高さ5メートルの壁

朝日プレゼン修正版(7_07)_page019気仙沼市の朝日町、大川河口には、高さが海抜7.2mの堤防が整備されます。広い用地を確保できないため、いずれも直立の壁構造になります。管理する宮城県は、ツタ系植物による壁面の緑化、透明アクリル板の設置を検討しています。

貨物船が接岸する商港岸壁がある朝日町には、国の合同庁舎、水産加工・冷蔵施設が再建したほか、造船団地、燃油貯蔵施設の整備が計画され、新たな防潮堤のための用地がありませんでした。このため、県は特殊防潮堤を計画。鋼管杭を埋設し、厚さ140㎝のコンクリートで覆った壁タイプの防潮堤を整備します。背後地は海抜1.8mにかさ上げされるので、見た目の高さは5mほどになります。
気仙沼大川の河口も同じ理由で壁タイプになります。海岸防潮堤と合わせて約3㎞で予算は50億円程度の見込みです。このうち10億円ほどは陸閘(出入口の開閉ゲート)に費やされます。レベル1津波には耐えますが、漁船や貨物船の衝突は想定していないそうです。
8日に開かれた説明会では、県が配慮事項として➀壁面の緑化➁水生生物のための捨石➂地下水流入への対応・・・を提案。緑化は壁面にネットフェンスを設置し、ツタ系植物を這わせる考えでした。維持管理が課題となりますが、面瀬川などの壁タイプにも導入はできるそうです。
捨石は、防潮堤の水際に石を積んだマウンドを整備することで、水生生物が生息しやすい環境をつくります。地下水流入への影響については「既存の矢板を活用するので震災前と変わらない」と説明しました。
朝日プレゼン修正版(7_07)_page014 参加者から「海が見えないと津波襲来が分からずに危険。透明なアクリル板を入れてほしい」という要望があり、県は「技術的には可能。費用がかかるが、どこにどのくらい効果的に設置するかを検討する余地はある」と前向きな回答をしました。一方、アンケートで防潮堤の賛否を問う意見に対しては、「すでに再建した事業所も多く、防潮堤は必要と判断した」とアンケート実施は否定しました。出席者からは、全国の高校生や大学生に壁面に絵を描いてもらうアイデアも出ました。
強化アクリル板を防潮堤に埋め込む手法は、内湾地区でも検討されたことがあり、被災地ですでに採用を決めた例もあります。
工事の一部はすでに発注されており、これから本格化します。早い箇所は27年度中に完成し、残りも30年3月までには完了する予定です。大川河口では釣りを楽しむ市民が多かったのですが、この防潮堤ができれば、とても釣りどころではないでしょう。残念ですが、産業集積地は安全第一のため、防潮堤の早期整備を求める意見が圧倒的です。

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