条南中の存続を求める請願に反対した理由【気仙沼市議会9月定例会報告②】

気仙沼市議会9月定例会に提出された「条南中学校の存続を求める請願」。来年4月に決まっている気仙沼中学校との統合を白紙にすることを求め、署名した434人が連名で請願しました。

市議会への請願は、要望・陳情と異なり、受理した後に「採択」か「不採択」かを議決しなければなりません。それだけ重みがあるため、紹介議員が必要になります。今回は秋山善治郎議員でした。請願書は市議会ホームページで公表されています。

■「急ぐ必要ない」と434人が連名で請願

条南中と気仙沼中との統合は、今年5月9日の臨時議会で決定しました(詳しくは5月11日のブログをご覧ください)。このときは地域との合意形成が不十分だと判断して私は反対しましたが、反対5人、賛成18人で可決されています。

この決定を受けて、不安や不満を抱えた人たちが中心になって8月に署名を集めたそうです。すでに統合が決まっているので、請願を受理しないこともできたのですが、434人の署名を尊重して審議することになりました。当然、一部の議員からは「今さら白紙にできないのだから審議は必要ない」という意見もありました。

請願書に記された請願理由には、「PTAによる保護者アンケートでは7割が反対だった」「通学時の安全に不安がある」「市内で生徒数が2番目に多いのに急いで統合する必要はない」「反対の署名を提出した子どもたちの意見を尊重すべきだ」などです。

※住民登録をもとにした生徒数の予測(市教委まとめ)

■来年4月統合へすでに準備は本格化

審査を担当したのは、私も所属する総務教育常任委員会(議員8人)。請願代表者から説明したいという希望がなかったので、紹介議員から説明を聞いた後、市教育委員会からも統合の準備状況などを確認しました。

請願の理由に挙げられていることは、5月の臨時議会ですでに議論した内容だったため、委員からは「生徒の署名は委員会でも取り上げて議論した」という指摘がありました。

私もこの委員と同じ思いです。請願に統合を決めた際に気付けなかった新たな事実があれば、再び議論することはできるのですが、すでに統合準備会を設置して前向きな気持ちで準備を進めようとしている中で、請願に賛成することはできませんでした。

市教育委員会には統合を延期することになった場合の影響も念のため確認したところ、「統合を前向きにとらえている子どももいる。部活動の合同練習を通して一緒のチームになれることを楽しみにしている子どももいる。条南中では最後の行事として壁画を描く準備もしている。教員人事も動き出している。来年度の修学旅行の予約も始まっていて、各行事に影響する」という説明がありました。

■不採択でも請願の効果は大きく

結果として、委員会としては全員一致で「不採択すべきもの」となり、議員全員による本会議でも紹介議員以外に賛成する人はいなかったため、請願は不採択となりました。臨時議会で統合に反対した議員(私を含む)も、紹介議員を除いて不採択を選びました。さらなる混乱を心配したからだと思います。

請願は不採択になりましたが、大きな意味はあったと思います。この請願と署名によって、「地域と保護者の理解を得た」としてきた教育委員会の進め方に問題があったことが浮き彫りになっただけでなく、統合に向けて生徒や保護者に不安や疑問が残っていることも証明されたからです。

「不安払拭を条件に統合を認めたのに約束が守られていない」「もっと情報提供が必要だ」請願の審査では、議員から厳しい指摘が相次ぎました。その結果、教育部長が「請願を重く受け止めています。地域への説明不足もあったので、統合準備会の皆さんと相談して急いで対応を考えたい」と不安解消を最優先に取り組む決意を語りました。

具体的には、スムーズな統合へ向けて来年度の教員配置が配慮されるように県教委と調整するほか、統合準備の様子を伝えるお便り発行などの情報発信を強化にも取り組みます。また、請願は市教育委員会にも提出されているため、回答は請願者に会って直接手渡す機会を設定し、丁寧な説明に努めるそうです。

 


※9月定例会では、条南中学校の跡地活用(市は民間活用を前提に地域と意見交換を年内にスタート)、統合後の通学方法(循環バスを活用した登下校)についても議論がありました。

 

 

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