市道整備のお金は大丈夫なの?【一般質問の結果報告②】

気仙沼市議会6月定例会の一般質問の成果報告(後編)です。

前回のブログに続いて、今回は「市民に分かりやすい市道整備の進め方」について報告します。

【完成予定年度が令和15年度??】

質問のきっかけは、復興期間に終わるものとばかり思っていた路線の完成年度が「令和15年度」と示されたことでした。

今年3月に策定された宮城県道路整備プログラムを見てびっくりしました。このプログラムには、今後10年間に県と市町村が計画している規模の大きな道路整備を掲載しているのですが、復興事業だと思っていた5路線の完成年度が最も遅い路線で令和15年度と示されたからです。

※下表が気仙沼市が計画している1億円以上の市道整備などです

令和15年度の完成予定となったのは、田中赤貝線(基幹農道のアーバン付近から面瀬川付近までの740m)、市道港岩井崎線(千岩田から岩井崎の間)です。小鯖鮪立線(新しい防潮堤の上を走るバイパス)も令和14年度の予定として示されました。

【総事業費33億円のうち23億円はこらから確保】

これらは社会資本整備総合交付金という国から1/2の支援を受けて整備しますが、復興枠に昇格できないまま復興枠は令和2年度でなくなってしまったため、これからも通常枠でコツコツと予算獲得しなければならなくなったのです。

この10年間は国のお金でハード整備を進めてきましたが、いよいよ通常期に戻ります。この通常枠で整備する5路線の総事業費は約33億円ですが、令和2年度までに用意できたのは10億円余り。しかも、令和2年度は6.4億円を要望したのに、8400万円の事業分しか認められなかったのです。

それは本年度も同様みたいです。港岩井崎線は令和2年度に続いて令和3年度も交付金を獲得できなかったので、工事が進められないままです。なお、令和3年度は今のところ、小鯖鮪立線と明戸瀬向線で計8239万円の事業費を確保しています。

こうした状況下で、新しい市道整備5カ年計画が9月に完成します。震災前と同じように毎年3億~4億円の予算を用意する考えですが、残っている既存事業もあるため、本当に大丈夫かと心配になります。

詳しくは後半の質問概要をご覧ください。

簡単なことではないので、ともかく地域に事情を説明をしながら進めること、市道整備の計画や進捗状況を市民に分かりやすく発信することを求めました。


2021.6.23 今川悟一般質問

  1. 市民に分かりやすい市道整備の進め方について                

復興期から通常期へと移行するにあたり、市民の関心が高い市道整備について整理する必要があります。復興事業と思われていた市道整備でも、財源が確保できていない事業が浮き彫りとなったからです。現在策定中の市道整備5カ年計画への影響など、次の4点について説明を求めます。

 

【質問1】 社会資本整備総合交付金で整備している市道のうち、市作成の「復旧・復興事業に係る全体図」に掲載したものの、未完成である萱原ノ沢線、小鯖鮪立線、明戸瀬向線、田中赤貝線、港岩井崎線について、その総事業費に対する予算確保の状況、それぞれの完成予定年度を示してください。また、事業を進めるに当たっての課題も説明してください。

 

菅原市長 市民に分かりやすい市道整備の進め方についてお答えいたします。萱原ノ沢線ほか4路線については、復旧・復興事業に係る全体図に掲載はしておりますが、社会資本整備総合交付金の復興枠で認められたものではなく、通常枠に位置づけられたものであります。

整備に係る予算確保状況については、総事業費33億3500万円に対し、令和2年度までに交付決定された事業費は10億4800万円で、交付率は31%となっております。なお、事業費の概ね50%強が交付金として交付され、残りは過疎債を充てております。

次に、各路線の完成予定年度についてでありますが、萱原ノ沢線は令和6年度、小鯖鮪立線は令和14年度、明戸瀬向線は令和3年度、田中赤貝線及び港岩井崎線は令和15年度の完成予定となっております。

事業を進めるに当たっての課題については、令和2年度交付実績で、6億4100万円の要望額に対し、交付決定額は8400万円で交付率は13%となっており、要望額に対し交付額が非常に少ないことから、路線の早期整備完了に向けては、今後とも財源確保の要望が必要となっております。

 

今川 この質問のきっかけは、公表された宮城県道路整備プログラムを見て驚いたからです。復興の予算が使えるので大丈夫と勝手に思っていたので、令和15年度の完成と知って心配になりました。どうしてそんなに時間がかかるのですか。6億円要求して8000万円しか来ないためですか。用地買収はすべて終わったと聞いていますので、あとはお金の問題なのですか。

 

菅原土木課長 宮城県で出しているプログラムは、交付金の配分額が決まった時点での今後の予定を示しています。予算的に厳しくて令和15年度に設定しましたが、国土強靭化などメニューも増えており、今後の調整によっては1年、2年で変わることもあります。

 

【質問2】 令和3年度から5カ年の市道整備計画について、2月定例会の予算審査特別委員会では「5月のパブコメ、6月の策定を目指す」と答弁しました。遅れている理由と今後の見通しを説明してください。また、地区ごとに決めた優先順位に基づく加点について、地区割りの考え方を説明してください。

 

菅原市長 市道整備計画の遅れの理由と今後の見通しについてでありますが、国土強靭化関連予算における都市防災総合推進事業などの活用検討及び、現在進行中の社会資本整備総合交付金事業との調整などにより、事業計画作成に時間を要していることに加え、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため会議等の開催調整を行ったことから策定作業が遅れております。

今後のスケジュールについては、7月に庁内検討会議及び策定会議を開催し、8月から地区住民説明会を開催、その後、パブリックコメントを実施し9月中の策定を目指してまいります。

地区割りの考え方についてでありますが、現在、気仙沼地域の7地区、唐桑地域の3地区、本吉地域の3地区の13地区を前提に進めております。

 

【質問3】 現在進行中の事業は「市道整備計画とは別枠で優先させる」と、2月定例会で答弁しましたが、残された事業の規模が大きく、財源の確保が心配されます。市道整備計画の予算規模は「震災前の年間3~4億円レベル」と説明がありましたが、現在進行中の事業の財源は別枠で確保するということでしょうか。現在進行中の事業と市道整備計画の整理方法について、あらためて市の考えを伺います。

 

菅原市長 現在進行中の事業と市道整備計画の整理方法についてでありますが、進行中の道路改良事業については、社会資本整備総合交付金を活用し事業を進めております。本交付金については全国的に需要が増加傾向にあり、各自治体への交付額が減少傾向にあります。このため、市道整備計画で検討している事業を新たに社会資本整備総合交付金の要望へ追加するメリットは小さく、まずは進行中の事業の早期完了を目指し、新たな路線で同事業を使える環境を作ることが必要と考えております。

市道整備計画路線については、一部、一般財源を含む他の予算を充てる必要があることから、新たな財源として重点的に配分されている国土強靭化関連予算等の活用による事業化を検討してまいります。この予算は時限でしたが、続くことが決まりましたので、新しい市道整備計画では頼りにしたい国の制度と考えています。

 

今川 社会資本整備総合交付金は現在エントリーしている事業が終わらないと次の事業を出せないということなので、他の予算で頑張りたいとのことですが、それでも3~4億円は維持するということですか。

 

菅原土木課長 震災前の3~4億円は年度割りという形にはなりますが、それをもとにした計画と考えています。

 

今川 既存事業で残された事業費は20億円くらいですが、10年で平均しても年間2億円かかります。それ以外に3~4億円となると、市の財政は厳しくなります。道路を優先していくべきか、教育や福祉にお金をかけるべきなのか、市民に状況を伝えて一緒に考えるべきではありませんか。

 

【質問4】 進行中の事業、これから策定する市道整備計画、そして令和3年度から10年間に実施する道路事業をまとめた宮城県道路整備プログラムを網羅する形で、市内の道路整備の計画と工事状況について、最新の情報を市民に分かりやすく伝える仕組みが必要です。情報発信について市の考えを伺います。

 

菅原市長 道路整備計画と工事状況の情報発信についてでありますが、他市町村の事例などを確認しながら、分かりやすい情報発信方法について、今後研究してまいります。

 

今川 気仙沼市も土地区画整理や防潮堤など、復興事業で分かりやすく伝えるための経験を積みました。このノウハウを市道整備にも生かしてほしいです。情報発信はいつごろ始めますか。

 

菅原課長 県内でも2市が取り組んでいますので、内容を見てから時期を考えたいと思います。

 

今川 できれば市道整備計画の策定と合わせて、既存事業を含めた状況を発信してほしいと思います。少し具体的な問題も指摘したいのですが、面瀬から階上の海岸線を走る港岩井崎線は令和15年度という完成時期が示されました。それで困ったのは防潮堤工事によって砂利道になってしまった区間が、予算がついて工事が進むまでは砂利道のままとなることです。漁業者が使う道路で震災前は舗装されていたわけですから、前よりもひどい状態となっています。すぐに対策をとってほしいのですが、いつごろまでに砂利道は解消されますか。

 

菅原課長 防潮堤に伴って盛土する場所もあります。一回に舗装というのは厳しい状況なので、各区間の状況を見ながら、これについては予算確保の関係をもう少し詰めなければならない箇所にもなっています。仮に未舗装の状態であっても、工事等は迷惑にならないように対応します。舗装に関しては何らかのメニューを探したうえでできるだけ早い対応を目指します。

 

今川 地元の方々と話し合ってください。完成まで10年以上かかる田中赤貝線や小鯖鮪立線もですが、定期的な説明会をお願いできますか。

 

菅原課長 事業の進捗と合わせて地元の方と工事の説明、今までの経過と今後の予定についてタイミングを見ながら説明会を開いていきます。

 

今川 説明会のみならず、お便りみたいなもので知らせてもいいと思います。特に用地を提供した地権者は草刈りの心配もあります。

 

土木課長 除草作業は土木課で現場を見て対応します。

 

今川 市で抱え込まず、住民等の協力も求めてください。学校再編も同様ですが、市民への情報共有に努めてください。

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