毎月発行している気仙沼復興レポートの第8弾で取り上げたように、気仙沼市の財政はこれから厳しくなっていきます。ハコモノ行政からの脱却が求められますが、我慢ばかりでは人口流出に拍車がかかってしまいます。そこで今日は、統廃合によって空き施設になる学校や保育所などの活用を考えてみました。
財政難の原因でもある急激な少子化によって、気仙沼市では35年度までに31施設(今川作成の一覧表㊤参照)が空き施設になる見込みです。すでに統合した浦島小や落合小など小・中学校は15校、気仙沼西高、そして保育所12施設、移転新築した後の児童館3施設という内容ですが、そのほとんどが郊外部にあるのが特徴で、活用策も難しくなりそうです。
空き施設とはいえ、月立小のように8年前に新築したばかりの施設もあります。来春統合の白山小、今後統合が計画されている水梨小、中井小、小泉小・中などは平成に入ってから建設されています。一方で、保育所の多くは老朽化した施設です。
地域の意向を尊重するが…
市としては、学校も保育所も地域の意向を尊重する姿勢を見せていますが、少子化が進んでいる地域では若者が少ないため、斬新なアイデアを出したり、積極的に活用したりすることは難しいと思われます。復興事業で大量に発掘された埋蔵文化財の保管場所として活用していくことなども考えられますが、できることなら、地域が元気になるための活用策を考えたいところです。
国は、空き校舎の活用事例を紹介したり、施設転用の補助制度を用意したり、企業やNPOへの情報提供を手伝ったりしています。全国的には、体験交流施設や保育園、食品加工施設、福祉施設、専門学校、大学のサテライトなどへ転用した例があるようです。石川県氷見市では閉校した高校の体育館を改修して市庁舎にしました。アイデアしだいでは、新たな施設整備の代わりにもなるのです。気仙沼市としても地域と相談するだけでなく、外の力も借りながら積極的な活用を目指す姿勢が求められます。
学校の統廃合は市の財政負担を軽くすると思っている市民もいますが、デメリットもあります。実は教員の給料は県が出していて、地方交付税も学校数に応じて計算されている面があり、施設整備後の地元負担はそんなに大きくありません。むしろ、スクールバスを用意したり、空き校舎を活用したりすることで、学校が存続するよりも地元自治体の負担が増えてしまったケースも少なくないのです。
とはいえ、子供たちのことを考えると、あまりに少人数の学校の統廃合は避けられません。気仙沼市内の子供の数は現在の小学6年生で591人(18校)ですが、昨年度生まれた子供の数は379人だけでした。小・中学校の再編計画は27年度に見直す予定ですが、統廃合を先送りするどころか、前倒ししなければならない状況にあることを理解して下さい。
空き地の活用も課題に
空き施設だけでなく、気仙沼市には空地の問題も発生します。かつて紹介した被災宅地の問題は、市が所有することになる3000か所の空き地をどう活用するかが創造的復興のカギになるという話でしたが、今回は既存の市営住宅についても言及したいと思います。
2200戸整備する被災者向けの災害公営住宅は、完成後は市営住宅として扱われていきます。つまり、空き室が出れば、今までのルールで低所得の方々などが入居できる市営住宅になります。一方、市内に約500戸(一覧表㊦を参照)ある既存の市営住宅は多くが老朽化しているため、廃止していく予定です。結構な広さがあるその跡地も活用しなければならないのです。なお、市有地の活用には「公売」という方法もあります。
いずれにしても、復旧・復興と同時に、将来的な空き施設や空き地の活用を考えていかないと、貴重な税金の無駄遣いになってしまいます。新しい施設を整備するときには、既存施設の活用を十分に検討することも大切なのです。
地方交付税の出本(国家財政)も教員給与の出本(県費)も累積債務を抱えているのだから身軽にできるところは身軽にしていくべきだと思う。郊外の真新しい建物は有効に使われてほしい(小泉小中・小原木小中・馬篭小は道の駅にするのも一興、大谷小中を残さないのならばR45と気仙沼線を現校地内を通過するようにルート変更して建物は道の駅とJR駅、校庭は駐車スペース)し街中の小中学校の統廃合前倒し(というより気小・九条・松小と気中・条南・松中の早期一斉閉校)で市役所や図書館(新築は中止!)・公民館や支所にしていくことが望ましいとますます思えてきます。