気仙沼市議会の2月定例会は、議案106件を承認して終了しました。一般質問の内容は報告済みですが、新年度の予算のポイント、質疑で分かったことなどを箇条書きで報告します。
【市役所新築】
・合併特例債が使える期限の平成37年度の完成を目指していたが、熊本地震を受けて「前倒しも必要」と菅原市長。新年度に庁内検討会議を組織してスケジュール設定などを検討する
【産業関係】
・朝日町に計画している燃油タンクは、詳細計画が固まってから事業者とともに市民説明会を開く
・「海の市」にホヤぼーやショップと氷の水族館をゴールデンウイークまで整備する
・総合交通計画は6月の策定を目指す。BRTと路線バスの効率化も検討している
・7月からコミュニティFMラジオに1分600円で市政情報の発信を委託(1日90分×235日)。収入に占める委託金の割合は初年度で50%程度
・DMOセンターの事務局には職員1人、企業から1人、地域おこし協力隊2人を配置予定。
・気仙沼ポイントカードは新年度からスタート。モニター30~40店で、カード2万枚を用意する。有効でなければ、思い切ってやめる選択肢もある
【震災遺構】
・哲学と集客力を備えた施設にする
・遺構保存計画は5~7月の建築審査会への提出を目指したい
【陣山の追悼公園】
・復興庁とアクセス道、整備規模、手法、整備対象などで協議に時間がかかっている。
・現在整理しているのは、大まかな配置案、全体事業費と規模感など復興交付金による整備対象。慰霊碑やモニュメント、具体的な空間整備は、有識者や市民による検討委員会を設置し、一部にデザインコンペも検討する。基本計画が整ったら説明したい
【水産関係】
・漁船員向けの無料入浴券は、唯一利用できた銭湯が廃業するため、ホテルの日帰り温泉で使えるように調整している。28年は1823人・80万円の利用という状況で市が新たな入浴施設を整備することは難しいが、1000万円くらいの一部補助なら考えられる
・漁港の将来的に維持管理計画は、年度内に策定する市公共施設等総合管理計画から外し、31年度まで別に調査する
【教育関係】
・昭和30~40年代に建設した校舎は使用可能年数を調査し、義務教育環境整備計画の第2段階(27~29年度)完了の時期には建築計画の策定に着手したい
・小・中学校の年間維持経費は1校あたり1500万~1800万円で、800万~1000万円は地方交付税で国から手当てされる。空き校舎の維持は30万~100万円。閉校によって一般財源の負担が減る分を、教育の充実に充てることについて菅原市長は「予算編成の観点として持つのはいい」と答弁
・東京オリンピックへ向けて、フェンシング協会へホストタウンへの協力を要請した
・スポーツ推進計画は年度内に市民意識を調査し、29年度内に策定する
【三陸道】
・唐桑と本吉の三陸道パーキングに整備する物販施設は、30年度の道路供用に合わせてオープンさせたい
【水道事業】
・水道事業の財政分析は日本水道協会に委託しており、年度内に成果物が提出される予定
・50年度までの財政見通しは取りまとめてから示したい
【医療・福祉関係】
・大島の医師確保は具体的に協議中。意欲的な医師もいる
・医学生奨学金は10人に交付し、5人が研修生となった
・民生委員の確保問題は、粘り強くお願いするしか手法が思いつかない
【地域づくり】
・コミュニティ施設は公営住宅で14施設、防災集団移転で16施設を整備し、12施設を災害復旧する。自治会分は老朽化で3施設、被災で5施設の整備を補助した。
・新たに自治会が設立されたのは南郷3区、東八幡、四反田で、さらに2地区で設立に向けて協議している
・本吉地区の指定管理者を一斉更新する31年4月に向けて、指定管理の在り方を検討する
【住宅再建】
・防災集団移転団地は11地区15カ所で擁壁部分埋め戻しで地盤強度が足りずにやり直した。盛土部分は5カ所でやり直した。地下水の滞留などが原因だった
・市の住宅再建独自補助金は29年度の申請状況、土地区画整理内の住宅再建を確認しながら見直しを検討する。できるだけ残さないように、拡充を含めて検討するが、がけ近を超えない範囲となる
【防潮堤】
・市管理分は400億円のうち28年度まで120億円、29年度は48億円を措置。31年度までにすべて完成させる
・本吉大沢と赤牛の見直し計画はJRと用地協議中で、夏ごろには地元に概略設計を示したい
・長崎はレベル1堤を計画していたが、小田の浜が原形復旧なので、市としても見直しのために地元の意向を今月中(29年3月)に確認したい
【報酬改定】
・消防団員の報酬を平成9年以来の改定。団員の年額報酬を22500円から27500円に、火災の出動報酬を1回2700円から5400円に引き上げた。
・消防団員の出動報酬は、地方交付税で7000円と計算しているが、気仙沼市のような規模だと団員の標準定員は583人で、現在の900人は多い。よって1人当たりの報酬を基準まで上げられない
・交通指導隊は定員75人に59人の状態。年報酬は隊員で22500円を27500円に、事故や災害時の出動報酬は2700円を5400円に引き上げる
平成29年度一般会計予算の注目事業 |
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事業内容 | 予算額 | 概要 |
市政情報番組の制作と放送 | 1380万円 | 臨時災害FMラジオ局からコミュニティFM局へ移行する事業者に、1分当たり600円で市政情報の発信を7月から委託 |
結婚新生活支援補助金 | 1080万円 | 新婚世帯の住宅費用や引越費用を24万円まで支援。夫婦の所得が計340万円未満であることが条件。賃料、リフォーム費用にも充当できる |
片浜地区復興まちづくり調査 | 3500万円 | 民有地と市有地が混在した土地の集約化や利活用の検討、区画整理事業の検討を進める |
学童保育センター整備 | 6345万円 | 唐桑は唐桑公民館2階に新設し、津谷は津谷小学校敷地内に移転新築する。30年度からスタートを目指す。 |
保育士奨学金返済支援補助 | 100万円 | 市内の保育施設に就職した保育士・幼稚園教諭に対し、奨学金返済費用の二分の一(上限年間20万円)を支給する。市の正職員は対象外。 |
コンビニ交付サービス導入 | 6087万円 | 住民票の写しや印鑑証明、戸籍証明などをコンビニ(市内32店)で取得できるサービスを30年2月からスタートさせるためのシステム構築など。 |
地域活性化支援員の配置 | 2800万円 | 総務省の集落支援員制度で、希望する各地区に支援員を配置。まちづくり協議会などに1人当たり350万円を交付 |
小学校入学祝金の支給 | 240万円 | 第3子以降の小学校入学で、保護者に児童1人につき3万円を支給。その半額は県が補助する |
仮設住宅の集約化 | 6300万円 | 小・中学校など8カ所の仮設住宅を解体撤去するため、移転する住民の引っ越し費用、移転先の整備などを支援 |
気仙沼版DMOの推進 | 3642万円 | 気仙沼観光推進機構、DMO運営センターを設立し、気仙沼ポイントカード導入実証実験、観光商品開発などに取り組む |
気仙沼中央公民館の災害復旧 | 6701万円 | 平成32年度の供用開始へ向け、29年度は地質調査、基本設計、実施設計を予定。設計は市民参加で進める |