気仙沼市は東日本大震災で被災した世帯の住宅再建支援について、市独自の補助金制度を見直しました(8日の市議会東日本大震災調査特別委員会でで説明)。災害危険区域内において、危険区域指定前に再建した世帯への補助額を引き上げるとともに、危険区域指定後に修繕した世帯も補助対象に加えます。制度の見直しはこれで5回目です。
【5回目の見直し】
独自支援制度は、災害危険区域から外れて防災集団移転やがけ地近接等危険住宅移転事業(がけ近)の対象外となった世帯などを救済するため、県を経由して交付された復興基金交付金約70億円を財源として住宅の建設や修繕などに補助しています。詳しくは気仙沼復興レポート㊺「住宅再建の独自支援見直し」をご覧ください。
市内でも住宅再建を後押しするだけでなく、公平かつ財源を残さないように運用するため、何度も見直しを重ねてきました。最近では2017年10月にローンを利用しない人への補助額を引き上げることを決めた(詳細はブログ)ほか、今年1月には防災集団移転でローンを利用しなかった人も独自支援で最大200万円を支給することにしました。
【災害危険区域指定前の再建を手厚く】
独自支援の対象や金額を決めるためには、被災世帯の再建方法をできるだけ正確に把握しなければなりません。今回は再建にかかった費用に対する補助合計の割合を算出し、メニュー間の格差是正を検討しました。
その結果、災害危険区域内において危険区域指定前に再建した世帯の補助率を見直しました。ローンの利子補給と移転費して建築・取得で現状は上限100万円を728万円に、修繕と移転費の場合で上限100万円を300万円に引き上げます。ローンの利用しない人には、建築・取得で50万円だった上限を350万円に、修繕は50万円を100万円に引き上げます。「危険区域内で再建となったことに自己の責任はない」と考え、災害危険区域外で再建した場合と同じ額にしたのです。対象は11世帯の見込みです。8月から実施し、すでに補助金をもらっている世帯には個別に案内します。
【危険区域指定後の修繕も対象に】
さらに、災害危険区域内において、危険区域指定後に再建した場合でも、修繕については補助対象に加えることにしました。修繕費用に対して上限100万円を支給します。対象は18世帯の見込みです。
一方、災害危険区域内で危険区域が指定された後に建築した世帯は、20万円の引越補助にとどまっています。住宅の建設が制限される危険区域の指定後なので、想定される津波浸水深よりも盛土するなどの安全対策を講じ、市の特別許可を受けて建設した世帯が43件となる見込みですが、菅原茂市長は「基本的な考え方を崩さない中で、危険区域内にあえて建てることは推奨できない。修繕とは意味合いが違う」と説明しました。
災害公営住宅への引越補助を含め、独自支援の利用見込みは計4098世帯。今回の見直しで約1億円加わったことで、すべて計算通り利用すると予算額69憶3699万円の残りは9528万円となります。
【70億円はほぼ使い果たす見込みだが…】
課題は、がけ近、防災集団移転への独自支援のうち、すでにローンの利子補給を利用している世帯への追加支援策が宮城県に認められていないことです。ローンを利用しない世帯向けに200万円の補助メニューを用意するのに合わせ、利子補給が200万円以下の世帯に対してその差額分を支給することにしたのですが、「重複・上乗せ補助になる」との指導を受けています。
まだ県と交渉中ですが、期限の2020年度までに認められないままだと、2億2300万円分は住宅再建支援用に配分された70億円とは別な復興基金を充てなければならず、その分は別な独自支援に振り分けなければ余すことになってしまうのです。
市が新たにまとめた資料では、生活再建支援金加算金などを合わせた被災者に対する再建に対する公的補助は、建設でも250万円から2500万円まで差が出ました。災害危険区域内での建設が低く、公共事業(土地区画整理や道路整備)で移転補償の対象となった場合が高額になりました。気仙沼市のようにたくさんのデータを揃えて公表することで、次の災害に向けて支援制度が見直されることを願います。
お疲れ様です
私は来春Uターンする為に、大島の中古住宅を買いましたが、その物件の基礎が壊れており、修理にそれなりの金額がかかります、このような事象での補助は受けられないのでしようか?宜しくお願いします。
追伸、FBで友達になって頂いておりますが
気仙沼市では空き家改修の補助に最大100万円の補助制度を用意しています。空き家バンクへの登録などの条件がありますので、詳細は担当課に確認ください。課題があれば、また連絡いただきたいです。
http://www.kesennuma.miyagi.jp/sec/s022/010/010/010/015/chirashi.pdf