市民に伝えたい議論のポイント46【市議会定例会報告】

気仙沼市議会2月定例会が終了しました。議会に集中するため、ホームページの更新ができませんでしたが、定例会の議論のポイントをまとめて報告します。

平成30年度予算は一般会計で922億円。まだまだ復興のピークにあります。今任期中の定例会はこれが最後です。残念ながら、解決に至らなかった課題も多かったです。

議決した第二次気仙沼市総合計画については別な機会に説明します。


20182月定例会のポイント

【大島架橋と地域振興】

・大島ウエルカムターミナルは30年度中に造成を終わらせるため、6月までに用地取得を進める。橋の開通に間に合わないため、駐車場の確保について年度内には地域に説明したい。駐車場造成費は6月補正予算を考えている

 

【魚市場】

・浄化施設の維持管理経費は市と漁協で折半する予定だったが、調整がつかなかったために29年度は漁協の負担約800万円(電気・水道代などを除く)を臨時的な救済措置として例外免除。CD・E棟の負担と合わせて調整し、基本的に折半することで覚書を交わす予定。漁協の震災前の負担は1300万円だったが、施設の規模が大きくなったことで2000万円に増加。新施設の砕氷施設など受益者が明確なものは、受益者負担をお願いしていく。

・魚市場の供用開始時期は、県の防潮堤工事との関係で31年度にずれ込む可能性がある。

・水産振興センターの展示は16mのシアター、体験できる展示などを検討。プロポーザル方式で発注する。市場の完成に合わせてオープンの予定。「全国に良い事例がなくて迷った。物より映像に力を入れる。海の市から遠いこと、動線が課題」と菅原市長。子どものアイデア募集も検討を約束。管理委託は振興協会を予定。キッチンスタジオは別の団体に運営をお願いする

 

【水産業】

・水産加工従業員宿舎整備補助は、27~29年度で18棟302人分(完成は13棟242人)の実績。30年度分は1、2件の相談がある

・水産資源活用研究会への補助は26年度から30年度当初で5750万円。32年度までの自立化を目指している。「各社ではできないことをお願いしている。課題はセールス。薬系は年数と費用で無理だと分かった。サプリは競争が激しい。他市町で成功した事例(ガゴメコンブなど)は近くに連携できる大学があるが、気仙沼にはない」と菅原市長

 

【コミュニティFM】

・市からの情報番組委託費は経営の半分。1分365円×90分×312日で委託費を算出した。気仙沼ケーブルネットワークへの委託費は1番組5万3000円を週1回で計算した。

 

【再生可能エネルギーの活用可能性調査】

・唐桑町大沢、本吉町小泉、片浜で可能性を検討。移転元地はできるだけ売却する方針。大学教授、企業らと検討会を設置する。民間からの相談もある。復興予算が認められたのは調査費用だけのため、事業化は各省庁のメニューを活用する

【公共工事】

・鹿折墓地の完成は6月に遅れる。発生土を搬出する予定だった階上の共葬墓地整備が遅れ、漁業集落防災機能強化事業に搬出先を変更したため。

・市役所の新庁舎整備には合併特例債(事業費の95%)を最大55億円充てられるため、建設費の残り3~4億円に備品代を加えた10億円程度を用意する。特例債の期限である37年度を前倒しして取り組みたい。

・「復興事業の一部について32年度以降へ繰り越す可能性も視野に入れなければならない」と菅原市長。

・水産物の荷捌き場は隣地に3690㎡拡張することを検討しており、事業費確保に向けて調整中

・復興交付金効果促進事業による破損道路の補修は、29年度の業務委託で調査し、30年度に復興庁と調整して計画を策定する。舗装盤の打ち換えもできる。

・新たな市道整備は、最終処分場に関連する路線を除いて平成32年度に策定する市道整備計画に基づいて実施する。計画の進め方は下記の通り

 

市道整備計画策定の進め方
平成29年度 道路台帳をもとに各路線の幅員、改良、舗装の状況を整理
平成30年度 評価基準や整備優先度の審査を行う審査会を設置
補助事業の採択可能性など財源見通しを盛り込んだ道路整備計画策定の方針案を定める
自治会要望路線等を含め、現地調査の実施を検討
平成31年度 現地調査結果をまとめ、路線ごとの評価、整備水準、優先度の案を持って地区ごとに説明会
計画案の策定
平成32年度 計画案をもとに地区説明会を再度開催
パブリックコメント等の実施
最終検討を加えて計画を策定

 

【三陸道】

・インター付近への誘導サインは全庁的なワーキングチームを立ち上げて検討する

・本吉のパーキングに計画している物販施設はレイアウトをまとめたが、まだ確定していない。担い手候補の本吉産業公社は道の駅への影響を心配している。両立する方策を検討する必要があり、年度内にスケジュールを含めて方向付けする方針。菅原市長は「公社には道の駅が第一目標であり、懸念があるのなら無理することはないと言っている。ただし、何もないのではなく誘導策は必要。PAはできるが、造成の補助金はない。やる覚悟がないと復興庁とも協議できない。29年度内に方向性を決めないと、復興予算の32年度に間に合わない。復興予算は空の箱をこない」と答弁。基本的には唐桑大沢も同じ方針

 

【防潮堤】

・前浜は3月までに地元へ検討を求めており、正式ではなくても3月中に回答を出すと連絡を受けている。

・蔵内は45号のかさ上げを協議に1年くらいかかる。ハードルは高い。32年度完成を目指す。「全面かさ上げだけではない」と菅原市長

【子育て】

・医療費の無料化を中学生から高校生まで引き上げるに必要な予算は6500万円。現状は1億3000万円のうち市負担は1億800万円。高校生1800人を加えた試算では、市負担は1億7300万円に増えるため、市長は「中学生までの医療費無料化も過疎債を財源としており、結局は将来のツケとなっている。財源を見据えて検討する」と答弁。全国では、中学生まで8割、高校生までが2割ほどの自治体で取り組んでいる

・唐桑と面瀬の保育施設整備は、年度内にニーズ調査を実施し、30年度の早いうちに整備方針をまとめる方針を示す

・屋内の子どもパークは気仙沼児童センターができるが、民間の意向とともに先進地を研究して検討する方針

・不足している保育士の確保のため、30年度採用の任期付き職員7人を募集したが、3人きただけだった(嘱託員からの切り替えが多く効果はあまりない

・認可保育所・こども園の30年度の入所申し込みは616人。2月までの決定は591人で25人が保留している(前年度は613人の申し込みで561人が決定。52人が保留)。低年齢児は内の脇、新生、こども園で定員30人プラスとなったが、0~2歳、特に1歳で待機多い。

・小規模保育所の入所決定は43人。希望がなかった小原木保育園は休所する。

 

【学校再編】

・教育長は「水梨小学校の新年度以降の児童数は極めて憂慮すべく状況と想定される。学校の現状と課題に応じた懇談が必要。第三段階はこれまで以上に時間を要するため、同時に進めることは難しい。できるだけ早い時期に第二段階の方向性を示すことに注力したい」「第三段階は計画にのっとって進める」と答弁。菅原市長は「(複式学級は)大人の責任において早く解消すべき。地域懇談会へ市長部局の職員の出席も検討していく」と答弁

・統合した学校の空き校舎の活用へ向けて、事業提案を公募する方針

【公民館】

・新月公民館の移転新築は、木造平屋の600㎡を計画しているが、地域とともにプランを練る方針。「まちづくりセンター化に理解を求めたい」と市長。総事業費は2億3000万円。財源は調整中。まちづくりセンターを前提とし、指定管理に向けて考えたい

 

【気仙沼図書館】

・オープン時は通常の3倍の来館が見込まれる。司書1人を増員し、アルバイトも入れて対応する

 

【福祉】

・福祉センター「やすらぎ」の指定管理者となる社会福祉協議会は、31年度を目標に本部機能を移転する方向性で市と合意している

【財政・行革】

・新年度に新たな視点で行革プログラムを策定する

・市営住宅基金(29年度末の残高36億円)の繰替運用は、一時的に財源が不足する場合に運用できる仕組みであり、年度内の繰り戻しが条件になる。目的外使用になるために市債の代わりにはできない。

・災害援護資金貸付金の回収に向けて、税務と一括して管理していく部署の設置を検討している。まだ構想段階。

 

【防災・震災伝承】

・震災遺構と伝承施設の管理運営基本計画は8月まで策定する方針を示す。地域と意見調整することも考えたため。施設が完成する前から指定管理者の手続きを進める。

・伝承施設の展示と映像は1500万円の予算を充てる

・震災拾得物返却促進・ボランティア等受入事業(674万円)は気仙沼復興協会へお願いしたい。これまで1万人が確認して9200点を返却したが、市で管理した29年度は5人が確認に来ただけだった。遺構内への保存の可能性は否定しない。

・災害用備蓄物資整備事業(30年度当初予算で260万円)は24年度から始めて29年度で1万5000人分(1人3食で4万5000食。実際は5万食と水3万ℓ)の計画に到達。今後は賞味期限が切れた分を更新する。

 

【地方創生】

・移住定住センターは開設から今年1月まで200人から336件の相談を受ける。相談した11世帯12人が転入し、さらに8世帯が転入する予定

・WEB系在宅ワーク支援事業で2月のセミナーに67人が参加。20~40代が6割、女性が8割だった。アンケート結果をとりまとめている。30年度もセミナーと実践講座で741万円の予算を用意しており、「多くの人が関心を持っていることが分かった。無駄にはしない」と菅原市長

・クルーカードはウインターキャンペーンの1カ月で2520人が6291回利用。内訳は市内75%、市外25%。公共施設でのポイント付与は、美術館で1ポイント付与するのに1.2円の経費が必要。来館者の属性を把握できる効果がある。30年度当初予算は583万円。

 

【津波復興拠点】

・車両避難用の施設は市が整備して管理する。1階は周辺事業所の従業員用の月極駐車場として利用(130台)。屋上は非常時に造船団地の重機を避難。造船団地だけでなく周辺の復旧に協力してもらうため、利用料は無料。復旧に協力してもらうための協定を締結する。30年度予算は4億9680万円

 

【集会施設の指定管理者制度】

・気仙沼、本吉、唐桑を31年4月から統一するため、30年度の早い時期に地域へ説明する

 

【被災者生活支援金基礎支援金】

・申請期限は4月10日で延長はなし。対象8173件のうち74件が未申請。その内訳は13件が期限内に申請予定で。38件は未定、23件が転居などで連絡取れず。大規模半壊で解体した場合の差額申請についても案内している。

 

【豊かな海づくり大会とオリンピック】

・東京五輪の「復興ありがとうホストタウン」は縛りが緩く、つながりがある国で検討を始めた。同じ年に宮城県内で豊かな海づくり大会(開催地は30年度内に決定)があり、両にらみで準備していく。

・復興記念事業は豊かな海づくり大会の動向と合わせて検討する

 

【路線バスとスクールバス】

・白タクは路線バスがあると参入を認められない法律がある。モデル的な取り組みから拡大していくことで風穴を開けたい。タクシーの規制は業界と話し合う。気仙沼西高校の統合に合わせて路線バスのダイヤ改正をしたい。次のタイミングは気仙沼向洋高校の移転。巡回バスの契約が9月までというタイミングもある。(小野寺企画課長)

・応急仮設住宅等からのスクールバスの利用者は50人から37人へ減少。

新予算で取り組む主な事業
事業と予算 内容
子育て・結婚 結婚新生活支援補助金

950万円

新婚世帯の住宅取得・賃借、引越、住宅改修に30万~100万円を補助。年齢、所得の制限あり
子育て支援センターの開設

439万円

新図書館に併設される気仙沼児童センター内で子育て支援センター事業を実施。スタッフ2人で親子交流、相談、講習を行う
 教育 大谷中学校体育館耐震補強

2100万円

耐震診断、耐震補強設計の後、8~10月に耐震補強工事を予定
大谷公民館改修工事

3540万円

昭和49年建築で老朽化と地震の影響による劣化が激しい内外装、トイレなどを改修
鹿折みどりのふれあい広場整備

1億4400万円

広場が公営墓地となったため、代替地として東中才に整備する。予定面積は1万2000㎡
 観光・商工 杉ノ下の広場整備

8785万円

お伊勢浜にイベント機能を持つコミュニティ広場を整備。面積は6800㎡
観光推進機構事業補助金

7268万円

観光で稼げる地域経営を目指し、受け入れ整備、クルーカードを活用したマーケティング、お土産の開発などを支援する
店舗等リフォーム促進補助

1000万円

小売業、サービス業の店舗で、トイレや水回りなどの衛生面の改善を目的としたリフォームに1店2最大50万円を補助
水産 魚市場高度衛生化対応施設整備

3億5809万円

新魚市場に電気フォークリフトなどの備品を整備する。新魚市場は10月に完成するが、防潮堤工事によって供用開始はずれ込む見通し
水産情報発信施設整備

1億円

新魚市場2階に水産をPRする大型スクリーン、体験の展示コーナーを整備
気仙沼漁港改良事業負担金

1750万円

入港漁船の大型化へ対応するため、県による水深7.5mの新岸壁整備の設計費用を半分負担する。場所は商港と魚市場の間
水産資源活用研究会補助金

2000万円

水産資源の多角的利用による新産業創出を目指し、研究開発、プロモーションなどを支援
朝日町燃油施設整備事業補助

3億7000万円

燃油貯蔵施設を整備する事業者に津波対策や公共的に利用される燃油バースの整備費用などを補助する
その他 集会施設整備補助

1211万円

鶴巻1区、新城東、平貝の3自治会の会館整備を支援。財源は過疎対策事業債
再生可能エネルギー活用推進調査

2570万円

津波被害を受けた移転元地の活用を目指し、片浜、唐桑町大沢、本吉町小泉で、太陽光発電やバイオマス発電などの実現可能性を検討する。検討会も設置
新一般廃棄物最終処分場整備

8480万円

地域の合意を受け、30年度は測量と設計、31年度までに実施設計を進め、32~33年度で工事する。

 

 

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