気仙沼市議会臨時会(11月26日)の報告です。市管理漁港としては初めてのレベル1防潮堤の工事契約を承認しました。防潮堤は市内外から関心を集めましたので、その審議内容を報告します。
すでに国県が市内で計画したレベル1防潮堤には完成したものもありますが、気仙沼市では川原漁港の千岩田地区海岸が初めてのレベル1防潮堤工事になります。両隣では県の建設海岸でレベル1防潮堤の工事が始まっている場所です。
■高さ7.2㍍、海出し
市分の延長は205.8㍍。直立堤(半傾斜堤)と特殊堤(壁式)を組み合わせ、海抜7.2㍍の防潮堤を整備します。防波堤と船揚げ場の原形復旧工事と合わせて、6億3432万円でエム・テック仙台支店が請け負います。平成29年3月28日が竣工期限です。一部を特殊堤としたのは、船揚げ場の位置から直立堤ですべてつなげることができず、県の建設海岸の天端にある管理用道路へのアクセスを確保するためです。
この契約議案を担当する市議会産業経済常任委員会(6人)では、現地を視察した後、水産基盤整備課に対して詳細な質疑を行いました。
■説明会の出席率などを確認
私がチェックしたのは、説明会と合意形成、整備によるデメリットなどです。千岩田から岩井崎までの防潮堤は、背後に走っている市道が必要なため、海を埋め立てて整備しますが、すでに一部区間の工事が始まり、住民合意も問題ないことから、個人的には厳しくチェックする対象にはしませんでした。
説明会は、地区ごとに24年㋆に開いた市民説明会の後、12月20日、25年6月11日、6月17日、26年1月15日に開催しました。最初は川原漁港の川原地区と合同で説明したことで16~50人の参加でしたが、千岩田地区だけで開催した説明会の出席者は6人だけでした。もともと関係者が少なく、背後地の地権者、漁港利用者の意見が大切だったので、参加者が少なくても問題はないと判断しました。
両隣の建設海岸と防潮堤のコンクリート本体の形状が異なるのは、背後の傾斜面の盛土量が異なるためで、接合部分の問題はないことを確認しました。防潮堤の海側にできる根固めのコンクリートブロックの影響、内水排水についても課題の説明を求めました。
■背後の市道拡幅は未定
他の委員からは、防潮堤によって守るものについて質疑がありました。市は一体的に防潮堤を整備することで下沢地区や最知地区の集落を守り、さらに背後地を走る市道(港岩井崎線)も「守るべきものと考えている」と説明しました。この市道は拡幅の要望が出ていますが、まだ実現のめどはつかず、工事用の仮設道路の利用の中で道路担当課と協議していくそうです。委員会では防潮堤の工事契約を全員一致で承認し、本会議でも異論は出ませんでした。
これから、ほかの防潮堤の工事契約、新規防潮堤の予算などを審議していくことになります。一つ一つ、その必要性を確認し、不必要と判断されるものはしっかりと指摘していきます。