気仙沼市議会6月定例会のポイントをまとめました。
インフラ
【水道料金を10月から値上げ】
・38年間も値上げしなかったのは、平成13年までは収入が右肩上がりで、震災直前まで安定していた。新月ダム中止によって改定の時機を逸した面もある。代替の水源開発に注力していたときに震災が起きた
・今回の進め方についての反省点は①案の公表から決定までが短かった②審議会で各委員に諮問書を見せずに答申したこと。このほか、審議会の委員が市民や業界の代費用という考え方のもと、市民説明は議決後が標準モデルになっていることが説明された
・逓増制については、「(水産加工などの)競争力を失わないように配慮していく必要がある。答申を重く受け止めて、いろいろ計算してみたい」と菅原市長
・条例の不足に令和8年4月の見直し検討を明記したことについて、水道協会の指導もあり、責任を持って進めるために加えた
・コロナ過での値上げについては、予定より半年遅らせたこと、さらに1年半の緩和策を講じたこと、これが限界。来年4月からの値上げだと、令和10年に現金5億円という目標がマイナスになってしまうので、最悪でもプラスにしたい
・収支想定で令和2年度は2億円の赤字と見込んでいたのに実際は134万円の赤字で済んでいる。その理由は料金収入がプラス4000万円、人件費がマイナス7000万円、経費もマイナス4000万円となったこと。今後は乖離しないように予算を組みたい
・令和8年の見直しへ向けた大まかなスケジュールは年度内に内部的に検討し、議会とも共有する
・大口利用者とは定期的(年1回の頻度を想定)に意見交換したい
【台の沢長平線は年度内完成を目指す】
・台の沢長平線(葦の芽星谷幼稚園前の市道)は、受注業者が作業員を確保できずに令和2年6月から停止状態だったが、契約を解除して残工事の入札を7月に実施。年度内の完了を目指す。地元説明会も考えている
医療・福祉
【市立病院でオンライン面会へ】
・タブレットを用意して、オンライン面会実施へ向けて準備を進めている
・できるだけ早い時期に進めたいが、ルールづくりなどに時間がかかっている
【高齢者グループホームの待機者は107人】
・グループホームは介護保険制度で居宅サービスに位置付けられているため、居住費に対する市の独自支援は公平性を欠くので難しい
・6/1現在の16事業所で21ユニット、定員189人。満床状態にあり、第8期計画の調査では待機者が107人いた。この3年でさらに3ユニットを追加する計画である
・居住費や食費などを合わせた月料金の相場は県内施設で15万円程度、市内だと10万円程度となっている。入居者の約6割が非課税世帯だった
教育
【大島中を4月に統合】
・準備会は7~8回予定。校名変更の可能性について統合を受ける側で説明してこなかったことは反省したい(市教委)
・大島中学校の施設活用は議決後、並行して検討をスタートさせる
※教育総務課長は大島中より新しい大島小の校舎を公民館に改修したい。大島小も統合計画はあるが、地域の抵抗が大きく跡地活用をするのは難しい状況にある
【再編計画】
・統合と施設改修をからめると道を誤るので、建物を理由に統合を進めることはしないように教育委員会に指示している(菅原市長)
【子どもの視力低下】
・小中学生の視力低下の状況は下表の通り
検査年 | 1.0以上 | 0.9~0.7 | 0.6~0.3 | 0.3未満 | |
小学生 | 令和2年 | 56.2% | 14.7% | 17.4% | 11.7% |
元年比 | -6.8㌽ | +3.0㌽ | +1.5㌽ | +2.3㌽ | |
中学生 | 令和2年 | 41.6% | 10.7% | 18.8% | 28.9% |
元年比 | -0.7㌽ | -4.3㌽ | -2.0㌽ | +7.0㌽ |
【タブレットの活用】
・小中学生に1人1台ずつ配備したタブレットについて、4月から本格活用しているが、市教委の学校調査では「毎日活用している」が32%、「週に3~4日活用」が44%だった
財政・市政
【市営住宅の借金82億円を一括返済】
・災害公営住宅や既存市営住宅を建設した時の借金82億円を一括返済する。金融機関に対する繰上償還の補償費1.6億円が見込まれるが、それでも2.4億円分の利子が軽減される
・家賃や交付金を積み立ててきた市営住宅基金が110億円に達したものの、しばらく活用の見込みがないことから、繰上償還することにした
・公開した財政シミュレーションでは、一括返済したとしても令和17年度までに243億円まで積み立てる見込み。その後は国からの交付金がなくなり、改修や解体にお金がかかるため目減りしていく
・シミュレーション結果を見て、菅原市長は「(このほかにも)活用していいことが分かった」と説明した
※この件に関しては後日詳しく説明します
【総合計画の改定とコンパクトシティ】
・コンパクトシティは都市計画マスタープランの見直しの中で具体に検討する。地方部におけるコンパクト化はいくつかの拠点をつくりながら地域、地域で進めるべき(市長)
【年度内に情報化推進計画】
・自治体デジタル・トランスフォーメンションを推進するため、外部人材をデジタル帆参観として登用する
・年度内に情報化推進計画を策定する
【まち・ひと・しごと交流プラザの指定管理料】
・エースポート、駐車場、勤労者体育館の実績を見て算出しているので問題ない(観光課長)
・令和2年度は水道光熱費483万円、電話料55万円、清掃291万円、警備176万円
・電話は1回線だが、不在時に地域開発の事務所に転送するのに20万円かかっている
【廃止施設の備品を一元管理】
・閉校した学校、保育所などの備品の管理は財産管理課で一元的に取り組んでいく
【災害危険区域の課税】
・災害危険区域の固定資産税と都市計画税の特別減免が令和2年度で終了した。津波浸水区域の被災住宅用地は課税標準額を1/6に軽減する特例措置を適用している。災害危険区域の宅地は0.9を乗じたうえで1/6に軽減している
観光
【唐桑ビジターセンターの改修設計】
・唐桑ビジターセンターを宮城県から気仙沼市へ移譲するのに合わせて、県補助金を活用して改修する。本年度は基本・実施設計を行い、令和4年度に改修工事を行う
・建物は昭和59年建築で、躯体はあと30年は持つことが県の調査で分かっている
・宮城オルレ・唐桑コースの発着点でもあり、隣には県のキャンプ場もあることから、内外装を木材で覆うアウトドアの拠点として考えている
・津波体験館の機能は映像で引継ぎ、多目的に利用できるようにする考え
・当初は県が改修してから移譲する予定だったが、国の補助金を活用するために市で改修することにした
・改修費用は数億円で国と県の補助で賄う予定
・隣の国民宿舎唐桑荘跡地は、モンベルの子会社が活用方法などを調査・提案している。その成果をまとめた「気仙沼市アウトドアツーリズム調査業務報告書」によると、拠点施設(ビジターセンター)では情報案内のほかにアウトドア用品のレンタルと販売、体験イベント・ツアーの開催、跡地にはデッキ付きのテントサイトなどの整備を提案した。今後は年度内に方針を決定する予定で、モンベルと連携した事業化が期待される
【半造レストハウスを4100万円で改修】
・昭和40年に建築した半造レストハウスは、内外装を4100万円かけて改修して観光案内と休憩所とする
・ビジターセンターの改修中は唐桑観光協会の仮事務所として使用し、無人の休憩所とする
【漁火パークにコンベンション機能】
・大人数の宴会ができた国民宿舎からくわ荘の解体により、その代替機能を漁火パークに整備する。2階和室と1階トイレなどを3756万円かけて改修して、80人程度が一度に利用できる会場にする
【港町に駐車場90台分】
・観光シーズンの駐車場不足に対応するため、港町の旧海の道に90台分の駐車場を県が整備中
・水産研修センターの駐車場開放についても検討する
【海水浴場にコインシャワー】
・小田の浜、小泉に続き、大谷、お伊勢浜にもシャワー施設が完成する。いずれも当面は直営で管理する
・コイン式のシャワーで3分100円。これで回転率を高める
・4施設で収入は年間510万円、支出は170万円を見込む
・外シャワーは無料
【おかえりモネ効果】
・秋冬には全国的にコロナ収束が期待できるため、反転攻勢としたい(菅原市長)
・秋からはカキのシーズンでもあり、グルメ企画などで誘客したい
・久慈、福島とともに東京交通会館に開設する情報発信センターは初年度で15万人の来場、7500万円の売上を目標とした。地方創生交付金の採択を受けて最長3年間開設予定。プロポーザルで日比谷花壇が受託し、交流企画も提案している
【徳仙丈のツツジで入山料検討】
・施設整備や維持費のめに「入山料を検討すべき」と菅原市長
※入口が多数あるため、徴収方法や費用対効果(人件費)が課題
・森林文化センターの再建は検討会議を重ねており、前広に検討している
防災・復興
・気仙沼向洋高校を指定避難所とすることは県と協議中
・指定避難所となっている学校のカギは保管庫を設置して担当職員以外でも開けられるように検討している
・震災10年の節目で、復興に支援してくれた自治体や団体に感謝状、地場産品、震災対応検証報告書を贈る。約200件のうた39件は市長・副市長が直接訪問する予定