気仙沼市南郷地区で建設工事が進められている災害公営住宅の一部が完成し、31日に入居式が行われます。市内で計画している2155戸の約3%に当たる75戸が市内第一号の入居開始となります。今年中にはさらに419戸が完成する予定です。
仮設住宅の平均的な広さは約20~40㎡でしたが、災害公営住宅は55~80㎡。2~3倍の広さになります。
南郷地区は、津波で被災して閉校した南気仙沼小学校の跡地に、3棟の災害公営住宅を計画しました。このうち6階建ての2棟(都市再生機構からの譲渡価格25億円・一戸当たり3333万円)が最初に完成し、残る10階建ての1棟も3月に入居を開始します。
建設地は津波で浸水しましたが、新たな河川堤防を整備すると、今回と同じ津波でも浸水しない想定となっています。とはいえ、想定を上回る津波、洪水に備え、一階部分には居住スペースを設けず、トランクルルームや自転車置き場にしました。
部屋は世帯数に合わせて、55㎡の1LDKと2DK、65㎡の2LDKと3DK、80㎡の3LDKと4DK、そして車いす専用の計6タイプがあります。さらに高齢者見守り型の間取りがあり、毎日使う台所を共用通路側に配置し、入居者の気配を感じられるように工夫しています。一人暮らし高齢者の台所の電気が明け方までついていたら、通路を通った他の住民が異変に気付くことになります。
台所のシンクは、気仙沼らしくカツオが丸ごと1本入る大きさです。入居予定者の意見を取り入れました。
最も大きな3LDKは、2人以上の世帯が申し込めます。台所付きのダイニングリビングは16畳の広さです。どのタイプもたくさんの収納スペースが用意されています。それぞれバルコニーがあり、コンテナ菜園などを楽しめます。全戸分の駐車場(1台月3000円)、4基のエレベーターもあります。抽選の結果、1戸(3LDK)が空き室となったので、当面はモデルルームとして公開します。
家賃は収入などで決まりますが、低所得者向けの低減措置が受けられるため、最低で7000円に抑えられ、最高だと7万9000円になります。別途、共同スペースの電気代などとして共益費がかかります。南郷地区は市街地なので、下水道、都市ガスに接続されます。テレビはケーブルテレビで受信しており、気仙沼ケーブルネットワークの自主放送を無料で視聴できます。住宅の管理は、宮城県住宅供給公社へ委託しました。
敷地内には、公園のほか、南気仙沼小学校の校歌碑、校門などを並べたコーナーもあります。
計165戸の大所帯となるため、新たに南郷3区として自治会を設置するため、1月19日に準備会を開きました。敷地内に併設された南郷コミュニティーセンターは南郷1区・2区と共同利用します。センターは2階建てで、5つの集会室、調理室、そして広場があります。集会所用の駐車スペースも8台分用意しました。ほかに高齢者相談室があり、西地区を担当する生活援助員(LSA)が月曜日から金曜日の午前9時~午後5時まで常駐します。
震災からもうすぐ4年。ようやく狭い仮設住宅から解放され、災害公営住宅へ移る被災者がいる一方で、最も遅く完成する気仙沼駅前の災害公営住宅の一部は29年5月の入居となる予定です。あと2年以上も先のことですが、住宅再建は確実に進んでいます。その陰には、休日返上で仕事に打ち込んできた市職員の皆さんの姿があります。