100年後の年間出生数は10人?【気仙沼】

気仙沼市は昨年12月末時点の人口(住民登録)を発表しました。人口は6万7657人、世帯数は2万6069人でした。この1年間で808人が減った一方で、170世帯が増えたのです。震災前に比べると6590人減りましたが、年間の減少率は震災前とほぼ同じ状態に戻りました。

人口と世帯数のついては今朝の三陸新報で紹介しているので、出生数の動きに注目します。

なんと、12月の出生数は44人で前年同月の1.6倍でした。12月の出産ラッシュを受けて、26年の年間出生数は387人と前年14人上回ったのです。わずかな上昇ですが、少子化が社会問題となっている気仙沼では明るいニュースです。

気仙沼市の出生数(26年)

ただ、忘れてならないのは、出産期にある親たちが第二次ベビーブームに近い世代で、比較的多いということです。この世代の次の世代から急激なペースで人口が減っているので、生まれてくる子供の数も今後減少する見通しにあります。

復興レポート①(人口)2_page003

私の研究では、気仙沼市では親世代が生まれたときの人数に対し、その子供の数は30%程度になるという近年の傾向が見えています。女性1人当たりが産む子供の数は国や県の平均より高いものの、若者の人口流出、非婚化などが原因となって他自治体に比べても際立った減少率になっています。例えば、35年前の出生数は1254人いましたが、その35年後の出生数は約30%に減るということです。

もしも、若者の流出や非婚化がこの状態で続くと、今から35年後の出生数は387人の30%ですから、116人になる計算です。そこからさらに35年後は35人になり、さらに計算を進めると今から100年後には年間10人程度しか生まれてこないことになります。

年間出生数の推移と推測

とても信じられない数字ですが、大学進学率が年々上昇していることで大卒者向けの仕事が少ない気仙沼へのUターンが困難になり、若者が結婚しない傾向がより深刻になっている中、「30%」はより低い数値になる恐れがあります。少子化は全国的な課題ですが、人口流出が伴う気仙沼は特に深刻です。

気仙沼市は、大卒者が働ける職種の開拓、気仙沼らしく暮らせる環境づくりを目指しています。政府が取り組む「地方創生」に合わせて、縮小社会の在り方を気仙沼から考えていきたいです。何よりも多くの市民がこの問題を知り、危機感を共有し、みんながそれぞれできることに取り組むことが大切だと思います。

まずは、震災後の大変な時代に子供を産み育ている親たちを支えてあげて下さい。そして、たくさんの市民が、子供たちのために市の予算を使うように声を上げてほしいです。

なお、気仙沼の地元紙・三陸新報は今朝の見出しで「人口対策待ったなし」としていました。

人口対策にはいくつかの考え方があり、例えば、人口を増やしていくのか、減少幅を抑えていくのか、そのために勝負に出るのか、または減少に合わせたまちづくりに転換していくのか、細かく考えれば、は団塊世代の後期高齢者入りに向けた対策、若者の流出防止、Uターン・Iターン、水産に頼りすぎている産業の構造、そして少子化対策の子育て支援や教育環境づくりと、一言で「対策」といってもさまざまな方向性や具体策に分かれるのです。

関連記事で、大学進学率を取り上げています。

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