直壁タイプ(7.2㍍)防潮堤の中身

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 気仙沼市朝日町の商港岸壁に、海抜7.2mの防潮堤が姿を現し始めました。建設用地が十分に確保できないため、構造は直壁タイプの特殊堤です。写真に並んでいるのは、津波で倒れないように地中深く打ち込んだ鋼管の支柱です。これから幅10mのコンクリートブロックを組み込み、27年度末に完成します。

DSC_0070 写真ではずいぶん高いように見えますが、鋼管杭の途中にある白線が、完成後の地盤高になるので、見た目の高さは5mほどになります。鋼管の太さは80㎝あり、8m間隔で打ち込んでいます。イメージ図のようにコンクリートのブロックを差し込んでいき、最終的な厚さは140㎝になります。ここは埋立地で地盤が弱いので、鋼管は最長で地中41mまで打ち込んでいます。数十年から百数十年の間に発生する津波を防ぐだけでなく、1トンの衝撃にも耐えられます。300トン級のマグロ船などの衝突は対象外ですが、東日本大震災では低い胸壁によって燃えた漂流物の侵入を防いでおり、それなりの効果は期待できそうです。

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朝日町一帯の防潮堤は、県港湾課が四つの工事に分けて発注します。最初に発注した大川河口付近は年度内に完成予定で、残る工事も年内に発注し、29年度末にすべて完成します。課題は出入り口のゲート(陸閘)です。高さ5mほどの巨大扉は遠隔による電動操作で動かしますが、地震後も確実に動くのかが心配です。今回と同じような津波は新たな防潮堤も乗り越え、背後地はいつまでもダムのように水が引かなくなることも懸念されています。

しかし、この背後地は産業の拠点となるので、「もっと頑丈な防潮堤にしてほしい」という声もあります。県は景観に配慮し、ツタ系の植物によって緑化したり、水族館の水槽で使用している強化ガラス(アクリル板)を埋め込んで窓のようにしたりすることを検討しています。防潮堤の整備は商港岸壁側だけで約20億円です。
朝日プレゼン修正版(7_07)_page019

 

 

 

 

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