今年5月にスタートした「気仙沼市運動施設の在り方検討委員会」。これまで4回の会議を重ねましたが、注目されていた南気仙沼地区復興市民広場の方向性が見えてきました。サッカー、ラグビー、パークゴルフへ利用していく方向で、市と検討委の考えがまとまりました。
※図面は市が示した素案ですので、変更の可能性があります。
復興市民広場は、内ノ脇の住宅跡地など5haに多目的広場や駐車場を整備する方針でした。隣接する防災公園(2.1ha)に緊急避難用の築山、緑地広場などを整備します。
■検討委が提言書提出へ
スポーツ団体の代表らで構成する検討委は、運動施設の復旧・整備などを話し合うために菅原茂市長の指示で設置。復興市民広場の内容もここで検討され、菅原市長に提言書として年内に提出します。
■パークゴルフ18コースも
各団体の意見をもとに、8月24日の検討委で市から計画案が示されました。2.6haの多目的広場にはサッカーなら2面、ラグビーなら1面の公式コートを確保できるようにしました。その周辺にパークゴルフの18コースを配置します。100台分の駐車場も用意しました。
■夜間照明設置には8000万円必要
復興市民広場は復興予算で整備するため、復興庁との協議が必要ですが、夜間照明、広場の芝生化も検討しています。夜間照明の設置費用は1基当たり2000万円で、広場の半分を照らすのに4基(計8000万円)、全体だと6基(1億2000万円以上)が必要です。
■天然芝は維持管理に年間6630万円
芝生化は費用はさらに膨大です。2.6haの競技用広場を整備する場合の費用は、校庭と同じようなクレー(防塵舗装)だと7500万円ですが、天然芝だと2億5000万円、人工芝だと4億8000万円かかる試算が示されました。しかも、年間の維持管理費用はクレーでも2210万円、天然芝だと6630万円、人工芝は8476万円かかります。
そもそも復興予算でどこまで整備できるか分かりませんが、サッカーとラグビーの関係者は天然芝を希望しました。市の担当者によると、天然芝だと月3回程度の芝刈り、10日に1回程度の散水が必要になるそうです。
■大川堤防に観客席を
前回要望があった大川の堤防を階段状にし、観客席として利用できるアイデアは県と協議中です。パークゴルフのことを考え、堤防を覆土して緑地化することも検討しています。
復興市民広場は27年度に整備するスケジュールが示されていますが、土地区画整理の土置き場として利用されていることもあり、実際には来年度以降に完成がずれこむ見込みです。
■メイン、サブ施設を設定
検討委では復興市民広場以外の検討も進めており、各競技のメイン施設とサブ施設についても確認しました。今のところ、野球は仮設住宅解消後の市営球場をメーン、五右衛門ヶ原運動場をサブに、テニスは市営テニスコートをメーンに、大曲など既存の3施設をサブにする考えです。陸上競技は統合後の気仙沼西高校跡地をメイン施設として整備することを目指しています。
検討委では復興市民広場をスポーツに活用する方向で話が進んでいますが、平日の昼間の使い方、イベントへの利用、大会誘致など、幅広い視点から再確認することも必要です。防災公園、復旧する南運動広場と中央公民館が隣接するため、全体の機能やデザインも考えなければなりません。
次回の会議で、各施設の設備などを検討する予定です。
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気仙沼向洋高校の旧校庭、統廃合後の小・中学校の施設、鹿折みどりのふれあい広場の代替施設はまだ未検討です。たくさん施設ができるのはうれしいのですが、人口減少、財政負担を考えると、近隣施設との関係も再確認したいです。三陸道が開通すれば、南三陸町も陸前高田市もすぐ近くですが、それぞれ運動施設の復旧や整備を計画しています。