市道整備に10億円【気仙沼市議会2月定例会のポイント】

気仙沼市議会2月定例会のポイントをジャンル別にまとめました。

なお、開かれた議会づくりの一環で、ようやくですが議案等の資料をホームページで公開し始めました。予算説明資料を見ると、税金の使い道がよく分かります。詳しくは資料掲載サイトをご覧ください。

市営住宅

【家賃低減化の再延長は】

・災害公営住宅の家賃低減化は市独自に5年延長しているが、令和7年2月から入居10年目に入るため、他市や他県の状況考慮しながら再延長について検討する。収入超過者への対応も合わせて検討する

・「遅くても令和5年度中には結論を出したい。まだ結論は出していないが、後ろ向きに考えるべきものではない」と菅原市長

 

【市営住宅基金に22億円追加】

・令和3年度補正予算で、市営住宅基金に22億1163万円を積み増しした

・基金の総額は令和3年度末で約52億円になった

【家賃滞納と明け渡し訴訟】

・入居から平成30年2月までは家賃回収できていたが、その後は滞納が続いていた

・家賃は月3万~4万円程度だった。収入申告がなく、令和2年3月は近傍同種家賃(18万円程度)となった

・滞納家賃の回収は難しく、明け渡しを主目的とした訴訟である

・2カ月ぐらいで判決が出る予定で、それから強制執行手続きを進める

 

まちづくり・コミュニティ

【水梨コミュニティセンターは直営化】

・指定管理を受けていた水梨地区コミュニティ推進協議会が担い手不足などで解散したため、市で貸館の許可、カギの開閉、維持管理まで行う

・夜間・休日の開閉は近くの住民にお願いすることも検討する

・施設の在り方はそのままで、再び指定管理にするかどうか、公募を含めて検討する

 

【面瀬公民館の新築を優先】

・面瀬公民館は人口に対して狭あいになっていることが課題で、優先して新築する

・標準的な公民館建設にかかる期間は設計のための予算確保から始まって約2年半

 

【まちづくりセンター化】

・松岩公民館は指定管理期間を更新するに当たって、経営管理委員会と2回に意見交換をして、まちづくりセンター化へ興味を示してもらっている。指定管理期間の令和8年度までの間でも話が進めば変更もあり得る

・多機能化で目指している人材育成について、公民館長や職員とちゃんと話し合ったことがなかったため、「地域活動拠点となる公民館の多機能化、まちづくりセンター化が重要なポイントとなるので、地域の機運醸成が図られるように、公民館職員や管理者と意識の共有を強化しながら進めていきたい」と答弁

 

【地域おこし協力隊は15人】

・新年度は9プロジェクトで隊員数は計15人となる。予算は企業支援を含めて7563万円

・公募団体の受け入れ期間は1代限りとしたため、隊員が任期途中で退任すると後任は採用できないルールとなっている。おむすび、歓迎プロデュースが該当した

【まちなかエリアプラットフォーム】

・官民連携の100%補助は令和3年度で終了

・令和4年度はコーディネーター費用(官民連携まちなか再生推進支援儀用務委託費)2000万円を一般財源で予算化

・令和3年度内に未来ビジョンを策定

・令和4年度は社会実験費用を地方創生交付金に申請中

 

【その他】

・移住・定住の成果はHP等でもPRしていく

 

復興・防災

【南気仙沼復興市民広場】

・南復興市民広場は令和4年度内の完成を目指す

・南運動広場や中央公民館を含めたエリアとしての名称設定を検討していきたい

・南運動広場は4月1日から供用開始予定。令和4年度は直営で維持経費を見て、早ければ令和5年度から指定管理に移行できるように体育協会と協議している

 

【移転元地の売却】

・譲渡は254筆5.6ha、貸付は173筆5.2ha

・残りの利活用未定地は1663筆44ha

・処分可能な土地が明らかになってきたことから、売却可能地の図面や台帳わホームページなどで公表する

 

【防潮堤のフラップゲート】

・メーカーなどの助言を受け、1年点検(扉体のゆがみチェック)と3年点検(動作点検)に整理した

・令和4年度の維持管理費は34基で820万円

・当初は1基当たり84万円、2600万円と試算していたので大幅なコスト削減となった

・電動・遠隔操作の横引きゲートの年間維持管理費は、国交省の調査結果では1基当たり590万円(整備費1億円の場合)。市に当てはめると単純計算で2億円になる

・フラップゲートの効果などを市ホームページなどで発信し、視察の受け入れなどにも力を入れる

 

【魚市場の防潮堤ゲート】

・県が整備した魚市場背後地の防潮堤の陸閘(出入口の電動ゲート)は、津波注意報・警報が出てから5分後に自動閉鎖されることになった

・到達まで余裕がある遠地津波について、市は魚市場からの車両退避などを考慮して時間差閉鎖を求めていたが受け入れられなかった

・年度内の稼働開始を目指して地元説明会が行われるため、今後は市場関係者の反応が注目される

 

【津波高を表示】

・津波高表示の設置が決まっているのは魚市場と浄化槽のみ

・ポール型は建築基準法の関係で4m未満となる

・防災行政無線は令和4年11月にデジタル切り替え予定だったが、コロナで2年延期することが総務省から通知された

 

【その他】

・防災士等のネットワーク化はコロナ禍で動けなかった。防災士は200人、指導員は450人おり、まずは防災士のネットワーク化を進めたい

・面瀬川で1000年に一度程度の洪水想定が県から公表されるため、洪水・土砂災害ハザードマップに追加する。マップは冊子方式で、想定が公表済みの大川、鹿折川、津谷川、馬籠川について年度内に策定予定。新年度に面瀬川を加える

・東京大学と研究してきた震災犠牲者の調査結果は年度内に公表する予定

・災害危険区域内にある事業所の津波避難に関する調査は新型コロナで遅れているが、適切な時期に企業向け防災説明会を開き、調査も行う

 

インフラ

【水道】

・管路更新戦略を令和5年度に策定。アセットマネジメントによる国からの補助金(1/3程度)が令和5年度から受けられるため、令和4年度に予定していた箇所を令和5年度に持ち越す

・水源開発は令和5年度の稼働開始を目標としてきたが、秋口までに早まりそう。減価償却は令和5年度から

 

【市道整備】

・国の補正予算を受けて市道整備に9億4300万円を予算化(令和3年度補正)。小鯖鮪立線(延長1420m)の改良工事完成は令和14年から4年ほど早まりそう

・萱原ノ沢線は面瀬川から三陸道までの区間を令和4年度中に整備(工事中は仮橋を設置)。面瀬中学校側の残区間はその後に着手する

・台の沢長平線(葦の芽星谷幼稚園前)は6月の完成を目指す

・南町魚市場前線の全区間完成は9月ごろ

・各路線の進捗状況を市HPでチェックできるようにする

・下赤田橋の錆びた欄干は維持修繕費で対応する

 

【その他】

・徳仙丈の森林センターは令和4年度中の着工へ向けて取り組む

・下水道の一般家庭の月平均の下水道使用料は3000円程度、合併浄化槽は6000円程度

・三陸道ハーフインターのフル化は市全体の考え方を整理して要望していく

 

水産

【大水深岸壁の整備】

・魚市場南側への大水深岸壁は、県が令和5年度から調査・詳細設計に入れるように準備を進めている

・魚市場南側の岸壁は200m区間で最大64cm浅くなっていた。災害復旧で県が令和4年度に調査に入る。水揚げに影響しないようにどのパターンで工事するか協議したい。工事は底の表面の敷石をとっての作業なので1年でできる内容ではない

 

【魚市場の担当職員1人減】

・魚市場係の職員を5人から4人へ削減。その分の仕事(貸事務所や駐車場の料金回収など)を漁協へ委託することで経営支援にもつなげる考え

・魚市場会計の経営戦略は令和2年度中に策定するよう県から指示(施設整備補助に影響)されていたが、卸売業務以外の仕事も含めた漁協の経営改善を提案中で、令和4年度には策定したい

 

【漁協に1200万円支援】

・主要魚種の魚価を過去5年の平均値と比較した結果、24億円の減収につながっていたことから、卸売業者の実質収入となる2.5%分として計算し、さらのその20%となる1200万円を支援することにした

 

【その他】

・水産資源活用研究会への補助金は1500万円

 

経済・観光

【唐桑半島ビジターセンター】

・6月末で休館してリニューアル工事に入る

・令和5年度のオープンを予定

 

【大島ウエルカムターミナル】

・令和4年度も市直営。委託費など1600万円を予算化

・コロナで経営安定せず、今のままでは指定管理のメリットはないと産業戦略課長

・「100%国費で建設したので、直営でもいい」と菅原市長

 

【おかえりモネ実行委は】

・NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」気仙沼プロジェクト実行委員会の補助金から約1000万円を減額する。コロナの感染拡大によって事業費が縮小したため

・実行委員会は3月末で解散予定で、に支出済みの補助金の残額1000万円も返還見込み

 

【その他】

・創造的産業支援金(令和4年度で1000万円)は「続けた方がいい」と菅原市長

・クルーカードは5年で蓄積されたデータの分析を進め、ヘビーユーザー要因分析をしたい。アプリに移行した人は半分程度なので推進する。加盟店は132店

・コミュニティFMへの支援策となる市政情報放送の業務委託は、新年度も1652万円(1分600円×1日80分×年間313日×消費税)で据え置いた。収入に占める委託費の割合は57.7%。5年を目途に減額していく方針だったが、新型コロナの影響を加味して据え置いた

 

行政

【市職員の定年を段階的引き上げ】

・定年は令和5年度から段階的(国家公務員と同様)に引き上げていくため、9月定例会に条例案を提出予定

・令和4年度に市職員4人が病気などで死亡した。30日を超える病休は14人いる

・新年度の採用職員は6人、再任用は50人程度、応援職員は65人(令和3年度106人)。令和3年度内の退職は再任用含めて35人(病院・任期付き除く)

 

【文書管理の適正化へ】

・新庁舎への移転へ向けて公文書の管理の在り方について4年かけて整理する

・支援業務予算として1472万円を限度に債務負担行為を設定した

【市バス2台を廃止】

・市所有のバス2台は令和3年度で廃止

・人件費や維持費で年間2000万円程度かかっていたが、民間バスの活用に切り替える

・市バスは令和2年度で175回運行したが、民間バスの借り上げは248回(1377万円)予定

・このうち教育関係で約200回分を予算化。小中学校は各クラス1回、郊外活動に利用できる。公民館でも計37回分の予算を確保した

 

【その他】

・マイナンバーカードの交付数は2万3017枚(1月末現在)。交付率37.5%

・総合入札方式は令和4年度中の導入を目指す

・4月から庁内の電子決裁をスタート

 

医療

【市立病院に2科追加】

・猪苗代病院の閉院に伴って開設した形成外科は、4月以降も医師確保の見通しが立ったので診療科に追加した。この地方唯一のため紹介がなくても診察(午後のみ)できる

・常勤医を確保できたことで病理診断科も追加した。これまでは嘱託医が週1日来てくれ、検体は東北大に送っていたが、術中診断ができることは大きなプラス

 

【看護師確保に苦戦】

・市立病院は新年度に薬剤師3人、看護師16人を採用予定(看護師6人などの不足分は随時募集中)

・看護学校卒業生の進路は市内11人、県内14人、県外8人、進学2人、未定3人。入学試験の受験者は19人減った

 

【大島歯科は5月再開へ】

・閉院した大島地区歯科診療施設について、再公募によって一関市千厩の吉田文和氏(54)への無償貸し付け(5年更新)を決定した

・令和元年7月に閉院した後、市立病院が行ってきた巡回診療の継続が困難になり、施設を活用する歯科医師を公募していた

・昨年11月の公募は応募がなかったが、施設を無償貸与にして再募集していた

・5月の開業を目指している

 

【健康ポイントを見直し】

・市の健診を受けるとクルーポイント500円相当を付与する健康ポイント事業は令和3年度で終了する

・健診し健康教室を対象に令和元年度からスタートしたが、3年で効果が見られなかったことが要因

・今後はAIを活用したデータ分析で受診勧奨する

・健康ポイントは令和3年度で一般会計133万円、国民健康保険特別会計で195万円を予算化したが、令和4年度は食事と健康づくり教室の参加者用などに計15万円だけ予算化した

 

少子化・人口減対策

【令和3年の合計特殊出生率は1.08

・令和3年の合計特殊出生率は1.08だった

・前年は1.17、総合計画の目標は令和8年度まで1.60、12年度までに1.90

 

【0-2歳児の保育料無償化を検討】

・0-2歳児の保育無償化について、菅原市長は「アンケート分析結果から保護者の気持ちは経済的支援に集中しており、低年齢児の保育無償化を検討することは本市の現在の状況を鑑みて適切だと考える。検討に当たっては、第三子以降か第二子以降か、その場合は所得制限を設けるかなどを併せて検討する」と答弁

・令和4年度の保育料収入としては6400万円を予算化している

 

【保育所再編計画の見直し】

・保育所の再編計画について、菅原市長は「出生数が減少している状態が続いていることから、現計画の最終年度である令和5年度を待たずに見直す必要がある。その検討の主な内容は、量の見込みと確保策だが、確保策については公立と民間の役割の考え方は維持しつつも、より民間事業者にシフトし事業者の経営の安定を支援する方向で公立施設の規模の適正化を検討することが必要になると考えている」と答弁

・3月末までの児童数の状況を踏まえて、4月以降に動き出す。令和4年度内を目途に策定したい

 

【マッチングセンターの登録費補助】

・宮城県が開設した結婚支援センターの会員登録料1万1千円を全額補助する

・婚活イベントの支援、新婚生活支援補助金も継続する

 

教育・スポーツ

【新たな小中学校再編方針は】

・新たな小中学校再編計画については、「現計画の先に適正規模を主眼とした市全体に及ぶ学校統合方針を考えるべき状況が進んでいると認識している。現在進めている説明会・懇談会をさらに進め、可能な限り統合を実現したうえで状況を見極め、その後速やかに新たな学校統合のための新計画策定に入る考えです」と小山教育長が答弁

 

【部活動】

・休日の部活動について、令和5年度以降、段階的に移行していくための課題を整理中

・検討組織を立ち上げて文化・スポーツ団体の関係者と協議する

・合同チームが三年続くと廃部にするルールは令和2年に中体連が決めた。教員数も減少して顧問あてられないケースがあり、持続のためのルールとなった

 

【教育サポートセンターの相談30倍】

・心のケアハウス時代の相談件数は年間10件ほどだったが、教育サポートセンターに移行して315件になった。毎日7~8人の児童生徒が来て、3~4人は学校復帰できた

 

【パークゴルフ場】

・年間パスポート代を4万円から5万5千円に引き上げる

・県内で年間パスがあるのは気仙沼以外に1カ所だけ

・年間パス所有者65人のうち1月末まで利用回数が200回以上6人、100回以上46人

・市は回数券への切り替えを提案したが、年間パスを維持することにした

 

【その他】

・スクールバス改善策はまだ検討できていないが、検証しながら研究したい

・新年度は松岩小の体育館屋根を改修するが、次は面瀬小体育館を予定している

・学校給食費は学校ではなく教育委員会が一括して集金する

 

2 Comments

  1. Mr.Peki-chan

    学校の統廃合や休日部活の地域部活動化を質疑していただきました。現在進行形の統廃合議論,その先を見据えておられるのは良いのですが,今までのスピード感では少子化の後追いに終始するでしょう。地域の理解を得るのは困難だと思いますが,人口減を先取りした取り組みが望まれます。地域部活動に関連してですが,何よりもまず「野良部」を解禁して中学生たちが学校外の軟式野球・硬式野球・フェンシング,ジャズバンド,ダンススクール等に専念できるようにすることが第1歩だと思います。ソフトボールと吹奏楽もホワイトタイガースシニアや市吹ジュニアのようなものが立ち上がれば生徒が集まってくるものと思われます。部活の受け皿って,そうやって作るものだと思いますよ。

    Reply
    1. 今川 悟 (Post author)

      コメントありがとうございます。

      急激な人口減少、そして予想を上回る少子化に対して、大胆な政策とともに現実的な対応も必要になってきました。
      移住、人材育成、観光には思い切った予算を投入していますので、今後は少子化対策がカギになると思います。何より若者が流出したまま戻ってこないことが課題ですので、打開策を何とか見つけたいです。

      部活動については、スポーツ・文化団体との話し合いが始まっていますので、行政としての支援策を考えていきたいです。高校進学で部活動のために市外に出る例も目立っているので、地域としての大きな課題であると認識しています。

      保育所、小中学校の再編計画の見直し、県立高校への市としての関わり方など、新年度もいろいろな議論が続きますので、情報発信とともに、議員として新たな提案をできるように研鑽します。

      Reply

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