気仙沼市が復興予算で計画している「津波避難機能を有する道路整備」の一覧です。まだまだ十分ではありませんが、67路線で計約3万㍍を整備します。
■67路線30㎞を整備
気仙沼市は漁業集落防災機能強化事業、防災集団移転、土地区画整理事業などによって、269路線、計7万3408㍍の道路整備について、復興予算による事業採択を受けています。このう67路線が低地部から高台へ通じる「津波避難機能を有する道路」です。漁業集落防災機能強化事業の避難路(18路線)は幅員2m以下で、歩いて避難するための道ですが、ほかは幅員4m以上で震災前より幅広になります。
復興予算には「避難道」というメニューはなく、集落道やアクセス道などの名目で予算を獲得しました。そのため、市民向けにも「避難道」という説明ができず、情報がうまく伝わっていませんでした。市は今後、地区ごとの計画一覧を公表していく考えです。
■市道整備5カ年計画も
26年度末の時点で、67路線のうち2路線300mの整備が完了しました。ほかに12路線は工事発注済みですが、53路線2万2200mは工事未契約です。高台に通じる道路は、津波被害を受けなかった用地も取得しなければならず、準備に時間がかかっているためです。急いでいるのですが、道路整備には通常でも時間がかかるということを理解してほしいです。
また、復興予算で整備できる道路のほとんどは浸水地にあります。震災では幹線道路が渋滞し、高台へ通じる枝道整備が求められました。一覧を見てもらうと分かりますが、例えば階上地区の国道45号から内陸に向かう道路整備は不十分です。
■浸水域は通行止め
国道45号などの浸水予想エリアは大津波警報とともに通行止めとする計画です。その迂回路として国は三陸道整備(震度5弱で通行止めですが)を急いでいます。つまり、浸水が想定される場所に車両を入れないことで渋滞を防ぎ、基幹農道のように浸水しない場所での渋滞は仕方なく、救援・緊急車両は三陸道を活用するという考え方です。
市は今後、地区ごとの計画一覧を公表していく予定です。市道整備5カ年計画も間もなく素案が示される予定ですので、今後は復興予算に頼らない独自事業の中で、津波避難道路を整備していくことになります。