新市役所の実施設計固まる。総事業費は119億円

気仙沼市は新市役所の実施設計を固め、2027(令和9)年度の移転へ向けた新たなスケジュールを公表しました。物価や人件費の上昇に伴い、総事業費を119.4億円に上方修正しました。このうち新庁舎の建設工事費は基本計画で49.5億円を想定していましたが、1.6倍になりました。

■4階建て、広い駐車場も

新庁舎は2021年7月に基本計画(詳細はブログへ)がまとまり、久米設計・国際航業JVが基本設計に引き続き実施設計を受託しました。実施設計は6月28日に完了予定で、最終的な図面が6月3日の市議会新庁舎建設調査特別委員会に示されました。

地上4階、地下1階の鉄骨造で延床面積は9222㎡。地下1階(市道と同じ高さ)にまちかどギャラリー、地上1階に市民ホールと執務室、2~3階に執務室や会議室、4階に議場などを配置します。駐車場は計173台分(来庁者116台、公用車57台)を用意します。

※旧市立病院の解体がほぼ終わった移転先

■工期は4カ月延長して2027年度前半まで

旧市立病院の解体工事はほぼ完了し、あとは造成工事とともに一部の基礎などを撤去します。これからのスケジュールは、市議会6月定例会に予算案を提案し、建設工事の入札に入ります。工事は27カ月の想定でしたが、労働者の休日確保のため31カ月に変更したことで、完成は順調に進んでも2027年夏になります。移転は2027年末になる見込みです。

入札不調を防ぐため、最新の規定や工事費などを適用するとともに、関連工事を含めて一括発注するか分離発注にするのか、共同企業体(JV)方式について地元企業を最初から含めることを有利とさせるのか後付けでもよくするのかなどを検討しています。工事は複数年度にまたがるので物価変動を反映させることも契約に盛り込まれる予定です。

不安材料は、同時期に着工する大衡村の半導体工場の影響です。8000億円規模の大規模投資となるため、近隣の働き手の確保や建設費などへどのような影響が出るか分からないからです。

■総事業費は約20億円増

総事業費は基本計画で83.9億円、基本設計で99.8億円と想定していましたが、119.4億円に増えました。要因は物価上昇などで、詳細は下表をご覧ください。

■財源は合併債。市の実質負担は1.5億円×36年

新庁舎整備に係る総事業費119.4億円のうち、昨年度まで18.8億円は予算措置済みです。残る100.6億円の財源は、市町合併の特典である合併特例債(充当率95%。元利償還金の70%を国が地方交付税へ算入)の残額40.6億円すべて充当し、さらに合併推進債(充当率90%。交付税算入40%)を充てます。

最終的には119.4億円のうち、市債は102.1億円を想定。利率は1.6%で元利均等30年償還とした場合、交付税措置を除いた市の実質的な負担は55.3億円となります。これを償還期間の36年で考えると、1年あたり1.5億円の実質負担となりますが、現在も新庁舎建設のために毎年1億円ずつ積み立てていることから、市は「通常の財政運営で不可能ではない」と説明しています。

なお、100億円を超す市営住宅基金の運用を本格的に進め、「金利が上がった分は金利で稼ぐ」と菅原市長。市営住宅基金への積み立てルールも見直すことで、一般財政へのプラス効果を考えていくそうです。

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