どうする?災害公営住宅の家賃減額の延長【気仙沼市議会一般質問報告】

気仙沼市議会12月定例会の報告第2弾は、一般質問です。

今回は、①市が設置予定の市民会議②災害公営住宅の家賃減免延長の検討方法③気仙沼観光推進機構のこれから、を取り上げました。

【人口減少に向き合った対応も】

人口減少対策と持続可能な社会をテーマにした市民会議は、それぞれ100人規模で来年3月にスタートする予定です。人口減少は避けられない状況なので、改善・緩和策だけでなく、ちゃんと向き合った対応もしていこうと提案しました。

【家賃減免延長は公平に判断を】

災害公営住宅に入居する被災者(政令月収8万円以下)を対象にした家賃減免制度は、最大70%の値引きをしています。国の制度だと入居から5年過ぎると、さらに5年かけて段階的に本来の家賃に戻るのですが、気仙沼市は最初の5年を10年に独自で延長しました。その独自延長が、早く入居したところでと令和7年2月から切れ始めるので、再度延長するかどうか市が検討しています。政令月収15万8千円を上回る収入超過者への緩和措置も同じように5年を10年に独自延長しています。詳しくは2018年2月のブログをご覧ください。

心情的には延長したいところですが、家賃引き上げや収入値超過については、再建方法を選択する際の前提条件だったため、将来負担を考えてマイホーム再建を選択した人もいます。既存の市営住宅に入居した被災者も減免の対象外となっており、公平性についてしっかり検討しなければなりません。公営住宅が市民を抱え込んで、民業(民間アパート)を圧迫することもできないので、総合的な判断も必要だということを提起しました。

 

【気仙沼観光推進機構の検証を】

気仙沼観光推進機構は設立から5年余りが過ぎ、成果が出いる一方で、その予算規模も1億円超と大きくなっているので、組織の役割や今後について一度検証するように求めました。

スイスのツェルマット視察から始まった取り組みですが、当初の構想通りにはいっていないところもあり、気仙沼版DMOとしてのオリジナル性が求められている気がします。恒久的な予算規模が財源についても悩ましいですね。


2022.12.12  今川悟の一般質問

 

1. 二つの市民会議で取り組むテーマについて                                

本市が令和5年3月の設置を目指す(仮称)人口減少対策市民会議と(仮称)持続可能な社会推進市民会議について、重点項目やテーマ案が市政懇談会で示されました。その解決策が人口流出や出生数減少の改善に偏っている印象を受けました。急激な人口減少が避けられない中、「改善」だけでなく、予想される課題と向き合った「対応」が不可欠です。そこで、市民会議の役割に期待して次の2点について質問します。

質問① 市民会議を一本化しなかった理由、市の役割、最新の準備状況を伺います。

菅原市長 市民会議を一本化しなかった理由についてですが、二つのテーマは関係する課題やその解決策において交じり合い、相互に影響する部分もあると思います。しかしながら、これは市の施策全般においても同じことが言え、そのため、市の場合においては総合計画が必要とされ一つにまとめられています。

また、この二つのテーマにおいても幾つかの中テーマに分けて議論することが必要と想定をしており、二つを一つにすれば中テーマの数は増え、幅は広まり、会議の焦点が不鮮明になることも心配されます。さらに、会議を一本化しても、その中でまずは大きく二つに分けて議論することにもなりかねないとも考えています。

そのような予想の中で、本市としては行政・経済・暮らしに、より直接的に影響の出ている「人口減少問題」と、現在にも関わるものの少しロングランでより理念的な要素を含む「持続可能な社会」については入口としては分け、よりメリハリの利いた議論やアウトプットを出すことが現状に鑑み必要と判断しているものであります。

また、市の役割としては、多くの市民に参加を呼びかけること、それぞれの会議において、現状について適切かつ十分な情報を提供していくこと、課題をわかりやすく説明していくこと、行政としての考えと可能な施策を示し、企業や市民にもそれぞれにできる活動を促すこと、会議の経過を発信すること、そしてそれらを取りまとめ、発表し、共有を全市民に広げ、市全体のムーブメントに繋げることと考えております。

現在の準備状況については、両会議とも取り巻く環境が日々変化し、勉強と検討と見直しが続いており、並行して会議全体の構成やスケジュール、立ち上げのための準備会、アドバイザーや講演者などについても調整を図っており、年度内のキックオフが難しいことも想定されます。遅くとも来年前半にはスタートしたいと考えており、引き続き丁寧に準備してまいります。開催概要は固まり次第、市広報やホームページなどで発表し、市民への参加を呼びかけてまいります。

 

質問② 市民会議のテーマに、「人口減少に対応した地域づくり」を加えることについて市の考えを伺います

菅原市長 市民会議のテーマに、「人口減少対策に対応した地域づくり」を加えることについてですが、(仮称)人口減少対策市民会議は、本市の人口減少の緩和が出発点であることから、現時点で想定しているテーマは、「雇用の創出」、「雇用環境の改善」、「居住環境の改善」、「子育て環境の改善」としております。

提案いただきました「人口減少対策に対応した地域づくり」については、当市民会議でも議論の中で話題になることと思っています。一方で、関連はしているもののフェーズの違うテーマであることも確かであり、日常的に向き合うテーマとして、様々な場での議論に委ねるか、どこかで改めて総合的に取り上げる場を作り、市民との共有を一層図って、スムーズな施策展開と地域づくりにつなげていくか継続して意識してまいりたいと考えています。

今川 まだ準備段階のようなので、まず私の思いを伝えました。これからは準備会の推移を見たいと思いますが、市の業務量がすごく多くなっている中で二つの会議の運営は大変だと思います。会議や書類仕事であまり時間を費やさず、効率的に進めて頂きたいです。

今回議論したかったのは人口減少に対応した地域づくりです。市議会で設置している人口減少対策調査特別委員会でも市長からお話しがあり、減少に対する対応というのは行政にほぼ責任があり、それを議論するためのベースは市民会議でも認識してもらうけれど、市がしっかりやっていくのだということでした。ただ、そうは言っても、この部分がすごく重要になってくると思いますし、市民生活や経済にも影響してくると思います。準備の中で、人口減少に対する具体的な対応について、テーマの候補に出ていますか。

菅原市長 候補にはまだ出ていません。いろいろな市民の方から話題になることが聞こえてくるのですが、やはり十分に情報を出し切れていないと感じます。例えば、どこかで説明しなさいといっても、持っていった資料では実際はもうこれは世界的に常識だみたいなこともあります。旦那さんの家庭支援と、第2子、第3子の関係だとか、そういうことは実は全然共有されてないし、市内の状況も共有されていないので、そこからしっかり始めないといけないと思っています。

当然ですが、人口に係る環境だけでなくて、例えば本市の公共施設の長寿命化計画だとか、新庁舎のサイズの問題とか、そういうことにも関わってきます。水道もまさしくその通りです。そういう話は日常的にしているし、そのことだけを取り上げていくと、もっと行政に関わることだと施設とか将来の市民サービスとかになりますが、日本全体で考えれば、人口減少は経済そのものです。したがって出てくる答えは、例えば65歳の人の平均寿命は30年前に11年しかなかったけど今は18年あるということもあります。健康年齢もそうです。その方たちにどう働いてもらうかが大事だとか、そういう範囲に広がってくると思うので、仕切りが難しいなとも実は感じています。この問題は当然ここをやらないといけないし、行政は当然やらなきゃならない分野があります。社会の方でもぜひ考えてほしいことがありますので、どのような形で扱っていくのか、みんなで考えて行動に移すかということは、この市民会議の結果ということになるのかなと思いまして、その議論が交わせるだけでも意味があると思っています。

今川 課題を共有する場ということが出発点ということですので見守りたいと思います。心配なのは生産年齢が18年後には今の半分になっていることで、行政のサイズという問題よりも経済のサイズの問題になってくるのかなということだと思います。市民会議立ち上げに向けたこれが一回目の議論ですので、これで終わります。

 

2. 災害公営住宅の家賃減免制度の延長について                            

災害公営住宅に入居する被災者を対象にした家賃減免制度は、市独自に5年延長していますが、令和7年2月に入居10年となる世帯から特例措置が段階的に終了します。収入超過者への特例を含め、市は再延長の可否について「遅くても令和5年度中には結論を出したい」との方針を示していることから、次の4点について質問します。

質問① 既存の公営住宅へ入居したり、防災集団移転や個別移転でマイホームを再建したりした被災者、被災に関わらない低所得の市営住宅の入居者などとの公平性についても考慮しなければなりませんが、現在の検討状況と課題、判断のポイント、今後のスケジュールと手続きについて伺います。

菅原市長 検討状況についてでありますが、現在の入居者の生活実態や家賃負担能力、他の再建方法を選択された方との公平性などを考慮し、検討しております。先ほどもご指摘ありました公平性は、非常に難しい概念だなと思っています。防集等の話も出たと思うのですけども、その方たちは資産、借金もあるかもしれませんが資産もあるということとですね、それを持てなかった人をどう公平に計算するのだということはすごく難しいと思っています。考慮はしたいと思いますが、やはり生活実態や負担能力というのがやはり比率としては大きく考えざるを得ないと今のところ思っています。

現在、昨年度に作成した財政シミュレーションの見直し作業を行っており、収支状況により基金残高が今後どのように推移するか本年度末までに作成し、減免の取り扱いについても併せて検討し、方針を固め、できるだけ来年度の前半には明らかにしていきたいと考えております。

 

質問② 平成30年に延長を決めた際には、復興事業で需要が高まった市内の住宅事情を考慮しましたが、今回の検討段階では住宅事情や民間賃貸住宅への影響についてどのように考慮するのか伺います。

菅原市長 住宅事情や民間賃貸住宅への影響については、市内の不動産会社に、管理しているアパートの入居率の推移についてお伺いしたところ、5年前の平成30年の入居率は100%に近かったのに対し、復興事業の終了に伴い、本年12月現在の入居率は約75%程度とのことです。

一方で、災害公営住宅の減免対象者を想定した場合、減免がなくなった場合でも、一般の民間賃貸価格より、本来家賃は低い金額で設定されており、また、減免をなくす場合においても段階的に行っていくことになりますので、民間との関係については、影響は少ないものと捉えております。まだ検討中ですが、単純に5年延ばして5年の階段をさらに付けるというようなイメージもあるだろうし、10年の階段って言うようなことを選択した自治体もあると思うので、バリエーションはいくつもあるのかなと思っています。

 

質問③ 本来家賃から7割の減免を受けている政令月収0円の世帯について、その生活状況はどのように把握していますか。また、困窮世帯について、一般の市営住宅の減免制度で救済する可能性と制度上の課題について伺います。

菅原市長 政令月収0円の世帯についてでありますが、本年4月1日の被災入居世帯は1621世帯となっており、そのうち政令月収0円の世帯は684世帯で、被災入居世帯の約4割を占めております。また、政令月収8万円未満の減免対象世帯は451世帯で、合わせると1135世帯となり、約7割の世帯が減免対象となっております。

生活状況については、毎年7月に家賃算定のために提出される収入申告において、世帯収入及び世帯構成を把握しております。政令月収8万円未満の減免対象世帯の平均政令月収は令和元年で1万6733円、令和4年度で1万4796円となり、減少傾向で推移しております。

一般公営住宅の入居世帯に係る減免制度については、市営住宅条例・規則では、減免を適用する場合において、金額や減免率が規定されておらず、また、これまで適用した例はなく、被災者については現在の減免制度の中で対応していくことが現実的と捉えております。

 

質問④ 災害公営住宅の払下げに向けた手続きが進められていますが、その最終決定を前に家賃低減化と収入超過者への対応について丁寧に説明する必要があると考えますので、市の考えを伺います。

菅原市長 災害公営住宅の譲渡希望者への家賃低減化と収入超過者への対応についての説明でありますが、災害公営住宅の譲渡を希望された方に対しては、購入の際に注意点や家賃低減化制度などについて個別に説明しております。

今川 最初に家賃減免から議論します。既存の市営住宅や県営住宅に入った方がいると思いましたので、5年前に独自で延長するという議論の時に確認したら、「把握できていないし減免の対象にはならない」とのことでした。その上で当時の課長が「既存の市営住宅入居者の分は状況を分析したうえで別途検討する」と答弁しています。その後、どのように検討したのですか。

小野寺住宅課長 災害公営住宅ができる前に既存の市営住宅に入居した被災者を調べまして、12月1日現在で入居している方は83人でした。そのうち第一段階の8万円の方が67人、その他の方が16人ですので、約80%が第一段階と捉えています。その中で分析したところ、ほとんどの方が今の段階より安い何千円という金額の既存住宅に入っています。

ただし、三日町とか面瀬の住宅は1万4000円から2万円のところで推移している状況で、かなり少ない人数だと捉えています。その1万から2万円の幅をどう見るかとなれば、それはもう一段階のいま減額されている方の幅の間で、収まっているだろうとのことなので、低額に抑えられている状況にあります。その他の収入超過の世帯は1世帯ありました。ただ、その方の家賃は住宅が古いタイプですので、家賃も収入超過世帯の減免後の金額よりはかなり低く設定されています。本来家賃並み、それ以下の金額に収まっている状況です。

今川 公平性がとても難しいとおっしゃった通り、いろいろなタイプがあります。既存の市営住宅の中にも家賃が安い住宅もあるし、新しい住宅もあり、どこかで線を引くことは難しいと思います。そういうことをしっかり検討してほしいということです。数字は出してもらったので、今後はそういった方々にも光を当ててください。

マイホームを再建した人は資産になっているということですが、住宅ローンの返済は5年据え置いて始まっています。返済が順調に進んでいるかどうかを市として確認する仕組みはありますか。

小野寺住宅課長 自力再建された方について、住宅課では数字を追いかけることが出来ません。低減策がどうなっているかということも把握できていない状況です。

今川 金融機関等と意見交換する機会もあると思うので、状況を確認して頂き、公平性について判断してください。住宅ローンを返済している方が大変だという中で、公営住宅の支援だけを考えるというのも公平性というところで難しいと私は感じています。

市営住宅の既存の減免制度は金額とかの規定がなかったということですが、全国の事例を見ますと、生活保護に準ずる考え方かと思います。例えば2人世帯だと年金とか非課税分を含めて月6万から7万円くらいの収入の方が対象になりますが、これを災害公営住宅の政令月収ゼロ円の方に当てはめるのは無理があるということですか。

小野寺住宅課長 その通りの回答になるかもしれませんが、既存の住宅で減免実績がないという背景は、家賃そのものが低いからですし、8万円台の方々についても家賃がかなり低減されているという状況もあります。その中で、生活保護との境界層の方についても、家賃だけでなく税とか料とかお金を収めるところで生活保護の水準になると捉えています。災害公営住宅に入っている方については今の減免制度があるので、そこに当てはめたとしても何千円単位の金額に低減されている状況であり、一般の制度を使った減免は想定しにくいと捉えています。

今川 災害公営住宅とは言っていますが、市営住宅には被災者だけでなく低収入の方々が一般公募で入ってきますので、被災者と低所得者を線引きして、被災者だけ減免を続けますというのも難しいと思っています。既存の減免制度を活かせれば、そんな議論もできたと思っていたのですが、かなりハードルが高いということで、被災者と一般の低所得者とどう違うのかということを説明がつかないといけないと思うので、制度の延長を決める際にはしっかり検討してください。

収入超過者は前回議論した時に、自力再建との公平性について、マイホーム再建はがけ近を使うと800万円ほどの支援が受けられたので、収入超過者の5年延長でだいたい同じくらいの支援額になると説明がありました。この説明からすると、これ以上の延長は難しいのではありませんか。

小野寺住宅課長 5年のスパンの中で考えると、トントンかカツカツのような状況での推移かなとこちらでも捉えている状況ですので、高額所得とか収入超過と公平性の差についてはそんなにないのかなと捉えています。

今川 平成30年2月9日の震災特別委員会で今のような議論がありましたので、もう一度確認してください。このときは、5年延長した場合は収入超過者で約7億円、低減化で約14.5億円の家賃収入が減るという説明がありましたが、ここまでのところシミュレーション通りですか、差が出ていますか。

小野寺住宅課長 減免額はシミュレーションよりはちょっと高く推移しています。さらに5年延長した場合は低所得世帯の減免で年間1億6000万円くらい、収入超過者で年間1億6000万円、合わせて3億2000万円の想定ですので、5年間で16億円の負担だと試算しています。

今川 家賃低減化を延長した場合は民間アパートにほとんど影響がないということは、それはそうだと思います。収入超過者は15万とか16万円の家賃を示され、民間に受け皿がなければ、市外に出ていくことも想定されるので、慎重に進めなければならないと思います。民間アパート、不動産会社の方と話したときに、「延長を決める前に我々の意見も聞いてほしい」と求められました。意見交換する場を用意する考えはありませんか。

小野寺住宅課長 今回も何社から電話で聞き取りしたところ、民間賃貸の入居率は軒並み70~75%ということで、実は機会を設けたいと思っています。組合とか協議会とかがあるかどうかも確認しながら、模索していきたいと思います。

菅原市長 非常にデリケートな問題になってしまうと思います。というのは、人口減少対策の市民会議で出ると、本市の賃貸住宅の家賃をどう考えるのかは一つの議論になると思います。そのことはのけておいて、このことだけで話すということもできないと思っています。それと、賃貸住宅を経営されている皆さんが何らかの資料を持って、数字的な開示ができるかというと、たぶんできないと思います。そういう中でどこまで話せるかってことはあると思いますが、まさしく当該業界ですから、今回も取材をしましたけど、当然、そういう意見があるのであれば我々はこう考えてこうせざるを得ないという話はしていくことになると思います。

きょういろいろ話を頂きましたけど、結果的に常に選択肢は住民側にない形ではなくて、ある形で推移しているので、結果的に一部の例外は起こったとしても経済的な合理性の中で動かれています。それは経済的だけではなくて、スピード感の問題とかです。そういうようなことがある程度わかったと思いました。ただ、どうしても不利益を被っていると思われる方については、こちらもできるアドバイスがあるかもしれないので、選択肢として実はこういうのがあったよと話ができるかもしれませんので、そういうことはきめ細かく対応していきたいと思います。

今川 市長の言う通り、災害公営住宅の減免のことだけでなく、経済とか、人口流出、移住定住も含めて総合的に俯瞰した検討が大事です。特に次の5年は前回と全然状況が違いますので、国からの補助金とかいろいろなことも考えて、そっちに財源を使うなら、例えば民間アパートへの支援とか、防災集団移転や個別移転した世帯への支援もセットにすることも考えてください。来年度前半ということですが、どのあたりでの発表になりますか。

菅原市長 早ければ早いほどいいと思いますが、主要なというか件数を持っているところの話も出揃ってくると思うので、6月議会までにはというイメージでやっていきたいと思います。非常に難しい問題だと思います。実は財政シミュレーションを一旦やってみたのですが、思ったよりお金が無くなそうです。それを見たときに入居者の推移を多く見積もりすぎていると思ったので、空き部屋なしでピッタリ入るということは当然できないので、少しずつ多めでやっていくしかないないのですが、そこを調整してどこまでできるかです。ここは大事なところで、この財政シミュレーションは耐用年数まで全部持ち続ければ大赤字になるということを一度示したと思います。それをテコに国と掛け合ったけど、国はそんなことはない、使わなくなったら壊すのではないのかと言われて、そうですねと矛を収めた経緯があります。ということは、我々が持っている2087戸の公営住宅は50年も70年も先まで持ち続けるのではないというメッセージも財政シミュレーションの時に出して、それで民間賃貸住宅の経営者の方々にも理解した上で、いろいろ判断いただくという格好だと思っています。

今川 私も延長するのがいいか、延長しない方がいいのかまだ判断できていません。やはり7000円くらいの家賃の方が2万何千円に上がるというのはすごく大変なことだし、収入はどんどん減っているわけですから、ある程度の支援は何かしら考えなければ思いながらも、全体の公平性も考えなければなりません。制度が出来上がったときにきょう伺ったことを再度確認しますので、しっかり説明できるような検討をしてください。

 

3. 気仙沼観光推進機構のこれからについて                                 

設立から5年余りが過ぎた気仙沼観光推進機構、そして気仙沼版DMOは、観光で稼げる地域経営と地域経済の循環拡大を目指した先進事例として高い評価を受けています。一方で、復興基金に頼っていた財源は、一般財源や期限付きの地方創生推進交付金に移行しており、継続可能な仕組みづくり、市民の理解がより求められています。その議論の一助とするため、次の3点について質問します

 

質問① 観光推進機構について、令和3年2月定例会一般会計予算審査特別委員会の答弁で、「観光課の仕事をなるべく外に出すため設置したが、まだ過渡期であり、観光課でも徹底されていない」との状況が説明されました。その後、目的は徹底・共有されましたか。過渡期はまだ続いていますか。観光課の職員数は震災前より増えていますが、機構と観光課の今後と最終形について市の考えを伺います

菅原市長 平成29年の同機構設立以来、関係団体間でのモレ・ダブりの解消と適切な役割分担をミッションに掲げ、予算を観光課の直接経費から観光推進機構補助金に付け替えるなど、役割と予算をセットにして外出しをしてきたところであり、一定の整理ができつつあるものと捉えてはおります。

しかしながら、一方で取り組みの数が増加し、それぞれにきめ細やかな対応を求められていることから、観光課、機構双方がフル回転の状況にあります。また、観光商品開発やクルーカードなど、改善の余地がある事業も多く、より高い事業成果を求めるため、今しばらく伴走が必要であるとも考えております。

目指すべき将来の形としては、市が担うべき公共施設の整備や公金の管理、政策調整、行政連携等に係る業務を除いて原則として外出しすることであり、実現に向け事業成果の向上と同機構構成団体の機能強化に取り組んでまいります。

 

質問② 観光推進機構への市からの補助金は令和4年度で約1億1千万円ですが、財源の一部となっている地方創生推進交付金には期限があります。現計画は令和5年度までの3カ年ですが、人件費を丸ごと拠出している事業もあり、その先に備えた恒久的な財源の在り方についてどのように検討していますか。市民の理解を得て、観光関係者の意欲を高めるためにも、観光推進機構の在り方について中・長期ビジョンを策定する考えについて伺います

菅原市長 現在の同機構の財源は、クルーカードの利用額の1%分とポイント失効益や観光商品の販売収入があるものの、その大部分は本市からの補助金であり、地方創生推進交付金の期限後の財源確保が課題となっております。

一方で、本市観光課の役割を限定し、外出しした業務を担い、公共性を持って活動をする組織であり、将来ともに本市の負担は当然でありますが、補助金比率を下げるため、ふるさと支援寄附金やクルーカード事業の拡大、旅行商品造成、有料ガイドやグッズの販売などによる多様な財源確保に取り組んでもらっているところであります。併せて、自主財源比率の高い釜石や和歌山県田辺市熊野などの他地域DMOの事例の研究も始めております。

なお、同機構のあり方については、本市の総合計画に位置付けられているところであり、一方で、取り組みを増やしつつ走りながら様々な変化に対応し、未知の領域に挑戦していることから、今の段階で個別に中・長期ビジョンを策定することは困難で、残念ながら今のところ困難であると考えております。

 

質問③ 本市の観光費(当初予算)は令和4年度で約3億8千万円と平成23年度当初に比べて約8千万円増えていますが、この状態は今後も続きますか。今後の見通しを伺います

菅原市長 基幹産業である水産業が多くの課題を抱える中、大震災、それに続く復興や、「おかえりモネ」の効果、DMOとしての注目など、本市観光は歴史的にもフォロー(追い風)の中にあると認識しており、復興事業外のハード事業も抱えていることから、観光推進機構における独自財源が増加したとしても、現在の市予算の規模は今後も続くと想定しており、波及効果も含め、その費用に見合う効果を創出すべく引き続き取り組んでまいります。

今川 外からすごい評価は受けているのですが、市内の方から話を聞くといまいち浸透できていないと感じます。市がかなり力を入れている事業ですので、もっと理解が深まってほしいと思って質問テーマに取り上げました。ゴールのない事業に対して最終形を求める質問のしかたが悪かったと思いましたが、市民の理解を得るためにはビジョンは必要です。中長期的なビジョンは今のところ無理だとしても、もともと掲げたビジョンはことあるごとに確認する場が必要だと思います。観光推進機構の年1回の報告会でも、最初のころは一生懸命説明していましたが、最近は重点項目の説明が主体となっています。観光関係者との共通理解もできていないところがあり、基本的な部分を共有することにもっと力を入れてください。

菅原市長 年に4回、観光推進機構の幹事会に出ていますが、議論は時間の制約がある中で膨大なことが回っているので、なかなかまとめきれません。必要なことは決めていくのですが、先ほど答弁しましたモレとかダブリとか形から考えていったものが現在どうなっているかをしっかり検証することがまずは必要だと認識していて、それは前回の幹事会でもある幹事の方から話がありました。そうだなという風に思います。一方で、ご案内のように外の評価はずいぶん高くて、きょうも長野県佐久市の市長も来られているので、終わったら挨拶にいきます。それ以外にもあるそうです。実際、モデルにはならないけど、あの最高の例として勉強したツェルマットとは事情は全く違うにせよ、そこにアプローチになっているのかというようなことも十分できてないということがありますので、ここは見直しと整理ということで、どっかでそれもちろん中長期ビジョンというのがなければ基幹産業にもなり得ないわけで、そういうことはしっかりと共通認識として、少なくとも幹事会において話はスタートさせなくてはいけないというふうに思っています。

今川 大島ウェルカムターミナルとか大谷道の駅とか、観光施設がようやく揃ってきて、これからがかんこうすいしんき向の真価を発揮するときです。施設も団体もバラバラだったことが気仙沼の課題でしたが、それを一本化することが観光推進機構の大きな役割でした。

そこで気になるのが幹事会です。一生懸命に議論して汗をかいていることも分かるのですが、非公開で我々は知る由がありません。それと幹事団体である市役所、観光協会、商工会議所、商工会、それから地域戦略の他に、構成団体として物産協会や商店街連合会、農協、漁協も入っています。それで地域全体の経営を考えるための構成でしたが、いつの間にか幹事会がメインになって、参画するはずだった団体の顔が全然見えなくなっています。そういう意味でも一回検証する機会が必要だと思います。構成団体の方々の役割についても確認してください。

菅原市長 多分、その前なのです。観光関係者の浸透にいってないから、その先の話ができなくなってしまっているというのが実態だと思います。それはやっぱり課題だと思いますので、そこをまず解消していかなくてはなりません。その上で、オール気仙沼で観光を盛り立てるということを考えれば、その方たちとの関係っていうのは、ちゃんと築いていかなくてならないと思います。年に1回の報告会も同じで、市外の人の参加は多いけど、市内の人の参加は非常に数えるほどだということが、やはり我々が今突きつけられている課題だと思っています。

予算の話もありましたが、自主財源で熊野の話をしましたけど、最新号の「とおりまかし」で気仙沼に出向していただいたじゃらんの森さんが取材していましたが、ほとんど旅行業としての収入でなんとかなっています。ツェルマットでいえば当時、宿泊税が大きなポイントでした。宮城県はトライをしましたが、京都のように県と市がダブルでどうのって仙台もありましたよね。それがなってないんですけど、観光推進機構では市としてどうするかって話も実はしていました。しかしながら県がやるっていうので、私は県がやるなら市はやめた方がいいと思いました。例えば20何万泊あって100円ずつ貰って2000万円です。県が100円ずつもらうとすごく大きな金額になって、それを各地に分配したほうが大きいと思ったので、ここは控えたほうがいいなって止まりました。そういう議論が熟してない。日本中に宿泊税が行き届いていない、そう言う事は実は予想してなくて、どちらかといえば、それは当たり前になって、県の財政のためにやるんじゃなくて、次来る時に楽しんでもらうために使うんですよということが広まっていくというのが、われわれが見てきた理想でした。そういうことも含めて、あの財政のこともですね。しっかりと考えていかなくてはならない。すぐにはできないかもわかりませんが、理想的な形っていうのは模索して行きたいと思っています。

今川 本来は受益者負担が理想だと思います。観光業界の方々から負担をしてもらって、その分観光客が増えているっていう循環が理想ですが、新型コロナ禍でその辺も議論が出来ない状況にありますので、しばらくは市の一般財源の中からある程度の持ち出しというのが避けられませんし、先ほどの答弁ですと観光費そのものもこの枠はもう多分削れないし、亀山モノレールが進むとさらに拡大していく可能性の方が、大きいんじゃないかなということを考えますと、やっぱり市民の理解、最初に観光関係者の理解が不可欠です。情報発信に努めて欲しいと思います。まずは議会で理解を深めてもらわないと、市民にも説明できませんから、そういった意味でも情報提供をお願いいたします。

もう一つ気になることがあります。いろいろな部会がありますが、どんな部会があるってこともなかなか一般にはよく分かっていません。この部会は最初の構想では市民参加の場でした。市民が参加する場として、この部会っていうのがあって、そこからも市民に理解を深めていく設計をしたはずでした。それがいつの間にか部会が構成団体のメンバーや観光関係者が主になっていますけれども、やっぱ立ち返ってさっきの構成団体も含めてですね。最初の組織図っていうところから一回検証してもらえますでしょうか。

畠山観光課長 部会につきましては何個かありまして、議員がおっしゃるように市民参加を想定していました。しかし、先ほどの市長答弁にもありましたとおり、まずその芯となる、核となるこの本体の方が、まだその浸透がまだ十分ではないところもあって、その手前の状態だということは否めないかなと思います。そうは言いながらも、クルーカードの加盟店であったり、ちょっと波はありますけれども商品開発のコンテンツ作りなどにおいても、従来なかった方々に参画してもらったりもしておりますのです。進んだり止まったりみたいな状態ではありますけれども、今のご指摘の方を真摯に受け止めて、今後の展開に繋げていきたいと思います。

菅原市長 市民参加の対象市民は誰っていうところが、実は難しいと思います。課長の答弁も何とでも取れます。観光推進機構や所属する各団体の主要な構成員でない人も含めて、議論をする場っていうものが部会の中で作られているということがありますので、それも一つの市民参加だと思いまして、全く観光に関わらない市民も参加することで運営できるのかっていうのは非常に難しいところがあって、一方でした方が良いなと思うようなケースもあります。例えばみなと祭りです。市民の皆さん方の目線だとか、観光客の目線で考えていただいたり、何がお祭りとしてやっていただき、やってもらいたいことかということもそうだし、あと負担の問題です。全国のお祭りがテレビ中継されます。そこにはものすごいいろんな仕掛けがあって、それが更新されて、またその仕掛けそのものが観光コンテンツとなって駅前に飾られたりしているのですが、本市の現在のおまつりの財政からは、もう考えられないような規模だと思うんです。それをその各地域単位で持って行く。まあ、それは支援者みたいな形がいるのかもわかりませんが、そういうことになると、市民の皆さんがその気にならなかったらいけないわけです。そういう意味で、どこでどのような市民のみなさんの意見を聞いたり、会議に入ってもらうかっていうのは一通りではないんだと思いますけれども、観点として大事にさせていただきたいと思います。

今川 おかえりモネの取り組みを通じて、この観光推進機構っていうのが土台になっているなと感じた部分と、この観光推進機構に足りないものがあったんじゃないかなというのを感じました。おかえりモネのプロジェクトをした時に、シティプロモーションとか、移住定住とか、地域おこしまで含めて取り組みました。それは観光推進機構も同じだと思っていまして、まちづくりとか、交流人口っていうのは、決して観光客だけじゃないですよね。実際、移住も観光から始まったりもしますので、観光関係者だけで一生懸命やっている限りは、この観光推進機構というのはなかなか広がっていかないのかなと。この観光という言葉がまちづくりまで一緒になって、観光に限らず、だから水産や農業の方々もこの構成団体に入っていたと思うのですけれども、まちづくりまで含めて、この観光推進機構で取り組んでいくってところがゴールなんじゃないかなと私は感じていました。それがおかえりモネの取り組みで、それこそエキストラに市民も参加したり、地域を上げてシティプロモーションまで考えたというのは、まさしく市全体で考えて行くってことが、観光推進機構が目指すものだと私は思ったのですが、それについて感想があれば伺います。

菅原市長 名前を挙げていただきました農協や漁協、商店街連合会もそうだと思いますけれども、組織として報告や連絡だとか、意見交換の場は必要だと思うんですが、実際に行われたことはどういうことかというと、そうではなくて個だったんですね。つまりアクティビティを広めようと思った時に水産会社が来てくれたり、氷屋さんが来てくれたりで、箱屋さんが来てくれたり、漁具屋さんが来てくれたり、個が仕事の幅を広げ、まちづくりに貢献をしたいと、それがビジネスになればという思いで、参加されていると思いますので、最初、当然そのまだどうなるかわからない段階で絵を描くと、そういう団体を上げるかもわかりませんが、そのことをないがしろにするわけではありませんが、実際には個の人たちがそのプレイヤーになっていくっていうことが観光地の強さだと思います。そのことが人口5000人より我々の方がちょっとやりづらいという状況だと思いますので、しかしながら先ほど言いましたように、あの水産の不確実性のようなところがありますので、伸ばせるところはしっかり伸ばしていきたいと思います。

今川 当初の目的を再度検証してほしいっていうこと、観光関係者だけじゃなくて、もう少し広く参画するような仕組みづくりを作ってほしいということ、あと観光の枠にとらわれないでまちづくりまでしっかり拾えるような組織になって欲しいということが、今回の私のお願いですので、これからやるだろう検証の部分でお願いしたいと思います。観光推進機構いろいろ取り上げましたけれども、なかなか時間がなくて、もっと深掘りしたいこともあったのですが、新年度予算等できっと今の話しを少し反映された予算が出てくると信じまして、今回はこれで質問終わります。

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