防災集団移転の宅地。擁壁の有無で「不公平」の声

気仙沼市の防災集団移転促進事業は、被災した市民のために市内38地区で910区画の整備を進めています。今月末まで98%の区画を引き渡す予定ですが、引き渡すが進むにつれ、宅地の段差の処理方法があらためて問題になっています。段差の高さ1mを境に、土のままの法(のり)面、コンクリート擁壁に分かれるからです。

■高低差1メートル以上で擁壁

防災集団移転の団地は斜面に整備される箇所が多く、宅地間にはどうしても段差が生じてしまいます。気仙沼市の場合、高低差が原則1m以上だとコンクリートの擁壁を設置し、1m未満だと土を斜めに固めた法面にしています。

宅地の広さは、法面を含めて100坪を標準にしています。段差のない区画、擁壁を設置した区画は100坪がそのまま有効面積(平場)になりますが、法面があると少なくなってしまうのです。

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■のり面で有効面積(平場)が減少

「法面のある区画は使える土地が少ない」。宅地の引き渡しが進むと、そのことを疑問視する声が上がり始めました。自ら擁壁を設置する人もいて、その費用だけで100万~200万円ほどかかっているそうです。その費用を金融機関から借りた場合、利子補給の対象にはなりますが、法面がない区画と比べると負担が増えてしまうことに変わりはありません。

この問題は、昨年から市議会でも議論されてきました。市の説明によると、擁壁を設置する基準について明確な規定はありませんが、近隣自治体の状況、有効面積確保の観点から1mを基準としました。1m以下でも擁壁を設置するように要望を受けても、この考え方を説明してきました。

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高低差1m以内の法面であれば、宅地の有効面積は85%を確保できます。気仙沼市では、建ぺい率(敷地に対する建築面積の割合)が60%以下と定められていますので、85%あれば十分と考えたのです。なお、災害公営住宅の宅地は狭いので、50㎝以上の段差が生じると擁壁を設置する基準としています。

■土地価格は同じ

「不公平だ」との指摘が出ているのは、同じ団地内で100坪の宅地でも、有効面積が異なるのに、擁壁や法面の有無が土地価格に反映されていないからです。

市は、区画の抽選会前に区画ごとの平面図と断面図を資料として配布しています。法面があることを承知の上で希望した区画ですので、仕方がないといえばそれまでですが、現在の混乱をみると、十分に理解できるように丁寧な説明ができていたかどうかは疑問符が残ります。

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対策としては、譲渡価格か借地料に有効面積の割合を反映させること、または擁壁の工事費用に対する補助金を支給することが考えられます。すでに引き渡しや工事が始まる中、対策を急いで示さなければならないものの、課題は財源です。防災集団移転は、個別移転に比べると手厚い支援内容になっています。市が住宅再建を独自に支援する財源は残っていますが、全体的なバランスを見なくてはいけないのです。そう考えると、手間はかかっても集団移転の区画の中で、土地価格で調整することが公平のように思えます。

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■排水のための段差も

なお、平坦の場所にも道路と30㎝の段差があるのは、排水処理のためです。側溝へ向けて雨水排水のための勾配が必要で、浄化槽へ排水するための勾配も考慮すると、路面より宅地を高くする必要があるのだそうです。宅地を買い取った場合の造成は自由ですが、借地の場合は市の許可を得なければなりません。

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