12月定例会で分かった40のこと【気仙沼市議会報告】

気仙沼市議会の12月定例会が終わりました。7日から21日までの2週間の会期でしたが、水梨小学校の統合をはじめ、新施設の指定管理者指定など、12月にしては重要な議案が多い定例会でした。決まったことや議論のポイントをまとめましたので報告します。

【水梨小学校の来春統合が決定】

水梨小学校が来年4月に松岩小学校へ統合することが決まりました。賛成は20人、反対4人で、私は賛成しました。反対した議員の理由は「統合まで準備期間が短い」「地域コミュニティを崩壊させる」などでした。

賛成したのは、11月15日の地域懇談会を傍聴し、早く統合しなければの思いを確認したからです。一方で保護者から反対の意見もあり、教育委員会の進め方などについて大きな反省が残りました。

いろいろな考えがありますが、水梨小は現在の1年生が1人、2年生が0人、3年生1人、4年生4人、5年生3人、6年生7人という状況を考えると、この統合の目的だった「複式学級の解消」を超越した状況になっています。複式も組めない状況にあるのです。希望する児童がいる限り存続するという選択もありますが、その間はスクールバスの運行はできません。何よりも児童減に状況に危機感を抱いた人たちの判断を尊重したいと思いました。

なお、水梨小学校の保護者から出された請願についても、水梨小の統合に賛成するため、請願の採択には反対しましたが、小さな学校を大事にすること、再編計画を見直すこと、強引に統合を進めないことについては同じ思いであることを、反対討論で伝えさせていただきました。

統合に関して活発な議論があり、合意形成の判断、1年延期した場合のデメリット、児童のケアなどについ確認されました。私は、最後の地域懇談会に市長が出席しなかったため、これからでもいいので市長が直接話を聞くように求め、菅原市長は「機会をつくりたい」と答弁しました。

【議員の期末手当引き上げに反対】

人事院勧告によって職員の給料と期末手当が引き上げられます。今回は月400~1500円(平均0.2%)の給料を引き上げるとともに、勤勉手当(ボーナス)を0.05カ月分増やします。職員1436人で年間5053万円の予算の増加ですので、1人平均3.5万円となります。市長や副市長など特別職の期末手当も対象で、議員は期末手当を2万円ほど引き上げます。

人事院勧告は団体交渉権を持てない公務員のための制度ですので、職員の分は賛成しました。議員分は反対しましたが、賛成多数で可決されました。今後、財政が厳しくなれば職員の給与に踏み込むときがきます。そのためには、議員が最初に我慢しなければならないし、せめて議会から提案するか、審議会などで市民に問うてから提案すべきと考えて反対しましたが、賛成多数で可決されました

このほかの議案のポイントは下記にまとめました。一般質問は後日報告します。


【全市でリサイクルごみ、資源ごみを毎週収集】

・市町合併協定で調整することにしていた、ごみ収集を全市で統一した。旧気仙沼市内ではビン・缶などリサイクルごみの収集を月1回から週1回、新聞や段ボールなどの資源ごみの収集も月1回から週1回とする。適用は新年度から。

・収集ペースは増えるが、ごみ収集のエリア再編によって3年間で7千万円のコスト削減が図られる。ごみ収集運搬業務の総費用は3年間で約8億6千万円。

【災害公営住宅の明け渡し訴訟へ】

・災害公営住宅で契約者が死亡した後、長女が大量の荷物と猫を放置したまま不法占拠しているため、明け渡しと損害金支払いを求める訴えを起こすことになった。請求するのは、相続した未納家賃59万100円(11カ月分)、不法占拠に伴う損害金として1カ月当たり15万1800円(近傍同種家賃相当)、放置された猫による建物被害の修繕見込み額577万円(壁や天井などの改修費用)。

・団地内では災害公営住宅5戸が空き室となっている。修繕しても活用の見込みがない場合は、修繕せずに解体することも検討する可能性がある。解体する場合、国に補助金を返還することも考えて検討する。

【防潮堤のフラップゲートはメイドイン気仙沼】

・防潮堤の出入口に設置するフラップゲート(津波で起き上がる門扉)は市内の漁港で32基を計画。すでに5基は発注済みで、今回新たに14基を発注する。ゲートの製作はすべて地元事業所で行う考え。その製作費は要害漁港で約1億1千万円(高さ4.7m×幅4.1mの扉体や支柱を主体とした構造物)。

・日門漁港の防潮堤(県管理)は、地元に不要論があるものの、必要とする県の方針に変わりはなく、海が見える工夫を検討中。年度内には説明会を開いて方針決定する考えだという。菅原市長は「市として造らない選択肢も認める方針だったが、いまは状況が異なる。国道45号でここだけ防潮堤なくて津波警報で封鎖となる」と説明した。

【震災遺構の指定管理者に日比谷花壇のグループ】

・気仙沼向洋高校の被災校舎を保存した震災遺構と震災伝承館は、管理運営グループを指定管理者に指定。日比谷花壇を代表とし、気仙沼復興協会、気仙沼観光コンベンション協会によるグループで、正職員3人と嘱託職員3人を配置(館長など市職員除く)する。日比谷花壇は総括と経理、維持管理など、復興協会は施設管理と案内、観光協会は誘客・広報を主に担当する。

・日比谷花壇は遺構の管理計画の策定を支援した三菱総研のアドバイザーだった。復興協会は延べ2万7千人のボランティアを受け入れ、観光協会は教育旅行誘致に実績がある。グループが提出した事業計画では、アンケート、座談会も予定。

【指定管理者制度の運営方針を公表。正職員は昇級とボーナスも認める】

・議案の参考資料として、来年度から適用させる気仙沼市の指定管理者制度運営指針が示された。指定管理料算出のための人件費の積算基準が示され、一部施設を除いて正職員とする場合は昇級分やボーナス(年間2カ月分)も認めることにした。一般正職員の場合、月給17万7千円からスタートして29万9千円まで引き上げることができる。

・今議会で承認した水産振興センター、まち・ひと・しごと交流プラザ、震災遺構・伝承館の指定管理は、新たなルールで人件費を積算している。

・交流プラザの指定管理者は気仙沼地域開発で、正職員1人と嘱託職員2人はプラザ内に常駐して施設管理をする。平成31年度の指定管理料の見込みは2200万円で、施設利用料264万円も指定管理者の収入になる。

【内湾の市営駐車場は3時間無料】

・内湾に一般利用向けの市営駐車場66台分を整備。昼間は3時間、夜は4時間まで無料とする。

・駅前の市営駐車場が30分無料なのに対し、内湾は3~4時間無料としたのは、食事をして買い物もできる時間を確保することで、内湾のにぎわいづくりとするため。石巻は2時間無料としていることを参考とした。

・年間の支出は機械保守や警備など330万円、収入は620万円と見込んだ。震災前の南町海岸駐車場は一般利用の収入が900万円だったことから試算した。

【市立集会施設の管理方法を統一】

・旧市町で異なり、合併協定で統一することになっていた集会施設の管理方法が統一された。旧本吉町のルールを基本に指定管理者制度で統一。固定経費と大きな修繕費は市が負担し、基本料金以外の光熱水費などは指定管理者の負担とする。唐桑は市直営だったため、自治会の負担が増えるので、指定管理の移行時期などについて緩和措置を用意した。

・現行制度で市の負担は700万円、地元700万円だが、新制度になると市725万円、地元570万円となる。総額が抑えられるのは唐桑地区で行っていたカギの管理人の報酬がなくなるなどのため。

・自治会所有の集会所に対する維持管理費(調査では29年度で71施設510万円)の補助も検討する。開始時期は未定だが、早急に検討することを約束した。

・唐桑地区の集会所は古いもので昭和8年の建築のものもあり、耐震診断では全9施設が基準以下だった。1年に1カ所以上、10年以内に終わるように改修・新築する。

【独自に防災研修プログラムづくり】

・指定避難所の見直し作業を進めており、平成31年度に防災会議に諮って決定する。

・年度内に市独自の防災研修プログラムを作成する

【大島架橋後の渋滞対策に協力金徴収】

・大島大橋が開通後、道路が狭い亀山の渋滞対策として、シャトルバスを20分間隔で運行し、誘導員を配置する。その費用に当てるため、田尻(浦の浜漁港)と亀山中腹の駐車場を利用する車から渋滞対策協力金700円を徴収する。期間は4月から11月までの午前9時から午後4時まで。

・シャトルバスと誘導員配置などの対策に4575万円かかり、協力金は1286万円を見込んでいる。

【小・中学校へのエアコン設置】

・小・中学校の普通教室275室にエアコンを設置する。費用は計4億4千万円。三分の一は国から補助され、市債の元利償還金の6割も交付税措置される。

・年間で冷房は20日、暖房は77日の利用を想定。猛暑対策としての制度だが、気仙沼では暖房の利用が多く見込まれ、冷房に使ったとしてもストーブよりも燃料費が抑えられることで、現状よりも年間256万円の維持管理費増と試算した。

・年明け早々に設計に入り、終わり次第設置していく。平日の作業時間確保がカギ。夏休み前に設置できるように努力する。

・当初予定していた職員室と校長室は国の交付金が認められなかったので先送りし、国にの財政措置の拡充を要望していく。

【不登校の人数を公表。小・中学校合わせて54人】

・生徒指導月例報告で把握している不登校の数値を公表。30年11月末で小学校は2502人のうち17人、中学校は1481人のうち37人。1000人当たりの出現率は県平均より少し低め。

気仙沼市内の不登校数の推移
25年 26年 27年 28年 29年 30年
小学校 13人 5人 14人 11人 14人 17人
中学校 57人 57人 52人 59人 50人 37人
生徒指導月例報告 30年11月末現在
病気欠席

(30日以上)

不登校相当 準不登校 別室登校
小学校 3人 9人 28人 3人
中学校 4人 12人 16人 17人

 

・学校給食の無償化に取り組んでいるのは全国の自治体の4%。菅原市長は「意義はあるが、財政負担を考慮すると国が行うべき」と答弁した。

・鹿折みどりのふれあい広場は、旧広場が公営墓地となったために代替広場を東中才に整備。計画面積は1.29haで野球ができるグラウンド(ホームから外野ネットまで90m)、30台分以上の駐車場、トイレなどを整備する。場所は旧鹿折保育所の鹿折川側。

 

【行財政改革】

・新年度予算編成で指示したゼロベースでの見直し作業の対象は事業800、事務2300。1件ずつ市長、各部長が加わって継続、改善、民営化を判定している。

【保育】

・待機児童は10月1日現在で45人(ゼロ歳28人・1歳14人・2歳1人・3歳2人)。認可外施設を利用している人もおり、潜在的待機児童は7人である。

・唐桑は公立幼稚園との将来的な統合を見据えて認可保育所の整備を検討している。場所は唐桑健康福祉センター「燦さん館」の隣接市有地。オープンの目標は33年度。将来的には唐桑幼稚園、さらに松圃幼稚園と統合し、認定こども園とすることも視野に入れる。

【震災復興】

・小泉の旧市街地で市が買い取った被災宅地を活用するため、企業誘致に取り組んでいる。30年度は5社に紹介した。今後はエントリー制度導入などを検討している。

・震災復興寄付基金の残高は1億8千万円。海の市と復興祈念公園で8千万円の支出が見込まれており、残りは1億円。災害復旧の備品購入に使おうという基本方針もある。

【暮らし・医療】

・宮城県のドクターヘリは28年10月の運航開始から今年10月まで気仙沼市で61回利用(現場救急12・病院間搬送49)。県内市町で最多。

・1人暮らし高齢者宅など182世帯に配置している緊急通報システムは、年度内に37件の通報があり、うち1件は救急要請だった。

【新魚市場】

・新魚市場の落成式は3月16日で、4月から供用開始の予定。

・新魚市場用の電動フォークリフトの購入補助は来年度も継続の方針。

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