大のサテライトにはそれぞれ所管する部署があり、それぞれの在り方も含めて検討するということではありませんので、各課の判断をまず尊重していきたいと思います。大学ネットワークは震災後、個別にそれぞれ大学等々の連携を進める中で、新たなネットワークを組むというところでの議論にはならなかったということです。

 

菅原市長 各大学のサテライトはそこにある理由、財源の出所も同じではないと思います。大学も評価されます文科省から、その中で地方の連携というのが出ていますし、見ていると思いますけど、日経グルーカルには1年に1回か、2年に1回ぐらい、どれほど地域と連携しているのかが指標になって出ています。ただ、未来永劫、我々が何もしなくてもあるというものでは全くないです。実は今日は海洋大学の先生が4人、この後にいらっしゃって生徒も連れてきていますが、そういう関りをしっかり持って、こういうフィールドになれますよということをちゃんと情報発信していかなければと思っています。

ネットワークは使い方ですが、できた時の意味は全く違うと思います。いま必要なのとは違う。当時はいろんな先生、関わりたい人、ボランティアがいっぱいで整理がつかず、同じ所ばかりにみんな一緒に行ってしまい、こっちに行ってほしいのにみたいなのがあり、慶応の先生が呼び掛けて20いくつかの学校を集めて、手分けしてもらったということなので、今おっしゃっている意味とはまた違っていました。おっしゃっている意味でいま必要かというと、私たちはもう少し一つ一つの学校の連携の中で、何ができるかというのを十分に追求していない。それが今日の議員の質問の趣旨の一つだと思っていますので、そこについては非常に反省しているところです。

あとは、メンテナンスが必要だと思っています。例えば明治大学は私も学長に何度もお会いしました。学長にお会いしていないところもあります。ですから、早稲田の場合は総長が来てくれて、熱量を感じたのだと思います。そういうのはやっぱりお互いちゃんとできることをオファーし合いながらしていかないといけない。例えば明治大学は残念なのが、前は市職員の春募集の試験場所を借りていたのですが、そういうことがオンラインでできるようになったので、そこは抜けていて、じゃあ何かしなくちゃいけないと、明治大学にお世話になりたいと思うことは、各課がよく考えればいっぱいあるはずなので、そういう意味で、各大学との連携の深化というものについては、おさらいというか、すべてチェックが必要だと思っています。

 

今川 まずは担当課でそれぞれチェックしていくということですので、一つ一つの大学の特色が分からないとオファーもできないし、ニーズにも応えられないので、調べてみたいと思いました。大学ネットワークは市長の言う通り、支援先の調整する部分と、もう一つ、現地事務所的な部分があり、コピー機やプリンターとか持ち込むのは大変なので、共有できるものを置きましょうと、「すこやか」駐車場にコンテナを置いてやっていました。できれば、そういう何か機能的な部分はあった方がいいのかなと思います。そこで、気仙沼まち大学構想の一つの役割として考えられないでしょうか。

 

菅原市長 二つあると思います。一つは場所として「すこやか」脇のコンテナハウスと同じ機能は果たせると思います。今度、一人オフィスみたいなコンテナも買いましたのでそういうものも使ってもらえる。多少お金は払ってもらうことにはなるけど、会員としてお互いそこですれ違うとか、新しいつながりが出来ると、それがイコール、それを横で見ているのが気仙沼まち大学運営委員会になりますので、より有機的なつながりが出やすい場所だと思っています。

 

今川 スクエアシップはすでに活用している大学もあると思いますが、気仙沼側の相互に協力し合うことだと思いますので、大学側に情報発信していくことが大事だと思います。気仙沼の政策も例えばふるさとワーキングホリデーとかリクルートの部分とか、協定を締結しているところにちゃんとアプローチで来ているかというと、たぶん市長がさっき言った通り、できていなかった部分もあると思います。せっかく大学生向きに行っている事業を連携先と組まないのはもったいないと思います。そうした点も含めて精査していくと確認していいですか。

 

菅原市長 幸い私たちが連携協定を結んでいる学校は、海洋大学とか教育大学とか小さい学校ですが、それに対して相当大きな総合大学もあります。そこが何年も早稲田とか名城大学のように気仙沼に来た人だけで、早稲田は何千人と話していましたけど、名城大学もたぶん千人ぐらいだと思います。そういうところにリクルート系のアプローチをしていないということは、とってももったいない状態だと思いますので、今後の連携協定もしていく中で、成果の中に今の視点もちょっと入れていく必要性もあると感じたところです。

 

今川 せっかくの大学連携を深めてほしいです。震災前の記者時代、平成14年ごろですが、国交省の地方体験交流支援事業ということで大学生2人が気仙沼に来てくれて、私は密着取材をしました。そ大学生が来るだけで大騒ぎになるくらい気仙沼では珍しかったのです。大学教授がくるといったらもっと大騒ぎでした。震災があって、たくさんの大学生が来てくれていますが、立ち止まって、この大学連携のありがたさを考えてほしいです。次回以降は、成果について一緒に議論できるようにしたいです。

 

 

質問3 友好都市や姉妹都市、自治体の広域連携、企業や大学との協定は、市役所における職員の意識付け、市民の理解や協力が継続発展のカギとなりますが、協定の相手先や内容を知らない市民は少なくありません。周知方法に関する課題と取組を伺います。また、令和9年度に完成・移転予定の新市役所において、PRスペースを確保する予定はあるのか市の考えを伺います。

 

菅原市長 協定の相手先や内容の周知についてでありますが、市が新たに締結するものは随時記者発表を行っているほか、過去に締結したものを取りまとめ、市のホームページで公開しております。継続的な周知に関しては、基本的にはデジタル媒体が主体となりますが、協定締結先との事業実施の機会などを捉え、引き続き市ホームページ、公式LINEや報道機関を通じて広く発信してまいります。また、新庁舎におけるPRスペースについては、来庁者を迎え入れる「まちかどギャラリー」等の活用の中で考えてまいります。

 

今川 市民にも知ってほしいです。連携協定先はホームページで見ることが出来ますが、私も震災遺構で語り部をしていて、案内をした大学が協定先だと知らずに失礼したことがありましたので、市民にも情報発信をお願いします。新しい市役所では期限のない連携協定を締結している大学の紹介ができるようなコーナーも考えられませんか。

 

阿部財産管理課長 新庁舎ではまちかどギャラリーの活用の中で、そういったスペース確保についても検討したいと思います。

 

小野寺企画部長 大学連携に関しては期限がないという発言はありましたが、期限はあります。自動継続になっているということであって期限はあります。

 

今川 その期限がずっと持続されるように頑張ってください。新市役所にもし大学の活動をPRするスペースができるのなら、大学生に参加してもらって、連携を深める機会にしてほしいです。

 

子どもの居場所づくりについて                         

急激な少子化によって、保育施設や学校の統廃合が進むなど、子どもを取り巻く環境は劇的に変化しており、屋外において子どもたちが遊ぶ姿を目にする機会も少なくなっています。子育て支援に力を入れ始めた本市では、子どもの居場所づくりも強化していく方針が示されていますが、施策の成果を高めるため、次の3点について質問します。

 

質問1 小学生が放課後や週末を楽しく安全に過ごせるための環境づくりは、地方における子育ての魅力を高める上で大切なテーマです。しかし、本市の学童保育、放課後子ども教室、児童館、公民館などの施策について、「子どもたちの居場所づくり」という観点から十分に整理されていないと感じます。現在策定中の第3期子ども・子育て支援事業計画、または、先進自治体が策定している放課後子どもプランなどで、基本理念、施策の方向性や今後の展開について、現状よりも踏み込んで整理していく考えはありませんか。特に小規模の特性を生かした学童保育と放課後子ども教室の連携、学区による格差の解消、地域の参画と有償ボランティアの活用は、一体的な検討が求められます。社会で子どもを育てるという考えのもと、運動や工作、多様な体験や交流を通して子どもたちの放課後が充実することを願いながら、市の考え方を伺います。

 

小山教育長 子どもの居場所づくりについてでありますが、小学生が放課後や週末において、子ども同士や地域の大人と関わり合う機会や、自己肯定感を高めながら成長できるよう、楽しく安全・安心に過ごせる居場所として、学童保育、月立小学校放課後子ども教室、公民館、児童館など多様な場があります。

また、このほかに事業内容や開催回数はそれぞれですが、NPO等により、唐桑地域では「放課後たんけん」、大谷地区には「気仙沼あそびーばー」、新月地区では「プレパークけせんぬま」、水梨地区では「水梨キッズカフェ」、気仙沼地区では「子どもの居場所みらいと」、階上地区では「はしかみであそぼ」などが活動しております。

学童保育と放課後子ども教室の連携や児童館がない地区での子どもの居場所づくりを含めて、NPOや地域の団体などとの連携を視野に入れ、庁内の関係部署で一体的に検討してまいります。

 

今川 さまざまな取り組みがある中で、これから庁内の組織で一体的に検討していくという答弁でしたが、市民や関係団体が参加して検討する場をつくる考えはありませんか。

 

千葉生涯学習課長 答弁した「庁内の関係部署で一体的に」という部分は、まだ関係課として生涯学習課、学校教育課、こども家庭課の3課を中心として、例えばNPO法人からの要望があったりとか、そういう時に一体的にお話を伺いながら進めていくということで答弁したものです。

 

今川 そこが「子どもたちの居場所づくり」という観点から十分に整理されていないだろうということで、震災後にたくさん生まれたものもあり、そこを整理しないと、なかなか放課後こども教室にとか具体的な部分に入っていけない、児童館も含めて考えていかないと前に進めないと思います。「検討する」と言ったその成果がどういったものになるのか、よく分からないのでもう少し分かりやすい部分をお願いします。

 

千葉生涯学習課長 第3期子ども・子育て支援事業計画は子ども家庭課が所管しますが、例えば放課後の居場所づくりは生涯学習課、学校教育課が担当する部分もあり、そういったところについては今後、協議の中に必要であれば入っていくような形でご理解いただければと思います。

 

今川 そうしますと、第3期子ども・子育て支援事業計画の中である程度は成果が出てくるということですか。成果がどこで出てくるのかが次の議論につながると思いますし、一体的にいろいろなことを検討していった成果は、どこに出てくるのですか。

 

村上子ども家庭課長 第3期子ども・子育て支援事業計画について説明します。いま策定を進めている計画は令和7年度から11年度までの5年間の計画期間において、国が定めている記載事項に対して定めるもので、教育と保育、地域の子育て支援に関する11事業について、現在の利用状況と利用規模に基づき、サービスごとの需要の見込みと事業量の見込みと確保方策を策定するものです。未就学児が中心ですが、その中に居場所づくりに関する項目については、放課後児童健全育成事業が含まれておりますが、その他、放課後子ども教室や公民館事業等について記載事項の定めのないものにつきましては、新たに本事業計画に盛り込むことは考えていません。

 

今川 私は第3期子ども・子育て支援事業計画の中にそういった話は盛り込みづらいと思います。しかし、一方で前回は子育てタウンミーティングの成果も入っていたり、自由に書ける部分もあると思っていました。そこに入ってこないとしますと、放課後子どもプランのようなものが必要になってくると思いますが、それはやらないということですか?

 

千葉生涯学習課長 (放課後)子育てプランの考え方については、現在そのプランを立てるかどうかという部分について、まだ検討の段階に行っていないというところです。

 

今川 たくさん計画があればいいということではなく、成果が出てくれればいいのですが、それがどういったところで形になってくるのか、その形を書き込む場所を用意してほしいです。子ども・子育て支援事業計画のアンケートでは、児童館の利用希望が6割で、利用したことがない人も6割あり、児童館に対する大きな課題が出ています。あと、市の子ども子育て支援の中で最も不満が大きいのは、「児童館や公園など、子どもの遊び場の充実」でした。約5割りの方が「不満」「やや不満」と回答しており、児童館と公園の部分が課題であることは確かです。それをいま課長が言ったように、子ども・子育て支援事業計画に書き込めるものではないと、あくまで需要と供給ということで記載していくということですが、ふるさと納税の教育パッケージで学童保育の無償化が出てきたり、居場所づくりする民間団体への経済的支援とか、いろいろな政策がどんどん出てくると、これはちゃんと整理されていないのではないかというのが今日の問題提起です。それを整理するのは総合計画ですか。will-ビーイングプランも居場所に特化したものではないので、どこの部署でこの課題と現状と成果を書き込んでいくのかというのをハッキリさせたいと思います。

 

菅原市長 大事なのは人だと思います。誰がそのことに責任を持っているかということで、その人がどこに属しているのかということも大事ではありますが、今のだとお互いの範疇の中でポコポコ出してきて、全体としては見えませんよと。さっき何とか連携室を作りませんかと同じような煮え切らなさを感じたということだと思います。

それよりも私の立場からすれば、だれが責任を持って真剣に考えているんだと、誰が一番そのことを聞いたら全部話せるんだということが不安です。そういうことについては、いま本市の状況を洗い出して頂きましたので、そこは改善していかなくてはならないと思います。

併せて、いまいろいろ話された中でも、同じ心配事を持っていると私は信じたいのですけれど、密度の問題があります。それがその決算委員会で三浦議員の議論の中でも密度の話をしましたが、これもあれもいいいとやったら、どこも1人か2人しかいませんでしたということはしてはいけないと思います。

完璧にメニューは揃っていないけれど、メニューは簡単だったけれど、相当の利用者があって、そこで別な化学反応というか子ども同士の必要な生まれるべきものは生まれていくようなことも含めて、勉強して、答えを出していく。そういうことでないと、保護者の皆さん方に説明できなくて、これをつくれば、あれがないと、こういうようなことの繰り返しになってしまうということだと思いますので、そこについてはしっかりと本市における中心的な検討人物を各部署と合わせて話し合って決めていきたいと思います。

 

今川 議論するためにいろいろな資料を集めるのですが、そこがバラバラになっているころが市役所で取り組んでほしいことです。例えば、放課後子ども教室だけの議論をするのではなく、児童福祉施設等再編整備計画のこと、小中学校の再編のこと、学童保育、ふるさと納税のパッケージとか、交通整理する必要があります。市長が話された誰が責任を持って全部説明できるのかということだと思います。そこは今回いろいろ準備する中ですごく問題意識を持ちました。

市長が以前の一般質問で答弁したエビデンスに基づく政策立案に児童館の再編が合っていると、利用者の地域や利用時間を分析すれば、導き出せると。それは行革アクションプランにも盛り込んである取り組みだということを勉強させてもらいました。やはりデータである程度は導き出せる。あとは最適な組み合わせです。児童館の建て替え、屋内公園、学校跡地活用が別々に進んでいる気がしますが、トータルに見ていかないともったいないです。

 

 

質問2 新たな気仙沼市児童福祉施設等再編整備計画(令和4~8年度)では児童館について、赤岩児童館の老朽化に伴う移転整備を検討するとともに、唐桑、本吉地域は保育所の子ども園化に合わせてそれぞれ再編整備を検討する方針が示されています。児童館の利用に関する課題、再編整備に向けた現在の検討状況と今後の進め方、小・中学校再編との関連性について市の考え方を伺います。また、令和2年6月の一般質問で答弁した「今後の児童館については、地域の拠点として多くの市民が訪れる利用しやすい施設として整備することが重要であり、短期間で準備が整う民間施設の活用、複合化、民営化の可能性などを積極的に検討する」との方針と、データに基づいた政策立案と成果検証について、その後の市の対応を伺います。

 

菅原市長 現在、新たな気仙沼市児童福祉施設等再編整備計画に基づき、保育所・幼稚園施設の統廃合を進めるとともに、児童館などの児童厚生施設における老朽化等の課題解決を図るため、廃止施設の有効活用などを含め検討をしているところであります。

唐桑地域においては、唐桑保育所の認定こども園化を図り、唐桑幼稚園及び松圃幼稚園の統合に向けた調整を行っており、時期は未定ですが、唐桑幼稚園が閉園となった際には、当該施設へ鮪立児童館の移転を検討しております。

本吉地域については、津谷保育所、津谷幼稚園、小泉幼稚園の3施設を統廃合し認定こども園化する計画としておりますが、現状の施設では、いずれの施設もこども園としての規格を満たしていないことや、本吉地域の潜在的な課題である0歳児保育に対応するための施設も必要なことから、地域の実情とニーズに合わせた施設整備を計画する中で、児童館のあり方についても検討してまいります。

赤岩児童館については、建設から50年以上が経過し、老朽化が目立つ状況で、昨年度の年間利用者数が2、801人と児童館の中では最も少なく、また、他地域からの来館者も少ない状況で、老朽化に加え立地条件の悪さなどが影響しているものと分析しており、計画に基づき早急に移転について検討しなければなりませんが、整備にあたっては、地域の事情も踏まえながら利便性の向上を図る必要があると考えており、小・中学校の再編整備計画による学区の再編状況なども踏まえて、整備方針を検討してまいります。

児童福祉施設等再編整備計画においては、急激な少子化に対応した施設の統廃合が求められており、民間事業者の参入促進を図りながら進めたいと考えておりますが、利用する児童や保護者の視点に立った配慮も大切であると考えており、利用者のニーズに沿った施設の再編を目指してまいります。

 

今川 唐桑の児童館と図書館の組み合わせは最高の場所だと思います。気仙沼児童センターと気仙沼図書館の組み合わせも相乗効果で良くなっています。赤岩児童館が移転するときに同じような考えを持ってほしいということが、今回一番訴えたいことです。まだ情報収集の段階ということですが、いつごろという目途はありますか。

 

村上子ども子育て課長 赤岩児童館については児童館5館のうち今の状態としては来館人数が一番少ない状況です。やはり立地状況ということもあると思いますが、あとは松岩地区内のいろんな居場所の部分でもいろいろ条件や状況があると思いますので、そういった部分も含めて今後いろいろ学んでいきながら検討していきたいと思います。

 

今川 きょうはこれ以上議論しても進まないと思いますので、プランをつくれとはいいませんけれど、全体に関わる問題ですので、よく考えて進めて頂きたいと思います。

 

質問3 今年1月に発表したふるさと納税の基金を活用した教育パッケージに「子どもの居場所づくりをする民間団体への経済的支援」を盛り込み、5月に策定した「けせんぬまWell-beingプラン2024」で、「学童保育の無償化」と「多様な交流と遊び場(屋内外の大型公園)の創出を目指した取組の実施」が加わりました。それぞれの制度設計に当たっての検討状況と今後のスケジュールを伺います。特に学童保育の無償化に当たっては、施設の定員によって利用できない家庭、そもそも利用しない家庭へスポーツクラブや塾等で利用できる子育てクーポンを配布したり、放課後子ども教室の開設を推進したりするなど、多様性と公平性に配慮する必要があると思います。また、屋内外の大型公園の創出に当たっては、大型商業施設を含めた既存施設の活用、再編整備する児童館との一体化についての視点も必要だと思います。市の見解を伺います。

 

菅原市長 屋内外の大型公園の創出についてでありますが、子育てタウンミーティングなどで「大型遊具があり遊びやすい公園がほしい」などの声もあがっていたこともあり、市としても必要性を認識し、「けせんぬまWell-beingプラン2024」において「多様な交流と屋内外の大型公園等の遊び場の創出を目指した取組」について掲げたところであります。

現在、情報収集などを行っておりますが、今後は庁舎跡地・跡施設、教育・保育跡施設、その他既存施設の活用の可能性や民間活力の利用など、運営形態を含め検討し、的を絞っていきたいと考えております。

 

小山教育長 学童保育の無償化に向けた検討状況についてでありますが、令和7年度からの無償化に向け準備を進めております。制度設計については、共働き世帯や家庭内介護の増加など、学童保育の需要の高まりから定員を超えることも考えられるため、客観的に入所者の優先順位をつけるための基準を新たに設ける方向で検討しております。

内容といたしましては、毎日保育の必要な低学年の児童が通常利用の区分で確実に利用できるなど、優先度の高い児童に必要な支援を行うことができるような基準となるよう、実施主体である特定非営利活動法人気仙沼市学童保育運営委員会とさらに協議を重ねてまいります。

学童保育を利用しない家庭への多様性と公平性に配慮することについてでありますが、まずは、無償化を優先して実施する上での課題を解決した上で、その他の支援について、研究してまいります。

 

今川 7月31日の子ども子育て会議で出た話です。保護者からは「学童を利用しない子どもたちへの支援はどうするの」という要望がありました。私も同感でした。利用している人を無償化するのはいいけれど、利用していない子どもたちをどうするのかということで、子育てクーポンを提案しました。スポーツ少年団とか塾へ通う子はそっちで使ってくださいというような、多様性と選択肢があったらいいと思います。どうでしょうか。

 

菅原市長 まずは無償化するのにいろいろ調整項目があるので、そこに注力させてくださいという答弁でした。そういっているうちにさっき話した会議で出たと思いますが、もっといろんな意見が出て来て、立場の違う人がまた違うことを言うと思いますので、そのときに最適解をやりたいです。やれればやりたいことだと思いますので、今のさわりを言ったらこういう意見が出ました。そこでもやりますと言っていると、まず本体の方からしっかりして、それから出てくる課題について解決するという道筋が取れなくなってしまってですね、それこそやってしまったら引っ込められなくなりますので、最適なことをやったらいいと思いますが、もともと無償でなかったものが無償化したら、他の人もお金と同じものが欲しいということが簡単にできるかということは、予算そのものに関わるし、学童に行っている子どもたちが人数的にほとんどなわけではないとことを考えれば、予算面を含めて検討していくことになるかなと思います。

 

今川 保育所や幼稚園の給食無償化の話も出ていますけど、公平性と多様性は観点の一つとして残してほしいです。子ども子育て会議では、保育施設の代表からも意見があり、第2子以降の保育所の無償化ついて「無料だから利用すると子どもの愛着障害が危惧される」と話していました。ゼロ歳児から親と離れてしまうことの愛着障害だと思います。「気仙沼市は何を目指すのか、発信するときに気を付けてください」とも意見していました。それは学童の無償化でも同じです。気仙沼市は何を目指しているのですか。子育て支援というのは分かりますが、例えばお母さんにどんどん働いてほしいのか、どういう風にしたいのか。どういう意図を持って発信する考えですか。

 

菅原市長 今日の朝日新聞宮城版に私のインタビューが載っています。そのことも書いてあり、触れています。朝日新聞の編集委員が一人だけ宮城におられて、インタビューの申し出がありました。そこで強調しているのは、有配偶出生率というものに気仙沼市が着目することにしたことです。それはほぼ経済的な問題、子育て費用の問題が重くのしかかり、もうけたい子どもの数がもうけられない現れだとだというような我々の分析がwell-ビーイングプランの実はその他のまちのプランと違って明確になっているところです。そういう意味ではすべてではありませんが、学童の無償化も家計の収入を確保する環境をつくることになると思いますし、それでまたずっと正規で働いてもらう環境をつくるような、私たちができることの一つだと思っていますので、こういうこととちょっと微妙だけど、こっち違うなというのは、さっきの無償化で子どもを預けてしまうから、その親と子の関係がというのはあるかもしれないけれど、それは別なことで解決しなくちゃいけないという本筋の解決と、派生の懸念というものをごっちゃにしてはいけないだろうと、ごっちゃにすると、進むものが進めないことになると思います。今回の幼保の給食の無償化も、私は実は副食給食のところをとか、その逆とかいろいろパターンが考えればあると思いますが、いいのかと実は内心思っていました。お母さんは実はお弁当から解放されるということが、うちの職員からもブワーと言われたし、今回の質問には実は出てきます。変わってしまって少しずつ心は、状況が変わってしまっていると思います。一方で、変わっていかないのはたぶん心のことだと思うので、そういうことを会議では指摘したのだと思います。私たちだけでは解決できないので、教育保育機関も含めて、しっかり話していかなければなりません。もしかすると、この幼保の給食無償化の時も私が感じたような懸念についてフォローみたいなワードが必要になってくるかもしれないと思ったところです。

 

今川 いま市長が話したことを市民や保護者にどううまく伝えるかということだと思います。政策としてやっているんだということと、目的がなんであるのかということをしっかり発信して頂ければと思います。これからは社会で子どもを育てていくことがより重要になってくると思いますので、そうなってくると児童館とか施設面での問題が残っています。無償化はどんどん進んでいく一方で、施設が老朽化している状況です。赤岩児童館の代替施設はスピード感を持って進めてほしいです。最後にお尋ねしたいのは、ふるさと納税の活用はハード面に使わないようにしてきましたが、子育て関係のハード面ということも選択肢として出てくることを確認したいです。

 

菅原市長 朝日新聞の記事にも書いときましたけど、さまざまな批判がふるさと納税にはあります。逆に称える方はほとんどありません。私は制度の維持がやっとかなという風に思っていますし、特に高額所得者に対してはこのままでは済まなさそうだなという感じです。余計なことは言ってはいけないかもしれませんが、そういう流れだと思っています。そういう意味で、もちろん子育てに関わるものなのでハードが大事だったらハードを絶対ダメということにはならないのだと思いますが、一方で、ここでどこまで風呂敷を広げられるかというか、メニューを広げられるかということに関しては、NOではありませんが、慎重にしていかないと、大変なことにならなきゃいいなと思っています。

 

今川 きょうの質問は、もっと俯瞰的に全体的に総合的に考えてほしいということでしたので、それぞれの施策については別な機会に議論していきたいと思います。子どもの居場所づくりですが、子どもはあっという間に大きくなってしまいますので、よりスピーディな対応をお願いします。これで質問を終わります。

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