6月定例会のポイントを報告【気仙沼市議会】

気仙沼市議会6月定例会の報告第2弾(最終)です。

新たな動きがあった亀山モノレールをはじめ、風力発電の議論、補正予算の概要など、定例会のポイントお伝えします。

印刷しやすいPDFデータはこちら⇒2024.6定例会ポイント


亀山モノレールは7月下旬に起工式

・モノレールの基礎工事は搬出路のための樹木伐採を7月から始め、8月から基礎工事に

・モノレール設備や車両(駆動部のみ)は工場で製作中

・駐車場側の駅舎の基礎は8月から、レストハウスは足場設置を進めている

・テラスは6月に設計を契約した

・モノレール事業の安全祈願祭と起工式を7月下旬に予定

・山頂のテラスは1億2220万円で整備。展望を楽しめる開放的な空間とするため、3段(段差は最大60㎝で階段付き)のデッキ状とする予定。モノレールの山頂駅舎から続く場所にあり、カフェスタンドやトイレも整備も計画している

・現在の展望台は老朽化もあって解体の方針

・地元の意見については「できるだけ多く反映させたい。意見交換の場づくりも検討する」と観光課長

風力発電の非課税エリアは事業ごとに判断

・東急不動産が市民の森に最大10基の風力発電機を計画

・「環境アセスのクリアは当然で、同時に市民の理解を得て進めるべき」と市長

・環境アセスの説明は来年くらいに調査結果で出てから

・市有地はこれまでの事例と同じように貸付の予定。時期はまだ判断できない

・再生可能エネルギー促進のため、(設置済みの風力発電施設のときは難しかった)保安林の解除要件が緩和された

・「市の土地なので最終的には市がOKしないと進まない。あまり先走っていいとか悪いとか言うと、制度を形骸化させる。企業誘致の面でもまちの姿勢として見られる」と市長

・再生可能エネルギー地域共生促進税の非課税エリア設定は、事業者から申請があれば事業ごとに、温暖化対策実行計画を推進する協議会メンバーに加え、地域の住民組織を含めた形で地域協議会を設置して可否を判断する。適地誘導と地域共生を目指すための制度であると考えている

・「協議会設置まで持っていけるかどうかだ。賛成と反対がある状態では持っていけない。ケース・バイ・ケース。基本的には事業者が市民に受け入れられる計画をつくってから」と市長

・市が率先して市民との懇談会を開くことについて、市長は「市民を二分することは望ましくない。適切な開催方法もないことから考えていない」「市は当事者だが、関わるべきタイミングや内容はケース・バイ・ケース。(騒音防止等の)新技術を見に行ったり、聞きにいったりする準備はしたい。事業者へ質問したりの積み重ねで判断するしかない。市から説明する資料もない。勉強や知見がないと向き合えない」

唐桑保育所を令和7年度から認定こども園化

・唐桑地域は幼稚園入園児童の減少が著しく、令和7年度から唐桑保育所を認定こども園に移行し、施設の集約化を図る

・保育施設の民営化へ民間事業者から個別に意見を聞いており、条件面や課題を整理しながら、公募に向けた準備を進める

・保育施設の民営化について、「子どもが減少する中、民間が成り立つということに前提にするならば、どのような組み合わせの調整が必要なのか考えないと、誰も受けないと思う」と市長

・保育施設の再編整備計画は子ども・子育て会議等の意見を聞きながら必要があれば見直す

 

唐桑地域の児童入所状況 (令和6年4月1日現在)
施設名 0 1 2 3 4 5 定員
唐桑保育所 2 6 5 12 11 12 60
唐桑幼稚園 1 0 6 30
松圃幼稚園 0 3 3 40

 

観光推進機構の役割分担見直す

観光協会の職員減少に伴い、観光推進機構の各団体の役割分担を見直し、観光協会は各支部の事業のほか、主に玄関機能を担うこととし、旅行会社の依頼によって手配業務を行うランドオペレーター機能や稼げるガイド育成事業は地域戦略が担うこととした。「再生一年目」と市長

これまでのコミュニケーション不足を反省し、宿泊事業者と機構事務局との意見交換の場を設けた

・県が検討している宿泊税については、その一部を固定的に市町村に配分すること、市町村の申請によって交付する枠の創設を気仙沼市は求めている

・「観光推進機構の中で宿泊税が観光にとって大事だということは共有されている」と市長

・唐桑半島の今後は観光推進機構において、トレッキングなどの各種施策へ関係する宿泊・飲食事業者や各種団体等と意見交換の場を持つことにしている

 

市民の森の休憩施設は地元説明へ

・市民の森の徳仙丈入口付近にあった森林文化センター(火災で焼失)の再建予算を繰り越した

・トイレと休憩所の計画だったが、まだ実施設計の途中

・「もともと使われていなかった。何があればいいかまとめきれず、ツツジの季節を中心に考えるのか、そうじゃないのか誰が使うのか、専門家からアドバイスをもらい、ようやく使われそうなもののアウトラインできた。」と市長

・地元に示してから、なるべく早く建設したい

 

能登半島へ26人派遣

・自治法派遣以外に災害派遣業務に従事した職員の手当てを新設(日額1080円)

・能登への派遣はトイレトレーラー搬入、避難所運営、支援物資輸送、給水支援、保健師、D‐MATで計25人が対象。このほか、自治法に基づき1人を派遣中

 

ポンプ車契約で議論

・消防団に配備する小型動力ポンプ付積載車4台の契約について議論白熱

・市は25年超える車両は更新(他市では20年という例も)の方針

・消防団の自動車は89台。ポンプ車はほぼ古川ポンプ製作所(大崎市)が落札してきた

(旧本吉町・唐桑町で購入した分は未調査)

・市が他市の入札状況を調べた結果、古川ポンプ製作所は県北に多く納入しており、そこに力を入れることに企業としての強みがあると分析

・入札に参加した5社の過去5年の納入実績を調べたところ、FKT合同会社(気仙沼)とモリタ仙台支店は実績がなく、共栄防災石巻営業所は昨年に石巻、日本防災工業仙台営業所は令和3年に登米市で実績があった

・市としても問題意識を持ち、可能な範囲で調査した結果として「入札は適切に行われた」と判断した

 

産業立市へ秋にプラン公表

・will-beingプランは策定したが、仕事がないと人は住めないので、産業立市を再確認するための産業政策の重点項目を秋ごろに示す

・地域産業の生産性向上と女性活躍などを想定。秋の段階では財源や予算規模まで示さない

・中小企業・小規模企業振興会議は委員の業種や事業所規模がまちまちで、議論がかみ合わず、「必要性やあり方の再検討が必要」と市長

・起業や商品開発などを支援する創造的産業復興支援事業費補助金は小売りからの応募がなく、商店の意欲と魅力を高める方策が課題だ

ふるさと納税は返礼品に高齢者支援メニュー研究

・人口減少対策、教育パッケージに続くのは、秋の発表する経済の重点項目を優先的対象とする考え

・地元高齢者の支援メニュー(除草や家事代行など)は返礼品として、新たな事業形態創出につながる可能性があることから研究していく

・「ふるさと納税らしいということは非常に大事」と市長

・地域の課題解決をビジネスチャンスに変える「ローカルゼブラ」にも注目

 

指定管理制度は随時改善へ

・令和5年度の実績報告から収支報告を「指定管理分」と「自主事業」に分類した

・自主事業を掲載したのは震災伝承館、本吉放牧場、大曲コミュニティセンター、マザーズホームだけだった

・指定管理者制度について、市長は「施設はバラバラなのに一つの制度で当てはめること難しい。常にチェックしてその時点での最適性、公平性で適正に運用したい。随時改善していくことに尽きる」

令和5年度の主な指定管理施設の経営状況
管理施設 管理団体 収支(自主事業含む)
まち・ひと・しごと交流プラザ 気仙沼地域開発 +4,333円
パークゴルフ場 汐風倶楽部 ±0円
漁火パーク 五大実業 +1,859,05円
道の駅大谷海岸 道の駅大谷海岸 +25,157,838円
震災遺構・伝承館 運営グループ +3,394,176円
本吉放牧場 モーランド +18,312,886円

 

■不登校増加

・令和5年度の不登校といじめ・暴力報告は前年度より増加した

令和5年度の不登校状況
30日以上欠席 90日以上欠席
小学生 66人 18人
中学生 112人 59人

 

その他

・避難所運営マニュアルは健康維持や女性の視点も取り入れて見直す。8月ごろを目途に見直して市HPで公開する

・旧中井小学校の校舎は公民館の移転含めて地元と協議中。併行して企業誘致の可能性も探っている

・昨年度の海岸清掃は27団体・56回で5トンのごみを市が回収

・デジタル水産業戦略拠点事業の沿岸・養殖漁業分野において、今後の支援策を検討するために調査を実施する。県漁協組合員500人のアンケートを実施し、さらに運営委員や青年部100人からはヒアリングを予定。委託先は大学の研究室などを予定

・中学校部活動の地域スポーツクラブ活動の移行へ向けた実証事業を市体育協会に委託。8月からサッカー、野球、バレーボール、ソフトテニス、卓球、バドミントンの6種目で行う。第一段階として休日の分から取り組んでおり、全体像については検討会で協議中

・市総合計画(令和8年度まで)の改訂作業は令和7年度からスタート。市長・市議の改選期のため、あまり作り込まないようにする考え

 

 

 

主な補正予算

新庁舎建設工事

5700万円

令和9年度の完成を目指して、新庁舎の建設に着手する。本体工、電気設備、機械設備、外構工事などの総事業費は91.3億円を予定。令和6年度は造成工事の一部費用を計上した
旭が丘学園改築補助

180万円

児童養護施設の小規模化と家庭的養護を推進するため、児童棟を大舎制からユニット制へ移行して新築する。既存の2階建て施設(617㎡)は解体し、3階建て(1072㎡)にするとともに、地域交流スペースも整備する。工事費は5億6600万円で、市は令和8年度まで計3000万円を補助する予定。財源はふるさと納税を充当する
児童手当の増額

1億1966万円

国の政策によって、10月から児童手当の対象を15歳から18歳に引き上げ、所得制限を撤廃。第三子以降は3万円に増額する。年3回だった支給は年6回(偶数月)とする。ひとり親などが対象の児童扶養手当も増額される
物価高騰の低所得者支援

4億5973万円

定額減税で減税しきれない住民税非課税世帯に一律10万円(18歳以下の子ども1人当たり5万円加算)、低所得世帯へ不足額見込み額を給付する。制度が複雑なため、相談用のコールセンターと窓口を開設予定
新型コロナワクチン接種

1億6901万円

65歳以上(基礎疾患のある60歳以上)のワクチン接種経費の一部を市が負担する。秋冬に医療機関に委託。接種費用は1回当たり1万5300円で国が8300円、市が3500円、自己負担3500円とする。6割の1万4300人が接種すると想定
不妊治療支援

306万円

不妊検査と不妊治療を希望する夫婦の経済負担を軽減するため、検査費用(上限3万円)も助成対象とする。治療費は自己負担分の全額助成に加え、併用した先進医療の一部を助成(上限5万円)する。財源は県からの補助金を充てる
空き家実態調査

1098万円

空き家対策計画策定に向けて、市内全域の現地調査と台帳作成を行う。調査は建物の状況(劣化度など)も確認する。来年度に所有者の意向調査と設備状況の確認を加えて計画を策定する。すべてを活用につなげるのは難しいので、空き家になって間もないものを優先して活用を検討していく考え
道路新設改良

2億1516万円

 

国の交付金決定を受けて、市道整備計画改良系の上位3路線である津谷風越線、片浜石甲線、宿明戸線の詳細設計に入る。有害物質(PCB)が確認された今朝磯陸橋の対策工事、継続事業の小鯖鮪立線、喜久ヶ沢線にも予算配分した

 

南気仙沼BRT横断道

7050万円

南気仙沼駅付近のBRT専用道を横断する市道(延長200m×幅員8.5m)の工事と用地補償を進める
スクールサポートスタッフ配置

2487万円

全21小中学校に事業補助などのスクールサポートスタッフを9月から配置する。本年度から県の要件が緩和されて全校への配置が可能になった(昨年度は12学級以上だったため3校のみ配置)。3/4は県からの補助金のため、内示が間に合わず9月からの採用になったが、年度当初から配置できるように県へ要望している
自治組織支援

610万円

宝くじを財源に、備品を整備する波板2区に140万円、高屋敷に230万円、中井に240万円を補助
自主防災組織支援

55万円

宿地区と鶴巻2区の自主防災組織の防災資機材整備を支援する

 

 

will-beingプランを策定 (5/7の議員全体説明会)

・出生数を目標とするには抵抗がある人いるのでwill-being

・ふるさと納税の活用はすでに1億円を超えている

・実効性の高い取り組みから進めていく

・学童保育の無償化に伴う不安よりも、まずは無償化。それから定員増の対策をしたい

(最初は条件を厳しくするかもしれないが、今の負担を先送りしないことを優先した)

・若い移住者はうまくやっているが、家族連れにも伴走者が必要な時期が来る

・ベースとなる産業の強化の基本を打ち出したい

(基本は産業立市と確認したうえで、具体的な施策を設計していく)

・ペルソナの事例は福山市がよくできている

・起業支援は富谷塾の成果を調べている(起業について学ぶことが人材育成で抜けている)

・企業が人手不足を真剣に考えれば、両立支援が必要だと気付き、好循環を生み出す

 

 

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