市民に伝えたい12のポイントまとめました【12月定例会報告】

気仙沼市議会12月定例会のポイントをまとめました。

ふるさと納税が想定の1.7倍と好調だったり、給食センターを再編したりと、伝えておきたいことがいろいろありますので、議案審議、一般質問、特別委員会などで分かったことを箇条書きでまとめました。

一番のニュースは、最終処分場が復興予算で認められたことです。ごみ処理で出た焼却灰などを埋め立てる施設ですが、大曲にある現施設は間もなく満杯になるため、地域を粘り強く説得して新施設を造ることにしていました。

市民生活に必要不可欠な施設ですので、事業費36億円の2/3は借金をしてコツコツ返していく計画でした。

ところが、震災ガレキの処理で埋め立てが早まったということで、復興予算を充てることが認められたのです。総事業費は52億円まで膨らんでしまったので、市の負担軽減は相当なものになります。菅原市長は「職員ががんばった。これから新庁舎建設などで財政が厳しくなる中、大変な朗報だ」と説明しました。

市が毎年公表している5年分の中期財政見通しでは、令和3年度の普通建設事業費は最終処分場整備のため増加する見込みでした。復興予算が充当されることにより、市の財政見通しまで変わることになります。

市民にとっては一足早いクリスマスプレゼントになりました。

それぞれのポイントは下記にまとめました。


 行政関係                                

【新庁舎建設地は1月に市の方針公表】

・新庁舎の基本構想における想定延べ面積は、令和7年度の人口予測などをもとに計画人口5万7600人で1.1万~1.2万㎡に設定した。計画人口を令和12年の人口推計である4.9万人にした場合は1.1万㎡程度、令和27年の3.3万人だと0.9~1万㎡と試算

人口規模と新庁舎の面積
計画(推計)人口 想定面積
57,600人(2025年) 11,000~12,000㎡
48,797人(2030年) 11,000㎡
33,396人(2045年) 9,000~10,000㎡

・「すこやか」の健康増進課も新庁舎へ入れるか検討中。その場合は健康管理センター機能を残す

・新庁舎が7~8階になると利便性を欠く

・市民ニーズの多様化によって各部署間の連携が必要となっていることから分庁舎とはせず、新庁舎に集中させたい

・今後のスケジュールは下表の通り。市議会新庁舎建設調査特別委員会で菅原市長は「責任あるものでないといけない。選ばれなかった場所のまちづくりは希望のあるものでないといけない」

新庁舎に関する今後のスケジュール
12月26日 有識者会議が基本構想案を提出
1月中 市が理由をつけて建設地を表明
その後 市民、議会へ説明
2月 有識者会議で基本構想を最終確認
~令和2年度 基本計画策定
~令和5年度 基本・実施設計
解体・建設工事
令和8~10年度 新庁舎完成

 

【下水道事業に公営企業会計適用】

・国の通知を受けて、来年度から下水道事業に公営企業会計を適用する。複式簿記方式による会計事務で、経営状況を詳しく把握し、事業を安定継続することが目的

・使用料の改定は震災で手が付けられなかったが、会計移行により経営状況を把握し、適正料金について検討する

 

【公共施設の管理。40年間で面積19%削減の見通し】

・公共施設等総合管理計画の個別施設計画は集会施設など13分類を年度内(議会には2月ごろ説明)に、図書館、公民館等、スポーツ施設、学校、調理場の5分類は令和2年度に、公園は令和3年度に策定する予定

・施設マネジメント委員会は施設類型を越えた集約化・複合化の可能性を含め、全庁的な調整を図っていく

・40年で25%の総面積削減目標に対し、ラフな試算では10年間で3%、40年間で19%は達成できる見通し

 

【地域活性化支援員増員でまちづくりを支援】

・公民館のまちづくりセンター化は名称変更や指定管理が目的ではなく、地域協働を推進し、その拠点の在り方、市全体の仕組みを構築することであり、市民活動の活性化を図ることがセンター化につながる

・地域活性化支援員の配置を中学校単位から小学校単位へ増員することを検討している

・地域活性化支援員はまちづくり組織立ち上げのために市が雇用して派遣することも検討

 

【市広報誌は月1回の発行へ】

・市の広報誌は月2回(1日と15日)を来年度から月1回へ変更することを考えている

・紙媒体を一元化することでページ数が増える

・広告掲載、市民からの投稿も検討している

・市のホームページには月平均5万8千件のアクセスがある。フェイスブックは1万人が登録し、ツイッターは3万1千人がフォローしている。生活情報アプリは2300件(10~20代9%、30代17%、40代29%、50代24%、60以上21%。女性比率は49%)のダウンロードがあった

 

【会計年度職員は行政委員制度に影響も】

・指定管理者運営指針を改訂し、嘱託員と臨時職員はすべて会計年度任用職員に準じる職員として、手当支給を想定した人件費を再積算する。次年度の年度協定に反映できるように準備する

・公民館長は会計年度任用職員を充てられないので、正規職員、再任用職員、任期付き職員の任用を検討している

・納税協力員は廃止して、納税通知書は郵送に切り替える

・広報の配布は①自治会委託②個人への依頼③業者への委託で検討してきたが、行政委員など各委員は従来通りの自治会や振興会から推薦をもらい、業務委託という形で現行と差異がないようにしたい。業務委託は自治会によって難しいところもあり、経過措置を含めて検討している

・行政委員は身分が切り替わるが、自治会・振興会に協力を求めてこれまで通りでお願いする

・保健推進員の待遇改善を検討する

※会計年度任用職員制度の影響を受ける制度は下表の通り

 

【人事院勧告に伴う給与等の改定。人件費4千万円増】

・人事院勧告によって市職員の勤勉手当を年間0.05カ月分引き上げ、期末・勤勉手当の支給割合を年4.5カ月分とする

・給料表と手当の改定を合わせて年間4356万円(職員1人当たり3万400円)の人件費が増加する

・市長ら特別職、議員は期末手当を0.05カ月引き上げて年間3.4カ月分とする。議員24人で年51万円の増額となる

 

【ふるさと納税は想定の1.7倍に。市民活動団体の寄付もOK

・ふるさと納税は平成30年度で2億円だったが、31年度は3.4億円となる見込み。PRサイトを増やしたことが要因

・来年からNPOや市民活動団体向けの寄付もふるさと納税で受け付ける。20%は手数料として引かれるが、寄付者は寄付控除が受けられる

 

【最終処分場は復興予算で】

・一般廃棄物の最終処分場の総事業費は当初36億円だったが、屋根を高くしたり、土構造からコンクリート壁に変更したりしたことで52億円に膨らんだためコスト圧縮を検討している

・財源は循環型社会形成推進交付金で国から1/3、残りは過疎債(70%を交付税措置)と一般財源を予定していたが、県と復興庁の調整の中で復興枠として認められ、復興予算が充てられることになった。震災ガレキの処理で満杯が早まったことが理由。着手を年度内に前倒しし、令和2年度内の完成を目標とすることが条件。現施設が満杯になるのは令和3年度ごろで、これまでの計画では令和4年度から新施設で埋め立てする予定だった

【一般廃棄物収集運搬業務再開の請願し不採択】

・9月議会から継続審査となっていた、一般廃棄物収集運搬業の許可申請の再開を求める請願は不採択。競争原理を求める分野ではなく、現状で適正な業者数となっていることが主な理由。

 

 教育・スポーツ関係                     

【南運動広場にクラブハウスを検討】

・中央公民館とともに復旧する南運動広場には、復興市民広場にも利用できるクラブハウスを新たに整備することを検討している

・南運動広場にはバックネット、トイレなどを復旧し、サッカーのサブグラウンド、野球ができる場にする。夜間照明施設は復興市民広場へ

・新しい中央公民館と新月公民館は運営面で工夫し、貸館のない時間帯に各部屋を開放すること、自由に使えるラウンジやキッズスペース、中高生の学習スペースを計画している

 

【4月から給食センターを3施設に再編】

・児童・生徒の減少、施設の老朽化により、松岩と大島共同調理場、唐桑中と中井小の調理場を廃止し、来年度から気仙沼中央給食センター、小原木共同調理場、本吉共同調理場に再編する

・将来的には気仙沼中央と本吉の2施設に集約する方針。児童・生徒数の推移から令和6年度の見込み

 

【小・中学校再編】

・第3段階に関して小山教育長は「一律に推し進めることの難しさを感じた」「さらに大括りでの検討の必要性も課題」「合意形成を前提に進めている」「地域の意見を聞いて課題を把握するため、現時点で計画を見直す考えはない」「複式学級が出そうな学校があり、懇談会を急ぎたい」と答弁

 

【小原木小学校の跡地活用】

・地元3自治会のアンケートでは、回答が多い順に後者は①解体②老人ホーム③企業誘致、体育館は①避難所②スポーツ施設③解体だった。アンケートを踏まえた市の案を年内に自治会長へ示す。

 

 防災                           

【台風19号被害は概算21億円】

・台風19号(10/12~13)による被害総額は概算21億円。内訳は林道など農林施設5.6億円、市道など公共土木施設14.9億円。

・工事業者の確保を急ぐため、8億円を専決処分して執行した

・生活再建支援金の対象外だが、床上浸水の被害を受けた世帯に災害見舞金の支給を急いで検討している

 

【防災関係。避難所を3区分して見直し】

・避難所は①拠点避難所②準拠点避難所③地域避難所に見直す。自主避難所として開設する地域の集会所などは地域避難所としての登録を検討する・指定避難所は市職員が主体となって運営し、ほかは自主防災組織にお願いすることを検討している

・年内に森林組合との防災協定を締結する予定

・11月末で市内の防災士は77人(うち女性19人)、指導員391人(42人)、講座受講者48人(10人)。防災リーダー登録制度を来年度に予定。地区の防災研修などで活躍の場を提供したい

・防災無線の個別受信機は2,664台貸し出しているが、アナログ対応は令和4年度まで。デジタル対応は1台6万円となることが課題

 

 産業                           

【魚市場の優良衛生品質認定を目指す】

・定置網からの水揚げを効率化するため、定置網漁業者が魚市場に自動選別機の設置を予定している。原則は生産者が魚種を選別して上場する。卸売業者が選別機を導入する場合は市で補助するが、今回は生産者が独自に設置するので今後の動きを見て市の対応を検討する

・気仙沼魚市場は大日本水産会の優良衛生品質管理市場認定を目指している

・歴史的な大不漁により、4月からの水揚げは前年比40億円減(ビンチョウ△23億円、カツオ15億円)。「基本的な産業インフラである魚市場の維持は至上命題であり、卸売業を担う気仙沼漁協の健全経営を確保するため、災害的不漁の影響緩和について可能な限り支援したい」と菅原市長

 

【からくわ荘跡地は来秋まで方向性】

・解体する国民宿舎からくわ荘の代替コンベンション機能は、通年営業できるかなどの課題があり、新年早々に地域の関係団体と相談し、年度末まで一定の方向性決めるように努力する。跡地利用は令和2年秋ごろまでに方向性を決められるようにする

 

【ユニバーサル就労へ協議の場設置】

・県が設置する障害者就業・生活支援センター「かなえ」には350人が登録、気仙沼市が開設する自立相談支援機関「ひありんく」は135件の新規相談があり20人が就労した

・就労支援準備事業へ庁内会議

・関係機関・団体と協議の場を設置する

・来年2月には自立を支える地域社会福祉推進フォーラムを予定

 

 福祉・医療                         

【看護師確保に奨学金制度】

・市立看護専門学校の卒業生就職先は30年度卒が市内9人、市外21人、進学3人、来春予定は市内8人、市外29人、進学1人。本年度から気仙沼高校からの推薦入学枠を5人から10人に増やしたが、応募は4人だけ。推薦条件の見直しを検討する。

・新年度から市立看護専門学校の奨学金を実施するために制度設計中。同校以外でも、市内の医療・介護施設へ勤務を希望する看護学生も対象としたい

・医師会附属看護学校の継続支援のために補助金450万円を見直したい

・昨年11月で市内に就労している看護師・准看護師は861人

 

【人口減少対策本部に専任職員配置】

・人口減少対策本部を設置したが少子化に歯止めがかからないため、本部専任の管理職級職員を配置する

・1月に子育てタウンミーティングを予定している

・役所がなにかやってはダメという時代ではなくなった(菅原市長)

・1.90プロジェクトの中で各事業の効果を検証してどの部分に注力するか検討

・新婚対象の住宅改修補助金は、子育てにかかる改修も対象とするか検討する。復興需要が落ち着き、市内の建設業界からも支援が求められていることも考慮する

 

 

一般会計補正予算の主な事業
神山川横断歩道橋整備

1億6700万円

条南中学校前と杉ノ沢を結ぶ歩道橋の下部工を発注する。総事業費は4.6億円のみこみ
震災復興記録誌作成

363万円

復旧・復興事業、被災者支援の取り組みを記録。規模は300㌻程度。1000部を予定。令和2年度まで債務負担行為は1958万円
専門学校誘致補助金

7000万円

内湾に来春開校予定の調理師専門学校に、設備や備品の経費として7千万円を補助する。学校法人は校舎建設などに7億円以上をかけていることから支援する
南運動広場設計業務

1500万円

復旧する南運動広場の設計業務。被災前の面積は7800㎡だったが、移転後は2万㎡となるので駐車場も整備する
補助金返還

539万円

モーランド本吉活性化推進協議会が農水省の交付金を受けた取り組んだ商品開発などで事前着手など不適切な事務処理があったため、事務局の市が返還額を補助金として協議会に支出する
【その他】 ・震災追悼式経費1500万円

・大島等への交通量カウンター設置129万円

・三陸道案内標識設置1400万円

・津波避難誘導看板へのインドネシア語追加120万円

 

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