被災者生活再建支援金の気仙沼市の実績がまとまりました。今年4月10日で締め切った結果、この10年で基礎金は8137件、加算金は5161件の申請があり、総支給額は約151億円となりました。
阪神・淡路大震災を教訓に制定された被災者生活再建支援法によって、東日本大震災では国が4/5を補助し、残りは全都道府県が拠出する基金を財源としています。全壊世帯の場合、基礎金として100万円(単身世帯は75万円)、住宅の再建時に最大200万円(同150万円)が支給されます。
内閣府によると、東日本大震災の被災地では計3749億円(今年3月末現在)、このうち宮城県内で2182億円が支給されました。
■震災10年で申請受付が終了。計151億円
制度では災害発生から37カ月以内が加算金の申請期間ですが、東日本大震災の被災地では1年ずつ延長されてきました。しかし、防災集団移転団地の造成や区画整理事業が完了し、復興事業の影響によって住宅再建できないという状況ではなくなったこと、仮設住宅の入居者がゼロになったことで、宮城県でも今年4月10日で申請受付を終了しました。
気仙沼市の申請は、基礎金が8137件(計71.9億円)でした。加算金は5161件(計79億円)で、その内訳は最大200万円の建設・購入が3342件、最大100万円の補修が1146件、最大50万円の賃貸が673件でした。
基礎金に対する加算金の申請率は63.43%です。災害公営住宅をはじめ、高齢者施設への入居、死亡などで2928件は基礎金を受け取っても加算金の対象にはなりませんでした。
災害公営住宅に入居しても、申請期間内に退去して住宅再建をすれば、加算金の支給対象になります。気仙沼市は対象となる56世帯に確認して、6世帯から申請を受けました。
加算金の申請率は住宅再建のバロメーターにもなりました。
■市外の再建先では仙台市が一番人気
加算金の申請には、被災時の住所、再建先が分かる新築・購入等の契約書が必要になるため、気仙沼市で被災した世帯がどの市町で再建するか分かります。
気仙沼市のまとめによると、加算金を申請した5161件のうち約2割の950件が市外で再建しました。市外で最も多かったのは仙台市の267件で、お隣で津波被害のなかった一関市が二番目に人気でした。
■住宅着工のピークは2015年。最近は震災前の水準に
住宅再建に対する気仙沼市の独自支援制度は、復興基金の制約によって2021年度内で終了します。加算金は契約後、独自支援は完成後の申請になるのでタイムラグがありますが、被災世帯の再建はほぼ落ち着いたとみられています。
市がまとめている「データで見る復興の状況」には、市内の新築住宅着工数も掲載しています。ピークは2015年で、2017年から激減し、最近は震災前の状況に戻っています。
新型コロナ対策の交付金を財源としたリフォーム補助金が人気でしたが、復興後の経済対策として住宅関連の支援策が今後も求められていくことと思います。
※下表は被災者生活再建支援金の申請から気仙沼市がまとめた市外の再建先一覧です