気仙沼市議会6月定例会のポイント【総集編】

気仙沼市議会6月定例会の総まとめを報告します。印刷用のPDFデータはこちらです⇒2023.6月定例会まとめ

 注目トピック                                   

■亀山モノレールは令和7年度開業へ。山頂の魅力向上も

・亀山魅力向上事業として1億3千万円を予算化。モノレール整備に合わせて、駐車場の拡幅(50台程度)を行うほか、山頂園地施設(テラス・遊歩道・階段など)と駐車場トイレの設計を進める。この施設整備は令和6年度以降を予定

・モノレールの開業は令和7年度早期。トーニチコンサルテントが設計を請け負っており、今年10月には工事公告を予定。すでに地質調査が完了し、ルートは最終調整中

・「亀山山頂のさらなる魅力向上が必要」と菅原市長

・モノレールの運営は指定管理を想定しているが、レストハウスは分割する可能性もある

・菅原市長は「視察を踏まえ必要な施設や既存施設の活用について整理が必要との認識に至り、整理でき次第、実施設計を加速したい。必要な施設とは、乗り場・降りるところ、既存施設というのは、2つのレストハウス。作ると言った中間駅について整理が必要との認識に至、整理出来次第、実施設計を加速させる

・レストハウスは使い道を見直し必要があり、菅原市長は「(モノレールとレストハウス等の)全体の収益がどうなるかで判断することになる」「中間駅が必要かどうか、レストハウスをどうするか考えなければならない」と説明

・山頂の魅力向上へ向けて、テラスや天空ブランコの事例を視察してきた

・適正なタイミングで議会や市民に内容を知らせる

※気仙沼観光推進機構令和5年度事業方針説明会資料

旧大島中学校は1階を公民館、2階をITオフィスに計1.8億円

・旧大島中学校2階(1011㎡)をサテライトオフィス拠点として施設整備する

・工事費、誘致支援業務委託、入居企業のオフィス整備支援(1社100万円)で計9264万   円を予算化

・基本的にIT系だが、サテライトオフィスはITに限らずモノづくりの会社でもいい

・1階(993㎡)は大島公民館が移転する。整備予算は7961万円

・体育館のトイレ洋式化と多目的トイレ整備などは避難所の環境整備として約1000万円を予算化した

・校庭の一部を舗装して駐車場に(公民館とオフィス分合わせて約80台)

・3階の活用方法は今後検討

 子育て・教育                                  

新しい小中学校再編計画へ準備会設置

・小中学校再編計画検討委員会の準備会経費として75万5千円を予算化

・準備会の委員数は20人。学識経験者、保護者、地域代表

・準備会の目的は検討委員会で協議すべき課題を整理すること

・課題として考えているのは「通学距離、通学手段の確保、施設整備、統合へ向けた手続き、現計画の課題と解決策、計画立案までの手続き、体制、各校の現況と課題など」と教育長

・地域コミュニティとの関わり方についても課題とするように求めた(今川質疑)

・7月中にメンバーを選出し、8-9月に1回目、12月末まで計3回予定

・準備会は公開を予定

・職員が先進地を視察する

・検討委員会の設置には条例制定が必要。遅くても2月定例会に提案予定

・一般質問では「次の計画においては、小学校の考え方、中学校の考え方はある程度整理したい」と三浦部長

・菅原市長は「どうしても足の問題がでてくる。そのお金がどうなるのか分からないと議論できないので、どこまで覚悟するか並行して出していきたい」と答弁

 

学校施設の整備計画は新しい再編計画ができてから

・気仙沼中の体育館(昭和34年3月建築)の調査費308万円を予算化

・耐力度を調査し、新築を含めて検討する

・ほかの学校の施設整備計画は、新しい再編計画の進捗を見てから

 

部活動の地域移行へ指導員(会計年度任用職員)配置

・中学校の休日の部活動の地域移行に向け、部活動指導員の報酬と旅費548万円を予算化

・部活動指導員(パートタイムの会計年度任用職員)は10校にまずは1人ずつ、8月から配置。実技指導や学校外活動の引率などを行う

・部活動指導員は教員免許保持者、校長からの推薦者などから市教委が任命

・地域コーディネーターは市総合体育館長

・8月からモデル事業としてサッカーと卓球で週末合同練習を行う

・合同練習会への送迎は原則として各家庭になるため、参加は任意でとなる

・7月上旬に説明して回る予定

 

葦の芽星谷幼稚園の認定こども園化に2.9億円補助

・葦の芽星谷幼稚園(面瀬地区)が認定こども園に移行し、0~2歳児も受け入れるための保育施設を新設するための補助金2億9499万円を予算化。総事業費3億5000万円のうち国県補助を差し引いた事業者負担に対して市独自の補助を追加した

・新施設は木造平屋で500㎡(保育室、調理室、医務室等)。令和6年4月に開園

・定員は0歳児3人、1歳児12人、2歳児12人

・少子化とニーズを踏まえて当初計画から定員を減らしたが、居住地や就業地を考えると、松岩保育所を令和5年度で予定通り閉所しても問題ない

・市の独自補助を「事業者負担の2/3」としたのは、公募の場合の補助3/4と比較した結果

・子育てに重要な施策であると判断し、ふるさと応援寄付基金から4200万円を充当

 

その他

・唐桑小の学童保育(唐桑公民館内)の利用者は23人で、児童の約20%である。中井小と来年4月に統合しても定員40人以内に収まる見込みのため、現施設での対応が可能と判断した

・旧気仙沼西高校の体育館はフェンシング協会の借用要望があり、コロナ禍で中断していた協議をワクチン接種会場としての利用を終えた後に再開する。要望があれば、半分を障害者スポーツ用に借りることも可能。校庭とテニスコートは市教委で借用している

・公民館の指定管理について、他の直営公民館とのバランスもあり、特典として増額できなかったが、具体的な話があれば調整したい。

 

 移住                                        

移住定住支援センターを通して47人移住

・センターへの令和4年度の相談実績は267件。半数がUIターン、2拠点生活に関するもので、センターを通して26世帯47人が移住した

・移住に関する各種事業について複数の機関が運営していることから、菅原市長は「関係性を整理したものが必要で、事業実施団体と検討の機会をつくり、移住事業の効果を上げたい」答弁

お試し移住補助金 民宿、ホテルの滞在費を1日6500円補助。3泊~2週間以内。テレワーカーなど市外在住で移住に興味のある人が対象
お試し暮らし住宅 家具家電の揃った災害公営住宅で気仙沼の生活を体験。2週間~2カ月以内。賃料は水道光熱費込みで月1万5000円
ふるさとワーキングホリデー 2週間~1カ月滞在し、市内の企業で働く。宿泊費として1日5000円を補助。県外の人が対象。

 

地域おこし協力隊の受け入れ団体の公募再開

・県が示す「ミッションタイプ」「フリーミッション」「起業タイプ」のうち、気仙沼市はミッションタイプで活動

・今後もミッションタイプを継続するが、受け入れ団体の一般公募を行う

・令和2年度からは受け入れ団体で雇用する形式に変更

令和5年度当初予算での計画 人材育成プラットフォーム まち大学運営協議会 3人
移住・定住促進 まるオフィス 2人
デザインによる教育支援 ペンシー 1人
生産現場の合理化 モーランド 1人
環境負荷の低減 地域エネルギー開発 2人
水産資源の多角的利用 水産資源活用研究会 2人
DMO構築 地域戦略 1人
探究学習支援 まるオフィス 2人

 

 高騰支援                                     

物価高騰対策に2億円

・新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金2億865万円を活用して物価高騰対策に取り組む。残りは約2100万円で「国県の事業と調整した上で今後補正する」と菅原市長

・復活するホヤチケX(クルーカードを使用したデジタル商品券)は、昨年度は周知に時間がかかったが徐々に浸透した。利用者の3割が60歳以上だった。利用できていない人のため、アプリを入れる支援をしたい

主な物価高騰対策
低所得者の負担軽減

4000万円

住民税非課税世帯、それと同様の家計急変世帯に5000円を追加支給する(計3万5000円へ)。対象は8000世帯。7月から順次支給
福祉施設等への支援金

3466万円

障害福祉サービス事業所、介護サービス事業所定員1人当たり5000~1万2000円、私立保育所・幼稚園に定員1人当たり6000円、医療機関に1施設当たり5万~20万円を交付
事業者の電気料金支援

6098万円

高圧電力を利用する190事業者に対して、使用電気量に応じて1㎾アワー当たり2円(上限100万円)を交付
運送事業者の支援

1107万円

トラック、バス、タクシー、運転代行に対して1台当たり5000~1万5000円を交付する
空き店舗の活用促進

494万円

復旧・復興事業で整備した商業施設内の空き店舗を利用して飲食・小売店を開設する事業者に家賃月額の6倍相当額(上限60万円)を補助する
デジタル商品券配布補助

5200万円

昨年度実施したホヤチケXを発行。小売店での買い物3000円ごとに飲食店で使えるデジタル商品券1000円分を配布する
商店街活性化補助

750万円

商店街や連合会が開催する消費喚起イベントの経費の7割以内を補助する。上限は50万~150万円

 

 インフラ・行政                                 

萱原ノ沢線は令和6年度で工事完了

・道路新設改良事業として3億7924万円を予算化。継続事業の小鯖鮪立線、萱原ノ沢線のほか、喜久ヶ沢線(気仙沼小東側)の改良のほか、赤坂歩道橋(気仙沼駅近く)、学園橋(津谷中近く)、不動橋(落合地区)の補修を予定

・萱原ノ沢線は令和5年度に面瀬中学校交差点への接続部分と面瀬川付近を整備し、令和6年度に新しい橋から市道面瀬川線のかさ上げによるすりつけを予定。令和6年度で全工事が完了する予定

・小鯖鮪立線は令和10年度完成へ着々進んでいる

 

■JR大船渡線の維持に向けた首長会議の準備会は6月末に

・昨年11月に利用の少ない県内6路線全体の活性化を目的に、「岩手県JRローカル線維持確保連絡会議」を設置

・首長会議は路線ごとの課題の把握や利用促進策等の検討を行うため設置するが、JR大船渡線の首長会議については未だ設置されていない。今月末には準備会として、沿線自治体担当課長会議が開催される予定。首長会議やワーキンググループの設置、今後の取組み等について協議する

・菅原市長は「15億円の赤字の根拠が示されていないのはフェアじゃない。ダイヤの工夫など、相手(JR)の努力を見せてもらわないと」と答弁

 

投票率向上へタクシー無料化検討

・10月13日告示、22日投票の県議選から大型商業施設での期日前投票を実施する。これで期日前投票所は6カ所になる

・移動手段がない高齢者等のため、タクシーによる移動支援を検討中。距離、年齢、家族状況などを要件に、投票所と自宅の往復を無料にする考え。投票前に登録することを想定している

 

市民の森の風力発電。「説明責任は事業者側に」

・市民の森の風力発電計画について、菅原市長は「説明責任は事業者側にある」「市としては市民と対話を重ねて不安を払拭するように求めたい」「民間事業者が制度に則って進めており、市がこの段階で判断することはない」とし、環境アセス等の結果を見てから判断する考えを示した

・「西部丘陵地域については、35年前に計画が策定された。一方で、再生可能エネルギーの必要性は、その後の地球規模での要請に基づくもので、関連事業は現在の環境保全のルールの下で行われるべきものと認識している」と菅原市長

 

市道の草刈りの改善方針は年度内に

・市道の草刈りは毎年,延長約15キロメートルを業務委託。さらに市直営で対応しており、本年度から新たに交通量の多い幹線道路や通学路に防草シートを設置する

・他市にアンケート調査中。その結果や庁内情報交換会での意見交換等を踏まえて、道路保護組合の報償金見直しや、ボランティア制度導入等の検討を進め、今年度内に方針を示せるようにしたい

 

その他

・マイナンバーカードの申請率(4月30日現在)は76.3%だった。15歳未満への引き渡しは法定代理人である親権者か未成年後見人の同席が必要で、市は問題を把握して県を通して国に改善を求めているもののルール変更は行われていない

・全国の下水道炭化炉は気仙沼の他に2カ所(長野と滋賀)だけ稼働している

・老朽化した市営住宅の集約について、第2次計画で耐用年数が過ぎた4団地・43戸を解体予定。団地名は公表せず

 

 指定管理施設の報告                                      

パークゴルフ場は料金設定を見直しか

・市パークゴルフ場(階上)は約400万円の赤字を繰越金と運営団体の手出しで乗り切った

・前年度からの繰り越し分は新型コロナで指定管理料を増額(+750万円)した分の残り

・令和4年度の利用者は3万8919人で当初計画通りだったが、年間パスポートの利用者が3割を占めたことで、収入が伸びなかった

・年間パスポートは令和4年度から値上げ(4万円→5万5千円)したものの、年間パスポート利用者(73人)がさらに利用頻度も増えた

・菅原市長は「このままの料金設定や利用ルールでいいのか令和6年度以降に考えてもらうことが予想されるが、指定管理者に負担を負わせることはできない。令和5年度上半期を見たうえで市民か議会に方針を説明することが考えられる」と説明

・料金改定には条例改正が必要になる

 

道の駅大谷海岸は2700万円の黒字

・令和4年度売上は4億8841万円で2741万円の黒字となった。累積赤字は500万円ほど

・令和4~5年度は指定管理料のほかに補助金(5年度で270万円)を出しており、菅原市長は「この決算が続き、累積赤字がなくなれば補助金は令和5年度まで。常態化することはない」と説明

・第三セクターのうち市の出資率が高い道の駅大谷海岸や産業センターについて、菅原市長は「市が中心となって目的を持って創設した戦略的な施設であり、運営面においても市が主導的な役割を果たす必要があることから、現行の関与方針ではカバーしきれない部分が生じることとなり、その対応について検討する」と答弁

 

モーランドも2300万円の黒字

・本吉放牧場はふるさと納税の返礼品として牛タンが人気で黒字となった

・市は従業員への還元、経営強化への充当を期待

・菅原市長は「初めてのことなのでこれでいいのか考えたい」と説明

 

震災遺構・伝承館は5.6万人利用

・震災遺構・伝承館の令和4年度利用者は5万6075人。指定管理料5595万円に対して入館料は2527万円だった

 産業                                      

沿岸漁業の担い手確保は意見交換から

・令和2年度からフィッシャーマン・ジャパン、令和3年度以降は歓迎プロデュースに委託して利用し学校などに取り組み、過去3年で10人が沿岸漁業の担い手として就業したが離職者もいる

・沿岸漁業者の多くが通年雇用できる経営規模ではなく、新規求人を希望する経営母体が限られている

・長期的な支援体制を構築できるように宮城県漁協各支所を訪問し、地域ごとの課題や長期間の受入れ体制など,各地区の状況について情報収集中

・新規就業者が独立して生計が可能となるようにしたい。他地域の先進事例も参考にしながら、まずは関係者一同が現状と課題の整理共有を行う場の設定を目指して意見交換の場を設定したい

 

小田の浜海水浴場の水路問題は年度内に整備方針

・ビーチハウス脇の排水路を廃止し、中小田川に集約することを検討中

・県道交差点内の水路新設や改修が必要で県気仙沼土木事務所と協議中

・住民と意見交換したうえで年度内に整備方針を示せるように進める

 

その他

・ツツジは見ごろが1週間程度ずつずれる田束山、徳仙丈、室根山と連携してPR。開花時期が異なる

・歴史・文化・産業交流都市を締結した和歌山県新宮市とは、2025年でカツオのため釣り漁法が伝わって350年の節目を迎えるため、記念事業の開催に向けて協議する

 

 医療・福祉                                  

市立病院のリハビリ技師確保に奨学金貸付

・高齢化に伴い新設したリハビリテーション病棟で必要な技師が確保できないため、薬剤師、助産師、看護師を対象にしていた奨学金貸付を理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(計55人必要だが11人不足の状態)に拡大

・学生に月5万円を貸し付け、卒業後、市病院に6年間従事すれば返済を免除する

・すでに他の奨学金を借りている場合、返済を年間20万円まで最大5年間補助する

・必要数が確保されている管理栄養士、診療放射線技師、臨床検査士、臨床工学士、視能訓練士、歯科衛生士、歯科技工士までは拡大しないが、今後の医療ニーズと財政状況を見て検討する

 

本吉病院との入院機能集約

・救急受け入れを市立病院に一本化することで、搬送先を調整するための救急車の現場待機時間を減らせると期待している(横田院長)

 

 防災・震災                                       

消防団車両は全89台が古川ポンプ製作所から

・消防団用の小型動力ポンプ付軽積載車4台(納入期限令和6年3月15日)の契約を承認

・古川ポンプ製作所(大崎市)と2829万2千円で契約

・入札には9社が参加した

・消防団保有の車両89台すべてが古川ポンプ製作所から納入。入札は適正に行われている

・車両更新は25年以上経過(走行距離短いため)したものから順次

 

災害援護資金を予定通り返済しているのは半分程度

・災害援護資金(被災者に最大350万円の貸し付け)の申込期限が令和5年度末まで延長されたことを受けて予算措置した。令和4年度の新規貸し付けはなし

貸付状況(令和4年度末)
貸付実績 941件 21億8000万円
全額償還 204件 5億950万円
滞納 155件 1億1986万円

・滞納者には約定変更による少額返済者が含まれていない。実際、当初の計画通り返済している人は半分程度

・滞納者には現況調査を実施しているが、連絡取れない人もいる

・9月定例会の決算報告で少額返済者の状況、現況調査の結果にいても説明を求めた

 


今川悟一般質問 印刷用PDFデータはこちら⇒今川悟一般質問まとめ2023.6.19

1 学校再編と教育環境の充実について                                    

急激な少子化を受けて、保育所や小・中学校の統廃合は加速し、本吉地区の県立高校では定員割れが深刻化しています。教育環境が悪化すれば、さらなる少子化を招いてしまうため、次の3点について質問します。

 

質問1 本市の保育所や幼稚園、小・中学校について、「気仙沼で子育てをしたい」と思えるように魅力を高め、情報発信することが求められています。新たに移住・定住促進の観点で長所と短所を整理したうえで、保育と教育の環境充実とPRに取り組むことを提案しますが、市の考えを伺います。

 

小山教育長 保育と教育の環境充実とPRについては、妊娠期から子育て期において、切れ目のない子育て支援を実施し、庁内関係課が連携した相談体制の整備や経済的支援等を行っており、ホームページや子育て情報サイト「ぽけっと」において、総合的な情報を発信しています。

学齢期の児童生徒に関しては、確かな学力を育成するために、全教員が教えから学びへと、学習者主体の授業づくりに取り組んでおります。また、地域に根差した子どもが世界で活躍するグローバルな視点を持つために、気仙沼ならではの教育として、持続可能な社会を創るESDや海洋教育、未来につなぐ防災教育に力を入れております。

絶えず変化する社会で、自ら考え、行動を起こす主体性と知・徳・体のバランスの取れた児童生徒の育成に向け、授業を中心とした学びの充実に一層注力するとともに、その取り組みを域外に対してもしっかり発信できるよう努めてまいります。

 

今川 今回は新しい小中学校再編計画の再編計画について質問しようと思っていたのですが、補正予算に準備経費が出てくるので、そちらで議論することにして、それ(新しい再編計画づくり)を前提に移住の視点での教育環境について質問を考えてみました。教育長からの答弁でしたが、(移住に関することなので)市長部局側とも話をしたいです。

教育に関しても子育て支援サイトで発信しているということですが、移住定住支援センターのホームページをチェックしたところ、教育環境のコーナーはあるのですが、今年度から始めた小中学校の給食無償化や第2子以降の保育完全無償化がまだ紹介されていませんでした。せっかくやっていることを発信した方がいい。情報発信についてもっと具体的に検討するべきではありませんか。

 

小野寺震災復興企画部長 ホームページは早速点検して修正したいと思います。PRに関しては、首都圏とか関西圏での子育てに関するPRと私たち地方におけるPRは若干趣が異なるので、誰にという対象をある程度は見えていないと、例えば流山のように霞が関まで30分というエリアの中で行われている内容と、気仙沼が誰に向かってPRしていくのかということは同じスタイルではないと思うので、そこは考えながら取り組んでいきたいです。

 

今川 けせんぬま未来人口会議が始まっているので、そちらでも同じようなことがテーマになると思いますので、私の考えを話します。子育て世代を呼び込むために教育環境はすごく重要です。ある調査では、子育て世代の5人に1人が子育てを目的に移住に関する情報収集をしたことがあり、さらにその半数が実際に移住したということが分かりました。部長の言う通り、首都圏から長野や千葉へ移住するのに必要なことと、気仙沼がターゲットとすることが違うのは分かりますが、子育て目的の移住が全国的なトレンドになっているので、考えてほしいなと思って質問しています。

統合計画と絡めて質問したのは、移住先としてのメリットが気仙沼の場合、小さな学校だからこそ少人数で学べるとか、自然豊かな環境の中だから伸び伸びと生きる力を学べるとか、地域コミュニティの中で子育てができることです。これは子育て世代が移住の際に考える三つのメリットと同じですが、学校統合を進めることで失われていくことが心配です。新しい計画づくりでは、大人数で教育を受けさせたいということも大切ですが、気仙沼のメリットが失われないようにしてほしいです。

例えば、この自然環境の中で伸び伸び生きる力を学べるっていうところを見ていくと、どうしても中心部の方に学校が統合していく流れにあるので、しっかり考えなければなりません。地域コミュニティの中で子育てができるっていう部分も、やはり統廃合を進めていくと地域との関わりがどうしても難しくなっていく部分もあります。少人数で学べるところも、なるべく多くの友達と一緒にという思いがあっても、都会から見ると少人数で学べるってことはメリットでもあるっていうことですので、その視点でも考えてほしいです。教育委員会がこれから新しい再編計画づくりの準備会を立ち上げるということなので、そういったことも検討材料に考えてください。

 

三浦教育部長 準備会を今後設置したいということで予算を計上しております。今後の検討になるわけですが、教育委員会としても次の計画においては、小学校の考え方、あるいは中学校の考え方っていうのは、ある程度整理をして、今いただいたような内容についても検討していく必要があると考えています。

 

今川 子育てを目的に移住する際に考えるデメリットとしては、学力や受験への不安、選択肢の少なさと不便さです。それはまさしく統合を進めている気仙沼の理由でもあります。今までは学校と学校の組み合わせでしたが、組み合わせたことによって教育環境は良くなるということをPRできなければ、子育てのために移住してくる方々はなかなか増えていかないと思いますので、ぜひ新しい計画の中では組み合わせだけではなくて、統合したことによるプラス効果、統合先への投資って部分をしっかりしていかないと、子育て環境はますます悪化する一方です。組み合わせだけでなく、教育環境の充実という本来の趣旨に従った新しい計画づくりを考えてほしいと思います。その辺についても考えを伺います。

 

小山教育長 教育はまさに未来への投資です。子どもたちの未来のカギを握ると言うのは言い過ぎかもしれませんが、そういう長い目で見ながら考えていかなければいけない問題であると思います。そういう意味では移住定住につながる部分もそれは多面性の中で考えていかなければいけないことと考えています。私としてはやはり子どもたちの将来のために今何が必要なのかということを改めて真剣にもう一度考え、検討を進めてまいりたいと思います。そういう意味で、教育環境の改善は当然、最重視をしながら考えていかなければいけないものと考えています。

 

菅原市長 次期統合計画のことでは、教育委員会と私は個人的に話をもう2年ぐらいしています。今川議員のいうポイントも今まで教育委員会とも共有してきたところです。新しい準備会が始まって、その次に本委員会が始まるでしょうが、そこで当局の方の覚悟を示さないといけないと思います。それは「足」だと思います。小学校、中学校の特徴によって、先ほど言っていた地方のメリットを生かし、地方のデメリットを減らすということの中で、どうしても足の問題が出てきます。いわゆるお金です。お金のことがどうなるか分からないと多分議論ができなくなると思っているので、そこは我々もどこまで何がかかって、どこまで覚悟するかっていうのは並行して出していかなくてはならない。そういう意味では、今、宮城県市長会だけじゃなくて、すでに給食費の無償化をやっている市町村も含めて、国で給食費の無償化をするという発言を政府与党がしていますので、当たり前のことのように進めてもらうような運動は強く展開していかないと、一方でかかるお金を地方が捻出できないということになってくるので、そういう観点で教育委員会の準備会議がスムーズに進める環境整備を、市の方で遅れないでやっていきたいと思っています。

 

今川 市の覚悟を確認しましたので、よろしくお願いいたします。あと、情報発信の中ではやはり気仙沼の特色のある教育を、外から視点で一回整理した方がいいと思っています。気仙沼市が東北2位に選ばれた「住みたい田舎ランキング」のアンケート項目の中には、例えば森の幼稚園はあるかという項目があり、それは気仙沼にはあるので得点できました。そういった部分でチェックして行くと、気仙沼にできること、できないことってある程度見えてくるので、その視点もお願いしたいと思います。

あと、移住を考える人たちが読む情報誌の中で、気仙沼のユネスコスクールが特色のある教育として紹介されました。鹿折小学校が紹介されたと思うのですが、気仙沼も全国各地のユニークな教育事例として紹介されるくらい、実は面白い先進的な取り組みをしていますので、積極的にPRすることを考えていただきたいと思います。先ほど域外にももっと情報発信するという話がありましたが、もっと情報発信する仕組みを考えませんか。

 

佐々木学校教育課長 今川議員がお話した通り、本市ではユネスコスクールに全小中学校が加入して活動しております。特に海が地元にあるので環境教育を絡めて、海のことを学習している学校も多い状況です。そういった特徴を発信する方法として、これまで宮城教育大学連携センターなどをハブに教員研修等ではだいぶ広く全国規模で発信をしておりますが、今後一般向けにどのような方法ができるのか検討していきたいと思っています。

 

菅原市長 情報発信については、移住者向けということを意識した情報の出し方、出す場所のメリハリをつけていきたいです。まさしくマーケティングであり、セールスなのでメリハリをつけてしっかりとやっていこうという意味では、移住定住支援センターについては、これまでどちらかというとセンターの担当者と同じような年代の人たち分かりやすいように発信しているところが多く、もちろんほかの年代にアプローチしていないということではないですが、やはり家族帯同や子育てが終わったところに対する対応が不十分だと思います。そこは充実していかなくてなくて、実は次の菊田議員の質問にあるのですが、例えば、市民農園がありますっていうのはアピールです。

また、休耕田がありますっていうのもアピールです。それは仕組み化しなくてはいけないのですが、市民農園は仕組みになっていますが、休耕地は仕組みになっていません。そういうようなこともしっかりとやっていかないといけません。さっき47人に移住したと答弁しましたが、実際は何百人も気仙沼市は入って出て行ってます。だからほとんどチェックできていないということです。そこを埋めていくことによって、もっと成果を上げられる可能性があって、その時に宝島社の雑誌等は、ジャンプ台に本当はなったのではないかと、そういう反省をしながら政策を進めたいと思います。

 

今川 午前中の一般質問でありましたけれども、子育て世代の移住は即効性がありますので、力を入れてほしいです。特色ある教育の中で今注目されているのが、感性を大切にする「シュタイナー教育」、子どもの成長を継続的に見つめられる「幼小中学校の一環教育」、これは地方の小さな学校でやりやすく、あと異年齢グループで学ぶことを重視した「イエナプラン」があります。いずれも我々が目指す気仙沼らしさの中で求めて行くもので、特にこの異年齢グループで学ぶのは、まさしく気仙沼が得意としている分野ですので、名前はたぶん違うかも知れませんが、そういったこともPRしていてほしいです。

 

 

質問2 気仙沼市学校教育の在り方検討会議が令和3年6月にまとめた提言書「本市における県立高校の将来像について」では、県立高校再編統合計画で考慮してほしいことも盛り込みました。高校再編について、この提言後の本市の対応と、今後の取り組みを伺います。

 

小山教育長 高校再編について、提言後の本市の取り組みと今後の対応についてでありますが、継続的に県教育委員会と連絡を取り、提言内容である設置学科と35人以下学級の実現、地元において更なる教育機会をつくるための専攻科について要望し、引き続き協議していくこととしております。また、提言内容に基づき、昨年7月に「気仙沼学びの産官学コンソーシアム」を発足しました。今後も、地元企業とのコラボ企画や一般市民も対象とした講演会、探究学習塾の企画を実施し、高校生の学びを支援する体制強化に努めてまいります。

 

今川 この高校再編については、気仙沼西高校の統合議論が始まった平成28年から一般質問で何度か取り上げてきました。昨年9月にも取り上げましたが、時間が足りなくて議論を深められませんでしたので、今回その続きをさせてもらいます。

提言書を県に出した令和3年6月以降に大きな動きがありました。第3期県立高校将来構想の第2次実施計画(令和5~7年度)が、今年3月に公表されたのです。そろそろ本吉地区も再編対象になると警戒していたのですが、そこにはまだ盛り込まれませんでした。次は第3次実施計画(令和8~10年度)が令和7年度に公表予定ですが、いよいよ動きがあるのかなと勝手に想像しています。県教委とは協議しているということですが、去年9月の一般質問では「もし統合に関して新たな動きがある場合は早めに知らせてほしいと伝えてある」という答弁でした。今の話ですと、まだ新たな動きがないってことで確認してよろしいですか。

 

小山教育長 はい。再三にわたって教育長自身が県教育委員会と連絡を取り合っています。現時点で具体的に何かということは、私には話はありませんでしたが、子どもの数の減少と今後の見通し等は県教委もつぶさに研究しており、こちらからも先ほど答弁申し上げたような内容について非常に難しいテーマになりますので、ある程度の時間を要することとして進めていきたいと考えています。

 

今川 数合わせ的に突然統合された気仙沼西高校のようなことはもう避けなければなりません。統合するのであれば、学校の魅力がアップするような統合をしなければならないと、ずっと議論しています。今まで大崎とか大河原の例を紹介しましたが、大崎は検討を始めたのが平成30年で、令和9年4月に再編による新しい学校が開校することになりました。新しい学校をつくるには10年も時間がかかるということです。気仙沼も今から10年後を考えると、ますます子どもの数が減るので、早く議論を始めてほしいとの思いで質問しています。本吉響高校は各学年120人で計360人の定員に対して在籍数は179人ということで、すでに半分以下です。第2次実施計画では1学年3学級規模の場合、在籍生徒数が収容定員の三分の二未満になった場合に学級減を検討するという方針が盛り込まれています。すでに対象になっていると思うのですが、この件に関しても相談がないのでしょうか。

 

小山教育長 実施計画については再編等ということで、第2次には記載がないことは確認していますが、当然、学級減については状況に合わせてあるものと思っています。

 

今川 第2次実施計画では、(1学年2学級の)一迫商業高校と蔵王高校の分校化が盛り込まれていました。子どもの数が減れば分校化という話が出てくるのですが、令和5年度入試は本吉地区の公立高校4校の全日制定員600人に対して出願者が408人だけでした。中学校の卒業者は500人以上いるわけですから、県立高校に進む子どもは100人ほど減る実態が分かります。今後、中学校卒業者は間もなく400人台となり、その後は300人台、そして十数年後には最近の出生数の200人台まで間違いなく下がります。だから早く議論を始めるべきだと私は考えます。県教委からのオファーを待っている状態だと思うのですが、もっと市から働掛けることはできませんか。

 

小山教育長 気仙沼市の方からも待っている一方ではなくて、働き掛けを始めています。ただ、どういう規模感でやっていくのかとか、そういうことはこちらの体制の問題もありますし、まずは個別的な意見の交換あたりからスタートするしかないと思っています。

 

菅原市長 人数が減ることは分かっていることです。先ほど言われたように、学校再編の前にクラス数をどうするかという順番で考えることは、手引きで書いてあります。そのようになっていくと思うのですが、だから急げということよりは、我々の出した提言で私にとって一番大きなポイントは普通高校ならいいのですが、産業高校の場合に学科を新設したりするときに、先生がいないとできないことです。だから来年、この学校をなんとか学科にしてくださいということはできません。そういう意味で時間がかかるし、集めていかなくてはならないし、同じような名乗りをあげるところが他に出てくる可能性もあります。その時に先手を打ちたいっていうような思いも含めて、またその学科が域外からも、自由学区と思いますから、人を呼ぶようなことになるように、ある意味こちらから仕掛けていかないわけですが、我々がつくった提言の段階で何々学科を書きましたが、ものすごく強い確信をみんなが持ったわけではありません。委員さんがこれが将来的に必要じゃないか、だけど今あるのも外せないみたいな、ややデパート的な形になっています。そこら辺は逆に県教委の方が今求められている人材はこういうことだと就職の面で分かっているところがありますし、あの県全体の企業誘致の面でも分かっているし、我々が行いたい企業誘致というのもあるわけで、そういう事を中心に話していくことによって、この話の先手を取りたいと思って、教育委員会にもお願いしています。

 

今川 私も同じ思いです。教育環境の充実と合わせて質問したのは、再編によって教育環境が悪くならないように、できれば良くなっていくためには、新しい学校を建ててもらうと10年もかかるので、議論を早めに始めてほしいです。

 

質問3 市内の中学生や高校生の進路は、本市の将来に大きく影響します。そこで、就職・進学の傾向を把握し、教育環境の整備や企業誘致などの政策につなげることが求められます。学校に協力を依頼して進路情報を収集・分析すること、できれば卒業時アンケートを毎年実施することを提案しますが、市の考えを伺います。

 

小山教育長 中学生、高校生の就職・進学の傾向の把握と卒業時のアンケート実施についてですが、各中学校、高校では、生徒や保護者との教育相談を重ね、一人ひとりの生徒に寄り添った進路指導を行っております。アンケート調査については、以前、気仙沼市学校教育の在り方検討会議で実施いたしましたが、傾向や意識の変化等を把握するためには、長期間に及ぶ調査を要することが分かりました。

中学校卒業者の進路状況は把握できておりますので、高校卒業者についても、把握の方法について、高校と共に検討してまいります。今後も各学校からの生徒情報の収集に努め、必要な施策につなげていきたいと考えております。

 

今川 中高生がどういう進路を選んでいるのかは、高校の再編に当たって重要な情報になります。教育長の答弁ですと、中学生の進路は把握しているとのことですが、高校進学で部活動や学力面を理由に市外に進学している子どもはどれくらいいますか。

 

佐々木学校教育課長 市内の中学校を卒業後、毎年概ね1割の生徒が本吉地区外に進学しています。公立私立問わず、学業やスポーツにおいて高みを目指すために進路を選択しています。地区外への進学は毎年一定数いますが、もともとの生徒数が減少しているので、その割合は微増となっています。

 

今川 500人卒業すれば50人が地区外にということなので、大きな数字だなと思います。高校再編がそういうものを緩和させる政策になればいいと思っています。スポーツや学業が統合によって充実すれば、あえて出ていかなくてもよくなると思います。親にとっても子どもの為とはいえ、経済的に大変な思いをしますので、そういったものがこの高校再編の中で考えられるように、まずは情報収集が必要と思います。

高校生の進路に関する情報収集は、教育だけでなく将来的には特に経済の方に大きく影響します。高校生が選ぶ進路と気仙沼が求める人材、気仙沼の産業に必要な人材、それから企業誘致をするに当たって子どもたちが帰って来るためには、子どもたちが選んだ仕事が気仙沼にあればいいわけですから、最近だとアニメーション系の専門学校に進む子どもが増えているみたいですけれども、例えばそういったものが企業誘致によって気仙沼にオフィスを持ってもらえれば、当然帰ってきやすくなります。そのためにも、どういった分野に、高校生が毎年進んでいって、どういう傾向にあるのかを把握することが大事だと思います。

各高校のホームページを見ますと、どの学校に進んだっていうことは細かく書いてありまして、アニメーション系や美容系とか、いろいろあるのだなとで、これが毎年ちゃんと分析できているかというと、そこは分析できてないと思います。そこを分析して、どういったものが子どもたちの将来の進路で選ばれるようになっているのか、特に産業系もそうですけれども、医療系だと看護師や技師、あるいは保育士とか教員とか、進路の段階である程度決まってくるわけですから、そこを把握して、足りなくなりそうであれば、外から人材を求めていくということが、例えば移住政策で考えられますので、情報を集めてみようという話ですので、それを分析して共有できるかどうかだと思います。その分析の方法とか、あるいはそのデータを市民と共有することについて考え方を伺います。

 

佐々木学校教育課長 気仙沼市の学校教育のあり方検討会でもアンケート調査について以前に話題になったかと思います。子どもたちの進路希望は多岐にわたっており、進路選択の時期や要因は個人それぞれ異なります。検討会議で実施したアンケート調査が一回ありますが、一回だけでは分析を詳しく掘り下げて、傾向をつかむことはとても難しいと判断してました。各高校からの情報収集がとても大切ではないかなと我々は思っておりますので、各学校と相談しながら、政策の立案などに活かせるよう努力してまいりたいと思っております。

 

菅原市長 お話の最初のほうですが、学力を高めようと思って気仙沼を離れる中学卒業生がいることへの対応は、県教委に出した提言に一つ入っています。それは普通科で進学を目指す人が多いといわれている気仙沼高校の普通科を二つに分けようと、より難関校を目指したい人のためのコースをあえてつくることによって、中学生がより勉強するようになったり、成績があまりに幅広い人たちを教えるのではなくて、もう少しターゲットを絞って教えることができるようにした方がいいということを提言に入れました。

もう一点、高校生の進路のことですが、気仙沼高校の同窓会に呼ばれたら、同窓会誌の方にそれが書いてあり、学校名も就職先も全部細かく書いてあり、それは当然のことから、響高や向洋高にもあるはずです。ホームページとおっしゃってましたけど、そのことをつぶさに見ていくということが大事だと思いますし、合わせて、子どもの意識でどのぐらい地域間格差があるのか分かりませんが、全国の高校生が行くべき学校の人数もあるわけで、なんとか専門学校には何人、人口に対して行きました、その宮城県だってできるはずです。そういうことを見ることによって、もしかすると3年後のトレンドが分かるかもしれないと思っています。教育委員会にはそういうような分析をしながら県教委と話していく姿勢を持っていただくようにお願いします。

 

今川 令和2年に地方創生戦略を作る際、高校2年生にアンケートしましたが、毎年の卒業後進路が分かれば、それが一番確実なデータと思います。最後に確認しますけど、分析したものをある程度、議会もそうですけれども、市民と共有していくってことが、これからの市民参加のまちづくりで重要だと思います。生データをそのままではなくても、ある程度の傾向は共有する仕組みを考えていただきたいと思います。

 

小山教育長 先ほど答弁申し上げましたように、やっていきたいと思っておりますが、ただし、当局だけでやるべきものでもないと私は思っております。高校とともにいろいろやり取りをしながら、進めていく必要があるという意味で、先ほどの答弁では高校とともにというふうに答弁させていただいております。

 

今川 そういう意味では学びの産官学コンソーシアムなどの仕組みが出来上がっていますので、ぜひあの進めていただきたいと思います。

 

 

 

2 地域おこし協力隊の今後について                                     

本市で地域おこし協力隊を導入して8年目になりました。重点プロジェクトを中心に隊員を配置することで、復興と地方創生に貢献してもらっていますが、震災から落ち着きを取り戻す中、地域おこし協力隊についても関連事業と合わせて成果を検証し、今後の在り方を考えるタイミングにありますので、次の4点について質問します。

 

 

質問1 地域おこし協力隊の活用方針、成果と課題、今後の在り方について市の考えを伺います。また、現在は市の課題解決に取り組む団体に対して、隊員の受け入れを委託する「プロジェクト参加タイプ」で成果を挙げています。さらなる隊員拡大へ向けて、新たな取り組みを生み出す「ミッション創生タイプ」、高齢化が進む地域の課題など解決する「地域密着タイプ」、技術継承を目的とした「専門家育成タイプ」、起業へのスタートを応援する「起業支援タイプ」、地元出身者が利用しやすい「Uターン促進タイプ」、そして島根県海士町で始まった「大人の留学タイプ」など、受け入れタイプを増やす考えはありませんか。そのためには、まちづくり協議会の活用、新潟県十日町市の一般社団法人里山プロジェクトのような受け入れ団体の育成、そして受け入れ団体の公募再開も必要です。市の考えを伺います。

 

菅原市長 地域おこし協力隊の活用方針、成果と課題、今後の在り方についてでありますが、本市においては平成28年度に制度を導入して以来、地方創生事業や第一次産業の振興、地域ブランド・地場産品の開発など、震災からの復興の過程における主要プロジェクトを中心に、活動内容を示した形で隊員を募集してきました。これは、県が示す「ミッションタイプ」「フリーミッション」「起業タイプ」の3つのカテゴリーでいうと「ミッションタイプ」に該当し、隊員はミッション・プロジェクトの達成を目標に活動しています。

隊員の身分については、制度導入当初は市の嘱託員でありましたが、令和2年度からは任用形態を変更し、受入団体の被雇用者として、隊員の給与、福利厚生等は各団体の就業規則等に基づき、活動していただいているところであります。この間、隊員の積極的な参画を得て、市が目指す将来像に向けた市内各プロジェクトが進んでいるということはまぎれもなく地域おこし協力隊の成果です。一方、最近は学生の休学期間の終了などから任期途中での退任も見られることから、より一層定住率を上げていくことが課題であると認識しています。

このことから、隊員が今後もこの地で就労し、暮らし続けられるというイメージを持ってもらえるよう、活動報告会や隊員交流会等で仲間とつながり、多くの隊員が興味を持つ地域活動の機会を増やすように努め、定住率の増加に繋げてまいりたいと考えております。

次に、地域おこし協力隊募集に係る受入れの拡大についてでありますが、本市では現在7事業のミッション・プロジェクトで隊員に活躍していただいておりますが、今後も基本はミッションタイプを継続してまいります。また、市の将来像に沿った民間や地域団体の活動も活発化していることから、その分野については、かつて行ったように受入団体の一般公募を行い、更なる隊員の募集を進めてまいります。

 

今川 最初に確認しますが、この地域おこし協力隊は特に上限が定められてはいないと認識しています。特別交付税措置がされる制度であり、県内ではもう30人、40人規模で隊員を雇用している町もあります。そういうことを考えて、もっと気仙沼が増やせる可能性があると思っているのですが、人数についてどういう考え方を持っているのですか。

 

小野寺震災復興企画部長 上限はありません。戦略的にこの制度を使っている市町は全国にはあります。100人を超えるところはどうかと思いますが、60人、80人いるところもあります。この地域おこし協力隊については、その財源については特別交付税の方に算入ということになりますが、特別交付税は必ずしもその人数かける上限金額で算定されるというものではなく、人数を増やしたから、その分、確実に来るという保証がありませんので、市の財政と相談しながら適切に人数を確保していくか検討しながらやっていきたいと思います。

 

菅原市長 私が気にかけているのは、お金と人数のこともそうですけど、結果、人数のこともありますが、都合よく使ってないかということです。元々の地域おこし協力隊のタイプはこうではありませんでした。農業をやりたい、漁業をやりたいという人たちがいきなり農家や漁師になれないところを橋渡しした制度でした。

それが本市も典型例かもしれませんが、まちづくりにお願いをして、非常に効果があったということで、総務省もそれがいい例として取り上げて、それをどんどん使った町があります。我々はそれはありがたいのですが、その人の人生は、その人のご自身のリスクではありますが、しかしながらまちに呼んでおいて、その人たちが30代、40代になった時に、どうしてこのまちで暮らせるか、形が描けるのかっていうことを同時に考えていかなくてならないと、常に私は自問自答して、なかなか答えがでない中で、頑張ってもらっています。ですから、ここから市内でこういう風な暮らし方ができて、都市部にいるより良かったなっていうモデルケースを1人でも2人でもつくっていくことによって、自信を持ってそのほかの人たちを誘って行きたいと考えています。

 

 

質問2 プロジェクト参加タイプを中心としているためか、隊員の顔や活動が市民に見えにくくなっています。居住する地域のまちづくりやイベントに参加することで、知り合いが増え、定住につながることも期待されます。地域コミュニティにつなげるための仕組みづくり、地域ぐるみのサポート体制構築など、定住へ向けた支援策について、市の考えを伺います。

 

菅原市長 地域おこし協力隊の地域への浸透と定住に向けた支援策についてですが、気仙沼まち大学運営協議会において、隊員同士の活動報告会を開催し、お互いの活動を知る場を設けることで、その後の交流が生まれております。この交流をきっかけに市内で開催されるイベントや地域活動などを隊員間で共有し参加する事例もあり、このような機会を多く作ることで、地域との交流、まちづくりの参画にも繫がっていくと考えております。今後とも地域団体の活動やコミュニティで開催される行事への参加を促してまいります。

また、その参加を通じて、隊員と地域との関係性が広まり、地域ぐるみのサポートに繫がっていくことも期待するものであり、市としては隊員の受入団体にその機会創出への協力を呼び掛けするとともに、関係するまちづくり協議会等に声掛けしてまいります。

 

今川 震災ボランティアを経験した若者が移住をしてくれたことで、地域おこし協力隊に頼らなくても、移住者が増えた時期がありました。しかし、時間が経ってきますと、そういった方々も減ってきて、いよいよ移住に力を入れないと、若者は簡単に移住してくれないだと思いました。地域おこし協力隊も全国でやっていますから、気仙沼だけではありませんので、魅力を高めていかないと集まらなくなります。実際、気仙沼市も募集しても集まらない事業が増えてきていると伺っております。

そこで今回提案したのが、新たなタイプっていうことで、今まではミッションタイプということで既存の事業応援してもらうということで助けてもらっていました。しかし、市長がおっしゃったとうり、都合よく使ってなかったかってところでは少し反省が残るのではないかなと思います。そこで協力隊になりたい方々がやりたいことを応援するため、3年間は報酬が出ますので、その中で生活基盤を作ってもらって起業するなり、あるいは自分がやりたいミッションを自分でやってもらうなりってことが、本来の制度になるのではないかなと思って今回の提案をしております。

さっきの答弁だと、やっぱりミッションタイプをしばらく継続していくってことでしたので、そこにこだわる理由と、受け入れ団体がないとこの新たなタイプは難しくなっていくと思いますので、受け入れ団体の育成というところが重要だと思います。そこのあたり、もう少しの考え方を整理して伺いたいと思います。

 

小野寺部長 基本的に今のやり方、受け入れ団体があって、その団体に隊員をお願いして、受け入れ団体が持っている市が目指す将来像と合っているミッションに貢献をしていただきながら、自らの起業であったり、あるいは就職、身の振り方を3年間考えてもらうということは非常に良いやり方と私たちは思っております。議員ご提案の一般公募も最初の質問でありましたが、当然ながら将来像に向かう事業でなければなりませんけど、受け入れ団体が手を挙げていただいて、そこに隊員をお願いすると、こういう形は今後、もう一回の考えてみてもいいかなと思っておりますので、検討させていただきたいと思います。

 

 

質問3 震災後に始まった移住定住支援センター、お試し移住補助金、災害公営住宅を活用した移住体験、宿泊費等を補助するふるさとワーキングホリデー、ローカルベンチャー推進事業、漁師学校、気仙沼まち大学構想、そして新たにスタートするマルチワークのほか、地域づくりを応援するための地域活性化支援員、起業を支援するチャレンジオーナー制度や創造的産業復興支援など、地域おこし協力隊に関連する事業は多岐にわたります。さらに、総務省も隊員増加に向けて、地域おこし協力隊にお試し制度とインターン制度を創設しましたが、本市ではまだ利活用できていません。そこで、観光や教育と同じように推進組織を設立し、これらの事業を移住者目線で分かりやすく整理し、効果を最大限発揮できるようにすることが必要です。市の考えを伺います。

 

菅原市長 移住者目線での移住・定住施策の整理とその効果についてでありますが、震災後に様々な移住・定住施策の事業をきっかけとして、20代、30代の若者を中心に市外から本市へ転入し、企業等への就職や個人での起業、地域おこし協力隊員としての地域貢献など、各セクションで活躍されている現状を見るにつけ、移住者がもたらしてくれる効果は大きいものと捉えております。

一方で、移住に係る相談や体験の流れ及び支援については、都度の事業新設で、結果として多くの事業を複数の機関が運営することとなり、その関係性を整理したものが必要であることは認識しているところであります。今後、事業実施団体とも検討の機会をつくり、移住事業の効果を上げられるよう取り組んでまいります。

 

今川 十日町市の里山プロジェクトのような団体が一般公募に手を挙げて、その中で隊員がある程度やりたいことを実現させるって仕組みができあがる。そういった方法で今の話が解決すると確認したいと思います。

この地域おこし協力隊ですが、お試し協力隊とかインターン協力隊が生まれてきて、ますます複雑になってきているなと感じています。市長がおっしゃった通り、その人の人生を背負うような気持で協力したいと思っていたのですが、一方でお試し制度ができてきて、あるいは海士町で始まった大人の留学タイプは、まさしくお試し的な内容ですが、地域に入るきっかけづくりという部分でこの制度ができたみたいです。そこを考えてみますと、気仙沼市がやっているお試しや体験は、災害公営住宅を使った体験は、これに近いような部分やっていると思います。

最後に言いたかったのが、その制度を整理して、例えばこの地域を知ってみたいっていうところから気仙沼に入ってくる人もいるし、明確にこんなことやりたいっていう人もいると思いますし、あるいは市が募集しているミッションの中で、これに関わりたいって人もいるので、多様性を持ってほしいです。地域おこし協力隊も移住者を受け入れる仕組みの一つですから、地域おこし協力隊に向く人もいれば、お試し移住に向く人もいるし、ワーキングホリデーに向く人もいますので、この制度を整理して、どういうタイプの人はこの制度がおススメですよみたいなことをひと目で分かるフローチャートみたいなのがあったらいいなと私も考えました。整理してくださるってことでしたので、もっとわかりやすくしていくってことを最後に確認したいと思います。

 

菅原市長 ある程度数をこなすというか、いろんな人の話を聞かないとどう整理していいかが分からないという状態だと私は思いますので、どういうタイプの人がいて、どういう受け皿を作ればいいのかっていうことを少し勉強しないといけないなと思います。それは、他のまちを見ればいいだけでもなく、実際来ている人たちからのヒアリングが随分大きな意味を持つかもしれないなというふうにも考えていますので、我々の地域おこし協力隊の活用だとか、ふるさとワーキングホリデーだとか、お試し移住の質だとか、確率を上げるための作業したほうがいいよっていう話だと思いますので、そこは整理したいと思います。

 

今川 けせんぬま未来人口会議の方でそういったことも議論されているのかなと期待しております。制度が震災後にいろいろ出てきて、整理するタイミングがなかったのかもしれません。ここで一回立ち止まって整理した方が良いのかなというのが、今回の話しでした。推進組織の部分で答弁があったかどうか確認しますが、観光推進機構、教育の産官学コンソーシアムのように、整理をするために皆さんが集まれる会議体がないと、なかなか難しいと思いますので、そこはもう少し確認させてもらいます。

 

菅原市長 簡単に言うと、なかなか手が回らないなぁというのは、今川議員が一番感じられていると思います。どのように手を回すかっていうことをまず考えたいと思います。

 

今川 今回の質問は、全般で子育て世代が移住しやすい気仙沼という部分を考えて設計しました。特に子連れで移住したいっていうところで考えると、ミッションタイプだと難しいのかなと思います。のんびり生活をしたいという方にとっては、このミッションがあることによって地域おこし協力隊のハードルが上がってしまいますし、例えば農業をしたいという人も、子育て世代の多いと思います。そういったところを整理していただきたいと思います。気仙沼の魅力を高めることは、気仙沼に住んでいる人たちの誇りを高めて、ここに住み続けたいと思うようになっていくと思います移住政策に力を入れるということは、結局は定住の方につながっていくということになります。次回以降もいろいろ確認を進めたいと思います。これで質問終わります。

 

 

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