宮城県気仙沼合同庁舎の復旧に40億円

宮城県は被災した気仙沼合同庁舎の復旧計画を進めています。朝日町にあった庁舎は津波被害を受けて解体しており、仮設庁舎がある赤岩杉ノ沢(鼎ヶ浦高校跡地)に建設します。総事業費は40億円で、30年4月の開所を予定。南三陸町にあった南三陸教育事務所、本吉町にあった農業改良センターも入ります。

■事業費40億円。分散していた庁舎を集約

県が26年6月に策定した気仙沼合同庁舎基本構想では、①庁舎の分散による住民サービスの機能低下②ユニバーサルデザインの不備③地域との連携に向けた検討…を課題に挙げ、災害に強く、多様な行政ニーズに対応できる庁舎を目標に設定。建設場所や規模を決めました。

イメージ図

■教育事務所、農改センターも

新庁舎は鉄骨5階建てで、延べ床面積は6794㎡。1階に県税事務所と食堂・売店、2階に地方振興事務所の総務部・地方振興部・水産漁港部、3階に農業農村整備部・農林振興部・農業改良普及センター、4階に土木事務所、5階に教育事務所が入所する予定です。附属する2棟の建物は、倉庫と車庫です。

入所機関

駐車場は計228台分を用意します。隣に建設中の気仙沼警察署は来春完成すると、仮設の警察署を解体できます。これから合同庁舎の建設工事を公告して契約手続きを進め、県議会の承認を得て、28年3月の着手を計画しています。

■地方機関再編方針は反映せず

なお、震災前の19年10月に県が策定した地方機関再編の基本方針では、登米、石巻、気仙沼・本吉を「県東圏域」とし、広域事務所を石巻に置き、現在の地方事務所は地域事務所として「支所扱い」になる計画が示されています。ただ、気仙沼・本吉は三陸道が開通するまでは現状を維持することになっていました。

地方機関再編方針(宮城県)19年10月_page049

震災を受けて、県は「さらなる再編は被災市町の復興状況等も勘案しながら慎重に判断する」としています。復旧する気仙沼合同庁舎も、被災した庁舎の面積を合算した規模で再建するため、朝日町にあった合同庁舎よりも大きくなります。その規模には、再編の方針は反映されていないそうです。

■気仙沼西高校の校舎が活用できない理由

一方、合同庁舎が完成する30年4月は、気仙沼西高校が気仙沼高校に統合するタイミングになります。40億円もかけて新庁舎を建てるよりも、空き校舎を活用した方がいいという考えもできます。どちらも宮城県の施設なのです。災害復旧の費用は国が負担しますが、結局は同じ税金です。

このことを県に確認したら、「だいぶ前から準備を進め、詳細設計が終わって工事に入るところまできた」という返事でした。県は26年6月に合同庁舎復旧の基本構想を策定しましたが、気仙沼西高校の統合が決まったのは26年7月。準備を含めると「もう2年早く統合が決まっていれば検討できた」というタイミングのずれがあったのだそうです。

スケジュール

新しい施設が建設される一方で、人口減少に伴って小・中学校も統合が進んで空き校舎が出ています。公共施設の在り方については、県とか市とかの壁を越えて、もっとトータルに考える視点が求められています。

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