【2015年6月12日の質問と回答です】
【質問】今回も地元負担について、質問させていただきます。
昨日、気仙沼市が地元負担額の試算を発表しました。負担額は約10億円であり、その多くが防潮堤新設に関連する費用負担になっています。自治体が負担する額としては小さくないものであり、復興の遅れが進む自治体としては苦しい状況にあると推察します。
そこで、一つ目に、地元負担の事業が可視化した現時点での、先生のお考えをお聞かせください。
二つ目として、市としてはある程度織り込み済みだったとはいえ、防潮堤新設の地元負担が明確化になったことで、これが防潮堤反対の声を大きくさせる懸念があります。そこで、そういう声への対応を先生はどのように考えていますか。
この二点について、先生のお考えを置きかせください。
【回答】復興事業の費用に対する地元負担ですが、被害の大小や復興のスピードによって市町村格差が出てしまうという論調ですが、やや疑問があります。
というのは、復興交付金の効果促進事業は後出しでいろいろ認められてきたので、復興が早い自治体はそれほど活用できていません。復興特別税の交付も被害規模によって差が付けられています。防潮堤が遅れているのも新規事業のためで、もともと無かった場所に新設するのですから、個人的には地元負担は仕方ないと感じています。
むしろ、地元負担が生じたことで、効果が疑問と思われる場所の防潮堤計画が見直されてほしいと期待しています。国が全額負担してきたことで、どこか他人事のような議論となった地域もあったのは事実です。
地元負担が明らかになったこと、それに伴う資料からは、あれもこれも復興事業として国の全額負担で計画してきた事業が各市町村でいろいろあるということが分かりました。気仙沼市も震災前から計画していた都市計画道路、追悼祈念施設などへの全額負担を求めましたが、ほかの市町村では給食センターまで含まれていて驚きました。これでは、国民の理解を得るのは難しいと感じました。
自治体も議会も住民も、自分のまちのことには熱心ですが、ほかと比較して整合性を考えるという視点は足りないのかもしりません。
防潮堤は、全額国費負担を前提に合意形成していますので、反対派の住民が再考を求めることはありえます。ただ、負担率が低いので、大きな影響はないと思います。みんなが必要性について疑問に感じながら進めてきたところは、これをきっかけに再考しやすくなったことは間違いありません。私も何カ所が疑問な防潮堤がありますので、問題提起のチャンスをうかがっています。
なお、復興に関連する事業の本来の負担率を考えれば、地元負担率はかなり小さいと思います。心配なのは、残り五年間の復興予算のフレームです。いくら地元負担しても、予算がなければどうしようもありませんし、査定が厳しくなれば意味がありません。