高校再編に踏み込む覚悟は【一般質問の報告】

気仙沼市議会2月定例会(2/5-3/5)のまとめ作業が終わりました。

いつも定例会が終わると、メモを整理し、不明な点は担当課に再確認して、一般質問の録音データから文字起こしをして、議会だより用の記事を書いて、三陸新報の折り込みで面瀬地区に配布する議会報告チラシのまとめをします。そしてホームページに掲載するという流れです。

このルーティン(決まった手順)のおかげで、データが蓄積されています。

【保育所再編計画の見直しを】

話を戻して、今回は一般質問の成果について報告します。

今回は①面瀬地区の保育所計画が中止となった影響

②県立高校の再編議論へ踏み込む覚悟

③地元優先の入札制度

について取り上げました

面瀬地区の保育所計画については、もう少し動きが落ち着いてから詳しく報告しますが、今回は保育所再編計画の見直しを議論の中心にしました。計画の中身と実態が異なっていることを指摘し、関係者とちゃんと話し合っていくことを確認しました。

【高校再編は避けられず】

県立高校の再編については、市としての覚悟を確認しました。

少子化で高校再編は避けられないので、地元主導で話し合うために検討組織の設置を提言した結果、令和元年11月に「気仙沼市学校教育の在り方検討会議」が設置されました。その会議をずっと傍聴してきたところ、この春に提言書をまとめて解散することが分かりました。しかも、提言書の内容は高校の魅力化が中心で、再編には踏み込んでいなかったので、その覚悟を問いました。

高校長も経験した教育長が「再編の議論に踏み込む覚悟を持って臨みたい」と答弁しました。その言葉を信じることにしますが、県立高校とはいえ地域にとっては大切な施設ですので、今後も議論は続けていきます。

ちなみに、中学の卒業者数の見込みを考えると、令和7年度あたりがポイントになりそうです。しかも、本吉響高校の2021年度入試の第一次出願は定員の2/3を下回りました。この状態が続いて学校の収容定員の2/3を下回ると、学級減を検討することになっており、急いで議論しないと、後手後手の対応になってしまうことが心配です。

※2021年度入試の第一次出願状況、気仙沼・本吉地区の中学卒業者見込みです

 

【地元優先の入札制度に】

最後に取り上げた入札制度については、指名競争入札は5社以上揃わないと地域制限の範囲を広げていくという市のルールがあります。

しかし、人口減とともに事業所も整理されていく中、市内だけで5社以上というルールは厳しくなっています。一関市では地元優先発注のため3社以上としたり、市内の次は県内に広げるのではなく、近隣自治体の事業所を優先しています。

前向きな答弁はありませんでしたが、市の考えがよく分かりましたので、地域経済循環とからめて次の機会に再び議論したいと思っています。

一般質問の質疑内容は以下の通りです。


2021年2月定例会 今川悟の一般質問概要

1.面瀬地区の認可保育所計画の中止について                  

面瀬地区で0~2歳児保育の受け入れ先となる認可保育所について、令和5年の開設に向けて民設民営で進める計画が中止になりました。民間幼稚園が認定こども園化することが理由で、子どもの減少が続く中では、やむを得ない結果になったと思います。しかし、浮き彫りになった課題もあり、子育ての不安解消のために次の4点について質問します

質問① 用地を取得して造成工事も発注し、民間事業者の公募直前での計画中止でした。もっと早い段階で地元の事業者としっかり話し合っていれば、こうした事態は回避できたのでありませんか。また、子育て環境充実へ幼稚園や保育所の枠を越えて連携を強めるため、平成29年1月に設置した「気仙沼市就学前児童の教育・保育施設連絡会議」も十分に機能していなかったことが心配されます。この会議で、保育所の民営化ガイドライン、面瀬の認可保育所整備と民設民営化のことが話し合われなかったのはなぜですか。改善策と合わせて回答を求めます

 

菅原市長 面瀬地区の認可保育所計画の中止についてでありますが、地元事業者との話し合いについては、連携して地域の幼児教育・保育を担っていくこととなることから、事前に何度か話し合いの場を設けており、民設民営についても、応募に向け真剣に検討を重ねていただいておりました。そのような検討も後押しする形で、少子化の一層の進展と、新年度の募集状況等から今回民間事業者には認定こども園への移行という重大な決断を法人として組織決定していただいたものと捉えており、民間事業者が持つ、機動性や柔軟性が活かされたものと考えております。

また、面瀬地区への保育所整備等については、個別に市内の民間事業者へ足を運び、説明してきたことから、「気仙沼市就学前児童の教育・保育施設連絡会議」の開催には至りませんでした。 来年度、幼稚園業務を子ども家庭課へ移管することから、就学前児童の教育・保育事業者と一層の連携が図られ、官民が一体となり本市の子育て支援を高めていく場として、会議の在り方についても研究してまいります。

 

今川 面瀬の保育所の経過を確認します。令和元年9月に改定した再編計画では、面瀬地区に認可保育所を新設して将来は民営化を目指すという記載のままとなっています。令和2年6月に造成工事の予算を計上する際、民設民営化の方針が示されました。その後、地元説明会があり、10月にも事業者の公募を始めると説明があり、公募に先立って9月には民営化のガイドラインが策定されました。9月の一般質問では独自支援の話が出て、12月の一般質問では公募開始が1月に遅れるとの説明がありました。そうした中、年が明けて急に計画を中止するという話が出ました。

ここで確認しておきたいのは、部長が各事業所に足を運んで個別に意向を確認しながら進めてきたので、連絡会議の開催も必要なかったということですが、連絡会議が最後に開催されたのはいつですか。

 

熊谷子ども家庭課長 最終の開催は平成30年度です。

 

今川 私も平成30年8月に開催された会議を傍聴しました。令和元年9月以降にさまざまな動きがあった中で、一回も開催しなかったということについては、先ほど市長が「来年度からは幼稚園分も担当するので、会議の在り方を検討したい」という答弁がありましたので、そこを信じてこれ以上は言及しませんが、昨年9月の一般質問でこのことを心配して取り上げた際には、「民営化に当たっては連絡会議等を通じてスケジュールやガイドラインを共有する」と答弁しています。ここは反省して、なぜ連絡会議を設置しているかについて考えてください。

もう一つ課題があります。再編計画の実施に当たっては、子ども子育て会議等に報告すると計画に書いてあります。子ども子育て会議が最後に開催されたのはいつですか。面瀬の民営化についてどのように相談してきたのですか。

 

熊谷子ども家庭課長 市の方針を説明して意見をもらいました。議論ということではなく、このように進めたいという説明をしました。令和2年6月11日が最後の会議です。

 

今川 民営化のガイドラインが令和2年9月に策定されていますが、どのように公表しましたか。

 

熊谷子ども家庭課長 市内の全保育施設へ配布し、児童福祉審議会と子ども子育て会議にも示しています。また、市のホームページでも公表しています。

 

今川 民営化を進めるためのステップを反省すべきです。関係団体との調整とか、市の方針の発表とか、せっかくある会議の活用とか、しっかりやってほしかった。今後は一つ一つステップを踏んでください。

 

質問② 面瀬の事例を通して、既存の民間幼稚園や認可外保育施設が認定こども園や認可保育所へ移行することが、市の保育施設再編計画に大きく影響することが分かりました。市として民間事業者の参入を促進しているのなら、移行に対する独自の支援策の検討が必要です。また、実態に合わせて気仙沼市児童福祉施設等再編整備計画をつくり直す考えはありませんか。これまでの検討状況、今後の対応について示してください

 

菅原市長 認定こども園や認可保育所への移行に対する独自支援策についてでありますが、移行については、民間事業者が将来の経営状況を鑑み独自に判断するものであり、経営方針に対しての独自の支援策は考えておりませんが、公設と異なり、国や県の補助制度を活用できることから、情報提供や申請に係る手続き等について引き続きサポートしてまいります。

なお、本年度策定した「市保育所等民営化ガイドライン」において、市が公募する施設については、必要に応じ独自補助を実施することとしております。

「市児童福祉施設等再編整備計画」については、令和元年度に見直しを行ったところであり、引き続き公設公営施設の民営化について検討を進めてまいりますが、少子化が著しく進展していること等も踏まえ、民間施設の動向も視野に入れるため、事業者との意見交換を重ねながら、見直しについて判断してまいります。

 

今川 これからは民間の幼稚園を令和5年度に認定こども園にしっかり移行することの応援を考えたいです。また、その影響について議論させていただきます。

再編計画は令和5年度までの計画期間ですが、状況の変化に応じて子ども子育て会議等に諮り、適宜必要な見直しを行うと計画に明記されています。しかし、先ほど指摘したように、「面瀬には認可保育所を新設して将来民営化を目指す」との記載のままとなっています。ここは実態と異なるので、直す必要があります。さらに、新設した認可保育所へ編入する形で岩月保育所は閉所し、面瀬地区への認可保育所の新設が休所中の石兜保育所と前沢保育所を閉所する前提条件にもなっています。松岩保育所も同じです。

 

熊谷子ども家庭課長 市長の答弁にもあった通り、令和元年に見直した計画ですので、引き続き公設公営について検討を進めていきたいと考えています。それから少子化が著しく進んでいる状況なども踏まえながら、民間施設の動向も視野に入れるために事業者との意見交換を重ねながら判断したいと考えています。

 

菅原市長 今度のことでいろいろ反省した方がいい点をお話しして頂きましたが、併せて、計画というものが実は多くを官が担っていた時代の形で考えられていて、実際は相当程度今後は民の皆さんに担っていただいて、そこには営利目的ではないと思いますが、ビジネスの世界の色合いが非常に濃くなってきます。そのことをまず頭を切り替えないと、この計画以外に動けないかというと、民間は関わりなく動くわけですので、そういうことが将来起こり得るという前提でつくり直すくらいの感覚が必要なのだと思います。会議で何もかも決めてその通りにならないといけないということにはなれない可能性もあります。我々のコントロールの限界も見ながら、みんなでいい方向にいきましょうというような形に意識を変えていかないと、さらなる民営化も実際には進んでいかないし、そのたびに話が違うじゃないかみたいになってしまうと、かえって会議が足かせになってはいけないと思います。一方、会議は子どもを育てるのは事業者だけがやるものではないので、いろいろな人たちが関わって、公的にも責任を持っていかないといけないということを、計画の改定の中でしっかりと共有していくことが必要だと思います。時間がすぐにというわけにはいかないと思いますが、担当部署にはその観点でよく考えるように指示したいと思います。

 

今川 事業者だけでなく、子ども子育て会議、児童福祉審議会などの意見もよく聞きながら進めてほしいです。令和5年度までの計画ですので、もう見直しというよりは新しくつくった方がいいと思います。

心配なのは、面瀬地区は計画と異なる形で進むことになりますので、民間幼稚園が子ども園化したから岩月保育所がそのままなくなっていいのかという意見もありました。どちらがいいか分からないので、事業者だけでなくいろいろな方々の意見を聞いてください。来年度に入園する子どもたちが年長になるときには、閉所する計画ですので、急いで検討してください。

 

熊谷子ども家庭課長 その辺を踏まえて検討は進めていきたいと思いますが、計画はその通りです。保育の受け皿の確保が基本的な目的でしたので、新たに受け皿を確保できたという意味では、計画通り進めていこうかなと考えています。

 

今川 関係する方々と急いで検討するということでよろしいのですか。

 

熊谷子ども家庭課長 再編計画に基づいた説明をしながら、話し合う機会は設定していきたいです。

 

今川 再編計画がすでに変わっているので、それに基づいて説明することは難しいと思います。そのことを含めて、子ども子育て会議等で議題に上げてほしいと思います。この問題は継続して注目していきます。

 

菅原市長 今回分かったことは、もし我々が民設民営であっても、どのぐらいお金がかかって、民間の場合だったらこの形でやっていけるという大きな差が見えました。そういう意味で再編計画の中にも民営化ということが大きく乗っています。たぶん、その一つ先取りしたような形でリードしていかないと、市民の理解を得ながら民営化していくことは難しいと思います。後追いだと常にこうなりましたからということで、なんでということになってしまう。ある程度先取りしたような考え方でもっていかないと、理解を得づらい形になってしまいます。子育てとお金のことをあまり絡めたくないのですが、今後の財政のことを考えれば、民間の力をなるべく早めに活用していくような姿勢をしっかりと説明していくことが必要だと思っています。

 

今川 子育ては見通しがないと不安になってしまいます。丁寧な説明と意見の反映をお願いします。

 

質問③ 計画中止を伝えた1月30日の地元説明会では、民間幼稚園の津波対策が求められました。市の計画を中止し、面瀬地区の保育を民間に委ねるのならば、津波対策については市も積極的に関わり、認定こども園のための施設整備にあたっては、津波対策で割増し分について独自に支援することも必要ではありませんか。また、説明会で要望された面瀬公民館の早期新築についても市の考えを伺います

 

今川 公民館の新築はこれからも議論を続けたいと思います。心配なのは、面瀬公民館の隣でも津波の不安があったのに、県が公表する最悪の津波想定が出てくることです。これからは選択肢がなくなり、面瀬地区に一つだけの保育施設ということになるので、民間が津波対策で躊躇するときに市が金銭的にもバックアップするということを検討してほしいです。

 

熊谷子ども子育て課長 認定こども園への移行は民間事業者が将来の経営状況などを鑑み独自に判断したものです。そうしたものに対する支援策は現在考えていません。

 

菅原市長 最悪の津波想定は防潮堤が壊れる設定ですので、現在は安全ですよといって造った団地も含めてイエロー(ゾーン)になってくる範囲は相当数出てきます。そのときに、低年齢児を扱う子ども園は我々としても慎重に確認していかなければならない施設だと思います。他のタイプの施設も数多くハザードの中に入ってくる可能性があります。そのときに、何らかのことをという話は本市に限らず出てくる可能性があります。ということなので、この1点に絞って今回表明できる状況ではないと思いますし、我々の立場からすると、そういう想定が出てきたときに、より安全を確保するためのハード的が連動してくるならば、各自治体だけでできるのか、県や国の支援みたいなものがセットにくるのかということもよく注視して、必要であればそういうことでいけばいいと思います。また、個別に相談があれば別問題として子ども家庭課の方で検討すると思います。

 

今川 民営化を進めるに当たって安全対策は行政の役割だと思います。不安にならないように保護者や地域の意見をよく聞いて、検討する可能性は残しておいてください。

 

菅原市長 民間幼稚園の津波対策についてでありますが、 当該施設は、東日本大震災により被災しておりますが、 防潮堤整備後のシミュレーションでは災害危険区域から外れております。

現に安全に運営されている施設であり、津波発生時の対応マニュアルに基づき、高台にある近隣の介護施設を避難場所とし、定期的に訓練を行っていることを確認しております。

また、認定こども園に移行することで低年齢児を預かることから、必要な避難対策が図られるよう、市としても確認してまいります。

なお、面瀬公民館については、地域の人口規模に対し狭隘であり、新築の必要性は認識しており、地域からの要望もいただいておりますので、市の重要課題の一つとして検討してまいります。

 

質問④ 出生数の減少が続き、昨年の年間出生届出数は248人と15年前の半分となりました。国立社会保障・人口問題研究所の推計からは、令和27年には120人程度と考えられます。急激な少子化の影響は保育施設の再編にとどまりません。今後の公共施設は、時代の変化に応じて多目的に利用できる設計や視点が必要です。少子化対策の一方で、この現実にどう対応していくのか、市の考えを伺います。また、昨年の合計特殊出生率を示してください。

 

菅原市長 少子化の現実を見据えた今後の公共施設のあり方についてでありますが、これまでも、被災した施設の再建等にあたり、気仙沼図書館と気仙沼児童センターの合築や、観光物産センターと勤労青少年ホームの合築による「まち・ひと・しごと交流プラザ」など、複数の機能を併せ持つ施設建設を、復興予算を活用しながら行ってまいりました。

今後も、「公共施設等総合管理計画」及び「個別施設計画」に基づき、施設の更新や長寿命化を進めていくこととしておりますが、本市の人口減を踏まえた財政見通しを勘案すると、例え計画に載っているものでも、新規のハコモノ施設の整備は、慎重かつご指摘の視点も必要と考えております。

既存施設の有効活用を図ることはもちろんのこと、民間に委ねられるものは民間に委ねるなど、市のスリム化を前提とした対応が必要と考えております。

なお、昨年の合計特殊出生率は1.17となっております。

 

今川 一昨年の合計特殊出生率が1.16ですので、わずかに上昇したと喜んでいいのか分かりませんが、総合計画では令和7年には1.56という目標がありますので、相当厳しい状況が続いています。今回のことを通して、少子化の対策と現実の対応ということを両方していかないと、結果的に認可保育所計画中止という子育てに対してよくないイメージが先行してしまいます。このことは今後、議論していきたいです。

 


2.県立高校再編に対する市の関与について                    

 

少子化の中で高校教育について考えるため、令和元年11月に設置した「気仙沼市学校教育の在り方検討会議」が、提言書の内容の調整に入りましたので、次の2点について質問します

 

質問① 検討会議の議論の中心が「高校の魅力化」になっていると感じます。しかし、県立高校の特色は市内の3校でそれぞれ異なり、総論的な内容にとどまっています。具体的に魅力化を進めるのなら、志津川高校のように学校ごとに組織を立ち上げて検討していくことが必要です。検討会議は提言書をまとめたら終了すると説明がありましたが、今後の対応を伺います

 

小山教育長 県立高校再編に対する市の関与についてでありますが、気仙沼市学校教育の在り方検討会議は、近い将来における当地域の高校再編が必至との状況をきっかけとして設置したものであります。

その目的に向け、一貫性ある教育の観点から、前半で小・中学校教育を検討し、今後の市が目指すべき教育施策に反映させ、後半では高校教育の在り方を検討し、結果を県教育委員会の再編計画等に向けて提言することとしております。

委員の皆様からは、再編に関わらない、直ぐにでも検討してほしい高校の魅力化の話も多く出てきましたが、 次第に将来のあるべき姿に向け、内容の濃い議論に発展しております。今後は、再編への考え方のベースとなる本地域の高校教育の在り方について取りまとめ、地域の意思として県教育委員会へ提言を行いたいと考えております。

また、在り方検討会議はそれをもって終了の予定ですが、市教育委員会としては、その後も、高校再編計画に関して、県教育委員会と提言をベースに議論を深めてまいります。さらに、必要に応じて、市民意見の再集約なども視野に、責任ある関与を行ってまいります。

 

質問② 検討会議に期待していたのは、急激な少子化によってさらなる高校再編が避けられない状況の中で、地域主導で先んじた議論を始めることでした。気仙沼西高校が突然統合された経験を忘れず、再編する高校の組み合わせや学科内容に踏み込まなければなりません。市として再編の議論に踏み込む覚悟をお尋ねします

 

小山教育長 本市として高校再編の議論に踏み込む覚悟についてでありますが、県教育委員会の高校再編計画立案を機とする提言となることから、再編の議論に踏み込む覚悟を持って臨まなければならないと認識しております。

再編の議論が進んでいく過程で、単なる数合わせや教育に関わらない地域問題化、直近の視野にとどまる議論などに陥らないよう、今回先立って提言を出すものであります。

検討会議の目的が、本市における中・長期的な高校教育の在り方についての提言であることを踏まえ、高校のタイプ、学科構成やその内容等、十分に議論いただき提言書としてまとめていきたいと考えております。

 

今川 この答弁を教育委員会がするのか、市長がするのかを注目していました。今までの検討会議を傍聴してきて、教育委員会がまとめるとこういう風になるんだ、教育の在り方になるんだと思いました。再編には政治的な部分もありますので、再質問からは市長にも答弁頂きたいです。

高校の魅力化に関するいろいろなアイデアが出てきたので、最初のステップとしてはいいなと思ったのですが、まさかここで会議が終了するとは考えていませんでした。一つ目の提言をベースに組み合わせとかの話に進むと思っていたからです。魅力化のアイデアを実現するためには、提言して終わりではなく、ここからも市の関りが大事になってきますので、予算措置を含めて行動することが市のもう一つの覚悟として求められます。

 

菅原市長 今回、答弁書は教育委員会でつくって私が相当直しました。というのは、私もずっと会議に参加していますし、責任者の一人だと思っています。お話のようにみなさん高校には思いがあって、いろんな情報もあって、上手な誘導もあって、いろんな意見が出ました。提言の形を最終的に考えた場合に、このままだとご指摘のように魅力化中心になってしまうと思ったので、途中から事務局側が話の筋を付けるような資料を入れています。そうでないと魅力化だけの話で終わってしまうと思います。

もう一つ私がすごく感じているのは、会議に来ている委員の皆さんは市が集めたんでしょという思いがあり、市はなにをするんでしょうか、市もちゃんと関与してほしいんだよと、例えば探求型学習を地元との関係でやっていく中で、教育コーディネーターがいま限られた形で使われているのですが、これをどんどん進め行くともっともっと必要だということに教育委員会でもコーディネーターも感じています。そのお金はどこから出るんでしょうかといったときに、私は高校の分は高校や県が出したらいいと思っているのですが、必ずしもそういかないじゃないですかということだとか、高校を卒業してそのまま地元に就職していただきたい、きていただける人たちとのプラットフォームみたいなのは誰がつくるのですかということが、県教委がやってくれるのかということは当然考えます。そういうときに市の役割が出てくるのではないか、これは人口減少対策にも関わってきます。ですから、今回、この提言と同時に県教委だけでなく市のやることも浮き彫りにしていく、もしかすると提言の方に自分で自分を縛る形になりますが、入れていくということが、たぶん委員の皆さんは望まれるという風に認識しています。

 

今川 魅力化については各委員の熱い思いがあるようですので、市がやる気を出せは動き出すと期待しています。

心配なのは再編の方です。第三期県立高校将来構想が平成31年度に策定され、その後に第一次実施計画が公表されました。そこに本吉地区の再編については記載がなかったので安心しましたが、令和4年度内には第二次計画(令和5~7年度分)が公表されます。緊迫度は増しています。実施計画に当初は載らなくても、気仙沼西高校のように急に統合が発表されることも経験しましたから、簡単に安心もできませんが。

この将来構想では、気仙沼向洋や本吉響のように1学年3学級規模の場合、在籍生徒数が収容定員の2/3未満になったら学級減を検討することになっています。3学級を2学級にし、さらに減ると募集停止というルールになっています。

この間発表された県立高校の1次募集の結果では、本吉響は定員120人に対して59人の出願でした。前年度は88人でセーフでしたが、急に2/3未満が現実になりました。これから先がどうなるかというと、市内の中学3年生は令和2年度で約450人いますが、しばらく横ばいが続いて、4年後に400人を切ります。これが令和7年度の高校入学分で、第二次実施計画の期間内になります。さらにその8年後には300人を切るということが、いまの子どもの数からハッキリしています。再編は避けられないし、議論を先延ばしすれば、学校は小規模化してさまざまな活動に支障をきたします。だから、再編に踏み込んだ議論をしてほしいです。

教育委員会が県教委と議論を深めるという答弁でしたが、検討会議の後継組織を設置していただきたい。市長の考えを伺います。

 

菅原市長 どういう規模になったらクラス減や募集停止をしていくと書いてありますが、それは検討会議に出ている県教委の次長からも説明してもらいました。同時に絶対に厳守しなければならない書き方もしてないということもある。地域事情に合わせてというところもあります。ただ、西高の例を出して頂きましたが、基本的には書かれたことを真に受けて考えた方がいいという認識をしています。

そういう中でどういう提言をしていくかというと、学校のパズルみたいなことを書くのがいいのか、学校はこういう系とこういう系があって、あるべき学科はこういうものではないかということ、それと合わせてこれは個人的な思い付きですが、1学校2キャンパスはダメなのか、三陸道もできたし。それによって部活はできるかもしれないということも含めた提言の中身ということをこれから議論したいと私自身は思っています。

その後のことですが、再編するときは基本的には県教委が(検討組織を)たてます。その前に我々としては検討会議をたてたかった。この会議がこのまま続いていくというよりは、実際には県教委が設置した会議に、どのような形で入っていくか、そこで検討会議から出た提言を重視していただくかということが大事だと思います。二つつくるという形ではないと思います。そういう意味で、県の方にはわざわざ次長に入ってもらいました。座長には宮城教育大学の前学長にも参加して頂き、県も正面から議論に入っていただいていると思います。形としてはそういう風になると思うし、今回の委員の中からも入っていくのだろうなと、つまり県が集めた人だけで会議をする形にならないように布石は打てたと思っています。

 

今川 西高の統合の仕方が衝撃的でしたので、いわゆる大河原方式という県教委が設置して地元の方々と議論する方式がふさわしいと私も思います。ただ、設置を急いでほしいです。提言書の結果を見てからまた議論したいと思います。

 

菅原市長 県教委からクラス減や統合の話が出ていない時にこちらから設置をせがむということについては、少し慎重さが必要だと思っていますが、今回の検討会議を開いたもう一つの大きな理由は学科です。何を学び、何を身につける子どもたちが気仙沼の将来に必要か、その議論は遅いとできないので、そういう意味の時間軸でものごとを考えていますので、そういう意味では県教委に提言の時に働きかけていきたいです。

 

今川 施設を新しくするとさらに準備の時間がかかりますので、議論を急いでほしいと思います。

 


3.入札制度と地域経済循環について                       

 

市は地域経済循環を重視していますので、産業連関表作成へ向けた調査結果と入札制度について質問します

 

質問① 本年度の当初予算に1000万円を計上した経済波及効果推計事業について、そのアンケート調査結果などから現段階で分かっていることを説明してください

 

菅原市長 入札制度と地域経済循環についてお答えいたします。 経済波及効果推計事業の状況についてでありますが、 ローカルファーストに基づいた地域経済循環を推進するにあたり、数値データに基づく産業施策を展開するため、 本年度において、本市経済の定量的な把握・分析や経済波及効果を算定することが出来る産業連関表を作成しており、現在、完成に向けた詰めの作業を行っているとこであります。

この産業連関表を作成することによって、市全体及び産業別の生産額やその構成比をはじめ、市域に入ってくる金額や市域外に漏れている金額、生産額に対するコスト比率、粗付加価値額や雇用者所得の構成、経済波及効果など、本市の産業活動の内容が把握でき、 イメージではなく、エビデンス(根拠)ベースでの議論が可能となります。

本市といたしましては、まずは、産業連関表の活用方法や分析によって得られるデータなどについて、市民や市内事業者、関係機関らと、できるだけ分かりやすい形で情報共有に努めるとともに、特に市域外へ漏れているお金については、業界内あるいは異業種での意見交換の場の設定を試みるなど、漏れている具体的品目の把握、 それを域内で調達する場合の可能性検討など、改善に結びつけるための議論を重ねながら、地域経済循環の向上に取り組み、足腰の強い地域経済体質へと改善を目指して参ります。

 

質問② 市の入札制度に、地域経済循環の視点は取り入れていますか。一関市では「地元企業優先発注に係る基本方針」を策定して地元企業と市内に支店がある事業所を区分しており、久留米市では市広報の入札参加条件に「市内に印刷工場がある」としています。総合評価方式で、地元雇用率や資材の地元調達率、地域貢献や地域精通度を評価に加えている自治体も増えています。本市でも、地元企業への優先発注と地域事情を反映させた評価手法について方針を策定するべきと思いますが、これまでの取り組みと検討状況を示してください

 

菅原市長 地域経済循環の視点による入札制度についてでありますが、本市が発注する公共工事や物品調達などの入札を行う際には、地元優先発注の考えのもと、地域制限を設けるなど、地元業者の受注機会の確保に配慮しております。

工事の入札においては、東日本大震災前は、特殊な工事を除き、初回入札時は市内に本店を有する業者に限定し入札を行ってきましたが、不調件数の増加により、地域制限の緩和を図ってまいりました。その後、一部の工事においては、入札状況が改善してきたため、建築工事などで市内本店業者による入札を行い、地元業者の受注機会の確保に努めております。

また、価格のみならず、企業の施工能力や地域貢献度を総合的に評価し、品質を確保する総合評価方式は、本市においては、平成20年度に「建設工事総合評価落札方式(特別簡易型)試行要領」を制定したところですが、東日本大震災以降、工事発注件数が激増し、復旧・復興事業を優先するため、落札までの時間を要する総合評価方式は、実施しておりません。入札件数が、十分に減少した時点で、総合評価方式の試行を進めてまいりたいと考えております。

物品の入札においては、基本的に市内に本店を有する業者から選定し、市内業者では対応が難しいとき又は競争性が確保できないときなど、地域制限の緩和を図っております。

今後も、入札状況を勘案しながら地域制限を設定し、また、他自治体の先行事例を参考に、地元企業への優先発注及び競争性の確保に努めてまいります。

 

今川 今回お願いしたかったのは、地元で仕事をすればお金が回るということが今までの調査からハッキリしてくるだろうということで、いまの条件を見直す必要があるのではないかということです。特に気仙沼市の場合、財務規則で指名競争入札は5社以上揃わないと範囲を広げていくことになっていますが、一関市の地元企業への優先発注方針で示しているのは3社でもいいということでした。3社にしても大丈夫だと一関市の事例から分かりましたので、これから人口が減少して企業数も減っていく中で気仙沼市でも検討できませんか。

 

瀬戸財政課長 地元業者の受注機会に配慮しまして、市内本店の地域制限を設けています。ただし、当該業者が5社以上とならない場合は競争性の観点から市内支店も加えて5社以上を確保して入札を行ってきています。場合によっては県内本支店にまで地域制限を広げて競争性を確保しています。この地域制限の仕方については、県内の市ではほとんどが5社以上としており、金額によっては10社以上で設定しているところもあります。やはり、競争性を高めるためには、原則5社ということを規定していますので、当分は5社でいきたいと思います。

 

今川 この問題を取り上げた理由に、市の広報が今年度は市内に支店があっても印刷工事用は別なところにある業者が落札したからです。競争性もいいのですが、その金額の差よりも地元にお金が回る仕組みを考えなくてはならないと思います。中小企業振興条例をつくっている市が、ほかの市でやっていないから5社を続けるということではなく、一関市のように事例があるのだから3社でもできると思います。一関市では、市内本社の次は準市内本社で平泉町内に本社があって一関市内に支店がある事業所を優遇しています。気仙沼なら南三陸町です。こういう風に少しでも地元に経済効果が出る仕組みがつくれるということを学びました。せめ市内に印刷工場があるという条件も含めて、市外に仕事が漏れないようにぜひ検討してください。

 

瀬戸財政課長 5社から3社にすると、今度は2社、1社でもいいとなってしまう。ご提言の一関市、久留米市の事例も調べました。印刷の入札については、久留米市では市内本店の業者が10社以上あり、十分に競争性が保たれています。一関市でも競争性が保てないときは範囲を拡大することにしていて、印刷の入札では地域制限を本店支店としていました。

気仙沼市内に本店があって専門に印刷している業者は2店しかありません。2店では競争性が確保できません。本吉に支店がある大きな印刷会社は印刷工場もあるのですが、そこを排除することになります。当面は5社を原則にしていきたいです。

 

今川 市内に印刷工場があるという制限の仕方もあるので、対応できると私は思いました。印刷を例にしましたが、これから気仙沼経済が縮小していく可能性がある中で、いつまでここにこだわるのかということは継続的に考えてほしいです。今の答弁ではまったくダメということだったので、次回は別な切り口を探して再び議論したいと思います。

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