被災地案内のコース紹介【気仙沼】

「今川君はどんなコースで案内しているの?」。震災後、多くの気仙沼市民が〝ガイド役〟となって被災地を案内していますが、どのルートを回るか悩んでいる人もいるようです。

年末年始は、帰省者を案内する機会も増えると思います。そこで、大学生ボランティア、研究者、マスコミなど、数多くの現地案内を経験している私の案内コースを紹介します。三陸新報が発行した震災記録集「巨震激流」を見せながらの案内が分かりやすいです。

【復興状況を知る2時間コース】 ・印は説明内容

➀安波山中腹から市街地を眺望
・リアス式海岸の入江を、大島が「天然の防潮堤」として守っている。
・親潮と黒潮がぶつかる世界三大漁場があり、水産のまちとして栄えてきた。
・南気仙沼などの被害の大きかった市街地は戦後に埋立てられた。
・津波被害だけでなく1mほどの地盤沈下によって復興が遅れている。
・南気仙沼は土地区画整理で盛り土して、安全な住宅地をつくっている。
・産業再建を急ぐために水産加工業の集積地を優先盛り土した。
気仙沼3※写真はアジア航測が公開

➁鹿折地区の見学台
・国内外から注目された第18共徳丸が鹿折唐桑駅前にあったが解体された。
・津波に耐えた建物も火災によって焼失した。
・石油タンクだけでなく、大型漁船が津波で漂流して被害を拡大させた。
・土地区画整理のかさ上げは、ブロック分けして行われている。完成は30年3月の予定。
・鹿折の災害公営住宅は10月にも着工予定だったが入札不調で送れている。
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※写真集団「鼎」が撮影した震災前の鹿折地区。ネット上で公開

➂気仙沼魚市場の屋上(水揚げされた魚がたくさん見られるのは午前8時ごろまで。7時台がベスト)
・対岸に見える造成工事は防災集団移転。
・造船所が地盤沈下して困っており、朝日町への集団移転(造船団地化)を計画している。
・魚市場はかさ上げした震災の年の6月に再開した。
・気仙沼は生カツオ、サメ、メカジキの水揚げが日本一。
・漁船を受け入れるには、市場だけでなく、加工場、製氷工場、冷蔵工場、運送業、そして働き手が揃わないといけない。
・津波で打ち上げられた大型漁船の多くは海に戻った。
→時間に余裕があれば、リアスシャークミュージアムへ。震災の映像と証言が充実している。

➃商港岸壁
・地盤沈下した岸壁や道路は海抜1.8mにかさ上げする。
・気仙沼漁協製氷工場の上あたりを三陸道が通過する。(開通は23年に「10年以内」と民主政権が発言した)
・平成30年度内に大島架橋が開通する。
・海抜7.2mの防潮堤工事中。(直壁タイプ)
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➄大川沿いを通って尾崎地区へ
・市街地以外では復興事業が少ない。
・片浜地区は27年度まで残土置き場になり、住民が期待した復興事業が取り入れられない。
・尾崎地区は防潮堤ができると想定浸水深(レベル2津波)が1m以下なのに、誰も戻ってこない。
・誰も戻ってこないのに防潮堤で囲むのは、背後の水産加工場や県道などを守るため。
日本地理学会津波被災マップ(面瀬川河口)
※震災前後の航空写真・浸水域は日本地理学会がHPで公開している「津波被災マップ」から入手できる。

→時間があれば気仙沼向洋高校の被災校舎、岩井崎、杉ノ下の慰霊碑、野々下のレベル1防潮堤を見て、基幹農道から牧沢の災害公営住宅団地造成工事、工事車両の増加でえぐれた反松の道路を見て、市街地へ戻る。最後は活気を取り戻した田中前地区を通り、津波被害と地盤沈下の程度による復興のスピード差を説明する。

【防潮堤を考える半日コース】

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➀小泉海水浴場と二十一浜漁港(県内最大の海抜14.7mを計画)
➁大谷海水浴場(砂浜を守るために苦労している)
➂野々下(市内で一番最初に完成したレベル1防潮堤。高さは9.9m)
➃お伊勢浜(崩れた防潮堤が残っている。大幅なセットバックを計画)
➄尾崎
➅大川
➆商港岸壁
➇魚市場
➈安波山
→時間があれば、唐桑大沢、舘、鮪立、舞根、そして津波体験館も案内したい。

これ以外にもさまざまなコースがあります。災害公営住宅のモデルハウス(新月中学校近く)、リアス・アーク美術館の震災展示も関心が高いです。

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気仙沼を案内した人から、「気仙沼はいまどんなことが問題になっているのか」「どんな支援が必要なのか」と聞かれた場合、私は「事業量が多すぎて正確な情報が市民に伝わらず、市役所任せになりつつある」「やみくもに応援する時期は過ぎたので、自分が応援したいと思う人や団体を支援してほしい」と答えています。

皆さんも帰省してきた家族や友人に、気仙沼のいまを教えてあげてください。

資料が必要な場合、ニーズに合わせたルート設定などの相談がありましたらお気軽に連絡ください。公務がなければ、私がボランティアで案内することも可能です。

2 Comments

  1. 砧 由美

    はじめまして。東京在住のものです。
    7月に気仙沼を訪れて被災地の現状を知り、微力ながら自分に役立つことがないか考える機会を作ろうと思っています。1泊2日ですがどのように過ごすのがよいか教えていただけないでしょうか。よろしくおねがいします。

    Reply
    1. 今川 悟 (Post author)

      ご連絡ありがとうございます。せっかく気仙沼にお越しでしたら、少しでも住民と接する機会を持っていただきたいです。交流できる宿は、気仙沼ゲストハウス「架け橋」、唐桑の唐桑御殿「つなかん」などです。「架け橋」では、宿の方で被災地をガイドしてくれるメニューもあります。
      具体的な思いがあれば、復興に取り組む市民を紹介することもできます。時間が合えば、私が被災地案内することも可能です。

      Reply

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