東日本大震災で被災したJR気仙沼線で、バス専用道化するBRTが導入されて間もなく7年になります。専用道の工事が進み、岩月駅に続いて赤岩港駅の新設が決定しました。市民の足として定着する一方で、震災前からの課題であった利用者の減少は解決できないでいます。BRTの成果と課題をまとめました。(トップ画像は岩月駅)
【65%を専用道化。柳津~気仙沼は109分】
BRT導入の経緯は、2014年6月の気仙沼復興レポート④「鉄路復旧とBRT化」、そして2015年7月のブログ、2016年1月のブログなどにまとめてあります。気仙沼線には2012年8月に仮復旧という形で導入された後、2016年に沿線市町の同意を得て、柳津~気仙沼間(55.3㎞)の9割をバス専用道とすることになりました。
今年6月から清水浜~歌津間が供用され、65%の35.8㎞が専用道化されました。これで柳津~気仙沼は最速109分で結ばれますが、最終的には90分まで短縮される予定です。
【赤岩港にも新駅設置へ】
2017年12月の説明資料では、今年の夏以降に松岩~南気仙沼(仲町)などが新たに専用道化され、来年春以降には大谷地区の一部を除いて専用道となる計画が示されていました。専用道の延伸により、県道にある南気仙沼駅(旧市立病院付近)は元の場所に戻ります。
これに伴い、水産加工場を集積して再建させた赤岩港(あかいわみなと)団地に新駅を設置します。従業員の通勤手段などとして利用を見込みます。JRに正式要望し、来年春ごろの新設を予定しています。
【バス路線との競合が課題】
BRTは停車と発車に時間がかかる列車に比べると、新駅が設置しやすいことがメリットです。これまでも東陵高校近く、新しい市立病院、住宅地の岩月(千岩田)、唐桑大沢に新駅が設置されました。ルート上にあれば、ダイヤへの影響もほとんどありません。
ただし、バス路線との競合を避けることなどを理由に、東新城、市役所前への新駅設置には慎重で、専用道から外れる気仙沼警察署前、陸前階上駅から500mしか離れていない向洋高校前の設置の方向性は「×」となっています。
【1日平均1120人が利用。気仙沼駅は震災前の4割】
JR東日本が公表しているBRT駅別乗降人員によると、2018年の気仙沼線は1日平均1120人が利用していました。前年より1割ほど増えていますが、各駅を列車時代と単純に比べると、本吉駅は6割ほどにとどまっています。
【どうする利用促進策】
BRTになって運行回数も駅が増えましたが、仙台への快速がなくなったうえに、住民が内陸部に移転して自家用車への依存度が高まり、主な利用者である高校生も少子化によって減少しており、このままだといずれ減便や存続の危機を迎えることになります。
気仙沼市がスタートさせた市街地循環バスや路線バスとの連携によって、運転免許を返納した高齢者の足としたり、観光客の利用増進を図ったりと、これから活用策を真剣に考えていかなければなりません。JR山田線のように利用促進策が求められていくでしょう。
仙台への高速バス、三陸道が松岩まで延びてきているのに志津川までは45号線で乗客を拾っていくことを考えれば、柳津まではBRT専用道で運行することでさら速達化を図られるのではないかと思われるのです。高速バスは宮交の路線とは言え、BRTの運行を委託しているわけですから、高速バスは共同運行みたいなスキームにして実現できないものかと…