津波避難の問題提起【一般質問】

気仙沼市議会6月定例会で23日、一般質問を行いました。今回が4回目の質問です。まだ表面化していない津波避難の課題を取り上げたほか、仮設住宅の活用などについて提言をしました。

成果としては、三陸道が震度5弱で通行止めになること、津波警報が発表されると幹線道路の多くの場所で交通規制がとられること、県は津波注意報でもすぐに防潮堤の陸閘を閉鎖しようとしていることを、公の議論にできたことです。津波注意報が出ているときの、魚市場の水揚げ問題にも言及しました。

いずれもすぐに解決できる問題ではありませんが、市としてしっかり検討していく姿勢を確認できたことで目的は果たせました。特に魚市場では、津波避難後に取り残されることになる魚の責任問題を、気仙沼から問題提起していくことが大切だと認識することもできました。

地味ですが、災害公営住宅の管理計画を8月に公表する約束を取り付けたことも、実は大きな成果です。この計画がいかに重要かは、公表された計画の報告の中で説明させてもらいます。

仮設住宅活用の問題は、集約化の計画もあって微妙な時期に取り上げましたが、これは次回以降の一般質問でさらに掘り下げていきたいです。個人的には、仮設住宅を一つでもいいから残せればいいと思っています。

※質疑の概要は次の通りです。

【模型やワークショップを活用した合意形成】

問) 昨年12月の一般質問で、防潮堤の合意形成に向けて模型の活用、ワークショップ形式の話し合いに前向きな答弁がありました。その後の取り組みを伺います。イメージが分かりにくい南気仙沼地区の土地区画整理、唐桑町館漁港などの狭いエリアに整備する防潮堤の説明にぜひ活用して下さい。製作した模型は、復興の過程を伝える展示資料にもなるはずです。

答) 岩井崎地先海岸の防潮堤、尾崎の防災公園などで模型を活用した説明やワークショップ形式の意見交換を行いました。他の説明会でもイメージパースやパネルなどを活用しています。小泉(中島)海岸と津谷川の堤防では専門家の検討会、地域住民によるワーキングを設置し、大島の浦の浜・磯草地区では地域住民と県市による復興懇談会を設置しています。

今後とも模型やイメージパースの活用を図るとともに、必要に応じてワークショップや検討会などを設置します。南気仙沼地区と鹿折地区の土地区画整理では将来像をイメージできるようにバーチャルリアルティ(映像)を用意しました。防潮堤は現地に丁張りなどをかけながらイメージできるようにします。

 【震災後の津波対策と避難の課題】

問) 震災以降の約4年間で、宮城県が含まれる津波警報と津波注意報が計11回発表されました。まだ防潮堤が整備されていない中、気仙沼市としてどのような津波対策に取り組みましたか。

答) 津波情報をいち早く伝達するため、Jアラート(全国瞬時警報システム)と防災行政無線、緊急速報メール、登録制メール、災害FM、ツイッターなどと連動した津波警報や避難勧告などを瞬時に伝達するシステムを整備してきました。津波避難ビルの追加指定、市内35カ所への海抜表示、150カ所への津波避難誘導標識の設置、津波総合防災訓練の実施などに取り組みました。

昨年3月には市地域防災計画に津波災害対策編を新設し、全市版の津波避難計画を策定しました。この津波避難計画を踏まえ、中井、内湾、面瀬、階上で地区別の避難計画を作成しました。今後は残り10地区の避難計画の作成、実践的な防災訓練、避難行動要支援者の個別避難計画作りに取り組み、津波死ゼロの実現を目指します。

 【津波注意報発表後の魚市場水揚げ】

問) 計11回の津波警報・注意報のうち、遠地を除いた9回については発表から解除まで平均1時間半かかりました。遠地だと、26年4月2日のチリ北部地震に伴う津波注意報で発表から解除まで15時間かかりました。このときは午前3時の発表だったため、気仙沼魚市場で予定していた近海マグロ船の水揚げは翌日に延期し、イサダ漁も休漁しましたが、もしも盛漁期の水揚げ中だったら混乱していたはずです。警報や注意報が発表されている中での水揚げや取引について、魚市場開設者である市の対応、卸売業者である気仙沼漁協とのルール作りについて伺います。水揚げを中断する場合、残された魚はどうなるのですか。

答) 震災後は市と漁協の打ち合わせにより、津波警報・注意報が発表された場合、人命を最優先に水揚げ作業の全業務を一旦中止し、構内にいる人員すべてを魚市場屋上に避難させることにしています。このことは買受人、漁船員、魚市場関係者に周知し、現時点では理解されていると考えています。機会あるごとに、危機感を共有しながら話し合いを続けていきたいです。

発表が解除された場合は、市水産課と漁協が役割分担して施設と設備を点検し、安全が確認できたら業務を再開することを申し合わせています。遠地での地震で津波到達時刻まで猶予がある場合は、漁協、買受人、魚問屋による魚市場卸売業務運営委員会を速やかに収集して、水揚げ作業の中止や延期などを協議することにしています。

なお、10㎝の予想の津波注意報では市は避難勧告を出していません。この問題を解決するために避けて通れないのは、水揚げされた魚の責任です。保険で対応するしかありませんが、誰が被保険者になるのかという課題もあり、気仙沼から問題提起していきたいと思います。

 【魚市場の防潮堤と陸閘の影響】

問) 気仙沼魚市場を取り囲むように海抜5mの防潮堤を整備し、出入口用の陸閘(ゲート)を12カ所に設置する計画案が県から示されています。県によると、津波注意報が発表されれば、陸閘は遠隔操作で閉鎖する予定です。閉鎖後も車両が出入りできる乗り越し道路は1つ計画されていますが、混乱は免れません。徒歩避難が原則とはいえ、魚市場を利用する人たちとの十分な話し合いが必要です。防潮堤計画を受けた津波避難の面での話し合い、陸閘の開閉ルールづくりなどについて、市としての対策を示して下さい。

答) 県の陸閘の開閉ルールは、津波注意報、津波警報によって扉を閉じ、周囲の安全が確認されてから開けることを原則としています。実際の操作については、操作規則を策定し、それに基づく操作になるそうです。県は各地区の実情に応じた操作規則づくりを進めており、その策定には市や消防署と調整し、水産関係者の意見を聞くことになっていますので、市としても積極的に関わります。

なお、陸閘の開閉については、県とは何回も話し合っていますが意見はぶつかったままです。県は湾の外でも奥でも一斉になるべく早く閉めたいと考えていますが、それでは混乱してしまいます。地区別の対応が必要と考えています。

 【車による避難と通行止め】

問) 震災時に車避難による渋滞が問題になった教訓を踏まえ、市は沿岸から高台へ通じる道路の整備を計画しています。近く開通予定の三陸道や大島架橋アクセス道にも津波避難の役割が期待されています。しかし、三陸道は震度5弱の地震が観測されると通行止めになり、逆に混乱する可能性があります。津波警報が発表されると、国は国道45号の過去の津波浸水域を通行止めにします。国道以外の幹線道路でも警察による規制が計画されていますが、その情報や規制箇所は市民には十分に伝わっていません。新しい道路網を見据えた車避難の混乱防止策が必要と思いますが、市の考えと今後の取り組みを示して下さい。

答) 25年度の津波総合訓練で道路管理者と警察、交通指導隊による交通規制と避難誘導の訓練を行っています。地震・津波災害時の交通規制は被災地への流入を規制するためで、避難を抑制するものでないことを、適切な情報を各種防災講座や関係会議で説明し、市広報やホームページで周知を徹底します。津波避難計画では徒歩避難を原則としています。

なお、津波が関係する地震の場合、三陸道などはすぐに通行止めにせずに臨機応変の対応もありえるそうです。市としては、車を使わないで避難するための共通認識や共通理解をつくるため、庁内で情報を共有し、道路管理者と実際の避難のイメージを確認していきたいです。ご指摘の通り、交通規制のことを知らないことが問題ですので、庁内で情報を共有して、マップなどを活用してお知らせしていきたいです。

 【公営住宅管理計画の公表】

問) 市は26年度に災害公営住宅の管理計画と長寿命化計画の策定に取り組みました。しかし、その内容が公表されないまま、宮城県住宅供給公社に全戸の管理運営を委託することが決まりました。関連予算承認の際、議会に対して計画の早期提示を注文したつもりでしたが、その約束も果たされていません。計画に盛り込むとしていた入居者数の将来予測、需給バランス、財政負担のシミュレーション、管理方針について、計画の公表と市民への説明を求めますが、市としての考えを示して下さい。

答) 建設時期や整備戸数に差異が生じたため、計画を見直しており、入居世帯数の将来推計を含めた市営住宅等管理計画は8月を目途に公表する考えです。財政シミュレーションは整備費用の高騰、復興期間後の補助制度見直しなどにより、不透明な要素があるため、今後さらに精査が必要です。災害公営住宅整備後の維持管理費用に係る基金条例等の制定を検討するので、提案時に合わせてお知らせします。市営住宅等長寿命化計画は既存市営住宅の集約化を含めた計画のため、事前に入居者に説明を行うなど、慎重な対応が必要ですので、その後の適切な時期に公表します。

 【仮設住宅集約とアパート入居者の支援】

問) 応急仮設住宅の集約化と解消に向けて、住まいの再建方法が未定の被災者への対応が重要になります。阪神淡路大震災では、月3万円を限度にアパートの家賃を助成した「民間賃貸住宅家賃負担軽減制度」が、そうした人たちの再建を後押ししました。気仙沼でも、集団移転や個別移転によるマイホームの再建、災害公営住宅入居以外の住まいの再建への支援が求められています。住まいの再建方法が未定の人たちの意向を十分に調査した上で、新たな支援策の追加を検討していく考えがあるかどうかについて伺います。

答) 住まいの再建方法が未定の人には今後、個々の再建意向を確認し、1人1人が抱える課題を十分に伺い、本設住宅への移転がスムーズに進むように寄り添った対応をします。新たな支援策については、その必要性を判断し、効果・財源等を見極め対応します。

 【仮設住宅の空き室活用】

問) 応急仮設住宅の空き室について、国と宮城県は一定の条件をもとに、被災者以外への貸し出しを認め、市もIターン就業した漁船乗組員などに貸し出しています。市内のアパートは満杯で待機者も多く、復興工事がピークの間は居住先探しに苦労することは間違いありません。そうした中、気仙沼に移住やUターンを希望してくれる若者が居住先確保に困っています。市は議会に対し、「個別のケースに応じて対応する」とは説明しているものの、市内から入居希望者にはハードルが高いようです。地域活性化には人のにぎわいが欠かせません。市の政策として、仮設住宅の空き室貸し出しに柔軟に取り組む考え、そして貸し出しルールの公表の考えがないか伺います。

答) 国からの通知に基づき、入居者の生活実態などに配慮し、複数戸の利用や住み替えに充てるなど、弾力的に対応してきました。また、県の要領に照らし、定住希望者、復興関連事業で一時的な転居が必要になった人たちの住居として提供してきました。今後、集約に伴う一時転居先に充てるほか、空き室の増加とともに、部屋の追加利用などの希望にも応え、入居者から見て不公平感を招かないような利用に配慮する必要があると考えています。今後も県の要領に照らし、集約化計画に基づく撤去時期の範囲内で、できるだけ柔軟に対応していきます。場合によっては県と相談しながら対応していきます。

 【仮設住宅の譲渡】

問) 目的が終了したプレハブ仮設住宅について、宮城県は市町村や自治会、非営利法人などに無償譲渡してもいいという方針を示しています。市内でも今後、目的を終了する施設がようやく出てきます。産業振興、定住人口増加をはじめ、集会所や合宿所としての活用、または震災の教訓を伝える施設としての活用が考えられますが、市としての考え、検討方法などを示して下さい。積極的に検討するための担当部署を決めて下さい。

答) 譲渡後に建築物として使用する場合は建築確認申請の手続きを行うとともに、基礎などの改修が必要となります。市としては県とともに市内向けの広報に努めるとともに、市で所有し活用を検討する場合には、目的の明確化とその効果、初期整備、維持管理、撤去などの経費及び将来負担、民業への影響などを考慮する必要があると考えています。

実際には市有地の活用は難しく、民有地は市街地が離れています。需要があるのか、将来的に続くかどうかということも見極める必要があります。当面は保健福祉部と産業部で相互に考えてもらうことになります。

3 Comments

  1. O.M

    先生、おはようございます。
    一般質問お疲れさまでした。

    今回は防潮堤のフラップゲートについて、質問します。昨日、市民有志の会が気仙沼市に対して、防潮堤にフラップゲートを設けるよう要望書を出しました。(河北新報6月27日)
    フラップゲートは、被災前の津波対策に力を入れる徳島県が推進している技術であり、国も県もこの技術に注目しているようです。

    そこで、気仙沼市としてフラップゲートに対する見解を、実際に現在進行中の防潮堤計画に組み込むことができるかどうかを中心にお聞かせいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

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  2. 今川 悟 (Post author)

    防潮堤問題を盛んに議論してきた気仙沼市では、当初から可動式防潮堤の可能性が浮上していました。
    最初に出てきたのは、海底から鋼管が浮かび上がる「浮上式」でした。しかし、県知事から完全否定されたため、「海中式」のフラップゲート、「陸上設置式」のフラップゲートへと可能性を探りました。県は、海の中への設置は最後まで難色を示していました。

    海抜5.1mの防潮堤が計画された内湾の魚町地区では、すでにコンクリート防潮堤の上へのフラップゲートの設置が決まっています。条件は「余裕高」である1m分ということです。
    防潮堤を勉強する会は、隣の港町地区(堤防高5m)へ2m分のフラップゲートを要望し、菅原市長も乗り気ですが、魚町へ影響することなので県としては認めにくいと思います。妥協案として1m分を認める可能性はありますが、魚町と異なって背後地のかさ上げ高が低いため、1mのフラップゲートでは海が見えないことに変わりはありません。

    魚町や港町は気仙沼では珍しく堤防高が低いのでフラップゲートの可能性がありますが、ほかの地区は7~14mですので、フラップゲートという議論にはなっていません。むしろ、沖の海底にフラップゲートを設置してくれれば、津波に流入量を防ぐことができます。

    ちなみに、先進地といわれる徳島県は、陸閘(出入口用ゲート)へフラップゲートを導入していますが、堤体そのものへの設置は気仙沼が初めてと思います。

    Reply
  3. O.M

    質問に答えていただきありがとうございます。
    いくつかの私の方にいくつかの認識の間違いあったようで、申し訳ありませんでした。
    気仙沼は防潮堤の議論が市民レベルからあらゆる角度でされているようで、心強いばかりです。

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