一般質問の成果をまとめました

気仙沼市議会6月定例会で9日に行った一般質問の質疑概要をまとめました。いろいろ成果ありです。印刷用のPDFデータはこちらです⇒一般質問の概要2018.6.19
 
指定管理者制度、集会所の制度統一、高校再編、三陸道パーキングへの物販施設、保育所再編、市立病院に関心のある方はご一読ください。
 
個人的には、医療ミスで訴訟も起こされた市立病院について議論をスタートできたことが大きかったです。
 
甘いといわれるかもしれませんが、人の問題ではなく、仕組みの問題から解決していきたいと思っています。

今川悟一般質問の概要                         2018.6.19

 1.答弁で早期対応を約束した取り組みの確認                  

今川 議員2期目のスタートに当たり、これまでの一般質問などの答弁において急いで対応する方針が示されていた次の5点について、質問後の取り組みと今後の取り組みについて説明を求めます。市政は信用が第一です。目標を守れなかった場合はその理由と改善策も示してください。

質問① 指定管理者制度運用のガイドラインについて、昨年9月の一般質問で「29年度後期を目途にとりまとめる」「その途中において市民や専門家の意見を聞く機会も必要」と答弁しました。官民での意識共有が必要な制度であるだけでなく、復興事業で整備する施設にも影響するため、ガイドラインの内容について早期公表を求めますが、市の考えを示してください。

菅原市長 指定管理者制度運用のガイドラインについては、「市公の施設の指定管理者の指定手続き等に関する条例」で規定する公の施設の管理に関し、指定管理者を指定する場合の標準的な事務処理を定め、円滑な制度運営に資することを策定趣旨としており、仮称・指定管理者制度運営指針として、昨年度後期の完成を目途としていました。

しかし、運営指針の全体構成のうち、制度導入の検討手法のほか、基本方針、手続きに係る作り込みが終了している一方で、指定管理料の算出及びモニタリング手法に係る検討に時間を要しており、現在も作業を進めている状況です。

この運営指針に先行して、本市における指定管理の在り方を検証するため、制度施行後10年が経過した平成25年、公会計の専門家を交えながら「本市の指定管理者制度の今後の運営の在り方について」の策定に着手し、昨年、そのとりまとめを終えました。

特に指定管理料については、既存施設において、制度以前の管理委託料を引き継いだままであるものが散見されるなど、統一的な積算基準の明示が不可欠と捉えており、運営指針の策定に当たっては、この確定作業に慎重を期しているところです。

引き続き、復興事業で整備する各施設の竣工時期を見据えながら、可及的速やかな策定に向けて作業を進めるとともに、策定後は施設ごとの見直し作業に着手します。

また、指定管理の受け手となる民間団体・事業者との意識共有を図るため、同ガイドラインの公表・周知に努めるとともに、策定過程における市民等からの意見聴取は現時点での指定管理者への説明と合わせて実施します。

今川 「可及的速やかに策定する」との答弁でしたが、それはいつまでなのか。前回の答弁では、ガイドラインを受けて施設別の適用計画も作成することになっていました。そちらにも影響することが心配です。公民館のまちづくりセンター化構想は指定管理を前提としているが、ガイドラインでは想定していますか。

鈴木総務課長 ガイドラインの策定は議会終了後の夏の時期にまとめたい。施設ごとの見直し作業も同時並行で進めたいです。

熊谷地域づくり推進課長 公民館のまちづくりセンター化は指定管理を前提としており、ガイドラインに含まれるものと捉えています。

今川 公民館のまちづくりセンター化によって地域が積極的に指定管理を受けられるようにガイドラインの中で方向性を出してほしい。

質問② 同じく昨年9月の一般質問で、旧市町単位で異なる地域コミュニティ施設の指定管理方法統一について、「31年4月の統一に向け、29年度内に統一案を作成し、30年度はじめごろに自治会や振興会に示す」と答弁しました。統一案の内容、自治会や振興会への説明を含めた今後のスケジュールを示してください。

菅原市長 現在、市有集会施設の設置・管理に関する条例については、合併前の旧市町ごとに3つの条例が併存して制度が異なっていることから、これまで地域づくり推進課と唐桑、本吉の両総合支所において、条例を一本化し、全施設を指定管理とすることを基本に、経費負担の在り方について検討してきました。

現在の素案では、旧気仙沼市の例に倣い、施設使用料を指定管理者の収入とする利用料金制とし、指定管理料は無料にしたいと考えています。

また、施設の使用に伴い費用が変動する光熱水費等については指定管理者に負担して頂きたいと考えていますが、これまで市が直営で管理していた唐桑地区や、指定管理であるものの経費の一定割合を市が負担していた本吉地区においては、指定管理者となる地元自治会等の負担が増加することとなります。

一方、少額のものを除く修繕や消防設備、汚泥処分料を除く浄化槽の保守点検等の施設の維持に要する費用については、市の負担と考えており、これにより、気仙沼地区と本吉地区では負担が減ることになります。

このほかの費用負担等についても、いくつかのパターンを作成して試算を行っているところであり、この試算の結果を踏まえてパターンを絞りながら、より公平で受け入れ可能な素案を作成していきたいと考えています。

今後のスケジュールについては、9月ごろまでに統一に向けた原案を固め、自治会等に説明し、ご意見を伺いながら成案化を図り、来年度からの実施・適用に向け、12月定例会に条例提案したいと考えています。

今川 原案の提示が遅れている理由をもう少し分かりやすく知りたい。9月に示して12月の条例提案になると3カ月しかない。地域の話を聞いて反映させるためには時間的に厳しいのではないですか。

熊谷地域づくり推進課長 市長が答弁した通り、施設の維持管理は市が負担して、利用により費用が増減する光熱費等に関しては管理者の負担とすることで統一案を進めている。しかし、これまで光熱費等を市が負担していた部分もあるので、そういった部分では地元の負担が増えることもあり、その対策の検討に時間がかかりました。現在、いくつかのパターンをこちらの方で検討しており、公平性、市がどの程度負担すれば理解が得られるのかという部分も含めて検討を進めています。早急に統一案の原案を固め、住民に説明し、12月議会に条例を提案したいと考えています。

今川 市所有の施設としてはありがたい話だが、自治会の持つ施設との公平性についてもしっかり説明できるように準備を進めてほしい。

質問③ 市管理漁港のすべての防潮堤整備計画について、昨年12月の一般質問で「29年度内に大方の方向性をまとめたい」と答弁しました。すべての計画は確定しましたか。状況を報告してください。

菅原市長 市管理漁港の防潮堤整備のうち、昨年12月時点で方向性が定まっていなかった大島の長崎漁港、本吉の前浜漁港と蔵内漁港についてですが、長崎漁港は本年1月26日の地元説明会において、防潮堤建設を見送ることで地元の合意をいただきました。

前浜漁港は前浜地域振興会において、防潮堤整備に関する地区住民アンケートを2月に実施し、防潮堤の建設を行う結果となり、3月10日、自治会の臨時総会に諮り、地域のご意見として回答をいただいたことから、現在、早期着工に向けて準備を進めています。

蔵内漁港は景観に配慮するため、国県などの関係機関と調整を進めていますが、複数案の策定に時間を要し、現在、その絞り込みについて仙台河川国道事務所と調整中です。 その後、地域にもお示しし成案を得たのち、速やかに着工できるよう進めていきます。

蔵内漁港草木沢地区は防潮堤整備計画を見送り、地元との調整を図りながら、水産関係用地の整備を進めているところです。

質問④ 同じく12月の一般質問において、地元の高校の在り方について官民で議論するための組織立ち上げを再度求めたところ、「市民を交えて考える場を設定すべく、庁内や関係先と早急に検討する」「市長部局からも参画して必要な素早い行動をとる」と答弁しました。しかし、具体的な動きが市民に見えないまま半年が経過しています。現状と見通しを示してください。

齋藤教育長 昨年12月22日に県教育委員会の高橋教育長が本市を訪れた際、市長から当地域における高校の在り方について、市民も交えた検討委員会の立ち上げを話題に出し、県立高校将来構想に関する県からの情報提供について依頼しました。

 これに対し、高橋教育長からは、市の要望を県が受けるという形ではなく、県市の関係者が入った協議会で、少子化の中での気仙沼地域の高校について議論することが大切であり、平成30年度中にプレ意見交換会か本格的な組織になるかは別にして、話し合いを一緒にやらせていただきたいとのお話をいただいております。

さらに今月になり、高橋教育長からは今後の高校の在り方等を懇談する場の持ち方等について、本市に出向いて市長はじめ関係者と相談したいとの意向を確認しています。また、6月30日には本市において、現在議論されている次期県立高校将来構想答申中間案について意見聴取会が開催されると伺っています。教育委員会としましては、庁内関係各課と連携しながら、当地域における高校の在り方について懇談する場の設定を県と調整していきます。

今川 いまの答弁だと県教委が主体となって立ち上げる組織のようですが、市が主体とならないとまちづくりなどの協議ができないのではないかと心配です。きょう発表される県立高校将来構想の中間案にもしっかり意見を言うためにも急いでほしいと求めていました。教育委員会というよりも、市長部局が地方創生も含めて取り組まなければならない問題です。県教委の組織とは別の組織を考えることはできませんか。

菅原市長 今回出される中間案では、本地域においては距離感があって簡単にいろんなことができないだということが記されることになっている。一方で、各ブロックの将来の生徒数見通しでは、本吉地区だけが10年で30%も減るということですから、地域全体として考えていかなければならないことだと思います。よく話題に出される島根県の海士町の島前高校は、島外から人を呼び込んでいる。島根県そのものが、大都市圏で都市部の子どもたちを受け入れるためのアピールしている。

学校の統合とは別に、地方創生の観点から、将来残っていく子どもたちを確保していく気持ちを持ってもらうために、就職の直前にある高校が一番大事だということがその活動のポイントになっていることを主催者から聞きました。そういう観点と、まちづくりの観点を含めて関わっていく必要があると思います。県教委の方で学校の在り方だけを考えているようでないと思いますので、議員が指摘する趣旨も入れながら懇談ができるように、これは今年だけの話ではなく、継続的にやっていくことが一つ力になると思う。今年のやり方がどうか分かりませんが、一回きりのものでないようにしていくことが大事と考えています。

今川 推移を見守りたいと思いながらも、急がなければならない問題ですので、9月議会でも議論したい。県が考えているのは大河原方式で検討組織を設けることと思うが、メンバーは教育関係者が偏っており、気仙沼の場合はメンバー構成の段階から考えてほしい。

質問⑤ 2月の会派未来の代表質問で、唐桑と本吉の三陸道パーキングに計画していた物販施設について、「29年度内にスケジュールも含めて方向付けする」と答弁しました。その方向付けについて結論を示してください。

菅原市長 本市では唐桑地区と本吉地区の三陸沿岸道路に国が整備する計画としていたパーキングエリアの隣接地を造成し、民間の運営を前提とした物販施設の整備を目指し、これまで検討してきたところです。

しかし、唐桑地区については、計画では片側車線からの進入しかできないこともあり、運営を積極的に担おうとする事業者が現れていないことに加え、近隣に道の駅「高田松原」が国の重点道の駅として復旧整備される計画となったことなど、この地域での物販事業を持続的に展開していくことは厳しい環境となったことから、これまでの計画を見直し、物販施設用地の整備は行わない方針としました。

本吉地区については、物販施設用地整備を前提に地元の産業団体と意見交換してきた結果、新たに復旧整備する道の駅「新・大谷海岸」を地域振興の拠点として集中的に整備することが望ましいとの結論に至り、他に出店希望者がいないことから、当面、物販施設用地の整備は見合わせることとしました。

これらの方向付けを踏まえ、今後は両地区において地元や関係する皆様に対し、丁寧な説明を行ってまいります。

なお、本吉地区につては、国がパーキングエリアとして、駐車場やトイレ等の施設を整備することは堅持していただけましたので、市としては国の供用スケジュールに合わせて、その管理に必要な協力を行うこととしています。

 

2.保育所再編計画の見直しについて                       

今川 昨年12月の一般質問で気仙沼市は児童福祉施設等再編整備計画の見直しに至急着手すると宣言しましたが、その後の取り組みと今後のスケジュールなどを伺います。

質問① 認定こども園を計画している面瀬、0~2歳児の受け入れ態勢整備を計画した唐桑については「特に施設整備を急ぐ」とし、平成29年度内にニーズ調査を実施して、30年度のできるだけ早い時期に整備方針をまとめ、ほかの各地域の整備方針も30年度内に確定させることにしていました。

そして今年3月の子ども・子育て会議には、8月ごろに施設整備の方向性について中間報告し、11月以降に計画見直しの方向性を確認したうえで、31年度から見直し後の計画を具体化するスケジュールが示されています。面瀬、唐桑のニーズ調査で分かったこと、見直し作業の現在の状況と今後の見通しについて市の考えを伺います。

菅原市長 児童福祉施設等再編整備計画の見直しの取り組みと今後のスケジュールについてですが、本年5月に面瀬地区、唐桑地域の未就学児の保護者を対象にニーズ調査を実施した結果、面瀬地区では208世帯のうち102世帯から回答があり、回収率は49.0%、唐桑地域は124世帯のうち75世帯から回答があり、回収率は60.5%となっています。

現在、分析を急いでいるところですが、単純集計の段階で特徴的な部分としては、0歳児から5歳児までを預けられる認可保育所や認定こども園の施設整備を望む回答が8割を占めるという結果が出ております。

面瀬地区では、祖父母等の家族が子どもを見ている世帯が3割、唐桑地域では5割となっており、地域により保育事情が異なる状況も見られます。また、子どもが0歳児、1歳児のときに職場復帰している母親が面瀬地区は9割、唐桑地域で8割と高い回答結果となっている一方で、希望の時期より遅く職場復帰している母親が面瀬地区、唐桑地域ともに1割ほどとなっています。

今後はニーズ調査の分析結果を踏まえ、「気仙沼市就学前児童の教育・保育施設連絡会議」等による意見交換を行い、民間事業者の意向を確認しながら、具体的な施設整備の方向性を検討のうえ、8月中には地域の方々と意見交換する場を設けるとともに、子ども・子育て会議等にも報告してまいります。

なお、児童福祉施設等再編整備計画全体の見直しについては、平成31年度からの見直し計画の推進を目指し、年度内に各地域の整備方針を含む計画の変更を完了するよう重点的に取り組んでいきます。

今川 8月中の地域との意見交換には、市として施設整備の方向性を持っていくことになりますか。

菅原子ども家庭課長 8月には地域の方々に何パターンかの施設整備の方向性を示しながら中間報告までもっていきたいと考えています。

今川 施設が新しくなるのはありがたいが、大きな負担を将来に残すことはできないので、民間との役割分担だけでなく、もっと子どもが減った場合に施設を転用できるように設計も考えなければいけません。子ども家庭課だけでなく、施設整備の方針を決定する際には全庁的にアイデアを入れることを検討してほしい。

菅原子ども家庭課長 現時点では全庁挙げての検討には至っていませんが、民間事業者を含めて、今後の施設整備の具体に当たっては関係課も含めて検討していきたいと考えています。

質問② 休所している前沢保育所、小原木保育園の取り扱いは、どのように検討していきますか。

菅原市長 休所している前沢保育所、小原木保育園の取り扱いについては、3歳児から5歳児の保育ニーズの動向から、今後も新たな児童の入所は見込まれないものと考えており、面瀬地区、唐桑地域全体の施設整備と合わせ、地域の方々との十分な協議のもと、閉所する方向で検討していきます。

質問③ 市内で最初の認定こども園として昨年12月に開園した「鹿折こども園」の成果と課題は、身近な先行事例として再編整備計画見直しに反映させることが大切です。そのためには、保護者との意見交換やアンケートを実施する必要もあります。開園から半年、認可保育所と小規模保育所を年度途中に統合・新設した認定こども園としてどのような成果を挙げ、何が課題となっているか示してください。

菅原市長 鹿折こども園の成果と課題についてですが、これまでの成果としては少人数の小規模保育所では難しかった集団生活や異年齢交流を通じた社会性の醸成とともに、年長児では就学に向けた生活や学習の基盤を育むことにつながったものと捉えています。

保護者の傷病や冠婚葬祭などで、家庭での保育が一時的に困難となった子どもを預かる「一時預かり事業」により、教育認定の子どもの降園時間後の預かり保育も行っており、利用者から喜ばれているところです。

一方、課題としては教育認定の子どもの降園時間が早いことに伴う午睡後の過ごし方の違いや、各種行事等への保護者の関わりについて、保育認定と教育認定の保護者の考え方の違いに起因した戸惑いの声が寄せられています。

今後とも認定こども園として就学前までの一貫した幼児教育・保育を提供していくため、より適切な指導計画の作成と指導が行われるよう、運営面の改善と職員の資質向上に努めます。なお、開園から半年が経過したことを踏まえ、保護者を対象としたアンケート調査等を実施し、より良い施設運営に努めるとともに、今後の施設整備に生かしてまいります。

今川 鹿折の成果と課題をこれからの再編整備計画見直しに反映させるということでいいですか。次の施設整備を予定している面瀬や唐桑でもしっかり説明できるようにしてほしい。他の地区の人たちにも見学してほしい。

菅原子ども子育て課長 現段階で寄せられている声、戸惑いの声はあるが、利用している皆さんにアンケート調査等を実施して、どんなことで困っているかを十分に聞かせていただき、鹿折こども園の改善に努めるとともに、次に整備する施設の運営にも配慮していきたいです。

 

3.市立病院の救急医療体制について                       

今川 新しい気仙沼市立病院の完成によって、市民はその内容の充実を期待しています。しかし、医師の安定確保など運営面での課題は山積しています。市民の命を守る地域拠点病院として、特に救急医療体制については医師の負担などが喫緊の課題となっています。今後、市民と課題を共有しながら議論を深めていくために、今回は次の3点について伺います。

質問① 5月の市議会臨時会で和解を承認した損害賠償請求事件について、遺族は再発防止を求めていましたが、その後の取り組みと今後の対策を示してください。また、この問題は市立病院が抱える救急医療の課題と関連していますか。市の考えを伺います。

菅原市長 損害賠償請求事件を契機とする再発防止の取り組みと今後の対策ですが、市立病院では安心安全で質の高い医療を提供するとともに、組織的な医療事故防止対策に取り組むため、安全管理室を設け、室長には専任の医師を、医療安全管理者として専従看護師を配置するなど、医療安全活動に取り組んでいます。

合わせて、医師をはじめ、院内のすべての職種の代表で構成する医療安全推進委員会を定期的に開催し、医療事故防止に向けた職員間の連携と意思疎通を図っています。

この度の和解事案発生後の取り組みとしましては、院内で発生した救急措置を必要とする緊急事態に対応するため、あらかじめ取り決めたコールを院内放送することにより、診療科を問わずにスタッフを至急呼び出し、迅速な救命救急措置を行う院内緊急コール「スタットコール」の運用を平成28年1月から開始しています。

救急医療の課題については、夜間や休日に各科の専門医が常に院内で待機するような救急医療体制の構築が理想ではありますが、常勤医が不在または2~3人しかいない診療科も複数あることから、現状では困難であり、連絡体制の維持と併せ、的確な指示や対応の一層の徹底に努めてまいります。

質問② 市立病院のホームページにおいて、「気仙沼地域の救急医療は本当に危機的状況にあります」というタイトルで救急医療体制の深刻な状況を平成21年から市民に訴えてきました。そのQ&Aでは、「当直の翌日に手術というのは当たり前で、医療ミスがいつ起きるか分からない状況です」との記載までありました。

その危機的な状況は改善されたのでしょうか。まだ危機が続いているとしたら、市民の協力を求めていくことも含めて新たな対応が必要です。もしも、この状況が改善されていれば、和解に至ったケースも防げたのではないかと考えました。医師の負担を軽減することで、より優秀なスタッフが集まり、医療に専念できるようになります。救急医療を巡る現状と課題、そして市民への周知を含めた今後の取り組みを示してください。 

また、市立病院における医師の1週間当たりの勤務時間について現状と課題、特に負担が大きい診療科目について説明を求めます。

菅原市長 救急患者数については、平成29年度は1日平均18.7人で平成21年度と比較して2.3人減少しましたが、通常の外来患者数全体で19.3%の減少に対し、救急患者数の減少は10.7%にとどまっています。

救急受診後に入院した患者数は29年が1日平均4.8人、21年度が4.9人とほぼ変わらず、救急車で搬送された人数は29年度が1日平均4.8人、21年度が4.2人と0.6人増加しています。

医師数については、29年度末が56人、21年度末が45人で11人増加しておりますが、そのうち9人が研修医の増加によるもので、専門医の人数はほとんど変化がありません。

医師の当直については、通常1人体制で勤務しておりますが、専門的な診断が必要な場合に備え、当番の専門医が常にコンサルトできる体制としております。1年目の研修医については、上級医が一緒に当直して2人体制で救急医療に携わっています。

当直後の医師の勤務については、翌日の外来診療、検査、処置、手術にあたるとともに、当直医からの相談を受け、救急医療に従事した専門医についても、翌日は通常の勤務になるなど、医師不足が他の医師の勤務状況を厳しいものとしている現状があります。

このような中で、本院ではこれまでホームページや市の広報により、救急医療の適切な利用を重ねて呼び掛けてきました。

救急外来を受診する際には、看護師が患者の状況を聞き取り、症状により優先度をつける「トリアージ」を行うなど、円滑な診療に向けて取り組んでいますが、平成29年度における救急外来患者の内訳は、軽症患者である一次救急が76%を占めるなど、本来の二次救急に集中する状態とはなっていません。

救急医療においては、救命措置が必要な重症患者さんに限りある医療資源を傾注し、迅速な診療をするために、不要な救急受診を控えるなど、市民の皆様に深いご理解とご協力が必要と考えています。

本市の救急体制を維持していくため、今後も医師の確保と合わせ、ホームページや市の広報のほか、報道機関の協力をいただきながら広報に努めるとともに、利用者に対する説明や応対などの接遇向上にもさらに取り組んでいきます。

医師の1週間当たりの勤務時間については、仮に当直勤務を週に1回行い、1日1時間の時間外勤務をした場合、正規の勤務時間と合わせて62時間程度となりますが、自身の研究・研修や院外での待機時間、研修医への指導など、客観的な実労働時間の把握が難しい実態にあります。

特に負担が大きい診療科目については、一般的には緊急手術を行う診療科が考えられますが、診療科ごとの医師の偏在や外来診療開始前の病棟回診や外来診療の延長、夜間の急変時などにおける入院患者対応、各種委員会への出席などもあり、勤務時間の正確な把握は困難となっています。

質問③ かかりつけ医と大病院の役割分担、救急外来のコンビニ受診の抑制などを目的に、紹介状のない初診、緊急性のない時間外診療に対して選定療養費という特別料金を付加する制度があります。このうち紹介状のない初診については、大病院が高度な医療に専念するため、400床以上の病院に徴収が義務づけられています。400床未満でも200床以上の病院は届出によって徴収することができますが、厚労省の調査によると、気仙沼市立病院と同じ300~399床規模の病院の導入率は約9割となっています。

時間外診療に適用しているケースはまだ少ないですが、軽症患者がコンビニに行くような気軽さで救急外来を利用してしまうと、緊急性の高い重症患者の診療に支障が生じ、勤務医の負担が増えます。特別料金によって市民の負担が増えてしまいますが、地域医療の崩壊を防ぎ、市立病院の本来の機能を発揮することこそが市民にとって本当の利益となります。診療科目ごとの実態を踏まえながら、時間外診療と紹介状のない初診に選定療養費導入を検討する必要があると思います。このことについて院内で議論したことがあれば、導入のメリットとデメリット、これまで導入してこなかった理由、今後の可能性について伺います。

菅原市長 初診時及び時間外の選定療養費導入についてでありますが、初診時選定療養費については、これまでも院内で協議しているところです。

その中で、導入のメリットとしては、本制度の趣旨のとおり病院と診療所の役割の明確化を図り、一次医療については地域のかかりつけ医に担っていただき、本来の役割である二次医療を効果的に行うことで、利用者への高度・専門医療の提供が推進され、また、勤務医の負担軽減にもつながるものと考えています。

しかし、震災後、本地域の医療資源が十分に回復していなかったことや、本地域唯一の診療科が本院にあるなどの諸条件を勘案し、これまで導入には至っていませんでした。

しかし、本院を除く県内のすべての同規模自治体病院では選定療養費を導入し、一定の効果が見られるほか、本年4月からはご指摘の通り、病床数500床以上から400床以上の病院に選定療養費の算定要件が拡大されるなど、二次医療病院を取り巻く環境に変化が見られることから、利用者や地域の医療機関のご理解とご協力をいただきながら、導入に向けて検討を進めていきます。

今川 選定療養費の導入を提案したのは、本来の目的であるかかりつけ医との役割分担だけでなく、導入の議論を通して市立病院の実態を市民に分かってもらう機会にしたいと思ったからです。導入する、しないは検討の結果と思うが、導入しなければならない背景を市民に伝える機会としてほしい。初診だけでなく、時間外についてはどのように検討しますか。

菅原市立病院事務部長 導入に当たっては、利用者や地域の医療機関のご理解がなければ導入ができないものと考えており、今後、院内と庁内での検討を含め、地域の医療機関との協議・調整、利用者への周知等を図る中で、どうしてこの制度を導入するのかということもしっかりとお伝えして、ご理解を得ていきたいと考えています。

時間外については、初診時の選定療養費と合わせて検討していくつもりです。

今川 和解事件をきっかけに病院のことを調べて、いろいろな課題があることが分かりました。和解事件は日曜夜の救急外来から始まりました。当直は一人で、専門医の自宅待機に頼っている状況を考えると、こうした体制を変えていくことが本当の再発防止になると思いました。そのために何をしなければいけないかというと、市立病院のスタッフがもっと勉強や研修に時間をとれるように余裕を与えること、それからできるだけ医師を確保するためには働きやすい場所をつくらなければならないことが分かりました。

特に働きやすい環境づくりは、全国の病院で取り組んでいて、「まちに病院を~住民が地域医療をつくる」という本にさまざまな取り組みが紹介されていました。この本の中で行政の仕事について、「住民に対して、限られた医師・看護師の数でできる医療は何かを考えてもらい、必要であれば受診の抑制などの行動をしてもらうことが必要になります。強制しても住民は動かないので、情報を公開し、住民みずから議論する場をつくり、住民に気づいてもらうこと、人と人とをつなげることが求められます」とありました。

これはまさしく、市長が言っている市民が主役のまちづくりではないでしょうか。この問題について院内で再発防止に積極的に取り組んでほしいのですが、市立病院が抱える問題についてもっと市民と話し合って、課題を共有してほしいと思います。より積極的な取り組みを求めますが、どのように市民に情報発信していきますか。

菅原市立病院事務部長 市民または利用者の方々との情報共有、そして情報発信ですが、議員ご指摘の通り、新病院になりましたが、ホームページは若干古い状態となっています。現在の病院に合った形で情報発信してくとともに、今後、移転した後の利用者の声も聴きながら、アンケート調査の実施も検討していきたいと思います。

今川 ホームページで情報を集めるような人は大丈夫だと思うが、草の根活動に広げていかないとこの問題は解決しないと思います。病院で抱え込まないことが大事です。いかに市民に情報を発信して、市民が主体的に動いてもらうのか。地域医療を守る会をつくったり、子育てママが中心となって小児科を守る運動をしたり、市民の発案で院内に「ありがとうボックス」を設置してスタッフに対して感謝の思いを伝えている地域もあります。市民と病院がつながる仕組みをつくるのが行政の仕事なのではないでしょうか。

いまは市民も市立病院に対する期待が大きいが、医師側はそれに十分対応できる余裕がないという状況を考えると、その間を取り持つことが行政の役割だと思います。ぜひ、医師が気仙沼で働きたい、気仙沼の病院に行くと市民が温かく迎えてくれる、できれば女性医師も働きやすい環境づくりが大切です。市長に最後にお尋ねしますが、深刻な状況を市民に伝えて病院を守っていく取り組みにつなげることについて、院内ではなく庁内で検討してほしいと思います。市長、答弁お願いします。

菅原市長 私のところにも1年間に何件か特に救急を受診した方からお話を頂くことがあります。そういうときに感じることは、病状と診断の判断について、十分に説明されているか問題だと感じてきた。その人が一次救急だったのか、二次救急だったのか特に知ら連れていないと思う。この場合は家にいて処置をして、あした来てもらえばよかったという説明が逐次必要なのだと思います。そうでないと、自分はこんなに苦しいのに、痛いのに、心配なのに何で帰されたのかということになります。

しかし、それは医師にしても看護師にしても明確な判断があって、それが絶対でもないかもしれないが一応の判断はしていると思う。そのことをまずはしっかりしていくことが必要で、先ほどの答弁の中には場違いかもしれないが接遇という言葉が書かれていました。そのうえで、これは救急医療に関わらず、本市の財政が抱える最大の問題は市立病院の経営です。病院を建てることは必要なことで何の疑念もないが、運営をしていく中では市民の皆さんに分かってもらわなくてはならないことが相当あって、その上で病院も継続していける体制をとっていくということとダブルでやっていかなければならない。そういう中では、今回の救急のことだけではなく、病院の現状などについて、それこそ予約診療の問題もあると思う。

さまざまなことを分かっていただく努力をしなければならないので、そのことについて、ホームページをリニューアルするとか、広報に書くとかいうルーティーンの中に織り交ぜていくこということではなかなか耳に止まらないのではないかということが今回の質問の趣旨ではないかと思いますので、しっかり工夫していかなければならない。同時に私の立場からすれば経営に直結している話です。赤川副市長には院長・副市長会議に毎回行ってもらっていますが、その先を進めていかなければならないなと思ったところです。

今川 ホームページの発信は、平成21年から「気仙沼地域の救急医療は本当に危機的状況にあります」という発信をしてきたのに抜本的な解決につながっていないことを考えると、ホームページでの訴えは市民に届かないと思いました。院内や市役所内だけでがんばるのではなく、市民も巻き込めるように情報発信と情報共有に努めてほしい。

全国的には医師の大量退職が発生して、残った医師の負担が増えて、さらに退職が続くという存続の危機にさらされている病院もあります。病院存続のためには、今から予防に取り組まなければならないと強く実感しましたので、今後もこのテーマで質問をしていきたいです。きょう話したことの一つでも実現することを期待して一般質問を終わります。

 

 

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