気仙沼市議会の市立病院建設事業調査特別委員会で1月26日、長野県の岡谷市民病院を視察してきました。気仙沼市でも気になる新病院の完成に伴う移転の課題を学んできましたので報告します。
岡谷市は長野県の中央部にある人口約5万人の都市です。諏訪湖のほとりにあり、製糸で発展し、現在は時計やカメラなどの精密工業が主体となっています。中央自動車道、長野自動車道、上信越自動車道のICがあり、東京や名古屋、大阪へのアクセスが確保されています。
新しい市民病院は、二つの病院が統合する形で市役所のすぐ近くに2015年10月に開院しました。295床と気仙沼市立病院とほぼ同じ規模です。
【患者移送などをシミュレーション】
今回注目したのは、旧病院から新病院への移行方法です。岡谷市は移転1年前に、最終決定機関となる移転対策本部を設置。県内にある丸子中央病院の移転に参加し、特に心配していた患者移送の手法などを見学しました。
病院移転に実績がある運送会社と業務締結し、作業計画の立案から関わってもらい、患者移送、医療機器の移転準備を進めてきました。患者搬送シミュレーションも実施しました。患者移送には救急車と車いす車両を使用しました。
【開院10カ月前までに移転作業日程を】
移転作業の期間は、3連休を挟んだ10月8日から10月13日に設定。この期間、一般外来と救急受け入れは5日間休診しました。この期間の救急当番を変更したり、市民に休診を周知したりするため、「移転作業期間は開院の10カ月前、詳しい作業工程は3カ月前までに決めておいた方がいい」とアドバイスを受けました。
「移設できるものはできるだけ移設する」という基本方針だったため、CTやMRIは1カ月使えませんでした。岡谷市には近隣に病院が多く、移転や休診の影響はなかったそうですが、気仙沼市の場合はより慎重な対応が必要です。
【移転の影響で1億円減収】
移転のための患者制限や休診、移転後に慣れるまでの手術制限などによって、1億円ほどの減収になったそうです。移転後にの施設の微修正にも費用がかかりました。
このほか、新病院では、院内の案内のためのデザインが新しくしましたが、市民からは「わかりにくい」と不評だったため、手作りの案内板が加えられていました。新病院を中心としたバス路線も組まれていました。
気仙沼市の新病院は4月に完成し、11月の開院までをトレーニング期間に設定しました。これから移転へ向けた準備が本格化しますので、視察で学んだことを反映させていきたいです。(下の写真は1月20日に見学した気仙沼市立病院工事現場の様子です)