予算も決算も改革へ【市議会一般質問の報告】

気仙沼市議会9月定例会が閉会しました。新人4人の初の一般質問など、いろいろなことがあった一カ月間でした。議論の概要はあとで報告しますが、まずは私の一般質問の内容と成果をまとめました。印刷用PDFはこちら⇒答弁概要2018.9

今回は、①予算編成の在り方と事業評価の導入②新しい公園の在り方③保育所の計画見直しの遅れ―の3点で議論しました。

【全事業をゼロベースで見直し】

予算編成については、本気で見直す姿勢が伝わってきました。市長は全事業をゼロベースから見直すことを指示しましたが、そこには職員の意識改革の狙いもあることを説明してくれました。これからは予算編成の中で廃止した事業、終期を設定した事業なども分かるように予算案に説明資料を付けてくれるほか、決算審査の説明資料にも事業の成果や評価を書き加えることになりました。

これは大きな一歩です。財政が厳しくなる中、どの事業を残して、どの事業をやめるのかという議論は避けられず、そのための基礎資料になります。

公園については、まだ議論が必要ですが、市長が「最初の小さい成功をつくる努力をする」と答弁してくれましたので、期待したいと思います。

保育所の再編計画見直しは、どんどん遅れる不安があります。仕事の進め方についても言及がありましたので、改善を注目していきます。

旧気仙沼西高校は校庭だけ譲渡してほしいのに、校舎や体育館もセットにすることが条件になっているそうです。

質疑の詳細は次の通りです。


今川悟一般質問2018.9

1.予算編成と事業評価について

気仙沼市の新年度予算編成は例年、10月に編成方針と予算要求要領を各部課に通知し、市議会2月定例会へ予算案を提出する準備を進めてきました。これから新年度の予算編成がスタートしますが、平成31年度は復興の完遂に向けて重要な1年となり、予算編成においても「選択と集中」が一層求められることから、次の4点について市の考えを伺います。 

問① 平成30年度の予算編成方針では、「限られた財源を有効に利用するため、通常事業について『選択と集中』を徹底する」などとし、施設の統廃合や民間譲渡・廃止解体の検討も進めることを各部課に求めました。しかし、『選択』も『集中』も職員と市民の理解がなければ進められません。行政と市民が思いを共有するため、『選択と集中』に対する基本的な考え方を示してください。また、予算編成に反映された成果を伺います。

菅原市長 予算編成における『選択と集中』の基本的な考え方については、平成30年度の予算編成方針において、復旧・復興事業を最重要課題としながらも、まち・ひと・しごと創生「人口ビジョン」「総合戦略」の取り組みと併せて、復興交付金や各省庁の補助金などを最大限活用することや、限られた財源を有効活用するため、通常事業については、事業の「選択と集中」を徹底し、優先度や効率性の高い事業に重点的に予算配分をすることとし、予算編成に取り組んだところです。

予算編成では、予算編成方針に沿って作成された各部の要求書について、総合計画等の各種計画における位置づけや国の施策との関係、特定財源の有無などの観点から財政課において事業の精査を行い、各部との調整会議や市長査定を経て決定し、政策的な優先度が高いものに重点的に予算を配分しているところです。

問② この予算編成方針に基づいた平成30年度予算要求要領では、政策的経費について、「事業の必要性や効果、優先度を厳密に判断したうえで要求すること」「特に同一事業を長期(5年以上)にわたり実施している場合、事業内容の見直しや終期設定を検討すること」「新規事業の要求にあたっては、既存事業の廃止、見直しを併せて検討すること」などを指示しました。この指示を受けて終期が設定されたり、既存事業を廃止したりした事例を示してください。また、検討内容をチェックする方法について伺います。

平成30年度予算編成においては、復旧・復興事業の完遂と、その先を見据えた地方創生、市民が主役のまちづくりの推進にむけた関係事業を重点的に予算化したところであります。 具体的には、拡充・新規事業として「地域おこし協力隊」「結婚支援事業」「空き家改修支援事業」などを予算化し、歳出削減については、経常経費の前年度比3.6%減額を実施しております。

菅原市長 平成30年度予算要求要領で示した、事業の終期設定や廃止した事例についてですが、今年度直ちに廃止する事業はありませんでしたが、予算編成過程で各事業の実施状況や成果の再確認を行い、必要な見直しや具体的な終期の設定を指示したところです。

 また、検討内容をチェックする方法については、予算要求にあたり、各部において実施した事務事業の縮減・廃止等の検討状況を財政課の予算ヒアリング時に予算要求書などの関係資料を元に、事業の成果や必要性と共に確認し、チェックしております。

問③ 現状の仕組みでは、事業の優先度や終期の設定、廃止や見直しは事業の担当部課が行うことになっています。しかし、今後の人口減少や財政状況を考えると、より一層の事業の見直しや廃止が避けられません。さらに、復興完遂にマンパワーを集中するため、既存事業の整理も求められています。

そこで早期導入が必要なのが「事業評価の仕組み」です。第一次行政改革推進プログラムでも「事業仕分け」と「行政評価」の導入を目指しましたが、復興を優先させるために本格的な導入には至りませんでした。先進自治体の例をみると、事業評価は事業の成果を明らかにし、見直しや改善につなげることを目的としており、目標、事業内容、経費のほか、達成度、市関与の必要性、見直しの余地、改善を含めた今後の方向性などを整理するものです。外部評価を行ったり、結果を公表したりすることで、優先度などを決めた理由を市民と共有し、公平公正でより効果的な改善につなげている自治体もあります。

気仙沼市では復興計画や地方創生総合戦略の主要事業において、目標を設定して評価・公表を行っていますが、改善や見直しの視点が欠けています。第二次総合計画でも事業評価の導入を目指していることから、まずは地方創生総合戦略の事業評価の内容を充実させたうえで、既存事業へ適用拡大することが現実的と私は考えます。事業評価について市の検討状況と今後の対応を伺います。

菅原市長 事業評価は、地方創生総合戦略では事業ごとに目的や内容、事業主体、KPI(重要業績評価指標)を設定し、年度の事業終了後は有識者や市内各団体の代表者で組織する「けせんぬま創生戦略会議」から意見をいただき、翌年度の施策に活かしているところですあります。

このようなプロセスをとっているのは、総合戦略に係る事業など一部であることから、今後本格化する新年度予算編成においては、全事業ゼロベースでの見直しを念頭に作業を進めてまいりたいと考えております。

今年度行っている事業の成果、評価については、来年度の決算議会で主要な施策の成果としてまとめることになりますが、今決算委員会でも指摘があったように、次回からこれまで記載していた目的や事業内容、決算額に加え、成果や評価等も書き込む工夫を行い、事業改善に反映させてまいりたいと考えております。

問④ 第二次総合計画では、行政改革を市民の自治意識涵養につなげるため、「市の政策形成過程において、市民と職員が共に学び、議論し、決定していく場を積極的に設けます」としています。この方針は、予算編成においても適用されるのでしょうか。市の考えを伺います。また、本年度に策定する方針の行政改革推進にかかる基本計画の策定スケジュールを示してください。

菅原市長 「市民と学び、議論し、決定していく場を積極的に設けること」を予算編成においても適用するかについてでありますが、これは、予算要求の前提となる政策形成過程における考え方であります。

具体的な予算編成作業の段階においては、市民参加の仕組みの導入は現在のところ考えておりませんが、観光予算については、相当部分を観光推進機構の幹事会で議論しており、今後も部分的に、市民を交えた議論の場が形成されていく可能性はあると思っています。

行政改革推進に係る基本計画の策定についてでありますが、その方針や考え方については、本年6月議会における施政方針で、①事務事業のゼロベースの見直し②効率性向上とコスト削減③自主財源の確保④行革デザインへの職員参画⑤戦略的・計画的な職員採用⑥戦略的職員育成―の6つの柱をお示ししたところであります。

この6つの柱のうち、「事務事業のゼロベースの見直し」を全事業に拡大し、新年度予算編成の前提とするとともに、他の5つも加え、本年度内に行政改革の大綱を策定し、事務事業評価や挑戦する自治体職員の育成に取り組んでいくこととしております。

今川 「ゼロベースの見直し」を全事業で行うのは作業が大変ではありませんか。その手間の方が心配です。私は成果が挙げられそうなものから見直しした方がいいと思います。

菅原市長 「全事業をしろ」と言っていますので、もう遅いと思います。何で始めないだとも言っています。全事業をする意味は、市の職員になりました、与えられた仕事はこれです、社会人になって初めてですから覚えるのに一生懸命です、そのことに長年のうちに満足してしまって、いろんな発想が出なくなっていることになりつつあることが、気仙沼市に限らずどこの役所もそういうことだと思います。そのことに私は非常に危機感を感じています。

したがって、全事業について全職員でやってもらいたい。課の中の誰かに一人でやらせるのではなく、課長補佐だけでも係長だけでもなく、新入職員も含めて「あんたはなぜこれをしているのですか」ということを考えさせる機会としたい。だから時間はかかります。しかし、時間がないというところまで来ていますので、実際どこまでできるか分かりませんけど、上辺だけをなぞることはしたくない。例えば2年に渡ったとしても全事業についてチェックを入れることがまずは大事だと考えています。

今川 そういう視点は大事だと思います。決算議会で事業評価を説明するという話でしたが、一つお願いしておきたいのは、予算編成の成果としての予算書に力を入れる事業を説明することも必要ですが、同時にそっちの事業をやめてこっちの事業に力を入れるというところも説明して頂きたい。本年度は廃止した事業はなかったにしても、終期を設定したり、見直したりした事業はあると思います。予算編成段階で何をやめて何を選択したのかという過程を分かるようにしてほしい。

三浦財政課長 予算編成の中で見直しを検討した部分、結果については予算を上程した際の資料として、廃止、拡充したもの、もしくは終期を設定したものなどの結果を一覧表のような形になるかこれからの検討ですけれど、そういったもので議会に示していきたいと考えています。

今川 やめた事業は予算書には出てきません。ぜひ、廃止したり、見直ししたりした資料を新年度予算でお願いしたい。先ほど確認でしたが、本年度予算で廃止した事業はなくても、終期を設定した事業はありましたか。

三浦財政課長 具体的にこれということで事業数は数えていません。考え方としてはいろいろあり、当初の補助金を導入した段階での状況と今の状況が変わっているとか、お互いに負担していた事業で片方がお金を出せなくなったことで市の全額負担で行っている事業とか、震災によって市の負担が拡充された事業をいつまで続けるのかとか、そういった部分について今後の予算編成の中で検討していきたいということです。

今川 予算ですから財源は必要ですが、政策的にどの事業をやめたり、どの事業を始めたりということも大事ですので、そのことを伝えるために市民参加の提案をしました。予算編成に市民が参加するということよりも、編成の過程を市民に見えるようにしてほしいというお願いでした。せっかく予算編成方針を記者発表して市民に伝える努力をしているので、その過程の部分も伝える努力をしていただきたい。特に菅原市長は3期目で改革に力を発揮する時期にいると思いますので、見直しの成果をしっかり市民に伝えるようにしてほしい。議会には予算資料の中で伝えてくれるという約束はしましたが、市民向けにはどのようにPRしていきますか。

菅原市長 まず状況をおさらいしたい。事業の評価について市民に知らせる、または市民からも評価を頂くということが必要なのだと思います。しかしながら、実際問題、現在の本市の多くの課は内部の評価・検討すら不十分だということが、仕事の忙しさということが多くあって、そういう状態のレベルにあるといわざるを得ないと思います。そのことをしっかりしないで、市民と同レベルで話をするということにはならない。そこをキチンとしたうえで市民の皆様とお話しするに堪えうる、または評価を頂くということに耐えうるための準備がどうしても必要です。このことが現在の仕事の量からいうと不十分だと思いますけれど、そこをまず直していかなければならない。それが直らないうち、完全にならないうちは市民と話をしないということではありませんが、問題意識としてそういうレベルと思っています。

市民向けの予算編成の説明については、実も22年度にはいろいろ調べて、このまちでは分かりやすい冊子を出していますよということも調べて、取り掛かろうとしたこともありました。結局、23年度になってそれもできなくなってしまったのが実際ですが、市民にとって何とか比とかはあまり分かりづらいし、数字で並べても分かりにくいので、よくあるのは円グラフにして、何が新しく加わったということをイラストも使いながら示している例があります。これから財政との相談になりますが、広報の特別版のようなものが必要なのだと思います。広報に入れるだけではなく、その冊子を毎年綴じていくようなことも必要だと思います。それは現場と相談してまいりたいと思います。

今川 いきなり廃止ではなく終期設定が最初になりますので、PRから始めてほしい。そして市民の理解を得ながら事業の見直しや廃止を段階的に進めて頂きたい。仕事が忙しくて内部の評価が不十分だったというのはその通りだと思います。評価をしたからますます仕事が忙しくなるということにはならないように、評価することによって仕事が整理され、集中することができることを市民も望んでいます。

この議論をしたのは、これから市道整備計画策定など財源を確保しなければ進められない事業がどんどん出てくると思うからです。何を我慢して何をするのか、「選択と集中」を市民に迫っていくことになります。そうなると、今までのように新しい事業をPRするだけでなく、どれだけ財政がひっ迫していて、どうしてやめなければならないかを市民に理解してもらう必要があります。前向きな答弁がありましたので、次の予算と決算を楽しみにしています。最期に、市道整備計画の財源を生み出すことをどのように考えているのか伺います。

三浦財政課長 今後の財政の見通しは毎年度の中期財政見通しで5年間を整理しています。実際には道路のみならず、たくさんの公共施設の更新費用がかかるということが目に見えていますので、「選択と集中」をしっかりと行いながら、予算編成に臨むことを考えています。


2.公園の在り方とパークマネジメントについて 

復興は仕上げの時期に入っています。そこで議論しておきたいのが、平成28年9月定例会の一般質問で取り上げた「公園の在り方」についてです。既存の公園の復旧、空き校舎の校庭とは別に、復興事業によって約60カ所に計18万㎡の公園や広場が整備されるという説明でした。気仙沼市営野球場のグラウンド部分が約1万2000㎡ですので、その15面分になります。新たな公園や広場が市民に活用されるとともに、地域の活性化につなげるため、次の5点について市の考えを伺います。             

問① たくさんある公園の活用には、それぞれ役割や機能を明確化するため、戦略的な計画が必要だということを2年前に議論しました。菅原市長は「復興後半ならではの大きな課題」と答弁しました。復興は後半の仕上げに入っており、課題への対応策を示してください。

 

問③ 南気仙沼地区に計画している復興市民広場(約5万㎡)について、市が設置した「運動施設の在り方検討委員会」は28年3月にまとめた提言書で、サッカーとラグビーのメイン施設、パークゴルフ場とすることを提言しました。その提言について、28年9月の一般質問に教育長が「28年度に策定予定の市スポーツ推進計画の提言内容も反映させ、提言の主旨が生かされるように市民の意見を聞きながら対応していく」と答弁しました。先日の東日本大震災調査特別委員会でパークゴルフのコースについては整備しない方針が示されましたが、復興市民広場の用途や設計、スポーツ団体に期待されている芝生化について今後の検討方法やスケジュールを示してください。また、スポーツ以外の活用について、市民の意見を聞く方法について伺います。
問② 公園も「管理」から「運営」の時代となりました。増加する公園の効率的な維持管理とともに、利活用してもらうための仕組みづくりが求められています。例えば、千葉市が地域と協働で公園を運営していくため、清掃費用に加えてイベントの費用も支援していたり、東京都東大和市のように公園の課題と市民ニーズを整理したうえで親水公園や魅力的な遊具のある公園づくり、花のある公園や冒険遊びができる公園づくりに取り組んでいたりと、パークマネジメントの考えで公園の積極的な活用に取り組む自治体が増えています。市長と一緒に視察しました米国ポートランドでも公園の重要性を学んできました。気仙沼市も公園整備の段階からパークマネジメントの発想を取り入れる考えはありませんか。
問④ 暮しを豊かにする公園や広場の整備は、市民が楽しみにしている復興事業です。鹿折地区の土地区画整理地域内に整備された公園には、バスケットボールのミニコート、ホヤぼーやの花壇などユニークのアイデアも取り入れられました。今後、具体的な設計が行われる公園や広場にも、市民の意見やアイデアを反映させることが大切です。公園や広場という参加しやすいテーマは、市民が主役のまちづくりを目指す気仙沼市の本領を発揮する場面だからです。

子育て中の母親からは、「もっと利用しやすい公園にするためには、利用する人たちの意見を聞いてほしい」「どんな公園ができるのか情報発信が足りない」という指摘もありました。完成後の維持管理には市民の協力が欠かせません。公園や広場の検討段階からの市民参加、情報発信に力を入れることで、市民のワクワク感も高まります。市民参加、情報発信について市の考えを伺います。

菅原市長 公園の活用についてでありますが、震災後、新たに整備する都市公園として南気仙沼地区及び松崎尾崎地区の2か所合わせて約4.9ヘクタール、土地区画整理事業区域内に14か所、延べ約2.9ヘクタール、被災した都市公園の復旧として3か所、約0.8ヘクタールとなっております。都市公園以外の公園として、南気仙沼復興市民広場約5.2ヘクタール、防災集団移転促進事業や災害公営住宅事業などにより整備した公園、広場が43か所、約5.3ヘクタールとなっており、市全体では63か所、約19.1ヘクタールであります。

公園の戦略的な計画についてですが、公園はその種類によって行政上、役割や機能は明確化されており、それに沿って整備を進めております。しかしながら、今後の使用状況や都市公園法の改正により公園利用制限の緩和等による新たな利活用について、これまで同様、鹿折地区や南気仙沼地区、内湾地区で行ってきたようにワークショップを開催するなど、住民参加のプロセスを大切にしてまいります。公園管理・運営の面においても、こうした手法を継続し、行政・地域の役割分担等について、市と地域が協働して取り組むことができるように努めてまいります。

次に、行政、民間、市民が連携し、情報発信やイベントなどを行うことを通じて、地域の人々で公園を運営していくパークマネジメントについては、直ちに制度として導入することは考えておりませんが、これまでも公園を使った地区行事や地区住民による公園の手入れなどは自主的に行われており、その発展系として住民参加による利活用の拡大を推進してまいります。

南気仙沼復興市民広場は、運動広場と多目的広場を整備する予定としており、運動広場の付帯設備については、運動施設の在り方検討委員会からの提言を踏まえるとともに、競技関係団体と意見交換を行いながら設計を進めてまいります。付帯設備については、基盤整備事業の進捗と合わせて整備を進めたいと考えており、現在、事業費の確保について検討しております。

併せて、青年会議所による50周年記念事業の一環として計画している芝生の植栽につきましては、植栽の手法や維持管理に係る経費の試算を行いながら、よりよい手法について継続して協議していくこととしております。

また、スポーツ以外の活用に関して市民の意見を聞く方法については、南気仙沼地区にまちづくり協議会が組織され、定期的に会合が開かれており、去る7月22日にもワークショップが開催され、市も参画しておりますことから、今後もそのような機会を捉え意見交換してまいります。なお、防災公園と市民広場への遊具の設置については、復興交付金事業の活用は難しいと復興庁の見解が示されており、現時点で設置は未定であります。

次に、市民参加や情報発信についてでありますが、これまで、3地区の土地区画整理事業区域内の公園では、公園づくりワークショップ等を開催しており、また、松崎尾崎地区の防災公園では、面瀬地区の中学生や市民の方々、小・中学校の先生方との意見交換会を開催するなどし、市民参加による計画を策定してまいりました。また、情報発信については、これまで行っている復興ニュースやまちづくりマップ、ホームページへの掲載のほか、まちづくり協議会や自治会の会合などの機会を捉えて情報を提供し共有してまいります。

今川 行政上の役割や機能は明確化されているというが、それは街区公園などの区分であって使い方までは明確になっていない。

村上建設部長 都市公園法の中で規定された種類や内容です。使い方については公園ごとの管理上のこともあり、裁量の範囲に自由度はあります。ここで答弁した内容は街区公園から始まって総合公園まで各種公園の内容については公園法の中で定められています。一定の利用形態を目指しまして公園整備を行っていることを答弁で説明しました。

今川 そういった役割や機能を求めているのではなく、パークマネジメントは利活用を考えようということです。答弁からは活用しようという思いが感じられない。パークマネジメントは当面取り入れる考えはないということですが、それで本当に市民が利活用できる公園にする自信があるのですか。

菅原市長 まずは国としても公園をもっと多目的かつ市民が公園に来やすいようにする動きがあり、昨年度には都市公園法の改正がありました。そこで謳われているのは、都市公園内に保育所を設置できたり、カフェやレストランも可能性があり、公園を活性化する協議会の設置もできるとか、全体の流れとしてはそういうことになっています。きのうのまち協の話のように、役所だけが指揮をとっても、実際にやる方たちがいないといけないので、一概にすべての公園にそういうことが制度化できるわけではない。だから、小さくてもいいから一つの成功をつくっていくようにしていかなければならないと思います。

私は今回この質問を受けて思い出したことがあります。実は20年以上前に世田谷区に、何でこんな都会の真ん中に土だらけの公園、冒険遊び場みたいな公園があり、それをあらためてネットで見ました。いまもきっちり運営されていて、そこには専門の人もいて、子どもたちの冒険心や自分たちで遊びを作っていて、そういうものが醸成されていると確認しました。議員のイメージがそこまでいくか分かりませんが、最先端のイメージはそういうことなのだと認識していますので、先ほど申しました通り、できることから手掛けていき、最初の小さい成功をつくっていく努力をしたいです。

今川 ぜひお願いします。多目的というと使い勝手はいいのですが、これだけの公園があると特化することが可能になります。鹿折にできたバスケットのミニコートも相当特化しています。そういうことを広げていってほしい。住民参加のワークショップも大事だが、誰かが大局で俯瞰し、気仙沼の公園に何が欠けていて、何が余っているのかということを分析することも必要です。そうしないと、それぞれの地区に同じような公園ができてしまう。俯瞰するという意味で、パークマネジメントの考えを入れてほしいと思います。どの部署が俯瞰する役割を持つのでしょうか。

村上建設部長 先ほどの回答にもだぶるが、公園の位置づけは近隣の方が日常的に使う公園、広い範囲の市民が利用する公園、イベントやスポーツなどができる多目的な公園、それぞれの位置づけで整備もするし、整備に当たっては地区の方々に集まってもらい、つくる段階からどういった施設の配置や利用形態も話したうえで、整備しています。そういった意味では、パークマネジメントという言葉だと新しいことのように感じますが、新しくつくろうとする公園にはそういったものが織り交ぜられていると感じています。

公園はいつでも誰でも使える公共性を兼ね備えていることが必要ですし、広い公園は今次の災害のような災害対応など、さまざまな用途に耐えうる機能を補完しなければならないということなので、広く意見を伺いながら、利用しやすくて、利用頻度が高くなるような整備、管理運営に着目しながら話し合いを進めて最終形として形づけますけれど、その後の管理運営は、さらに使いながら地元の方々と相談して、一つの決め方でずっと進められるものではないと思いますし、繰り返しになりますが、誰でもいつでも使えるということも兼ね備えなければならないという観点から広くお話を伺ってまいりたいと思います。

今川 今回の復興事業はほとんどが底地整備ということで、使い方についてはまだ時間をかけて議論できると思います。その議論はこれからも続けていきたいと思います。63カ所の公園については、広報などで市民に随時発信してください。

問⑤ 旧気仙沼西高校の校庭に陸上競技場を求める意見に対して「施設のレベルや財源の可能性を探っている」との説明でしたが、校舎を含めて今後の利活用を宮城県とどのように調整していくのか伺います。

齋藤教育長 旧気仙沼西高校の跡施設利用についてでありますが、全天候型の400メートルトラックを備えた陸上競技場設置の候補地として、昨年度から、跡施設の管理の窓口である宮城県教育庁担当課と協議を進める中で、全ての建物と校庭を一括して譲渡する案が示されましたが、市として利活用の見込みがない建物を取得することは、維持管理をするうえで、また、解体するにしても大きなリスクを負うことから、現状では受け入れできないことを伝えております。今後は、グラウンドと一部施設に限り譲渡または貸与していただけないか協議してまいります。

なお、運動施設の在り方に関する提言書において、陸上競技施設は400メートルトラックを含めた、第3種公認競技場の整備などとされておりますが、昨年行った陸上競技関係者との話し合いの際、公認競技場やフルレーンにはこだわらないので、全天候型トラックの整備を急いでほしい旨の意見がありました。そうした場合であっても、相当の費用を要しますことから、財源について更なる検討が必要と考えております。

今川 校舎も含めた譲渡の話は無償ということだったのですか。リスクが大きいということは、校舎の方は活用する案が全くないということなのですか。

金野教育部長 無償か有償かは明言がありませんでした。市としては、校舎や体育館を具体に利用することは、これから考えるということも含めてない。そういうことから全体の譲渡はリスクが高いと判断しました。

今川 今年度は気仙沼高校が第二グラウンドとして利用していますが、このままだと来年度からは誰も使わない場所になってしまう。あれだけの校庭も施設も、県と市の調整を待っている形になっている。調整の期限は考えていますか。

金野教育部長 私どもとしても重要な問題です。教育委員会だけでなく他の部との調整も必要になるかもしれないことを考えると、時期は早い方がいいという思いです。

菅原市長 本市としては明確な期限を県から言われることが一番困ります。時間的オプションはこちらに持ちたいのが本音です。そのことを県には伝えたい。私たちとしては利活用を考えたいので、県として何らかの市に関わらないような判断する場合は、相当前もって伝えてもらわないといけないということは言わないといけない。そのうえで、せっかくの平場と建物なので利活用しないといけない。利活用の対象によって、譲渡できるかどうかという話も出ると思うが、いま全部といわれるとちょっと待ってくださいということになります。いま必要なのは、武道場のことは前から言っていますし、400メートルトラックをつくるとなると市内にはそこしかないかもしれないという状況になっているので、そういう話をしていますが、同時に全体を諦めているわけではないので、その事情を県に率直に話して、私たちとして努力していきたいと思いますし、制約条件がある場合は明確にしていただき、対外的なこともしなければいけないと思います。

統合した小・中学校の活用について公募していますが、公募期間が短くてペーパーにして申請するのが時間かかるからと言われて、期限を延ばしているわけですが、どのくらい成就するかわかりませんが、民間の人もいろんな形で興味を持っているんだということが分かりました。ただ、すっかり民間に譲ることにしていいのかということもあると思いますので、その場合は公的なものと組み合わせるということができるのかとか、広い観点でせっかくの場所を何らかの活用をしたいという考え方で今後も検討していきたいです。

今川 活用に時間がかかることは分かるので、本利用が決まるまでの暫定的な利用については市も協力してほしい。


3.保育所再編計画の見直しについて  

6月定例会の一般質問において、児童福祉施設等再編整備計画において認定こども園を計画している面瀬地区、0~2歳児の受け入れ態勢整備を計画している唐桑地区の準備の遅れを指摘したところ、菅原市長は「具体的な施設整備の方向性を検討のうえ、8月中には地域の方々と意見交換する場を設ける」と答弁しました。しかし、その約束は守られませんでしたので、その理由と今後の見通しなど次の2点について伺います。                    

問① 元々は平成30年度のできるだけ早い時期に整備方針をまとめることにしていたのが遅れて、8月中に具体的な方針を示して意見交換することになっていました。再び遅れることになった理由と、その改善策を示してください。

菅原市長 見直しが遅れることになった理由と、その改善策についてでありますが、これまでの取り組みといたしましては、本年5月にアンケート調査を実施し、その結果をもとに庁内調整を行うとともに、8月には「気仙沼市就学前児童の教育・保育施設連絡会議」と「気仙沼市子ども・子育て会議」を開催し、再編整備計画の見直しの基本方針として、民間事業者の意向を尊重し、その参入を促進することや、民間事業者が担うことが困難な保育ニーズは市が確保する方針を示し、意見交換を行ったところであります。

早期整備が求められる面瀬地区と唐桑地域の施設については、整備による既存の幼児教育・保育施設への影響や用地選定などの課題があり、具体的な方向性の検討に時間を要しているところであります。現在も、検討を重ねているところですが、改めて関係する民間事業者の意向を確認しながら、早急に具体的な整備方針案を提示できるよう、最優先課題として取り組んでまいります。

問② 10月には新年度の予算編成作業が本格的にスタートしますが、「特に整備を急ぐ」としていた面瀬地区と唐桑地区の保育施設について施設整備の方針が遅れたことにより、平成31年度の当初予算に間に合わないことが危惧されます。計画全体の見直しを含めた今後のスケジュールを示してください。また、少子化対策としての児童福祉施設再編整備について市の認識をあらためて示してください。

菅原市長 計画全体の見直しを含めた今後のスケジュールと、少子化対策としての児童福祉施設再編整備についてでありますが、児童福祉施設等再編整備計画全体の見直しについては、平成31年度から見直し後の計画推進を図るため、年度内に見直しを完了するよう、取り組んでまいります。

具体的には、整備を急ぐ面瀬地区、唐桑地域については、10月を目途に地元への説明を行い、併せて民間事業者等との必要な調整を進めながら、年内に整備方針を決定するほか、1月には計画全体の見直しに係る素案を作成し、パブリックコメントの実施を経て、「気仙沼市就学前児童の教育・保育施設連絡会議」「気仙沼市子ども・子育て会議」等に諮り、平成31年3月までに見直しが完了するよう取り組んでまいります。

少子化対策としての児童福祉施設再編整備についてでありますが、少子化による就学前児童の減少は、今後も続くことが予想されており、児童数の減少や民間事業者への影響を考慮する必要があります。一方で、本市では低年齢児を中心に待機児童が生じており、今後も、女性の社会進出や核家族化の進展による低年齢児を中心とした保育ニーズの増加が見込まれるほか、来年10月から実施予定の幼児教育の無償化による更なるニーズ増も考えられます。

児童福祉施設の再編整備は、少子化対策として重要な意味を持つことから、その見直しと推進にあたっては、民間事業者と連携しながら、その参入を促進するとともに、行政は民間事業者が担うことが困難な地域の保育や、病児保育等を主体的に実施することにより、少子化対策に資する子育て環境の充実を図り、若者が結婚・出産・子育ての希望を叶えられるまちづくりが実現されるよう、積極的な取り組んでまいります。

今川 議会の答弁での約束は、私だけでなく市民との約束ですので守ってほしい。守れないなら、理由を説明しなければならない。一方で、人手不足の実態も分かる。市長は「最優先で取り組む」と答弁しましたが、人が足りない状況でどうやって進めるのですか。

菅原子ども家庭課長 従来からの約策ですので、抱えている業務を洗い直ししながら、こちらを最優先で取り決めるように対応していきます。

今川 課長の答弁だとそういうことになる。こちらを優先すれば、ほかにやらなければならない子育て支援がおろそかになれば本末転倒だ。これから来年度分の保育所の入所受付も始まり、忙しくなる時期のはずです。市長はどのように考えているのですか。

菅原市長 普段の課の仕事のボリュームに対して、どれほど負荷がかかっているか十分に把握していない部分がある。特にこの課に関して。この件に関して打ち合わせは何度か行っており、その折に感じているのは、人数の問題もあるのでしょうが、どこかで決めるものは決めていかないと次のことに進まないということです。不確定要素が多いといつまでたっても進みません。そのことが最大の要因と感じています。

決めることは決めて、それを前提に組み立てていくことをしないと、他の人に迷惑がかかってしまう状態だと思います。先ほど、土地の選定の話を答弁で話すことになってしまったのですが、そのことが一つの不確定な命題としてやっていたらできないと思います。どこかで決め打ちしないと、子どもの数は毎年変わっていくので、今年と来年の事情は違くなる。見通せないわけではない。アンケートをしたわけですから、しっかりと決めごとをして、進めていくことがまずは大事だと思います。そのうえで人数の問題については部課長と相談したいと思います。

今川 少子化対策として進めているのに、こういうことが続くと「気仙沼市は子育てに力を入れていない」と逆のメッセージになってしまう。これ以上遅れないようにしてほしいが、時間ばかり気にして大事な議論の結果を急いでもいけない。地域への説明が遅れているのに、年度内に計画を見直す方針は変わっていないということは、地域との話し合いの時間が削られてしまうことになる。年明けにはパブコメという説明でしたが、もっと地域と話し合う時間がほしい。話し合いは一回だけなのですか。

菅原子ども家庭課長 地域との話し合いは一回だけでなく、必要な回数を重ねていきたいです。来年度の事業化ということも見据えながら、なるべく早い時期に一定の方針を示して、事業化に向けたステップをつくりたいです。

今川 10月から1月にかけてが議論の時期になると思いますが、地域も民間事業者も忙しい時期です。話し合いをしたくても時間が取れない心配もあります。がんばれる体制をつくってほしい。最期になりますが、少子化対策のメッセージをもう少し考えながら仕事をしてほしい。効果的なPRも考えてほしい。12月にまた議論にならないように、お互いに余計な仕事を増やさないようにしましょう。

 

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