保育所再編計画を見直し案のポイント【気仙沼市が意見募集中】

保育所の再編などを盛り込んだ「気仙沼市児童福祉施設等再編整備計画」の見直し案が公表されました。唐桑、面瀬に認可保育所を新設する一方で、今後の施設整備は民設民営に委ねる方針を打ち出しました。市は3月11日まで、この見直し案に対する意見を募集しています。

【民間事業者の参入を促進。子ども園より認可保育所へ】

2014年度に策定した再編整備計画では、老朽化した保育所を再編しながら各地区に認定子ども園を整備していくことにしていました。しかし、計画通りに施設整備が進まず、低年齢児の待機児童が発生するなど保育ニーズが変化していることから、計画を見直すことにしました。計画期間は2014~2023年度までの10年間のままです。

見直し案では、次の六つの基本方針を立てました。

①民間事業者の参入を促進

②民間事業者が担うことが困難な地域の保育は市が確保

③少子化や多様化する保育ニーズへの対応と待機児童の解消

④小規模保育所(特例保育施設)の認可保育所等への編入を推進

⑤老朽化等を踏まえた計画年次の設定

⑥既存施設の有効活用と複合化の検討

注目される変更点は、面瀬と新月、松岩地区で、民間施設との役割分担から市の施設を「こども園」から「認可保育所」としたことです。保育所と幼稚園の機能を足した「子ども園」ではなく、共働きなどで保育が必要な0~5歳児に限定した「認可保育所」にとどめ、3~5歳児の保育は民間幼稚園などに委ねようという考えです。

民間施設がない大島、津谷地区は子ども園の方針を変えず、唐桑地区も将来的なこども園化を視野に入れています。

また、民間に任せるものは任せるという方針の色濃くなりました。鹿折、面瀬、新月、階上、唐桑では市の施設の民営化を検討していく方針も打ち出しました。今後の新施設は民設民営の可能性を検討します。前計画で見落としていた幼稚園との役割分担も明確になりました。

なお、公設民営化、民設民営化の推進策については、次期子ども子育て支援計画を策定する議論の中で具体策を打ち出す考えです。

具体的な再編計画は下記資料の通りです。

【統合施設や跡地の有効活用も検討】

基本方針に掲げた「既存施設の活用策」として、災害復旧で再建して波路上保育所を階上保育所に統合して空き施設を子育て支援センター等として検討していくこと、大島に整備する認定こども園は学校施設の有効活用を検討することに言及しました。

この計画には児童館の整備も含まれており、老朽化した赤岩児童館は統合後の松岩保育所跡地への移転を検討します。唐桑地区では、唐桑幼稚園との将来的な統合を見据えて、新たに認可保育所を整備し、鮪立児童館は唐桑幼稚園の施設利用を検討することにしました。津谷地区への児童館は整備は、津谷保育所に認定こども園化と併せて検討します。

ちなみに、各地区の子どもの数は下表の通りです。


【新年度予算に唐桑、面瀬保育所の事業費計上】

新年度予算案には、2021年度にオープンを目指して唐桑保健福祉センター「燦さん館」の隣接地に整備する(仮称)唐桑保育所の設計・地質調査費1900万円、2022年度のオープンを目指して面瀬公民館隣接地に整備する(仮称)面瀬保育所の用地取得費5719万円が計上されています。

【待機児童は45人。年々増加】

市内の保育施設は公私立合わせて32施設あります。2018年4月で市内の5~3歳児はほぼすべて施設を利用しており、低年齢児の利用率は2歳児で48.5%、1歳児で34.8%、0歳児で15.8%でした。

一方、同年12月時点で待機児童は45人(3歳2人、2歳2人、1歳14人、0歳28人)いました。この原因は低年齢児に対応した施設整備が追い付かず、さらに必要な保育士確保に苦労しているためです。

市では保育士確保のため、保育士バンクの設置、奨学金返済の支援、移住者を含めた就業助成金1人10万円を用意するなどしていますが、再編に向けて正職員の採用を抑えているため、臨時保育士に頼っており、その待遇は良いとはいえずに人手不足となっているのです。

消費税増税と合わせて10月からは保育無償化がスタートするため、保育所の整備はますます急がれます。

見直し案に対するパブリックコメント(意見募集)は3月11日までです。詳しくは市ホームページからお願いします。

※下記の資料は2018年4月時点の各施設の入所状況、そして待機児童の推移です。


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