新規高卒の地元就職激減【気仙沼市議会報告②】

気仙沼市議会2月定例会の報告第2弾は、一般質問の続きです。高校を今年卒業する若者の地元就職率について議論した成果を報告します。

■今春卒業526人のうち地元就職希望は38人だけ

かつて少子化問題は、子どもの減少による保育所や学校の統廃合が中心でしたが、ついに働き手不足が深刻化してきました。ハローワーク気仙沼の職業紹介状況(令和6年1月末)によると、今春の新規高卒者526人のうち就職希望者は130人で、管内(気仙沼市と南三陸町)の希望は38人だけでした。平成29年は地元だけでも110人だったため、激減していることが分かります。

 

これからは地元の高校から進路情報を入手して分析していくこととしており、データの共有について市に求めました。

■市立病院附属看護専門学校は定員割れ

高校卒業者の減少は、看護専門学校を直撃しています。

医師会附属は准看に続いて高看も今年度末で閉校しますが、市立病院附属看護専門学校は本年度から定員(40人)割れとなり、現在行われている新年度学生募集の状況からすると、令和6年度はさらに厳しい見通しです。

新たに公募推薦制度を導入し、試験は国語と数学と小論文(一般入試はプラス英語)だけとすることで社会人が挑戦しやすくなりました。

※県教委がまとめた気仙沼・本吉地区の中学校卒業者数の予測です。厳しい状況が続きます

 

※一般質問の詳細は下記の通りです。残り時間が少なく、再質問があまりできませんでしたので、今後も継続して取り上げます。


3. 高校卒業者の減少と看護学校について                                      

学校基本調査によると、市内の高校卒業者数は平成22年で855人でしたが、少子化によって令和4年は523人まで減少しました。そこで労働力不足への対応と、特に影響を大きく受けている看護学校について質問します。

 

質問① ハローワーク気仙沼の発表(令和5年12月末現在)によると、令和6年3月に卒業予定で管内に就職を希望している高校生は36人で、421人もある求人数に対応できていない状況にあります。ここ5年の管内就職希望数は52~87人で推移しており、今年は特に急激な減少となりました。地元就職者が多い本吉響高校は生徒数の減少が著しく、さらなる影響が心配されます。この傾向について市はどのよう捉えていますか。今後はさらに減少する見込みですが、その影響について調査分析する考えと、令和5年6月の一般質問で答弁した高校卒業者の進路を把握する方法の検討結果についても伺います。

 

菅原市長 新規高校卒業者の地元就職については、年によって多少の増減はあるものの、生徒数の減少と大学進学率の上昇等を背景として、総じて減少傾向にあり、地域産業の担い手確保に影響を及ぼしております。

特に本年度は、仙台市周辺など管外への就職を希望する生徒の割合が例年よりも多く、その要因について、ハローワーク気仙沼は、市内での復興需要の収束やその後のコロナ禍を経て、賃金や休暇等の雇用条件の面でより良い地域を希望する傾向にあるのではないか、と話しております。

市内企業の賃金、労働条件の改善については、「けせんぬま未来人口会議」においても参加者から意見が出されているところであり、地元企業の人材確保のためには、これらの改善による企業の魅力向上が必要と認識しているところであります。

未来人口会議のアウトプットとして、企業の生産性向上と付加価値の創出に加え、就労環境などの改善に向けた施策を検討し実行していくとともに、地元企業を高校生に知ってもらうためにも、学びの産官学コンソーシアムによるジョブ体験ウィーク等の事業や、気仙沼市地域雇用創造協議会における企業ガイドブックの作成、高校への出前講座等を継続することにより、地元就職を志向する高校生が増加するよう、取り組んでまいります。

また、令和5年6月市議会一般質問で答弁しました「高校卒業者の進路を把握する方法」についてでありますが、気仙沼・本吉地区に所在する県立高校及び私立高校から、各年度卒業生徒の進路先の状況が集約でき次第、情報提供いただくよう進めております。

 

今川 質問時間が少なくなってきたので要点を絞って再質問します。心配なのは、管内希望の36人のうち男性が13人しかいないことです。平成29年には管内希望110人のうち男性は66人でした。それに対して求人数は変わらず400人台をキープしています。特にUターン政策がますます重要になっており、こうしたデータをオープンにして話し合う場が必要だと思います。

 

平田産業戦略課長 質問を受け、我々もデータ的なところはハローワークとか高校に聞き取りを行って把握してきました。大学の進学率が高くなって人口減少しており、就職を希望する人が減っていて、その中で特に懸念されるのが、質問にありました通り、市内の就職ではなく市外の、ハローワークでいえば管外ということになりますけど、そちらの割合が非常に高くなっているところについては、市内での就職を何とかしてもらうように、企業の魅力向上が必要になってくると思います。未来人口会議からのアウトプットをもとにしたアクションプランでは、雇用確保とか就労環境改善で施策を確実に実行していきたいと考えています。それらの数字的なところについては、今のところ表立って調査するということはありませんが、日々の業務において商工会議所や商工会またはハローワークとか関係団体とも連携しながら、数字を押さえていきたいと思います。そのうえでアウトプットの部分にもかかってくると思いますが、そういった数字をもとに話し合いの場も必要になってくる可能性もありますので、その辺は進めながら検討していきたいと考えています。

 

菅原市長 人数の問題は当然大きいですけど、実業界の皆さんがたぶん怖がっているというか、危機感を持っているのは半導体工場の北上、大衡村への進出だと思います。気仙沼から直接就職することでなくても関連企業とか、それによって潤う産業に人が引っ張られると、現在、上場企業を中心に、2万円とか3万円だというベースアップが確保されています。そういうものに対応できる企業は、募集しても人が来るかもしれないけど、そこに対応できないとなかなか難しいことになっていくことを、3年に1回とか人を採らないという事業所も含めて理解し、我々もサポートしていく必要があると思っています。

 

質問② 新規高卒者の急激な減少は、市内の看護学校の生徒減少に直結しています。気仙沼市医師会附属高等看護学校が令和5年度末で閉校するに当たり、市立病院附属看護専門学校の役割と生徒の確保策について、そして今後の看護師不足と確保策についてどのように検討していますか。医師会が担っていた既卒者の受け皿機能についても市の今後の対応を伺います。

 

菅原市長 市立病院附属看護専門学校の役割と生徒の確保策などについてでありますが、新規高卒者の減少により、本校の入学希望者も減少しており、令和5年度の入学生は、初めて定員割れとなりました。この傾向は県内においても同様で、令和5年度の県内看護師養成校7校中、5校が定員割れの状況となっております。

本校では、これまで気仙沼・南三陸地域や隣接する岩手県の高校にも指定校推薦枠を確保しているほか、令和5年度からは、新たに公募推薦枠を設けております。また、受験機会の拡大を目指し、時期をずらした2回の入学試験を実施しているほか、複数回のオープンキャンパスの実施、県看護協会が中高生を対象として行う「ふれあい看護体験」に職員を派遣するなど、看護師を目指す学生の掘り起こしに努めているところであります。

今般、医師会高看が閉校することにより、本校が市域で唯一の看護師養成所となることから、「地域で必要な看護師は地域で育てる」との考えのもと、地域の医療・介護の担い手となる看護師を多く育ててきた、医師会准看の専任教員を2名採用し、そのマインドを伝播することで、本校の役割を再確認するとともに、担い手づくりの強化に努めているところです。

次に、今後の看護師確保策については、定期募集に加え、随時募集を行うとともに、市病院事業で一定期間就業することで返還が免除される奨学金の貸与や、他の奨学金借用者に対する返還支援制度を設けております。また、看護系大学や看護師養成所へのリクルート活動や、大手求人情報サイトへの参加、看護学生向けのインターンシップの受入れ、地域の医療人材不足に取り組むNPO法人や県外の医療系専門学校との連携などにより、看護師や助産師の確保に努めているところであります。

次に、医師会が担ってきた既卒者の受入れについては、医師会高看では、入校条件に准看護師資格を有する必要がありましたが、本校では、新卒・既卒に関係なく、入学試験を基に合否判定を行っております。現在、本校には10名の既卒者が在席しており、再就職のため、短期間で資格を取得し、看護師を目指す方にも広く門戸を開いております。

 

今川 本年度から公募推薦を始めたということで、社会人が受験しやすくなったと思います。もっと宣伝しませんか。

 

畠山経営管理部経営企画課長 高校へアピールし、ホームページ上でもいろいろ公表していきたいと思います。

 

今川 高校だけでなく、社会人なので広く宣伝してください。医師会に看護学校運営支援で出していた450万円の補助がなくなったので、その分を市立病院の看護学校魅力化に充ててほしいと思います。時間が無くなりましたのでまた次の機会に議論をしたいと思います。質問を終わります。

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