なぜ空き缶はつぶしちゃダメなの【ごみ処理場のお仕事】

気仙沼市のごみ処理施設「クリーン・ヒル・センター」を見学してきました。気仙沼市議会の会派「未来」としての視察です。意外と知らない気仙沼のごみ処理事情が分かりました。

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■市民1人当たりのごみは1日1㌔

平成7年、約70億円かけて九条地区に完成した「クリーン・ヒル・センター」では、年間約2万4千㌧のごみを処理しています。事業所ごみを含めて、26年度は市民1人当たり1日978㌘のごみが出されました。想像以上に多いです。ごみ処理には、年間8億~10億円の費用をかけています。処理施設がない南三陸町のごみも有料で引き受けています。

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約8割が可燃ごみです。ペットボトル、空き缶、ビンなど、ごみの全体の約1割はリサイクルされます。缶やビンは収集袋から出して選別していました。ビンは色ごとに手作業で分別します。ペットボトルと缶は、リサイクル業者に販売するためプレスして塊(かたまり)にするので、結合しやすいようにつぶしてはいけないのです。

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■缶とビン一緒の袋でもOKでした

ちなみに、気仙沼市の場合はペットボトルのラベルはとらなくてもいいそうです。私は知りませんでしたが、缶とビンを一緒の袋に入れて出してもいいことが分かりました。

可燃ごみの大きさが45㌢以下に制限されているのは、焼却炉の入り口が幅70㌢ほどしかないためです。これは炉内でスプレー缶などが爆発したときの対策として炉の入り口を狭くしているからです。炉に入れるごみは、巨大UFOキャッチャーのようなピットで撹拌し、均一に燃えやすくします。温度を930~940℃に制御しながら、月~金曜まで24時間フル稼働で燃やし続けます。

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普段は1日95㌧ほどのごみを受け入れていますが、年末になると大掃除によって搬入量が急増します。しかし、ごみを最初に受け入れるピットには限界があり、搬入口が混雑してしまいます。年末に集中させないように、ごみは計画的に出しましょう。

市のごみ収集車は予備を含めて4台あり、市街地を中心に市全体の17%を担当しています。残りは民間業者に委託しています。市の収集車は3人体制、民間は2人態勢で運行していますが、市が担当する市街地は渋滞を起こさないように素早い収集が必要なため、仕方がない気もします。市将来的には委託を拡大していく考えです。

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【追記】2023年2月からペットボトルをつぶして出すことに変更しました。空き缶はアルミと鉄を空気噴射で分別しているため、つぶして出すのは禁止のままです

■ごみ集積所は市内1254カ所に

ごみの集積場所は市内に1254カ所もあります。クリーン・ヒル・センターには毎日延べ200台が、集めたごみを運び入れます。ルール違反で集積所に残されるごみは、大きさが規定以上だったり、水切りが不十分だったりするケースが多いそうです。集積所は原則20戸以上ということにしています。新設する場合は、各地区の衛生組合長と相談して下さい。

■あと6年で埋め立ては満杯

ごみを焼却すると、10分の1の焼却灰が出ます。焼却灰は近くにある一般廃棄物埋立処分場に埋めます。平成元年に完成した埋立処分場は16万8千㌧の受入容量がありますが、残りは3万1千㌧ほど。このままだと32年度にはいっぱいになってしまうため、市は27年度内に新たな埋立処分場の候補地を探し、31年度には整備に着手する計画です。本吉町小泉と唐桑町舞根峠にあった埋立処分場はすでに満杯になっています。

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焼却灰のほかに、ガラスの破片なども埋めています。粗大ごみはできるだけ分解し、鉄などはてリサイクルしているため、かつての「夢の島」のように何でもかんでも埋めるということはありません。

■焼却施設はあと10年使用

焼却施設は37年度まで使用する考えです。全国の平均的な耐用年数は20年程度、最長でも40年というデータをもとに、気仙沼は30年間使うことにしています。新たな施設の整備には、用地選定から建設まで5年前後かかるため、遠くない時期に次の検討が求められます。焼却灰の埋め立て処分場と焼却施設はある程度セットのため、そんなに離れた場所にはならない可能性が高いです。

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※炉の近くでは40℃以上の中での作業になることもあります。

焼却施設は、ダイオキシンの問題から高性能施設を登米・南三陸・気仙沼の広域で整備することも検討してきましたが、震災後に白紙になりました。震災の教訓からそれぞれ焼却施設があった方がいいということになったからです。

ごみの焼却熱を利用して、近くには入浴施設付きの大曲コミュニティーセンターがあります。最近は、うどんやそばなどを販売して人気を得ています。子供用の遊具、テニスコート、屋内ゲートボール場もあります。入浴料は64歳まで250円、65歳以上は150円です。

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■ごみリサイクル奨励金をもらおう

ごみのリサイクルに関して、お得な制度もあります。学校や自治会などで資源ごみを回収する場合、古紙(新聞・雑誌や段ボール)、金属類(鉄くず・アルミ・銅など)、ビン類、古着類は1㌔当たり8円の奨励金が市からもらえます。回収した場所に業者が引き取りに来てくれるそうです。事前に申請が必要ですが、毎年90団体ほどが制度を利用し、自治会の活動費などを得ています。

 

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