気仙沼図書館が災害復旧によって新しくなります。館内にカフェコーナーや学習室を用意したり、駐車場を100台分整備したり、古町児童館を移転する形で児童センターを併設したりと、今以上に充実した図書館になる予定です。
図書館は高台にあって津波の被害を受けませんでしたが、地震被害で建て替えが必要になりました。昭和44年に建設した1階と56年に増築した2階の接続部分がずれて、構造的に危険と判断。国の支援が受けられる災害復旧事業で現在地で建て替えます。
■カフェ、児童センター併設で「つながる図書館」
新施設の内容を検討するために市が設置した気仙沼図書館再建整備検討委員会は、「人と本、未来へ世界へつながる図書館」をテーマにした施設内容を提言。それを受け、市は設計者を選定するプロポーザル(参加10社)を行い、岡田新一設計事務所が設計を担当することになりました。新潟市立中央図書館、最高裁判所図書館など数多くの図書館設計を手掛けた会社です。
岡田新一設計事務所が提案したのは、図書館と児童センターの垣根をなくした開放感のある施設です。1階にカフェやキッズスペース、児童書、クッキングスペース、遊戯室を、2階に一般図書、学習室などを配置しました。森の広場整備、屋上緑化も提案しました。
■面積は1.5倍。29年度の開館予定
この提案をもとに、27年度に設計を固める予定です。それから建設工事に入り、29年度の開館を目指しています。
建て替えによって、面積は2000㎡から3000㎡へ、蔵書は20万冊から38万冊となることを想定しました。現面積を超える1000㎡は、インドネシア政府からの寄付金を充て、児童図書室は大統領の名をとって「ユドヨノ友好子ども館」とする予定です。
再建整備検討委員会の報告書では、老朽化した気仙沼小学校のプールを移転した跡地に新施設を建設することで、既存施設を残しながら新築することを提案していましたが、解体後に工事することになりました。
■現施設は解体。2年間は仮施設
現図書館は4月30日午後7時をもって業務を休止します。5月7日から気仙沼中央公民館(旧河北ビル)の1階で、新聞や雑誌、新刊中心に5000冊程度を配架する予定です。11月ごろから気仙沼中央公民館気仙沼分室(気仙沼小学校前)に再度移転し、図書数を1万冊程度に増やして貸し出します。残った蔵書は、閉校した落合小学校の体育館に収納しておきます。移動図書館者は継続します。
なお、4月29日午後2時から現施設とのお別れ会が開かれます。お別れの言葉、おはなし広場スペシャル、さよならコンサートが予定されています。
心配なのは、図書館へのアクセス道路ですが、市は幸町のガス工場近くから市民会館へつながる市道を拡幅する予定です。