市町村によって被害の程度が異なるので、復興のスピードを比べるのは不本意ですが、住宅再建については市町で格差が出ています。遅れが目立つ市町への支援強化をお願いしたいです。
■被災者生活再建支援金の支給率で比較
住宅再建の達成度は、防災集団移転や災害公営住宅の完成度だけではなく、修繕、民間賃貸への入居、住宅の自主再建も加える必要があります。そこで、被災者生活再建支援金の支給状況から住宅再建の進み具合を数値化しました。
再建支援金は、被災してすぐ支給される基礎支援金(全壊世帯で100万円)と、住宅を再建したときに支給される加算支援金(購入・新築で200万円)があります。基礎支援金の受給者に対し、加算支援金の支給率を見ると、住宅の再建状況が分かるのです。
ただし、災害公営住宅の入居者だけは加算支援金を受け取ることができませんので、支給率が100%になることはありません。
■気仙沼、南三陸、女川が50%以下
宮城県沿岸で被災した15市町の加算支援金の支給率は下表の通りです。気仙沼、南三陸、女川だけが50%以下にとどまっています。この3市町に共通するのは、平地が少なく、山を切り開いたり、盛り土をしたりと大規模な開発を余儀なくされていることです。震災後の人口流出も共通の課題です。
災害公営住宅の完成率(10月末現在)もこの3市町はワースト5に入っています。仙台市で86.6%が完成したのに、南三陸町は14.1%、気仙沼市は20.5%でした。
■建設・購入、補修、賃貸の割合は「6:3:1」 気仙沼市
加算支援金は、建設・購入、補修、賃貸住宅に区分して支給しています。この割合も市町で大きく異なっています。
県全体では建設・購入が34%、補修が50%、賃貸住宅が16%の割合を占めています。この割合が都市部、被害程度によって異なるのです。
仙台市は全壊よりも大規模半壊が多く、補修した世帯が57%、建設・購入は24%でした。一方、被害世帯の8割超が全壊した気仙沼市では、補修が28%にとどまり、建設・購入が61%にもなりました。
気仙沼市ではすでに補修は終わり、自主再建の動きも鈍く、今後は建設・購入か賃貸住宅による加算支援金の申請が増えていく見込みです。災害公営住宅2200戸分を除いた約6000世帯が加算支援金の対象となりますが、最終的には70%程度が建設・購入で申請すると考えられます。