ふるさと納税50億円へ【気仙沼市議会12月定例会のまとめ】

気仙沼市議会の12月定例会が終わりました。今回も主なポイントをまとめましたので、市政に関心のある方のために報告します。一般質問の成果は近日中にアップします。

※なお、定例会報告はまとめて一気に報告するようにしてきましたが、続編としてテーマ別に分かりやすく解説していきますので、第2弾もご期待ください。


2022年12月定例会のポイント

 行財政                                        

【ふるさと納税で50億円見込む】

・本年度のふるさと納税(ふるさと応援寄付金)は50億円を想定して予算化

・12/15現在で32億円。年末に急増すると見込んだ

・返礼品や送料などで5割の経費がかかるため、市の収入は半分の見込み

・牛タンは1億円の目標だったが5億円(寄付額ベース)になった。4~6カ月待ちに

・成功要因はプロモーション。職員がサイトをチェックして生産者と打ち合わせ

・一番人気のカニは海外産を含めて調達して気仙沼で加工。在庫が綱渡り状態で年末まで行けるかどうか。

・寄付額の増加を受けて、ふるさと応援基金を創設。これまでは決算後の後付けで使途を決めていたが、今後は予算化して使途の見える化をはかる

・「今のままの制度か不安もあるが、恒久的な財源としてとらえることもできるが、保守的な考えも持ちながら活用したい。基金に積んだままにならないように、戦略的に活用していきたい」と菅原市長

・具体的なルールを決めた基金の活用方針は今後策定する

【電力高騰で3億円の予算追加】

・原油価格高騰に伴い、電気代と燃料費合わせて3億円(各種会計合計)を補正予算で追加  ⇒施設別の一覧表

・当初予算は7.6億円だったが10.6億円になった

・東北電力はさらなる値上げを経産省に申請しており先行きは不透明

・市も出資する地域電力会社「気仙沼グリーンエナジー」との契約は電気代の安さだけを目的としていないので、東北電力の利用金内であれば値上げ交渉に臨まないといけないとの方針

 

【市役所跡地】

・三日町・八日町・市役所跡地検討ワーキンググループを立ち上げる準備中

・このグループでは、三日町・八日町の現在および将来の土地利用の状況や商業環境の変化を鑑み、この地区にふさわしいまちづくりを目指す

・本庁舎は解体を基本とし、ワン・テン庁舎は民間利用を念頭に、第二庁舎については活用が可能か、土地利用の形とアクセスのあり方を含め検討する

 

【市民会議立ち上げは来年度へ遅れる可能性】

・3月に予定していた(仮称)人口減少対策市民会議と(仮称)持続可能な社会推進市民会議は、勉強と検討と見直しが続いており、並行して会議全体の構成やスケジュール、立ち上げのための準備会、アドバイザーや講演者などについても調整を図っており、年度内のキックオフが難しいことも想定

・遅くとも来年前半にはスタートしたい考え

・市の役割は、多くの市民に参加を呼びかけること、それぞれの会議において、現状について適切かつ十分な情報を提供していくこと、課題をわかりやすく説明していくこと、行政としての考えと可能な施策を示し、企業や市民にもそれぞれにできる活動を促すこと、会議の経過を発信すること、そしてそれらを取りまとめ、発表し、共有を全市民に広げ、市全体のムーブメントに繋げることと考えている

 

【災害公営住宅の家賃減免の延長可否は令和5年度早々に判断】

・独自に5年延長している災害公営住宅の家賃減免は令和7年2月から切れ始めるため、その後の方針は来年度前半には明らかにする

・居者の生活実態や家賃負担能力、他の再建方法を選択された方との公平性などを考慮して検討中

・まずは昨年度に作成した財政シミュレーションの見直し作業を行っており、収支状況により基金残高が今後どのように推移するか本年度末までに作成する

・単純に5年延ばして5年の階段をさらに付けるというようなイメージもあるし、10年の階段を選択した自治体もある

 

【市道周辺等の草刈りへ仕組みづくり】

・草刈りについては、他市の取り組み事例や、国・県のボランティア制度を研究する

・現状の把握や課題を整理したうえで、道路保護組合における活動内容や報償金などの見直しを含め、本市の実情にあった仕組みづくりに向け取り組む

・検討結果の報告時期については、全市的課題であることを踏まえ早急に進め、まずは毎年3月に開催している道路保護組合長会議において意見交換を行い、市民の皆様が広く参加できる仕組みづくりに繋げていく

・市が管理している施設の草刈り管理状況調査を実施し、問題点や課題などを整理し、庁内で情報を共有

・関係課による課題と対策について、情報交換会を行った。有償ボランティアやシルバー人材センターへの委託を含め、研究していく

・市民の窓口は土木課応急対策室

 

【唐桑でデマンド交通の実証実験】

・唐桑地域では、地域の交通課題の把握に向け、本年5月に路線バスの乗降調査、7月に全戸住民アンケートを実施し、次年度には交通課題解消に向けたデマンド交通などの実証実験に取り組む

・本年度に路線バスの代替として実証運行を予定していた面瀬・松岩は事業者のスケジュールと合わずに見送った。現在、市内の交通業者で完結できる本市独自のデマンド手法の構築に向け、交通事業者からの提案もいただきながら体制構築に取り組んでいる

 

【斎場のウェブ予約システム導入へ】

・常駐警備と機械警備を併用している唐桑総合支所及び同支所の敷地内にある唐桑公民館及び唐桑漁村センターなど、合計7つの施設について、機械警備のみとすることを検討

・見直しに伴い、現在、年額860万円程度支出している業務委託に係る費用を6分の1程度まで削減できる見込み

・警備員が常駐しないことで、夜間の死亡届や斎場予約ができなくなるが、斎場予約システムの導入や、公民館等の貸館業務委託が円滑に実施できるという前提で進めており、詳細については、来年度の予算で示す

 

【斎場の料金改定】

・斎場の火葬炉使用料(16歳以上は現行4000円)を6000円に引き上げる。市外からの利用(現行6000円)は2万4000円に改定した

・今年2月に策定した公共施設の利用に関する基本方針に基づくもの

・適正料金は1万2000円が適正だが、激変緩和措置で5割以内の値上げとなっているため、5年後との見直しに合わせて段階的に引き上げていく

・気仙沼、本吉、唐桑にある火葬場は長寿命化によって令和13年までは継続を想定

・斎場予約システム導入を検討

 

※公共施設の利用に関する基本方針に基づく料金改定の検討結果は10月に市HPで公表済み。公民館や市民会館は使用区分と料金体系について4~5年度に検討及び住民説明会を実施し、Web予約システム導入と併せて6年度の実施へ向けて準備をすすめることにしている。パークゴルフ場は指定管理更新の令和8年度に向けて検討する

 

【その他】

・市民参加や協働の基本方針づくりは「重要性は分かるが、担当課が手いっぱい。優先度を勘案して検討する」と菅原市長

・復興金の残高は約3億円。基本的に残った防潮堤など復興に使用する

・ごみ焼却施設の中央監視業務は職員9人・3交代(3人ずつ)で行ってきたが、勧奨・早期退職によって夜間業務を民間委託する

 

 

■ 行政人事                                      

【会計年度任用職員は更新時期に】

・現在任用している会計年度任用職員のうち、約7割を占める令和2年度採用の職員については、来年度の任用を希望する場合、改めて採用試験を受ける必要がある。これを含め、全体で430人程度の採用を見込み、大規模な試験を実施する

・資格職及び労務職の試験と、資格を必要としない職の試験、病院事業局の医療従事職員の試験に分けて実施することとし、先月13日には資格職及び労務職の試験を実施した

・1月28・29日に、資格を必要としない職、及び先月の試験で必要人数に満たなかった職の試験を実施する予定であり、今月9日から募集を開始

・1次気仙沼市定員管理計画において、会計年度任用職員については、人数削減に加え、令和5年度からパートタイム職員への移行を実施することとしていたが、正規職員数の見通しなどからマンパワー不足も懸念されており、一定程度のフルタイム職員の確保が必要であると考える

・今回の試験で募集する430人程度のうち、フルタイム職員が47%、パートタイム職員が53%であり、令和5年度当初における割合は、本年度とほぼ同割合のそれぞれ50%程度を見込む

・保育士や看護師等の専門職を除く、資格を必要としない職種のパートタイム職員への移行については、令和5年度の中途採用から実施する予定

 

【職員ボーナスを0.5カ月分引き上げ】

・人事院勧告に基づいて国家公務員の期末手当が改定されたことに準じて、市職員の勤勉手当を0.5カ月分(2155人で総額6100万円)引き上げる

・期末・勤勉手当の支給率は年間4.4カ月となった(平成3年は5.4カ月だった)

・市長など常勤特別職、議員も同様に引き上げた

・新型コロナ禍で地域経済が疲弊しており、支給にあたっては職員へ地元消費に努めるよう周知する

 

【職員定年引上げの関連条例改正】

・市職員の定年を65歳まで段階的に引き上げるための関連条例を追加で改正

・来年度で60歳になる23人には早め(11/22.29)の意向確認を行った。フルタイムの定年延長、パートタイムの再任用、退職から選べるが、フルタイムを希望する割合が大きい

・労使交渉では、60歳超の配属先と職名の質問があり、市は「経験を生かし、能力を発揮できる配属を考えている」と説明

・60歳以上の給与は当分は7割になる。「当分」は段階的な引き上げが完成する令和12年度末で、本来は給与水準維持(7割にしない)が望ましいという視点で人事院で検討される

 

 医療・福祉・子育て                                  

【子育て支援で低年齢児の保育無償化へ前向き】

・第2、第3子の保育無償化は規模と財源を含めて前向きに検討中。第1子まで対象にするとニーズ増に伴う受け皿が必要であることが課題。認可外保育施設も含めてどうするか検討する

・給食費無償化は医療費無償化と合わせて子育て支援の本丸となっており、目の前にある最大のテーマ。本来なら国がやるべきことで市長会を通して県に要望する。市としてもしっかり検討すべき課題である

 

【病院プランは中間報告後に市議会へ説明】

・本吉病院の廃止も選択肢として議論している市立病院の経営強化プランについては、審議会からの中間答申後に議会へ説明する予定

・答申後は市として検討後、現状と異なる場合には住民説明会の前に市議会の方に行いたいとの考え

・経営強化プラン全体の素案となる最終答申は、来年8月から9月頃を予定。11月頃を目途に議員全体説明会などで説明する考え

 

【その他】

・認知症による徘徊は、警察等から連絡を受けて市地域包括支援センターで把握している件数は令和2年度20件、3年度16件、本年度(11月末まで)11件

 

 教育・スポーツ                                    

【復興市民広場は予約なしで利用可】

・南気仙沼の復興市民広場は12/25にプレオープン。少年サッカーの試合を予定

・3月に本オープンのイベント(サッカー・ラグビー教室)を予定

・普段は競技等で占有しなければ、誰でも予約なしで自由に利用できる

・当初は教育委員会窓口で利用申請を受け付け、4月からはWeb申請も利用できる予定

・使用料は1コート1時間500円(市内のアマ)~2万円(営利目的)。減免対象は他の体育施設と同じにする

・クラブハウスは無料で利用可。できるだけ施錠しないで利用できるようにする

・ナイター照明(1時間500円)は発行されたバーコードを現地で読み込んで点灯する

・市直営でまず1年間やって運営経費の積算データを集め、いずれは体育協会等へ指定管理をお願いする考え

・常駐の管理人は置かず、市職員が必要に応じてクラブハウスを清掃。いずれは委託予定

・運動広場の規則を改正し、他の広場を含めて物品販売を可能にした

・人工芝のライン施工ミスに伴い、職員からは顛末書が提出されており、議会後に処分などの対応する

 

【スクールバスは3年契約で】

・統合に伴うスクールバスの国庫補助は5年まで(あとは水梨と大島のみ)。3年契約によって経費3割程度節約

スクールバス利用者数
統合校 令和4年 令和5年
落合小 14 13
白山小 14 19
馬籠小×2 29 27
小原木小 32 24
水梨小×2 31 40
小原木中 13 13
小泉中×2 24 28
浦島小 17 18
大島中 30 29
204 211

 

【中井小を令和6年4月から唐桑小へ統合】

・中井小から唐桑小への入学時の指定校変更は3年平均で3人

・唐桑小も浸水域となる「最悪の津波想定」は建物や居住の制限はなく、避難を促すものであると地元の理解を得た

・想定浸水域に学校は集められないとした条南中を巡る市長発言について、「新計画の場合の市長としての考えを述べたもの」と教育部長

・学校再編の新計画の策定については、「その時期でない」が、「考え時期が近付いている」「地域懇談会に影響するのでいつ見極めるかは申し上げられない」と教育委員会

【その他】

・トップレベルのスポーツ選手に対する遠征費などの補助金は県内の多くの自治体で実施

しており、制度設計へ向けて前向きに検討する

・千田健一氏の日本フェンシング協会会長就任を受けて、全国大会誘致と新大会創設の可能性を探る。旧西高校の武道場のフェンシング借用はコロナで協議中断していたが再度検討進めたい。市もそれなりに支援する考え

 

 産業・観光                                      

【魚市場卸売への支援検討】

・今年の魚市場水揚げは129億5600万円(11月末)で近年で最低記録になりそう

・卸売業者の経営安定化に向け、今後、卸売業者が作成する長期計画と、本市財政を照らし合わせ、魚市場開設者として、可能な支援を検討する

・本年度分の支援策は2月に向けて検討する

・組合のメリットとデメリットも含めて話し合いたい

 

【気仙沼観光推進機構の検証へ】

・目指すべき将来の形としては、市が担うべき公共施設の整備や公金の管理、政策調整、行政連携等に係る業務を除いて原則として外出しすることであり、実現に向け事業成果の向上と同機構構成団体の機能強化に取り組む

・自主財源比率の高い釜石や和歌山県田辺市熊野などの他地域DMOの事例の研究も始めた

・目的にしていたモレとかダブリを防ぐことが現在どうなっているかをしっかり検証することがまずは必要だと認識

・観光関係者への浸透も課題

【道路看板の改善へ検討チーム設置】

・施設への誘導案内看板、道路案内看板は、全市的に基本的な方針が確立されないまま、復興事業の進捗に合わせ各部署において整備してきたため、市内全域を通して、十分適切かつ合理的な案内になっているとは言いにくい状態と認識している

・早々に庁内横断的な検討チームを編成し、既存の案内看板の総点検を行い、観光や文教、防災など多様な目的に誰もが迷わずにたどり着けるよう、わかりやすい案内看板のルールづくりと修正や整備に取り組む

・看板の再整備については、一定の予算が必要となると思われることから、中期的な時間軸で計画的に整備したい

 

【水道事業にも電力値上げの影響】

・電力高騰に伴って電気料(動力費)約8000万円を追加

・新電力から東北電力ネットワークへ8月に切り替えた。新電力に比べて1.5倍になる

・電力高騰は収支に影響してくる

・令和7年度の水道料金見直しへ向けて早めに支援策(審議会の附帯意見)を含めて見定めたいが、「(電力高騰もあって)来年度には無理だと思う」と菅原市長

 

【市民の森の風力発電は「時代の要請」】

・市民の森周辺で最大10基の風車を計画(令和10年ごろ稼働予定)

・環境影響評価方法書が早ければ来年3月下旬から縦覧開始され、その期間内に住民説明会を予定

・環境アセスメントをクリアし、住民へも十分に説明がなされる事業であれば、受け入れることがカーボーンニュートラルを目指す時代の要請である(菅原市長)

 

【有害鳥獣の処理施設検討へ】

・有害鳥獣(ニホンジカ)の捕獲頭数については、鳥獣被害対策実施隊を組織した平成27年度から30年度までは、年間約600頭から700頭で推移し、令和元年度から3年度までは約1000頭から1200頭が捕獲され、増加傾向にある

・平成25年度から埋設を始めた鹿折(上西側)に5800頭、30年度から始めた本吉(東川内)に850頭を処理している。本吉はあと10年以上大丈夫だが、鹿折は3年程度で満杯になる。新たな用地選定を進めるが、環境面で適地選定に至れるか不透明なため、併行して微生物による分解処理や焼却などの個体処理施設設置を検討する

 

 

【その他】

・農地適正化へ向けた地域計画は令和7年3月までに策定する。対使用は市内全域。利活用の意向調査と合わせて周知したい

・水産問題研究会が30年続けた漁船向けの気仙沼・本吉だよりは年度末で終了

・(電力高騰分3900万円を一般会計から全額負担することを受けて)下水道はエリアが限られる公共サービス。料金システムがそれでいいのか、繰出しが続くことに歯止めが掛けられるか、一つ一つ合理的に説明できるかどうか、時間がかかると思うが検討したい

・チャレンジオーナー支援事業(空き店舗への出店に年間家賃の半分を補助。上限70万円)は毎年1~3件の利用。有効なので活用しやすくするため必要に応じて要件見直す

 

 

令和4年度12月補正予算の主な事業
まちづくり応援寄付金

35億円

ふるさと納税による寄付の見込み増加に伴う追加予算。当初分と合わせて計50億円とした。返礼品に3割、専用サイト利用や輸送料などに2割が充てられ、残りの5割が市の財源となる
旧唐桑小の支障木伐採

77万円

校門付近にあるサクラ等15本が、枝が市道に張り出したり、毛虫等の害虫落下被害が出たりしているため伐採する
追悼と防災のつどい経費

555万円

3/11に気仙沼中央公民館で開催。震災伝承と防災教育をメインテーマに、基調講演、パネルディスカッション、展示、献花などを予定
デジタル水産業検討

66万円

水産庁のデジタル戦略拠点に選定されるため、協議会を設置して海業振興のモデル地区を目指す。水揚げや飲食、出船送り、氣嵐の情報提供などを見込む
南町魚市場線の改良

3142万円

復興事業で整備した路線の交差点を手直しする。具体的には川原田のNTTビル前交差点を一部拡幅する
復興市民広場オープニングイベント

111万円

3月にスポーツ教室を開催。ラグビーは元日本代表で気仙沼出身の畠山健介氏、スポーツライターの生島淳氏、大友信彦氏、サッカーは元ベガルタ仙台の菅井直樹氏やアカデミーコーチを招く

 

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