亀山リフトはモノレールで復活検討【気仙沼大島】

NHKの連続ドラマ小説「おかえりモネ」の舞台となった気仙沼大島。眺望の良さからロケ地になった亀山(235m)には、かつて山頂と麓をつなぐ「亀山リフト」がありました。

【亀山アクセスは復興の残された重要課題】

震災の津波と火災で被災しましたが、復興予算で復旧できないまま時が流れ、亀山山頂へのアクセス手段については「復興の残された重要課題」となりました。

これまでの経過と最新状況をまとめます。

【災害復旧の対象とならず】

亀山リフトは1967(昭和42)年に開業。全長903m、片道15分で料金は往復で700円(大人)でした。小さなスキー場にある1人乗りタイプのリフトで、船で訪れた観光客が亀山山頂へ行くために利用していました。

震災前の亀山リフト

最盛期の1978年には年間12.6万人も利用しましたが、2010年は2.3万人まで減少していました。1993年以降は採算割れが続き、震災前5年間で年平均3200万円(年間稼働186日)の赤字となっていました。

地方公営企業施設のうち「観光その他事業」に分類された亀山リフトは、災害復旧の対象にならないと判断されたため、復興大臣等へ要望を続けてきました。しかし、国の見解は変わらず、ペアリフトだと建設事業費は4.2億円、ゴンドラだと8.3億円という整備の試算もあって具現化しないまま時が流れました。

なお、2013年度に国の「被災地におけるPFIを活用した観光拠点施設整備等事 業に関する支援等業務」(報告書はこちら)を活用し、リフトの代替手段などについて検討したところ、麓から山頂までのアクセスはシャトルバスが最も高い評価となりました。

【中腹駐車場と無料シャトルバスで暫定対応】

2019年4月に気仙沼大島大橋が開通して、多くの車が流入して問題は深刻化します。亀山山頂へ続く市道は狭くて一般車両は入れられないため、山頂へのアクセス手段を用意する必要があったからです。

休日に運行したシャトルバス

市は暫定対応として、中腹に駐車場(普通車60台分)を整備。山頂まで急な斜面を15分ほど歩かなければならないため、レストハウスまで無料シャトルバスを運行しました。さらに田尻(浦の浜の隣)から中腹駐車場までのシャトルバスも用意しました。初年度は4~11月まで運行し、中腹駐車場⇒レストハウスは2万6415人、田尻⇒中腹駐車場は5211人が利用しました。

駐車場は中腹で1万202台、田尻で923台が利用しました。1台500円の協力金をお願いし、計約550万円の収入があった一方で、シャトルバス運行や交通誘導員配置に約4400万円もの市の支出がありました。

翌年度は新型コロナの影響もあって、シャトルバスの利用は計約8000人にとどまりました。シャトルバス運行や誘導員配置などの経費は約2700万円でした。

現在、中腹駐車場は有料(500円)になっています。そして2021年度も亀山等渋滞対策としてシャトルバス運行などに約3200万円を計上しました。

中腹駐車場からレストハウス手前まで続く階段

山頂からの眺め

太平洋を望めるテラスも新設

【公設民営へ可能性と手法を調査】

気仙沼市は亀山山頂のアクセス手段に民間活力を導入するため、約680万円の国補助金を確保して調査を始めました。

今月11日の市議会東日本大震災調査特別委員会への報告(資料)によると、現時点では中腹駐車場から乗り物によるアクセスが現実的と考えているそうです。具体的には中腹駐車場を拡張(現状45台⇒76台に)して、展望台付近までの約430m区間にモノレール(単線)を整備する案が有力との説明がありました。

「公設民営」を基本とするため、モノレールだけでなく山頂に観光客を呼び込むための魅力づくりも検討しています。詳しくは下記の調査概要(プロポーザル資料)をご参照ください。

 

【年度内に方針決定、来年度着工を目指す】

今後は、コンサルが策定する採算可能な事業モデルを提示したうえで、公募によって広くサウンディング調査(市場動向などから条件などを把握するための調査)で意見や提案を求める予定です。

方向性がより明確になった段階で市民に説明する考えです。9月の市議会一般質問に菅原市長は「年度内には方針を決めて、できれば来年度に着工に進みたい」と答弁しています。

復旧・復興事業でなければ、市の負担が発生します。それを亀山のアクセス手段に投資するのがいいのか、もっと他に有効な使い方がないか、しっかり議論する必要があります。安波山からの景色も素晴らしいですが、中腹駐車場が満車になることはなく、山頂まで厳しい道も歩いて登る市民がいることも考えなければなりません。

なお、今年10月に岸田新総理が来市した際には、「復興の残された重要課題」として亀山山頂へのアクセス手段に対する支援を要望しました。

※要望内容は下記の通りです

 

 

 

1 Comment

  1. 斉藤 仁

    どんな乗り物が安全で経済的かを知識人と観光業者地元民など総合的な議論の場を作って欲しいです。現行の中腹からのゴンドラ等を先ず作って将来的には下から繋げられるような計画にして欲しいですね。
    気仙沼は今後魚の街から観光にシフトしないと生き残れないと思いますので。
    コロナ禍が落ち着いたら、内外からインバウンドの観光客の皆様が来ることを予想して、同時に亀山トレッキングコースを整備して、徒歩でも‍♀️登れるし帰りはゴンドラなども面白いと思います。
    市民とプロの知恵を纏めて実現しましょう

    Reply

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