報告が少し遅れましたが、気仙沼市の市道整備計画の策定作業が大詰めを迎えています。市議会には、整備する路線の優先順位案が示されました。
復旧・復興事業が落ち着き、ようやく市道整備が再開します。しかし、財源は限られているため、優先順位をハッキリさせて整備を進めることになったのです。
新しい市道整備計画は2021~2025年度の5カ年計画で、当初は昨年度中の策定を目指していました。地域との調整や新型コロナの影響などで遅れてしまいましたが、9月には策定できる見通しです。
【路線ごとに点数化】
気仙沼市の市道改良率、舗装率ともに県内最低レベルのため、2010年度に市道整備5カ年計画を作成していました。その具体的な整備予算は2011年度の当初予算に計上されていましたが、東日本大震災の発生によって計画そのものが凍結されました。復興事業として整備が進んだ路線もあったため、新たな市道整備計画が必要となったのです。
新たな市道整備計画は、評価基準を定めて路線ごとに点数化し、優先順位を決めることにしました。優先順位は拡幅などが伴う「改良系」と、現状のまま舗装やガードレール整備などを行う「維持系」に分けて考えました。
評価基準は改良系の場合、重要性、緊急性、効率性の視点から計9項目を点数化しました。
評価基準には地域で決めた優先度による配点もあります。各地区で自治会長らによる意見交換会を開催し、改良系と維持系でそれぞれ上位5路線を選んでもらいました。1位の路線は15点が加わるので、地区の要望が計画に反映されるように配慮したのです。
【上位20路線を整備計画に】
評価基準による優先順位(案)は8月5日の市議会全員協議会で示されました。改良系では津谷風越線が78.6点で1位でした。2010年度の市道整備計画に盛り込まれていたのに、今回は入らなかった路線もあります。
実際の整備は、国県の補助金採択に影響を受けますが、市は「できる限り優先順位を遵守したい」としています。なお、優先順位に入らなかった路線の点数の内訳は公表しませんが、問い合わせがあれば説明できるようにする方針です。
今後、策定会議で最終確認し、地区ごとに住民説明会を行い、パブリックコメントも実施して、9月に策定する予定です。しかし、新型コロナの感染拡大により、策定会議や地区説明会の日程調整に苦労しているようです。
【市道整備予算は年間10億円程度】
市道整備のための予算は年間9.2億~10.2億円を確保する考えです。
市道整備計画に位置付けた路線の整備には3億~4億円、社会資本整備総合交付金で継続している路線に2億円、通常の維持管理に2.7億円などを見込んでいます。年間10億円とはいっても国の補助などを充てにして市の実質的な負担は4億円程度となります。
限られた財源ですので、道路整備を優先させれば、教育や福祉、産業振興などに回す予算がなくなります。市道整備計画に盛り込まれる路線の総事業費はまだ示されていませんので、現実的な計画であるかどうかなどをチェックしていきたいです。