どんどん減っていく出生数。その単純な理由【気仙沼市】

気仙沼市の2015年の年間出生数は326人で、「過去最低」という報道もありましたが、ここまできて過去と比べることはあまり意味がありません。なぜなら、これから毎年のように過去最低を更新していくことになるからです。大切なのは、少子化がさらに進展する理由をしっかりと知ることです。

27年度気仙沼市の出生数(月別)

まずは昨年の月ごとの出生数を分析してみましょう。5月が14人と際立って少なくなりましたが、あとは30人前後で安定しました。最多は2月の36人でした。前年に比べると年間で61人(16%)減少しました。

■30年間で7割減

年間出生数は14年前の半分になりました。第二次ベビーブーム移行の推移を分析すると、10年ごとに約3割減少する傾向があります。1975年の1403人が、10年後の1985年には29%減の1008人、1995年にはさらに25%減って754人に、2005年にはさらに32%減の520人に、そして10年間でさらに38%減少して2015年に326人になったのです。結局、この30年間で出生数は約7割も減少してしまったのです。

50年間の気仙沼市出生数推移

■原因は出生率と若者流出

出生数減少の理由は二つあります。一つは全国的に言われている出生率です。非婚化、晩婚化によって女性が産む子どもの平均数は1.41人ですので、夫婦2人だと考えれば、人口はどんどん減っていきます。

二つ目の理由は若者の流出です。気仙沼の場合は、高校卒業とともに市外へ出る人が多く、母親の数そのものが減っています。気仙沼への定着率は約5割です。例えば30年前に市内で1000人の子どもが生まれていても、現在30歳の市民は500人程度しかいないのです。女性が半分の250人だとして、出生率1.41をかけると、子どもの数は352人になります。30年間で出生数が1000人から300人へ減る理由はこの二つにあるのです。

■親世代が減少。このままだと、さらに30年後は115人

ここで考えてほしいのは、昨年生まれた325人が親になって気仙沼で生まれる子どもの数です。先ほどの式を当てはめると、325人×定着率0.5×女性の割合0.5×出生率1.41で、その答えは115人です。これが30年後の気仙沼市の出生数です。

地方創生で定住率の向上、UIJターンの促進、出生率2.2を目指しますが、現実的な対応も必要です。気仙沼市では出生数の減少(少子化)とともに、団塊世代の高齢化も進んでいます。昨年は出生数326人に対して死亡数901人でした。年齢構成から推測すると、今後も出生が減る一方で、死亡が増えていきます。そしてこの差は人口減少にあらわれるのです。

少子化対策が急がれます。いまの親世代は団塊ジュニアの流れでまだ多いのですが、あと10年もすれば親の数そのものが団塊ジュニア世代に対して半減してしまうのです。いまなら効果が出やすいということを、ここ50年の出生数のグラフを見ながら考えて下さい。出生数のグラフでもありますが、親の数のグラフでもあると思って見て下さい。

 

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