12月定例会のポイントを早わかり【議会報告】

気仙沼市議会2月定例会の報告第2弾です。
議案審議、予算審査、一般質問で分かったことをまとめました。

印刷用のPDFデータはこちらです⇒2023.12定例会まとめ


気仙沼市議会2月定例会のポイント 今川悟まとめ

 

【注目トピック】                                                      

■ふるさと納税85億円へ上方修正

・令和5年度のふるさと納税の寄付額は予算措置していた70億円を突破し、新たに85億円に補正した。ふるさと応援基金の今年度末積み立て見込みは46.2億円となった

・カニ、牛タン、フカヒレ、カキ、イクラにサケ切り身がプラスで人気に

・人口減少対策パッケージ(10年間で50億円)の予算確保を念頭に、寄附の推移を見ながら新たなパッケージ創設など未来への投資としての活用を目指したい

・返礼品登録シートに記入してもらうときに地場産品基準を示して確認してもらっているほか、10月からは市が総務省から全品チェックを受けている(11.22臨時会答弁)

 

クラウドファンディング型ふるさと納税の寄附状況
対象事業 令和4年度 令和5年度(11月末)
震災遺構・伝承館の施設維持と伝承活動 6076万円 1億2937万円
学びの産官学コンソーシアム事業 9971万円 404万円(募集停止)
水産都市支援事業 3759万円 1億2348万円
1億9806万円 2億5690万円

 

■市立2病院を再編して「本吉医院」へ改称

・市病院事業審議会からの答申に基づき、気仙沼市立病院と市立本吉病院を令和6年4月から再編。本吉病院を「気仙沼市立病院附属本吉医院」とする

・入院機能を気仙沼市立病院に集約する

・本吉病院のノウハウを生かして、気仙沼市立病院には地域包括ケア病棟を設置し、総合診療にも取り組む

 

■漁火パークの指定管理者に建設会社

・唐桑町の漁火パークの指定管理者を東北特工(階上)に決定した

・指定期間は令和6年4月から5年間

・公募(10/5-11/2)には1団体のみ申請だった

・東北特工はのり面保護なども得意とし、施設の維持管理への期待は大きいが、飲食へは初進出のため、飲食は調理師や食品衛生管理者を採用予定。正職員2人、臨時職員3人態勢とする

・担当部長の実家が唐桑で民宿をしていて、地区漁協出身者

・今後はパーク全体の利活用と誘客を強化してほしいと思っている中で、バーベキューやキャンプ体験、音楽イベントやフリマ、ビアガーデンなどによる敷地全体の活用、2階のコンベンションルームの貸しスタジオ化の提案があった

・建物は午前11時から午後4時までの営業

・収入は指定管理料300万円と事業収入1500万円などで計1810万円。指定管理料を100万円減らしたのは、収入増を期待したから。「経費から収入を差し引いた額が指定管理料となる」と財産管理課長

 

【補正予算に35億円】                                                           

■亀山モノレールで資材高騰分の予算追加

・亀山モノレール整備のための部材や労務費が高騰しているため、予算を7711万円増額する。財源の半分はデジタル田園都市国家構想交付金

・山頂に力を入れるために中間駅はなくすが、レストハウスはそのままでというわけにはいかないため、外壁の塗り直しなどを予定している

・今回認められたのは物価高騰分で、(計画を見直した)全体像とは別。2月定例会には工事契約を提案予定で、その前に議会へ説明し、その後に市民へ説明する

・工事が始まれば中腹駐車場を資材置き場などとして使用するため、シャトルバスの運行ルートを見直すことになる

 

■人事院勧告を受けて職員人件費2.7億円追加

・市は人事院勧告による国家公務員の改正に準じ、市職員の期末手当を年間で0.1カ月、給料月額を1000~1万2000円引き上げる

・総額は2.7億円(給料1.2億円、期末手当1.1億円、共済費など)

・期末手当と勤勉手当の年間支給額は計4.5カ月分になった。引き上げは2年連続

・給与は月平均3000円の引き上げ。若者に手厚くした

・会計年度任用職員は期末のみ0.05カ月引き上げ。給与も市職員に準じて月平均9400円アップさせた

・指定管理施設も市職員に準じているが、指定管理者の判断となる

・市長、副市長、教育長、議員も期末手当を0.1カ月分引き上げるが、給与は県内他市も引き上げないことから見送った

 

■第二庁舎活用へ調査

・市役所移転後の跡地活用を検討するため、第二庁舎(築114年)について調査する。予算は事業推進コーディネート業務として185万円

・土砂災害の警戒区域にあるため、活用するには対策が必要。施設の活用を前提に、その判断のために調査する。

・基本的には民間活用だが、初期投資などは市の覚悟も必要になる

■物価高騰対策でホヤチケ

・国からの物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金6億9000万円と新型コロナウイルス感染症対応地方創生交付金で経済対策を行う。住民税非課税世帯に各世帯8万円を追加支給(すでに3.5万円支給済み)するほか、電力をたくさん利用する事業者、沿岸漁業、施設園芸農家、畜産農家を支援する

・全市民に商品券を配ることも検討したが、支給額が小さくなるため、住民税非課税世帯に絞った

・ホヤチケXはサポート体制をしっかりして進める。紙にすると、3月末までの期限に間に合わないと判断した(下の表は条南地区市政懇談会で示されたデジタルと紙の比較)

物価高騰対応
非課税世帯給付金

6億191万円

住民税非課税世帯と家計急変世帯(非課税世帯並みの状態)計7330世帯に1世帯当たり8万円を給付する
デジタル商品券

6200万円

実行委員会が消費喚起のために発行するホヤチケXの発行枚数を6万セット(500円×2枚セット)追加する。利用するにはスマホのクルーカードアプリが必要
高圧電力利用者支援

5003万円

高圧・特別高圧の電力供給を受けている事業者に、7~12月分の電力1kWh当たり1円(上限100万円)を交付。対象は190事業者。4~6月は2円だった
沿岸漁業者への燃油補助

1477万円

今年1~12月を対象に、漁船、わかめボイルなどに購入した燃油1ℓ当たり7円を補助
施設園芸農家への支援

204万円

イチゴやトマトなどの施設園芸農家にA重油と灯油1ℓ当たり6円(上限)を補助する。対象は14戸を想定
畜産農家の支援

544万円

飼料高騰の影響を受けている畜産農家に対して、繁殖和牛8000円、乳牛1万円を1頭当たり補助する

 

■自転車ヘルメットに購入補助2000円

・着用が努力義務化された自転車用ヘルメットの装着を促すため、購入費用に対して2000円を助成する。1300件で260万円分を予算化した

・令和5年1月以降に購入したものが対象で、購入履歴が残っていればOK

・来年度まで2カ年計画での助成を予定

 

■市道整備に4.3億円追加

・国の社会資本整備総合交付金などが配分されたため、小鯖鮪立線と萱原の沢線(残り全区間)の改良工事を追加する。老朽化した5橋(官代沢橋、上西側1号橋、新町裏橋、立沢上1号橋、下赤田橋)のメンテナンス設計も行う。総予算は4億3020万円

・橋は334橋のうち44橋の補修が必要。判定1-4のうち今回は全て3(早期処理段階)で腐食対応となる

・地域から架け替えの要望がある下赤田橋は、まずは補修するが、上流の二つの橋に目途がついてから架け替えを検討する

 

■循環バスを条南地区からの登下校に活用

・気仙沼中学校へ来年4月から統合する条南中学校の生徒が市内中央循環線を利用して通学するため、内の脇バス停に上屋(5m×2m)を設置する。予算は225万円

・基本となるバスの定員は28人で朝は2ルート(市立病院発と気仙沼高校第2グラウンド発)の運行とする。利用見込みは2.5km以上の30人ほど。朝一の一般利用は数人なので問題ないが、乗り切れなかった場合は続行便を出すことにしている

・入学説明会でバスの補助制度などを周知する

・「気仙沼中は車送迎が多く、(乗降場所など)何らかのルール化を市教委に指示している」と市長

 

11人の一般質問から分かったこと                                       

■市民の森での風力発電は「市民の意思を尊重」

・脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギー事業は意義があると認識しており、人と自然、再生可能エネルギーと地域が共生できる計画として市民に受け入れられるように進めてほしい

・南側斜面の開発を極力避けるように伝えた

・保安林の解除・開発には国県の許可が必要になる

・県の再生可能エネルギー地域共生促進税は4月から施行。地球温暖化計画策定へ来年度に設置する協議会で、課税対象外エリアを決める

・環境アセスメントの中で,風車の場所や規模などの検討が行われ、まだ地域貢献策などを検討する段階と認識しており、事業者との協議にはまだ至っていない

・「ありとあらゆる情報が揃ったところで、市民の意思を尊重する」と市長

 

■プール指導の外部委託に前向き

・小中学校18校のプール維持費は年間1780万円(水道400万円、電気440万円、点検・修繕940万円)

・令和2~3年度はコロナ禍でプール使用制限があり、泳げない子が増えた。6年前は小学6年生の8割は25mを泳げていたが、4割弱(35%)まで下がった

・小学校は年間8時間、中学校は7時間程度の字数を確保。外部委託については前向きに検討する。特にコロナ禍の影響で泳げなくなった学年がいれば力を入れたい

 

■クルーカードの電子決算の導入可否検討

・クルーカードの今年11月末の会員数は市内2.3万人(39.6%)で、令和4年度の利用率は59.4%だった

・加盟店は130店舗前後で推移

・目的は市内の消費規模の維持拡大、データのフィードバック。市内を主たる商圏とする事業者にはメリット少ない

・電子決裁は有効だが運用費がプラスになることから、導入の可否を検討していく

・キャッシュレス経済に対応する必要はあるが、補助金だけでなく事業として自立回転する次のステージに進まないといけない

・観光関係者には説明してきたが、市民向けに意義を伝える機会はなかった

・「加盟店の機運醸成のためにも地域経済循環の視点も必要だと気付いた」と市長

・会議所では気仙沼商品券の電子化を検討している

 

■リフォーム補助は移住世帯向けで検討

・令和2年から4年度までに647件が利用

・今後の方針検討のために令和3年度利用者にアンケートした結果、「補助が無くても改修した」65.5%、「補助があったから回収が早まった」31.5%、「補助が無ければ改修しなかった」3%だったため、再開は考えていない

・現在策定中の人口対策アクションプランで移住世帯向けの支援を検討中

 

■特別教室にもエアコン

・小中学校の特別教室(音楽室や図工室など)へのエアコン設置は、国の補助制度を活用して段階的に設置を検討する

・使用状況を見ながら、統合校からの移設を含めて考えていく

 

基金の債券運用を検討

・将来の大規模改修や解体に備えて積み立てている市営住宅基金(78億円)、ふるさと納税の寄附を積み立てているふるさと応援基金(年度内に40億円超)など一部基金について、国債や地方債などの金利状況や他市の運用状況を参考にしながら、債券運用を検討する

・現在は現金を定期預金に入れているが、その利息は年間0.002%(1億円で2000円)だが、個人向け国債だと5年期限で0.25%、10年だと変動初回で0.46%

・市営住宅基金の内部流用は、長期になる場合だと具体的な活用事業が見えたときに確実な返済を基本として制度設計する

 

会計年度任用職員のパートタイム化は先延ばし

・一般事務を担う会計年度任用職員は令和5年度からフルタイムからパートタイムに切り替える計画だったが、正職員の退職が想定より多かったため、先送りした

・会計年度任用職員は3年まで更新できるルールを尊重し、令和5年度採用組が3年目を迎えた後の令和8年度まで段階的に切り替えることにした

・一般事務の募集は令和6年度採用からパートタイムにしたが対象はわずか

 

■補聴器補助には慎重、福祉バスは「福祉活動増やして」

・補聴器購入補助は県内で東松島市、富谷市、大郷町のみで、国の動き注視していく。身体障害者には補助制度がある

・福祉バスの利用は福祉活動(研修会やボランティア訪問、障害者スポーツ大会参加など)に限定。社会参加は対象外にしたことで、令和5年度は4団体5回にとどまっている。市長は「利用少ないのが問題。まずは福祉団体がもっと福祉活動をやるのが第一段階」と答弁した

 

マザーズホーム、障害者雇用率、運転免許自主返納でも質疑

・障害児施設のうちマザーズホームは無料で、民間4施設が有料になっている件は、指定管理を更新する令和7年度までに利用する障害児の保護者の意見を聞きながら,マザーズホーム,民間施設併せて支援策の見直しを考えていく

・市役所の障害者雇用は、法定雇用率2.6%に対して令和4年度は1.41%と13人不足。令和5年度は1.75%(19/1087.5人)で9人不足のため、会計年度任用職員に障害者枠を設けた。今後、令和6年4月から8年6月30日まで2.8%、その後は3.0%に引き上げられるので達成に向けて取り組む

・高齢者の運転免許自主返納は「自主返納なので市として推奨していない」と危機管理課長

 

■教育のその他

・新たな小中学校再編計画が決まったらなるべく早く実行に移すように策定の段階から市民の理解を得るようにしたい

・文化財保護活用地域計画を策定する

・コミュニティスクールは現在8校だが、残り全校で準備会ができている。松岩、新月、唐桑、大谷は小中合同を検討中。連絡会を1/11に開催する準備を進めている

・サポートセンターへの相談件数は令和3年度326件、4年度362件、5年度(10月末まで)281件。

不登校者数
小学生 中学生
令和4年度 41人 89人
令和5年度(10月末) 26人 71人

 


全員協議会の報告(11.12)                                         

■市立病院産婦人科は4月から非常勤医師2人態勢へ

・令和5年10月まで市立病院産婦人科は常勤医師2人と非常勤医師1人の3人態勢だったが、派遣元の東北大学病院産婦人科医局の医師不足により、11月から常勤1人と非常勤1人、令和6年4月から非常勤2人となる。これに伴い、4月からハイリスク分娩は石巻赤十字病院など他の医療機関への紹介が基本となる。すでに婦人科分野の子宮筋腫、卵巣腫瘍の手術も他の医療機関への紹介となった

 

【菅原病院部長の説明】

・産婦人科は大学病院の医局に入る7割が女性で地方勤務を望まない。全国的な流れは不妊治療の道へ進む医師も多く、1つの施設に集約する方向にある

・市立病院の助産師に余裕がないため医師への負担が大きくなっている。助産師を増員に取り組む。分娩数は平成28年まで400件台だったが令和4年度は264件に減り、さらに減少が見込まれる。分娩の灯を消したくないので調整を続け、少しでも不安払拭へ努力するが現実的には難しい。

 

【菅原市長の答弁】

・大学病院で話してきたが非常に厳しい。分娩1000件が一つの基準と言われたが、続けてくれている。常勤医は半分延ばすことができた

・続けたい大学の意志は示されたので、助産師をしつかり揃えていきたい

・できれば常勤1人は諦めない

・訴訟リスク、里帰り出産リスクもある

 

【横田院長の説明】

・女性医師は家庭があり、ライフワークバランスの良いところが人気になる

・仙台は1病院へ10人配置している

・市立病院の土日は県内随一の高給で迎えている

・将来は医師が余るはず。地方のメリットもあり、医師がいなくなるとはあまり想定していない

 

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