どうする?リアス・アーク美術館の運営費

1999年にオープンしたリアス・アーク美術館が岐路に立たされています。あと7年程度は過去に積み立てていた基金を取り崩しながら運営できますが、その後は基金が底をつき、立地する気仙沼市の負担となる可能性があるのです。新たな財政負担に向け、市民を巻き込んだ議論が必要です。

美術館は宮城県が整備し、気仙沼市と南三陸町で構成する気仙沼・本吉地域広域行政事務組合が管理運営しています。2004年には県から広域組合に財産一式が無償譲渡されました。

■7年後には基金が底をつく…

運営費は、気仙沼市(4億4410万円)と南三陸町(4610万円)の出資金と県の補助金(1億円)で5億9200万円の基金をつくり、その運用益(利子)を充てていく計画でした。しかし、低金利化によって当てが外れ、基金を取り崩して運営費に充ててきたのです。

県の補助金は取り崩せないため、市町の出資金4億9200万円を2006年から取り崩してきました。本年度も2020年までの5年分として約9200万円を取り崩すことが認められました。

基金の推移

取り崩しは出資割合に応じて行われています。気仙沼市の出資割合は90.596%、南三陸町は9.404%です。基金はまだ気仙沼市分で5562万円、南三陸町分で3239万円残っていますが、出資割合で考えると、2022年ごろまでの運営費しか残っていません。あと7年後には基金が底をつくのです。

■運営費1億2000万円、気仙沼市が全額負担か

美術館にかかる費用は昨年度で1億1327万円でした。観覧料による収入は年間400万円程度。気仙沼市が広域組合の教育費の負担金として約8300万円を支出するとともに、不足分を基金から取り崩して充てました。教育費の負担金は、美術館のある気仙沼市が全額負担しています。

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基金が底をついた場合、気仙沼市の負担金を増やすことになる可能性が高いです。年間8300万円の負担金に、3000万~4000万円程度を追加することになるでしょう。菅原茂市長は市議会定例会で「基金がなくなれば、気仙沼市が全額負担するしかない」と美術館存続への意欲を見せています。1億2000万円なら、6万7000人の市民で1人当たり年間1800円程度の負担であることを理由に挙げました。

しかし、これから人口が減少して厳しい財政難が予想される中、新たな負担を受け入れれば、その代わりに別な事業費をカットしなければなりません。何を優先させるのかという議論が避けられません。

■震災後に増えた入館者

広域組合では、少しでも収支を改善するため、来年度から常設展の観覧料の増額を検討しています。震災前は年間4万人前後だった入館者数は、震災の展示によって2013年には7万人に達し、今後も5万人前後をキープする見通しです。

入館者の推移

2017年には、ハイビジョンギャラリーを改修して「アーカイブホール(仮称)」とする計画もあります。生活文化や震災の映像・写真をデジタル化した視聴覚資料を有効活用していきます。

気仙沼向洋高校の被災校舎を震災遺構として保存する計画もあり、美術館がどこまで「震災色」を出していくのかも考えなければなりません。みんなの美術館ですから、有効活用のためのアイデアを出し合いたいです。年間400万円の観覧料の増額よりも、全面無料化の方がコスト削減につながり、入館者も増える気がします。

 

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