働く場所を失った被災地の雇用を安定させるため、震災後に規模を拡大した緊急雇用創出事業。震災の特別枠は本年度で終了の予定でしたが、「震災等対応雇用支援事業」として27年度末まで延長されることになりました。
気仙沼市では、市の臨時職員をはじめ、観光、産業、福祉、教育などに緊急雇用制度を活用してきました。26年度は約10億円で411人を雇用しています。県も交差点の安全対策として街灯指導員を配置するなどしています。
国の27年度当初予算案では、107億円の事業費が盛り込まれました。宮城県への配分額は分かりませんが、気仙沼市は26年度の半分になると見込んでいます。
【継続へ厳しい制限付き】
厚生労働省は今月14日、27年度の制度利用の注意点を通知しました。延長するのは宮城、岩手、福島の3県のみです。本当に必要な下記の事業に限定したうえで、厳しく精査すべきという方針を示しています。
①仮設住宅の見守り事業(草刈りなどの敷地整備などは除く)
②公務のうち復興の進捗に影響を及ぼすもので継続すべき事業(復興業務外の業務、学校・警察・図書の管理などの補助業務などは除く)
③被災3県求職者の次の雇用に結びつく人材育成・能力開発
④復興を加速・後押しするもので継続すべき事業(復興業務外の観光PR事業、河川・町道などの維持管理業務、保育業務補助など復興との直接的関連が薄いものは除く)
⑤雇い止めに繋がる事業(年度毎で雇用契約が満了するものは除く)
行政の文書は但し書きやカッコ書きに本心を書いていることが多く、今回もカッコ書きの中で具体的な考えを明らかにしています。気仙沼市でいえば、現在行っている多くの事業がこのカッコ内の制約で対象外になるのです。※詳しくは緊急雇用の26年度計画を参照
【本当に継続が必要かチエック必要】
注目されるのは市の対応です。予算が半減し、対象事業も限定されたことを受け、緊急雇用に頼って実施してきた事業をどう扱うのでしょうか。今月13日開会の市議会定例会に提案される27年度予算案で明らかになりますが、事業を廃止しているのか、一般財源で継続しているのか、それぞれの事業の必要性をしっかりチェックしなければなりません。
例えば、図書館の開館時間延長は必要でしょうか?
夜間市内では、さまざまな職種で人手不足が深刻化しています。行政による不必要な雇用が民間を圧迫しないように、注意が必要です。