気仙沼を真剣に思う人のための最新情報【6月議会報告】

気仙沼市議会6月定例会のまとめ作業が終わりましたので、そのポイントを報告します。

補正予算の詳しい内容は添付資料をご覧ください⇒補正予算説明資料 補正予算説明資料(追加)

追加資料で残された復旧・復興事業の一覧を提出してもらいました。⇒気仙沼まちなかエリア未来ビジョン 残された復旧・復興事業の進捗状況


亀山モノレール

【9.9億円の整備計画】 説明資料は市議会HPへ

  • 亀山園地整備事業として2024年度までの3カ年で9億円を計画。地方創生拠点整備交付金(上限10億円)で1/2の交付を予定している
  • 2022年度分の交付金採択を受け、6月定例会に8億円の予算を計上した。市負担分のうち1億8650万円は過疎対策事業債(交付税措置率70%)で一般財源から707万円を手当てした
  • モノレールだけでは交付金の対象にならないため、第1・第2レストハウスの整備と組み合わせた
  • 本年度はレストハウスの改修設計、駅舎の設計と建築主体工事、亀山駐車場からのアクセス手段(モノレール)の設計と伐根と造成工事を予定。2023年度にモノレール整備に着工し、2024年度は看板設置などだけで早々に供用開始させるスケジュール
  • 緑の保全と植樹については、環境省から許可を受けるに当たっても指導された
  • 復興予算が認められなかったため、地方創生拠点整備交付金は唯一使える財源である。首相にまで要望し、復興庁に後押ししてもらった経緯もある。先送りすれば(シャトルバス運行や交通誘導員配置などで)毎年2000万円以上かかる

 

【亀山駐車場からのルートとした理由】

  • 事業化の前提は年間を通じて安定営業が見込めることであり、アクセス手段は天候に左右されがちなリフトやゴンドラではなく、モノレール一択と判断した(菅原市長)
  • モノレールは亀山駐車場から山頂付近まで433mを15分で往復する。20人乗り2両編成でピストン運行する計画
  • 亀山リフトがあった麓(浦の浜)からのルートは全長900mでモノレールだと往復30分かかり、1時間で80人しか運べないため断念した。仮にレールの複線化や車両数を増やすにしても、整備費が倍増することになり、持続的かつ安定的な事業運営は見込めない
  • 亀山駐車場からのルートだと1時間で160人(15分×4往復×40人)の輸送能力がある。麓からのルートは地権者(11人)に確認するまでも至らなかった
  • 定期船があったときは麓からのルートが合理的だったが、橋ができてからは観光客のほぼ100%が車で訪れることから状況が変わった。麓からのルートだと新たに駐車場用地も確保しないとならない
  • 「事業化が見込めるのは唯一、亀山駐車場からのルートであると確証を得ることができた」と菅原市長

 

【運営主体に目途】

  • 観光事業者などに調査(18者回答)した結果、亀山駐車場からのルートが妥当とする意見がほとんどだった
  • モノレールは公設民営を目指し、調査で運営に関心を示した民間事業者と協議を続けている。今年度上期に運営候補事業者の先行、運営計画の協働立案、整備方針の協議、下期に運営候補事業者の決定、設計の協議を予定。2023年度に運営計画を策定する

 

【運営経費は年2600万円と試算】

  • 年間利用者6万人の想定、往復500円の料金設定については、回答者の約半数が「適切であり、十分可能性がある」「可能性はある」と回答
  • モノレールの年間維持費は2600万円と試算
  • 市と運営事業者のリスク分担の在り方を整理したうえで、運営事業者は公募を検討する。公募が原則だが、市も運営に参画するケースも考えられる
  • 赤字になった場合の対応について、現段階では運営事業者候補との協議には至っていない。今は年間2600万円の経費をもっと下げられないか協議している。マイナスにならないようにとことん突き詰めたい(菅原市長)
  • 往復500円の料金を含めて「もう一段の調査が必要である。直営は考えていないので、市全体のために一肌脱ごうとしてくれている運営事業者が参入できる範囲で進めないといけない」と菅原市長

 

【進め方について】

  • 無条件で運営を引き受ける事業候補者は無く、丁寧に話し合いを重ねてきた結果、地域への説明が遅くなった
  • 運営候補者の光明が見えたことから、説明内容について候補者と調整した上で、市が7/6午後6時30分から大島総合開発センターで説明会を開く
  • 事業者がどう考えるかであり、「説明会での意見は聞きっぱなしになる」と菅原市長。「市の土地に整備するため、住民の利害に直接関わらない」「一番は成功することと早く進めることである」

 

人口減少対策(施政方針)

【市民会議を年度後半に設置】

  • 人口減少への対応は、行政・産業・子育て世代など、皆が関わって社会全体で取り組む必要性がハッキリした
  • 本年度後半には全体の状況と課題を共有し、市民全体で解決策と各々の役割を考える市民会議を立ち上げたい
  • 本年夏から秋にかけ、設立準備会を官民により立ち上げ、その準備会の中で、中心的役割を担う委員の選出方法や分科会の在り方、ワークショップの活用等を検討し、本年度後半に設立したい
  • SDGsの市民会議も年度後半の創設を考えている。二つの市民会議を一つにするかなどを早急に検討する
  • 人口減少社会において行政サービスの維持・向上を図るためには、地方ならではの豊かさを維持しつつも行政の効率化を可能とするまちの在り方や姿を求めることが必要と考える。あらゆる分野でこの視点による事業の方向性の模索や検討を進めていきたい
  • 子育て支援は、第2子・第3子以降の低年齢児の保護者に対する経済的支援策を総合的に検討する

 

【移住相談は177件】

  • 昨年度、市移住・定住支援センターMINATOに寄せられた移住相談件数は177件で、うち8割超の148件がIターン希望者からの相談
  • 移住相談者の主な関心事は住まいの確保であり、収入と比較して市内の家賃相場が高いことが課題の一つ
  • 令和2年度より、災害公営住宅の空き室を活用し、本市への移住を希望する方が定住のための住居を探すまでの間、原則1年間入居できる「移住定住促進事業」を実施し、昨年度末までに19名が利用。入居に係る家賃は月約1万3千円で、世帯の所得・同居要件はなく、移住者にとっては定住へのステップとして住まいの確保の一助になっている事業であり、既に退去された8世帯のうち、5世帯が市内への定住へと繋がっており、一定の成果が出ている

 

まちなか再生プロジェクト

【市役所移転へ向けたまちづくりスタート】

  • 市役所移転後の跡地活用策や三日町・八日町地区から内湾地区にかけての振興策については、「まちなかエリア未来ビジョン」をもとに民間投資の呼び込みを基本とする新手法を模索する
  • 補正予算5870万円は、社会実験、交通量調査、情報発信、広場の改良などを予定
  • 3年間で2億円の事業費を計画。財源の1/2は国の地方創生推進交付金
  • 1号公園は9月末までに完成予定
  • 魚町防潮堤の施工ミスの際に県が約束して地域振興策は年に1回の懇話会で相談中

産業・観光

【唐桑半島ビジターセンターを改修】 説明資料は市議会HPへ掲載中

  • ビジターセンターの改修と国民宿舎からくわ荘跡地の利用を包括的に検討した
  • センターはオルレ、トレッキング、キャンプの拠点として改修して令和5年4月の供用開始を目指す
  • センターのようやくレイアウトが固まってきた。キャンプ用品は販売せず、消耗品や食材を注文に応じて調達するようにしたい。軽食提供は許可が難しくて断念した
  • キャンプ場の整備手法や財源は検討中

 

【本吉モーランドに牛タン加工施設】

  • 年末のふるさと納税シーズンに間に合うように整備する
  • 牛タンは輸入して初年度の生産は5000㌔、1億円がMaxと見ている

 

【十八鳴浜までのアクセス道と駐車場】

  • アクセス道の100m区間で境界確定できずに着手困難となっている。所有者と引き続き交渉していく
  • 駐車場は近くの県道に予定。9月議会に予算を計上して年度末の完成を目指す。トイレは仮設が精いっぱいだ

 

【水産】

  • サケの不漁に伴い、原因究明と増殖事業への支援を国県等に働きかけるとともに、養殖事業に意欲ある事業者の出現を促し、実現に向けた支援をする
  • 魚市場南端と商港北端を結ぶ新しい岸壁をできるだけ長い範囲で7.5メートル深の大水深岸壁を確保する形で整備することであり、県事業として前進するよう本市の役割を果たし、巻き網船の大型化に対応するとともに、将来にわたって誘致する漁船や漁業種の幅の確保に努める

 

【気仙沼ビズの相談813回】

  • 気仙沼ビジネスサポートセンター(気仙沼ビズ)は、本年5月末までの1年間で、計202事業者から813回の相談に対応してきた
  • 「事業全般に関する相談」として、自社の強みや課題、今後の事業展開の方向性などを整理するために訪れた相談事例が53%と半数以上を占め、次いで、「インターネットやSNSなどを活用した情報発信に関する相談」、「新商品開発に関する相談」、「販路拡大や集客増に関する相談」などを受けてきた
  • 相談においては、自社の強みを明らかにしていくとともに、セールスポイントを活かした新商品の開発やターゲットを絞った情報発信・広報戦略などの支援を行うことで、なるべくお金をかけずに売上向上を図っている
  • 1年間でテレビ、新聞、ネットニュースなどで気仙沼ビズが支援した商品が取り上げられた実績は、累計で120回に及んだ

 

新型コロナ対策

【リフォーム補助に追加予算】

  • 100件の募集に1日で172件も応募があったため、不足分の予算を追加した
  • 国の方針に合っているか根拠が最も薄いと思っていた。家庭の感染症対策にはつながっているが、建設業者の売上が減ったか検証していない。9月に受け付ける50件の枠に商品券に代えることにした
  • 応募が殺到する可能性が高く、受付のルールを決めたり、抽選にしたりするかなどを検討する

 

【ホヤチケを追加】

  • 昨年度は188店が参加(1店190セットまで)
  • 飲食店以外にも業種の幅を広げる
  • 当初予算分で6000万円分を計上していたがスマホアプリの開発が遅れたため、早くても10月からのスタートになりそう。追加の3000万円分は紙ベースで早めにスタートさせる
  • 1人5セットまでを上限とする
  • 小売店、飲食店、市民それぞれにメリットがあり、一般的な割増し商品券より消費効果高い

 

【その他】

  • 無料検査所は月500件台の利用があり、1%弱に陽性の疑いがあった
  • 陽性者50人のうちホテル療養と自宅療養が半々で、入院するのは0~1人

 

医療・福祉

【市病院事業経営強化プランを策定】

  • 総務省が公表した公立病院経営強化ガイドラインにもとづき、2病院間の連携強化と機能分担を推進するため、気仙沼市病院事業経営強化プランを策定する
  • 病院事業の理解と医師確保につなげるため、転勤警察官を地域で歓迎する警察官友の会のような組織設置を市と民間共同で検討していく

 

【医師会附属准看護学校の閉校へ向けた対応】

  • 市立病院の高等看護専門学校がこの地方で唯一となるため、その継続が何より
  • 希望者減を受けて、指定校枠を近隣地域の高校へ拡充することを検討したい

 

インフラ・公共交通

【バス運行の負担を3割削減へ】

  • 第2次気仙沼市総合交通計画を年度内に策定する
  • デマンド型交通などの新交通体系の導入、交通結節点を活用した市内交通網の再編整備に取り組む
  • 8億円にも及ぶバス運行への行政負担は2026年度(令和8年度)までに3割削減を目指す
  • ジャンボタクシー等を利用した予約制のデマンド交通の導入を検討している
  • 特に、松岩・面瀬地区及び唐桑地域で現在、民間企業の支援などを受けながら、地域の実情にあった公共交通の在り方を検証するため、デマンド交通などの実証実験に向けた協議を先行して進めている
  • 市内交通網の再編整備については、利用者数と輸送車両のミスマッチや市内循環バスと他のバス路線の運行区間が重複するなど、効率的な運行に課題があることから、BRTを基軸としながら、市内中心部は循環バスに集約し、各方面から交通結節点までは路線バスやタクシー等を利用する新たな交通体系への再編を検討している

 

【小鯖鮪立線のトンネル整備】

  • 2023~2025年度で道路改良して一部供用したい
  • 全線開通は2028年度を目標としている

【災害公営住宅の特例措置の継続を検討】

  • 災害公営住宅の家賃低減化事業の今後の在り方を検討していく(施政方針)

 

【下水道はあと2年で整備完了】

  • 公共下水道は計画区域内の管渠整備を2025年度までの完了を目指す
  • ストックマネジメント基本計画は年度内に策定する

 

教育・子育て

【小中学校再編計画の見直し】

  • 適正規模を主眼とした市全体の計画を
  • 専門家をまじえた関係市民と議論へ
  • 期限は決めないが、時間的余裕があるとは思っていない
  • (小山教育長答弁) 児童・生徒の推移見通しから、現計画の先に、適正規模を主眼とした市全体に及ぶ学校統合方針を考える必要があると認識しております。小学校では地域ごとの歴史的な背景や通学距離を考慮しながら、中学校では適正規模実現のための大括り化等、方針策定にあたって検討すべき事項は多岐にわたります。策定には専門家を交えた関係市民における相当の議論と高い見地からの覚悟が求められます。現段階においては、新たな統合計画に移行する時限は決めてはおりません。時限をお示しすることが、第3段階の実現に影響を及ぼすことから、現計画実現に全力を尽くし、しかるべき時に状況を見極め、その後に有識者や市民を交え、新たな統合計画を集中して検討することが適切であると考えております。

 

【新面瀬公民館は年度内に設計着手】

  • 面瀬公民館建設委員会を地域とともに設置し、今年度中に設計業務に着手できるように進める
  • 地域住民や団体の地域活動の拠点となる公民館の多機能化、まちづくりセンター化は、地域の機運醸成が図られたところから実行する

 

【保育所再編計画は年度内に見直し】

  • 計画の見直しにあたっては、現計画の、公立、民間の役割の考え方は維持しつつも、より民間事業者にシフトする方向で、民営化を目指す施設の明示や支援のあり方、公立施設の規模の適正化、小規模保育所の閉所、認可保育所から認定こども園への移行などを盛り込む予定としており、引き続き市内の民間事業者との意見交換を重ねながら、本年度中の改訂作業完了に向け検討を進める

 

【部活動の地域移行】

  • 市内中学校10校に、運動部は9種目、男女別でカウントすれば13種目あり、文化部は全て男女別のない3種目があります。学校単位で見ると、男女別カウントで多い学校で12種目、少ない学校でも7種目設置
  • 生徒数の減少により単独でのチーム編成ができない種目もあり、今年度の地区中総体では、団体競技において野球で2チーム3校、女子バレーボールで1チーム2校が合同チームで参加
  • 地域移行については令和5年度から、まずは運動部活動について可能な種目・地域での実施を目指す。令和7年度末までの全体移行を目標とする

 

【その他】

  • 小中学校の給食費を完全無償化にするには年間1億円かかるため、国としての対応を要望していく
  • パークゴルフ場は利用料金制であり、3年の推移を見て検討する
  • 第3期気仙沼市教育大綱を今年度中に策定する

 

行政・財政

【人口減少に対応した公共施設】

  • 公共施設の延べ床面積は2021年度末で85%削減した
  • 25%削減の目標達成へ向けて施設類型を超えた集約化や複合化、統合、廃止、払下げなどを検討する
  • 地区集会施設で検討することにしていた「自治会への譲渡」は現実的でないので修正する
  • 社会教育系施設の長寿命化計画は7月の完成を目指す
  • 公共施設の利用に関する基本方針に基づいた料金見直しは今年度中に各施設の料金改定時期などの方向性をまとめる

【その他】

  • 過疎債はハード分9億380万円、ソフト分1億660万円となった。上限いっぱい予算化しており、あとは執行残しだいとなる
  • 復興交付金事業、復興予算をもとにした復興枠事業は2022年度に事故繰越が最後で、年度内に完了しなければ復興予算事業としては打ち切りになる。その後は市の負担が大きくなる。防潮堤事業では蔵内、大谷、石浜、神止浜、岩井沢の5地区で事故繰越となったが、「今のところ順調に行っているので打ち切りは想定していない」と産業部長
  • 公共工事の入札方式として、価格のみならず、企業の施工能力や地域貢献度を評価する総合評価落札方式について、令和四年度中の導入を目指す
  • 国家公務員に準拠することを基本に、令和5年度より、定年年齢を60歳から65歳まで2年に1歳ずつ段階的に引き上げていくほか、役職定年制や、定年前再任用短時間勤務制の導入、情報提供・意思確認制度の新設などを盛り込むこととしており、9月議会に「職員の定年等に関する条例」の改正議案を上程する予定

 

防災

  • 震災遺構・伝承館は2023年度で指定管理期間が終了するため、更新へ向けた協議を2022年度から始める

 

【最悪の津波想定】

  • 県が公表した最悪の津波浸水想定について、防潮堤の海側に避難を促す津波注意報、災害危険区域を基本とした津波警報、それ以上の避難対象となる大津波警報を整理して説明することから始めたい
  • 8月に県が予定している津波対策ガイドライン見直しの後に、地域防災計画の改訂を行うとともに、津波避難の指針を取りまとめた上、住民や企業等による地区単位でのワークショップを実施する
  • 今後の訓練は最大クラスの想定をもとに実施する。この法律に建物建築への制限はないこと、避難場所と避難所の違いも整理したい

 

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