小学校統合の進め方を議論【6月定例会一般質問】

報告が遅れましたが、気仙沼市議会6月定例会が、6月11日から23日まで開催されました。 補正予算に関わる議論など、いろいろとお伝えしたいことはありますが、まずは一般質問の概要をまとめましたので報告します。 議員としての任期が1年を切りましたので、今後は新しい提案を控え、これまで指摘した点を継続して確認したり、既存の事業の問題点を指摘したりすることを心掛けました。

今回は取り扱ったのは

・三陸道の活用
・地方創生総合戦略のその後
・小・中学校再編の進め方
・解体予定の仮設住宅の有効活用

でした。

成果としては、総合戦略の評価を行い、新たに策定する総合計画と関連性についても議論していくことを確認しました。統廃合問題では市長と教育長の率直な思いを引き出しながら、反省すべき点は反省してもらえたと思います。ただし、統合ありきという根本的な部分には踏み込めず、まずは地域懇談会の在り方から改善することになりました。

一般質問の概要は次の通りです。印刷用のPDFデータはこちら→一般質問要旨2017.6.21

今川悟 一般質問の概要 2017.6.21

1.三陸道の活用について

【問1】 三陸道の本吉町九多丸~松崎高谷間が来年3月末まで完成する予定ですが、三陸道活用に向けた動きが見えない。昨年9月の一般質問では、「開通後を意識した戦略的対応を官民挙げて検討していく」と答弁した。その後、三陸道を活用するために庁内でどのような体制を構築したのか。また、官民で活用策を議論する場を設定する考えはないか。

◆菅原市長 これまでの復興まちづくりの中において、インターチェンジ直結地への水産加工団地の整備や気仙沼湾横断橋のライトアップ提案など、三陸道を戦略的に活用する取り組みを行ってきた。今年度中に予定されている本吉町九多丸から松崎高谷までの開通に向けては、今後、国からインターチェンジの名称提案を受ける予定でありますが、市としては地域や関係団体の意見も参考にしながら協議していきたいと考えている。
官民が関わる取り組みとしては、道の駅大谷海岸の本格検討をスタートさせ、道の駅関係者や地域の方々の秋田、山形県内の道の駅先進施設の視察に私も同行したほか、階上地区においては、震災遺構の保存範囲の拡大や民間が計画する波路上地区でのレクリエーション施設整備に対しても市として関与してきた。また、松崎片浜地区の被災宅地の利活用検討にあたっては、三陸道活用の意図をもって民間事業者とも連携した取り組みとなるよう進める。
三陸道を活用するための庁内体制は、新たに組織は立ち上げてないが、例えば、総合交通計画における高速バスの見直しなど、市が取り組む事業は関係の深浅はあるものの、三陸道に関わるものが多くあることから、庁議などにより情報共有と全体調整を行うほか、各部署が進める施策においては三陸道を十分意識して関係課連携のもと事業を進めていく。
◆今川 もっと新しい取り組みを期待している。市民を巻き込んで議論する場が必要だ。9月の一般質問では、岩手県が三陸道活用のためにまとめた「三陸復興・振興方策調査報告書」を読んで庁内で共有するように求めていたが、岩手からの誘客、日帰り客のランチ対応など、その後の対応を伺いたい。
◆菅原市長 報告書で一番目についたのはコンテナだった。宮古、釜石、大船渡でコンテナヤードを持っていて、気仙沼は不開港になってしまった。このことはILCへ向けて打開しなければならない。調査によれば、コンテナを積んできている国内航路船のサイズは小さく、気仙沼港にも入港できるサイズであることが分かった。気仙沼商港にコンテナを扱うための設備をつくるために何が必要かということについて現在調査しており、資料がある程度集められた。そのことは、ILCの加速器の倉庫や検査場などの提案に関わってくる。なお、昼食などについては観光推進機構を設立して、その中で食・グルメを一つのテーマにして部会に位置付けて検討してもらうことになる。その検討の中心は官よりも民になると思う。当然、三陸道を意識していかなければならない。
◆今川 今回は体制の確認ですので、具体的な議論は次回以降にする。?

2.気仙沼市まち・ひと・しごと創生「総合戦略」の進捗管理と第二次総合計画への反映について

平成27年10月に策定し、平成28年3月に改定した気仙沼市まち・ひと・しごと創生「総合戦略」は、大規模なアンケートの実施、「みんなの実践」募集などを経て、人口減少や少子高齢化に対する5カ年の具体的な施策などをまとめました。その進捗管理など次の3点について質問します。
【問1】 総合戦略を民間も含めて推進するため、「計画策定」「推進」「点検・評価」「改善」のサイクルが重要であり、毎年度、数値目標や重要業績評価指標(KPI)の推移を明らかにすることにしていた。また、計画について「少なくても年1回の見直しを行う」と明記したが、28年度の点検・評価について取り組み状況と周知方法を伺う。

◆菅原市長 総合戦略の28年度の点検・評価の取り組み状況と周知方法については、27年度に実施した創造的産業復興支援事業など内閣府の地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用した事業について、昨年3月にけせんぬま創生戦略会議を開催し、重要業績評価指標(KPI)の達成状況の確認と事業効果の検証及び評価を行い、内閣府に提出した。なお、点検・評価の結果については、市のホームページに公開した。また、28年度末のKPIの達成状況の確認と事業効果の検証・評価については、本年10月を目途に行うこととしている。
◆今川 一般質問を通告した2日後、検証と評価の結果が市のホームページで公開されたのを確認した。しかし、公表されているのは交付金事業だけ。ほかにも公募プロジェクトなどいろいろプロジェクトがあったので、10月に予定しているという次の評価ではすべての事業を対象にしてほしい。
◆小野寺企画課長 総合戦略に記載している事業については、基本的にすべて実施するということではなく、事業例として記載したものもある。その中でできる分について積極的に行っていくということである。10月に状況等を示す段階では、柱ごとに設定した指標の達成状況が基本になる。代表的な事業についてKPIの達成状況も含めて示したいと考えている。
◆菅原市長 さまざまな計画や補助事業において、少し困っていることがある。それはPDCAサイクルが回っているかとか、KPIが達成されたとかが、必ずしも施策で効果的に活用されるものか、特にKPIについては非常に悩ましい。だからKPIにとどまらず、もう少し先につながる評価を入れていくことが大事だと考えている。
◆今川 総合計画に関心が集まる中、あれだけ市民を巻き込んで作った総合戦略の評価をどうしていくかが心配だった。総合戦略をしっかり評価することが、新たな総合計画につながっていくと思って今回取り上げた。総合計画審議会では総合戦略の説明があまりなかったが、これから総合計画を策定していく中で、総合戦略について学ぶ機会も必要だ。
◆小野寺企画課長 総合計画審議会と地方創生戦略会議のメンバーは同じ。10月を目途に総合計画も中核報告を総合計画審議会にしたいと思っており、それと合わせて地方創生の総合戦略も報告する。
◆菅原市長 総合戦略にも市民がワークショップに参加している。その中で総合計画の委員でなかったり、ワークショップに参加していない人もいるので、そういうところは埋めていかないといけない。何よりも自分が話して紙に書かれたことが、そのままになっているということは良くない。市の責任ということだけでなく、その人も含めて責任を共有していかなければならない。それだけ、そこに参加するということはある意味面倒くさいことなのかもしれないが、そういうことだと認識してもらったり、苦労と思わないようにする仕掛けるかということを私たちは学んでいかなければならない。

【問2】現計画には「28年の重点事業」が示されていますが、「29年の重点事業」をはじめとする各年の重点事業についての公表、市民との共有について市の考えを伺います。

◆菅原市長 総合戦略はKPIの推移や各種施策の進捗状況を踏まえ、見直しを行うこととしており、本年は10月を目途に行う予定。また、29年度の主な事業については、予算委員会時の説明資料に地方創生事業として表記した。なお、30年度以降の重点事業についても予算関係資料や毎年度行う総合戦略の改訂の際に掲載し、その内容は市広報やホームページなどで公表していく。

【問3】作成中の第二次気仙沼市総合計画に、総合戦略の改善点が反映されることが望ましいと考えます。そのためにも点検・評価を急ぐべきだと思いますが、市の考えを伺います。また、総合戦略と総合計画の違いについて説明を求めます。

◆菅原市長 総合戦略は地方においては人口減少の課題への対応策として、特にまち・ひと・しごとの創生に特化し、より効果的な施策を重点的に取り組むもので、総合計画に包含されるものと位置付けており、総合戦略に盛り込まれる政策や施策は、現在策定中の第二次気仙沼市総合計画と有機的に連携する。
◆今川 復興計画も含めていろいろな計画の進捗管理をしなければならず、将来的には一緒に扱っていくことも考えなければならない。新たな総合計画の中で、総合戦略や人口ビジョンの扱いについても議論してほしい。
◆菅原市長 それはやりやすいと思う。総合計画や復興計画は議会で議決されているものだが、総合戦略は議決されてなく、毎年ローリングしなければならない。議会とも共通認識の上で、修正して議決をしなければならないということと、書いてしまったものはそれだけだということにしないようにしたい。
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3.保護者や地域の意向を反映した小・中学校統合の進め方について

 

気仙沼市義務教育環境整備計画に基づいて、小・中学校の統廃合が進められていますが、27~29年度の第2段階に位置付けた水梨小学校と松岩小学校、月立小学校と新城小学校の統合については保護者や地域の理解が得られず、統合を先送りしてきました。しかし、30年4月の統合に向けた話し合いも平行線を辿っているように見えます。今後の進め方など次の3点について市の考えを伺います。
【問1】 教育委員会が月立小学校、水梨小学校で開催している地域懇談会では、このまま回数を重ねても、統合について保護者や地域の理解を得ることは困難と感じました。現在は教育長が座長となって意見交換していますが、第三者が中立的な立場で話し合いを進めるべきだと思います。地域懇談会の在り方について、見直す考えはありませんか。

◆齋藤教育長 地域懇談会の在り方を見直す考えについては、第三者を座長に据えることは適切ではないと考えている。義務教育環境整備計画はこれまで当局外の方々や専門家の参画を得て、一般的に適切と考えられる手順を踏み、市議会にも説明して進めているものであり、公としてオーソライズ(認められている)された計画である。保護者や地域の方々との懇談会の持ち方には、座長を含めて様々な方法があり、改善すべき点はあると考えるが、整備計画の推進は、答えを決めずに何かを新たに生み出そうとする取り組みとは違うものであり、第三者の座長が中立的に進めることに適したテーマではないと考えている。

【問2】 建設的な話し合いのためには、さまざまな判断材料を揃えなければなりません。最も重要なのは、保護者の意向です。未就学児の保護者を含めて、統廃合に対する賛否や考え方、指定校変更の意向などを教育委員会がアンケート方式で調査するなど、判断材料を増やす取り組みは考えられないでしょうか。現状の打開に向けた市の考えを伺います。

◆齋藤教育長 議員提案のアンケート実施については、意向を確認する上で有効な手段であると考えるが、情報量により個人個人の本件への理解や考察に深浅がある中で、賛否が分かれる可能性が高く、その結果を判断材料にするよりは、一人でも多くの保護者や地域の方に懇談会に足を運んでいただき、議論を深めることを大切にしたいと考えている。そのため、今後の地域懇談会では十分な時間が確保できる休日開催や、回数を増やすなど参加しやすい環境づくりに努めていくことに加え、標準的な規模の学校の授業を参観していただき、過小規模校ではできない学習活動や生活体験があることを知ってもらうなど、新たな取り組みも考えている。なお、その率先として市長の申し出により、来週、水梨小と月立小、その比較として気仙沼小の各授業を視察していただくことにしている。

【問3】 27年12月の一般質問に対し、菅原茂市長は「根本は教育の問題としてしっかり理解して頂くことが必要だが、いまの教育には複式学級の解消が必要なことが十分に説明されているか不安だ。そのことが説明されれば、相当な理解が得られると思う」と答弁しました。その後の地域懇談会において、複式学級の解消が必要なことについての説明は十分で、保護者や地域の理解は得られていると思われますか。菅原市長、齋藤益男教育長は保護者や地域が反対する理由をどのようにそれぞれ考えていますか。私からの提案以外に打開策がありましたら、合わせて示してください。

◆齋藤教育長 複式学級の解消が必要なことについては、学力や社会性は一定の集団活動を通して培われること、学校の機能を果たすためには一定の規模が必要なことを、具体例を示しながら丁寧に説明してきた。この内容については地域の方の理解は進んできているものと考えている。
保護者や地域が反対する理由については、教育委員会としては児童一人一人に目が行き届き、行事等において活躍の場面が多いなど、少人数の良さが失われること、「学校は地域の宝」という思いから学校統合による地域衰退の危惧、伝統行事や地区活動の存続への不安などが反対理由と捉えている。
打開策としては、前にも述べたように標準的な規模の教育現場をご覧いただき、子どもたちにとって現在の教育環境を改善することの重要性を理解していただきたいこと、人口減少の歯止めが容易ではなく、児童数の回復が見通せない実態の中で、「学校は地域の宝」との概念を大切にするあまり、子どもを犠牲にしてしまう可能性があること、少子化が進む中で伝統芸能などは地域を広げ、その担い手母集団を増やすことの方が存続の可能性が広がり、当地域にも例が見られることなど、一つ一つ具体例を挙げて説明し、粘り強くご理解を頂く努力をしていくことに尽きると考えている。
◆今川 反対する理由について市長の答弁がない。
◆菅原市長 教育長の答弁とほぼ同じと考えている。私は両校の現場には行っていないが、これまで統合してきたところには何度か最終局面を中心に行ってきたので、だいたい似たようなことではないかと思ったり、個別の父兄と会う機会も個人的にあったので教育長が話した内容だと思う。私は危機感の方がものすごく強い。この一日一日でも大丈夫なのかなという危機感を実は抱いている。教育長のようにものすごく整理しているかは分からないが、地域のみんなに育まれて育つことはとても大事だし、自然に囲まれているとか、時間の管理とかいろいろなことがあると思うが、そのことは過小規模校でなくてはできないことではないし、統合しようとしている相手校に当該校がプラスになっても十分に小さい。それでもいろんな意味でハンデ部分もあると思う。そういう中で、何歳までに何人の人に会えばいいのかということは持ち合わせていないし、人生の中でずっと多くの人と交わっていくことがいいこととも思わないが、相当長い期間、少人数の人としか会わないことについては非常に不安がある。
あまりヒットした例ではないかもしれないが、私は外地駐在をしたことがあるので、日本人学校に通う子供たちは、学校以外では家族としかほぼ会わない。それが心配だということは父兄からも聞いた。極端な例かもしれないが、私たちがいま置かれている状況を考えれば、少しでも子どもたちがいろんな人に触れ合って、国が示しているカリキュラムを少なくてもこなすことができる機会を与えることが私たちの仕事だと思う。それが十分に果たされていない日が一日一日と増えてしまっていることにものすごく危機感を感じている。そのことが十分に父兄や地域の皆さんに理解されていない可能性があるなと、私たちが思っていないことを大事にしていて、それを私が気づいていないだけかもしれないが、教育という観点だけからいうと、教育長がいままで現地で説明してきた内容が正しいのだと思うし、地域の人たちが大事にしていることはもう一つ統合した学校でも同じことができると思う。
あとよくある話で、この学校に通っている子どもたちがすごく満足していて、ここから卒業したいというのは、それはそうだと思う。小学生がほかの小学校から卒業したいと思うことは大変なこと。ただちに改善しなければならないことになってしまうので、それは当然、学校の先生や家族の人たち、また地域の人たちを含めて、この学校で卒業してよかったと思えるように努力をしている。それは統合される学校でも同じ。しかしながら、その中で何かが抜けていないかどうかということに危機感を持つし、その子どもたちがずっとそのコミュニティで生きていくのならいいのだが、そうではない。比較はよくないかもしれないが、中学受験をしてどこに行くか分からない、乗り継いで1時間かかる学校にいくかもわからない、ということを決断してきている子どもたちが世の中に増えている。あまりに乖離が激しいことがすごく心配だ。そのことは一人一人解決の方法はあるし、小さい学校の生徒だからそういう世界で生きられないということではないかもしれないが、リスクを排除することはできる。
◆今川 文部科学省で全国の統合例を研究しており、私はその中で「地域住民が何を考え、何を求めているのか」を教育委員会が把握することが大事だという指摘に共感した。きょうの答弁からは、地域の想いを理解しているとは感じられなかった。市長、教育長が小規模校の問題を取り上げたが、小規模校は何年もかけてその問題を克服しようと地域を挙げて取り組んできた。その弱点を責めて、統合すべきだという話をすると、頑なになってしまう。いまが悪いから統合するんだということではなく、統合することによるメリットを前面に出して、よりよくなるための統合だという話し合いをしない限りは、いつまでも反対意見は収まらないと思う。私は小規模校統合に反対ではないが、進め方には疑問を持っている。地域懇談会の在り方について、座長を第三者にできないなら、中立的な立場で話し合いが成り立っているかを俯瞰してみる人は必要だ。教育委員会ではなく、市長部局から派遣する考えはないか。
◆菅原市長 テーマとして座長はいかがなものかという答弁であり、いまの提案の中立的に見たらこうだったのではというアドバイスを両サイドにしていったり、ここは難しいところだが、途中で何らかの発言をしたりする権利を持って、バランスの取れた人がいたらいいのではないかということとか、例えばこの問題は庁内でも打ち合わせしたが、観光推進機構では私が会長だが、わざわざ副市長に座長を任せている。それは意見が言いやすいから。みんなで意見を戦わせた方がいいと思ったからそのようにしている。これは第三者ではないし、中立的な立場でもないが、そういうようなことはある。座長の在り方についても、教育委員会で考えてもらえばいいが、よりストレートに気持ちを出せる場の設定の仕方もあるのだと考える。それを庁内から出すかということについては、教育委員会で考えないといけないのと、庁内に限らずもう少し広くてもいいのかなと考える。
◆今川 休日開催もいいが、同じことの説明では時間をかけても同じだと思う。5月に傍聴した月立小学校での懇談会では、保護者からは「いままで言ったことが響いていると一回も思ったことがない。こんな話し合いは意味がない」という意見があった。その言葉は重く受け止めなければならない。月立は26年11月から計6回の懇談会を開き、最初に説明を受けた親は子どもが1年生から4年生になっている。新しく加わった保護者もいるが、話し合いの中身はスクールバスまで進んでおり、そもそもの議論が分からなくなっている。年度ごとに保護者も変わるので、議論を振り出しに戻さないためにも、いままでの資料を要約して配布したり、話し合いを始める前に振り返りをするなど工夫してほしい。
◆齋藤教育長 貴重な提案に感謝したい。指摘の通り、計画通り進めることを全面に出しすぎて、小規模校、過小規模校の欠点を言い過ぎたのかなという反省はある。したがって、もっともっと寄り添いながら、学校を大切にして、今まで取り組んできているということを十分に受け止めながら、さらに地域懇談会において私自身のファシリテーターとしての能力、あるいは説明推進能力の不十分さで迷惑をかけているが、さらに努力を重ね、この計画の推進に取り組んでいきたい。
◆金野教育次長 保護者が変わる状況を踏まえれば、これまで話し合いを重ねてきた経緯や概要の資料を提出するということは非常に重要なので、今後に生かしていきたい。
◆今川 月立小学校の5月の懇談会では、来年入学予定の保護者から「いつまでも議論が平行線では困るんだ」という話もあった。丁寧な説明も必要だが、話し合いを建設的に前に進めなければならない。アンケートの提案をしたのは、加美町を参考にした。加美町では16回の説明会でも結論が出なかったが、保護者へのアンケートで7割の賛成を確認できたことが31年統合の決め手になった。全員の賛成を得ることは難しい。どこかのタイミングで保護者の意向を確認して進めなければならない時が来る。指定校変更の意向調査の話を出したのは、議論が続く水梨小学校で本年度予定していた3人の入学がゼロになったからだ。議論は大事だが、現実の問題が起きている。いまの指定校変更は年明けに始まるが、特に統合対象校ではもっと早く確認することはできないのか。
◆金野教育次長 関係法令も調査した上で可否を考えたい。
◆今川 届け出となればそうだろうが、意向を確認することも含めて検討してほしい。
◆菅原市長 教育委員会で考えることだが、いま私が思ったのは、きのうの一般質問でもあったように、特別扱いすると特別な状態なのかという指摘も出てくる。そういうことは辞めた方がいいのではという結論に行政はなりがちだが、結局は話が一緒になって悩んでいれば、そういうことは議論の中で必要だというコンセンサスのもとに聞くということはできるかもしれない。そういう意味で次長が答えたことだけでなく、それを含めてみんなで考えなければならないというところへ早く持って行くことが大事だし、きょうの話されたいことなのではないかと思っている。
◆今川 指定校変更は統合を理由には認められないことが大前提になっている。学童保育利用などを理由とした指定校変更は早くから考えているはずなので、ぜひ確認してほしい。水梨小学校は来年度、住所ベースで8人の入学が見込まれている。8人全員が入学すれば、議論は違う方向に進むと思う。
最後に確認するが、教育長から「子どもが犠牲になる」という言葉が出てきた。市長も馬籠小学校の懇談会でも「先延ばしすると子どもたちが犠牲になるんだ」と住民を説得している。市長も教育長もすごく重く受け止めているのだと思う。地域も同じだ。ただ議論を続けるだけでは、お互いにとって消耗戦になる。そこで犠牲になる子どもたちが出てきている。大人から見れば1年、2年の話だがが、子どもたちには大事な1年だ。「子どもたちが犠牲になる」と言った答弁を重く考えて、早く解決に向かって進めてほしい。
◆菅原市長 犠牲という言葉はなるだけ使いたくないという思いで、教育長も私も話している。みんながその場その場でできる最善のことを子どものためにしているはずだが、結果としてということが起きないように、それは一日一日が一人一人にとっては大きなことだということを認識して、教育委員会と相談しながら進めていきたい。
◆齋藤教育長 マスコミを含めて「平行線」という指摘ある。たしかに平行線はどの場所をとっても間隔が同じであると数学の中でも定義している。しかしながら、視点を変えると、線路を想定して頂きたい。線路が遠くに延びているときに、しゃがんで見ると平行線が近付いている。美術の世界では一点透視図法という。その一点を子どもを大切にするという点に持っていけるように、これからの地域懇談会を進めていきたい。
◆今川 懇談会では計画ありきではないという説明もあったが、きょうの答弁を聞く限りでは計画を進めなければならないということだと思う。地域の考えを理解してほしいと先ほどは指摘したが、どちらも子どもたちを思ってのことなら、教育委員会の素直な思いを地域に伝えてもいいと思う。今後も懇談会を見守るので、改善されていくことを期待したい。
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4.応急仮設住宅の活用について

市内に3504戸が整備された応急仮設住宅の入居率は30%を切り、小・中学校の校庭を中心に解体撤去が進んでいます。本年度が解体のピークで、31年度末にはすべての建物が解体される見通しにあります。そうした中、宮城県は無償譲渡による施設活用の方針を示していますが、市の関心はいまひとつのようです。復興へ向けたまちづくりはこれからで、支援を続けてくれている大学生やボランティアのための低廉な宿泊施設が必要です。仮設住宅の有効利用はこれからの復興を左右する課題の一つであり、未曽有の大震災の被災地として注目される試みとなります。有効活用に向けて、次の4点について市の考えを伺います。

【問1】 27年6月の一般質問では、仮設住宅の無償譲渡に対して「市内向けの広報に努めるとともに、市で所有して活用を検討する場合には、目的の明確化とその効果、初期整備、維持管理、撤去などの経費及び将来負担、民業への影響などを考慮する必要があると考える」「どれほどの需要があるか、将来的に続くのか見極める必要があり、保健福祉部でシミュレーションはできると思う」と答弁しました。12月の一般質問では、移築費用が1戸当たり約400万円であることが示されましたが、その後の検討状況と周知方法を示してください。

◆菅原市長 市で活用する場合の検討を行ったものの、あまり有効な活用の場が見いだせない状況にある。なお、自治会や法人への無償譲渡については、市のホームページで周知を行っている。
◆今川 まず指摘したいのは周知不足だ。市のホームページもたどり着きにくいところに情報がある。新たに企業も対象になったのにそのことには触れてない。気仙沼西高校の仮設住宅譲渡についても周知されていなかった。市内向けの周知が不足しているのではないか。
◆沼倉建築公営住宅課長 周知については宮城県のホームページにリンクをはっている。今後は見やすくなるように工夫していきたい。

【問2】 宮城県は28年11月の県震災復興本部会議で、プレハブ仮設住宅の有効活用方針(案)を示し、移設が容易なユニットタイプを有効活用する可能性をまとめ、移築経費なども調査しました。この方針に対する市の考え、移築経費の情報について詳しい説明を求めます。
◆菅原市長 宮城県の方針に対する市の考えとしては、供与を終了した仮設住宅のさらなる利活用は資源の有効活用が図られ、条件に合った対象者にとっては有効と考えている。移設経費については、比較的長期利用が可能でかつ容易に移築できるユニットタイプのプレハブ仮設住宅を基に試算されており、間取りが2Kの8戸1棟タイプの仮設住宅を1戸ごとに分割で移築した場合、解体費が戸当たり26万円、移築費が戸当たり370万円程度となり、費用の総額は税抜きで396万円程度と見込まれている。この移築経費については、移設先で基礎敷設とプレハブの設置費、屋外配管、外構工事を考慮したものであり、利用にあたりさらに必要と思われる内装の改修費や各設備機器の更新のほか、必要な場合に設置する浄化槽や受水槽の設置費用等は含まれていない。つきましては、最終的な移設経費については、個別に見積もりを取るなどの対応が必要になる。

【問3】 宮城県は今年4月24日から5月31日まで、本年度内で役目を終える気仙沼西高校グラウンドの仮設住宅について、民間企業などを対象に譲渡先を募集しました。その結果を含めたこれまでの公募状況、公募の対象とする基準、その選定にかかる市との調整方法について説明を求めます。また、応募が少ない理由について、市としてはどのように分析していますか。

◆菅原市長 気仙沼西高校グラウンドの仮設住宅には応募がなかったが、今回、気仙沼西高校以外の県内5カ所の募集には3者から応募があった。これまでの公募状況については、契約に至った物件は6物件となっており、用途は診療所、倉庫、休憩所、事務所が各1物件、作業所が2物件となっている。
公募の対象基準のうち、対象者については震災で被災した県内の民間企業などで、対象物件については解体工事の予定時期を踏まえ、比較的長期利用が可能で、かつ容易に移築できる仮設住宅となっている。公募する仮設住宅の選定に当たっては、市から集約時期や解体時期についての情報を提供し、調整を図り、選定が行われている。
応募が少ない理由について、移築にかかる費用が同規模の建物を新築する場合と比較した場合、必ずしも安価ではなく、間取りや設置場所の確保、耐用年数、最終的な処理費用等の問題などが挙げられるものと考えている。
◆今川 県は住宅メーカーが建設したユニットタイプの活用を提案している。気仙沼市では一関分を含めて5団地に511戸が対象だ。29年度は西高だったが、30年度は旧唐桑小と千厩、室根、31年度に水梨コミュニティで解体する予定という認識でいいか。
◆沼倉建築公営住宅課長 西高と同等のものでは、旧唐桑小学校住宅、旧折壁小学校住宅、水梨コミュニティ住宅が該当すると考えている。
◆今川 この中では水梨コミュニティ住宅の活用の可能性が高い。答弁では2Kの8戸1棟タイプの移築費が説明されたが、水梨のように2戸で1棟のタイプは移築費用も抑えられるのではないか。
◆沼倉建築公営住宅課長 県から細かい情報はあるが、概算のため、県からはあまり出してほしくないということもあり、代表的なもののみ答弁した。
◆今川 手続きのことを考えると、解体の1年前くらいから準備しないと間に合わない。水梨コミュニティは移設しやすいタイプなので400万円もかからないと思う。民間と情報共有をお願いしたい。

【問4】 仮設住宅の有効活用については、市内のまちづくり団体がボランティアの宿などとして利用することを検討し、市にも相談しました。役目を終えた仮設住宅を復興に生かすため、市として移設などを支援する考えはありませんか。

◆菅原市長 まちづくり団体が応急仮設住宅の無償譲渡を受けるにあたって、移設費等を対象とする助成制度については本市及び県にはなく、民間企業等によるものも見当たりません。ボランティアの宿としての活用については、まちづくり団体に過度な将来の負担となることは好ましくなく、既存の宿泊施設の有効活用など民業を圧迫しない形での解決も考えられるので、まちづくり団体のお話を伺いながら、真の需要や本市の宿泊需給の実情を含め検討していく。
◆今川 震災によって災害公営住宅や防潮堤などに多くの復興予算を投じたが、説明会では「税金がもったいない」という意見が被災者を含めて出ている。東北には「もったいない精神」がある。あるものを大切にしていくのは、今回の復興の一つの精神だったと思う。仮設住宅の有効活用は、その精神を形にして残すことになる。なんとか1戸でも残せるように支援策を検討してほしい。
◆菅原市長 費用等を考えると相当な困難をイメージしてしまう。県は仕事が少なくなるが、市としては市民に無理に将来負担を与えることには疑問もある。復興においてもったいないというのは大事なポイントだ。しかし、後で市民がどうするかということになってしまう。このことがものすごくいい題材になるのかというと、見かけと実態を考えていかないといけない。全体としては考えに賛同したい。

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