三陸道が2月16日に仙台市から気仙沼市までつながることになりましたので、今回は新ICや岩手県の状況など三陸道についてちょっとした豆知識をお伝えします。
まずは全体像です。そもそも三陸道とは仙台から宮古市を結ぶ自動車専用道路ですが、最近は仙台港北ICから八戸JCTまでの359㎞を「三陸沿岸道路」と位置付けています、復興道路とすることで、復興予算を投入して整備が加速しているのです。三陸道については過去のブログで詳しく紹介しています。
【気仙沼~仙台は77分で】
仙台港北ICから気仙沼中央IC間が全通すると、所要時間は77分です。これは設計速度をもとに計算されておりますが、設計速度が80㎞でも70㎞に抑えられている区間もあるので、車の流れなども考慮すると実際は1時間半ぐらいになるのではないでしょうか。
2月16日に開通するのは歌津ICから小泉海岸ICまでの10㎞、本吉津谷ICから大谷海岸ICまでの4㎞で、時間にすると国道45号よりも合わせて10分ほど短縮されます。
仙台から小泉海岸ICがつながるので「仙台と気仙沼がつながる」と表現されています。しかし、小泉海岸ICから本吉津谷IC間の2kmの開通予定は平成32年度となっているため、実感として「つながる」のはもう少し先になります。
記者発表資料には、小泉海岸ICから歌津ICまでの三陸道と国道45号の「線形不良」が比較されていました(下図)。カーブの多さをまとめたグラフですが、リアス式海岸の宿命とはいえ、国道45号がいかにグニャグニャしているのかがよく分かります。
【本吉津谷ICの渋滞対策は】
心配なのは、この未開通区間の渋滞です。小泉海岸ICは仙台方面へ出入り、本吉津谷ICは気仙沼方面へ出入りできるハーフインターです。小泉海岸ICはセブンイレブン本吉津谷バイパス店近く、本吉津谷ICはファミリーマート本吉バイパス店近くにできますが、内陸とつながる国道346号との交差点もあって朝夕の交通量が多いところだからです。
特に本吉津谷ICは国道346号と45号の交差点が近く、三陸道側の出口に車が溜まってしまう恐れがあります。
※小泉海岸ICと本吉津谷ICの経路は下記の図面をご参照ください。
【さらに延伸。釜石まで1時間内に】
気仙沼中央IC以北は、魚市場から仙台へのアクセスに便利な仮称・気仙沼港ICが平成31年度に開通予定ですが、そこから仮称・唐桑南ICまでの7.3㎞区間は気仙沼湾横断橋の整備が必要なために開通時期が未公表となっています。気仙沼市としては復興期間内の平成32年度の開通を期待しています。
平成30年度内には仮称・唐桑北ICから陸前高田長部ICの3.5㎞が開通予定で、これで唐桑北ICから釜石南ICまでつながります。釜石南ICから釜石中央までも平成30年度内につながる予定ですので、唐桑から釜石まで1時間足らずで行けるようになるのです。
※仮称・唐桑南、唐桑北ICは下図の通りです
【三陸道のメリットとデメリット】
三陸道の延伸によって、観光客や買い物客が増えたり、高度救命のための搬送時間が短縮されたり、水産物の物流が早くなったりとメリットはたくさんある一方で、通過交通や日帰り観光が増えたり、石巻や仙台へ購買が流れたりと心配な面も多々あります。県の出先機能は三陸道の全通とともに石巻へ集約されることになっていますし、民間の営業所の撤退・縮小の恐れもあります。メリットは最大限に、デメリットは最小限にと目指してはいますが、その対策をもっと話し合う機会が必要です。
宮古と室蘭を結ぶフェリーが運航され始めました。気仙沼周辺の皆さんには便利でしょうし、横断道の整備が進み釜石や遠野の市街地を通らずに花巻から東北道に接続するようになりつつありますが、三陸道で仙台方面と結ばれ、常磐道や東北道に繋がらないことには多くは利用されない模様です。気仙沼BPと津谷BPに2度下りなければならない小泉~唐桑間がネックに残りそうなのは残念…